- 善子「最後ノート?」
655 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:12:21.94 ID:4cENyyvV - 花丸「ぷしろーどって言ったんだね? 間違いない?」
善子「ぅ………ん……」コクッ 花丸「ぷしろーど……ぷしろーど……」 花丸「ぷしろーどってなに!?」 梨子「も、もしかしてプシロードの事を言ってるのかな?」ググッ 鞠莉「あのゲームとかの?」グイー 花丸「知ってるの? 具体的に何か教えて欲しい!」
|
- 善子「最後ノート?」
656 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:13:00.33 ID:4cENyyvV - 梨子「よ、善子ちゃんが好きなゲームやキャラクターを作ってる会社だったと思うけど…っ!」グググ…
花丸「会社ぁ!?」 鞠莉「株式会社プシロードね、確か……」グッ 花丸「なんてものを書いてるの!」グッ 梨子「善子ちゃんそんなの書いてたんだ……でもそんなの意味があるの?」 鞠莉「人の名前以外でもいけたんだ」 花丸「こっちのほうが問題だよ!!」
|
- 善子「最後ノート?」
657 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:13:43.65 ID:4cENyyvV - 梨子「ど、どうして? んん…!」ググッ
鞠莉「そんなにマズイ事なの?」グググ 花丸「マズイよ! 会社って、小規模だけど国と同じなんだよ!」 梨子「国? 国家ってこと?」ググググ… 鞠莉「そんな大袈裟なもの!?」ズルズル… 梨子「ま、鞠莉さんっ! 善子ちゃんの体が…もう!」ズル… 鞠莉「こ、腰まで…!? んんっ、花丸ーー!!」ズルズル… 花丸「人の因果ではなく、人の想いが集束する環境、器……」 梨子「善子ちゃん!!」
|
- 善子「最後ノート?」
658 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:14:26.87 ID:4cENyyvV - 花丸「たくさんの人が運命を預ける場所、集団意識を象徴するもの……そんなものに干渉して…!」
梨子「じ、じゃあこれって…!?」ズル… 花丸「会社と運命を共にした何か……因果をも飲み込んでいる存在…」 鞠莉「そんな……なんとかならないの!?」ズル… ググッ 梨子「よ、善子ちゃんが!!」 善子(あれ……なにも聞こえなくなった……体も軽い……私どうなったのかな……) 鞠莉「梨子、善子の体を後ろから持ち上げて! 私は前から!」ガッ ググ 梨子「は、はい!!」サッ
|
- 善子「最後ノート?」
659 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:15:09.33 ID:4cENyyvV - 花丸「えっと……人の集団意識……それらに宿り束ねる存在……」ブツブツ
善子「………………」 梨子「善子ちゃん!!」ギュゥゥゥゥ! 鞠莉「善子!!」ググ…! 花丸「崇められる象徴……この場合会社という組織だから…えーっと…」ブツブツ 鞠莉「り、梨子!? あなたまで足が沈んでるわよ!!」 梨子「え? きゃっ!」ズ… 鞠莉「どうして? こっちは地面に遮られているのに?」 梨子「………運命共同体…だから?」
|
- 善子「最後ノート?」
660 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:16:04.39 ID:4cENyyvV - 鞠莉「そんな、それじゃこのままだと梨子も一緒に!?」
梨子「……………っ!」 善子「…………梨……子…?」 鞠莉「花丸! 花丸まだなの!!」ググ 花丸「わかった! これは厳密には集合意識じゃなく、そこに生まれた鎮守神の類!!」バッ 鞠莉「なんとかなるの?」 花丸「アプローチの仕方さえ間違えなければ……でも…時間が少しかかって…」 鞠莉「なんでもいいから、できるならやって!!」ググググ 花丸「わ、わかったー!」
|
- 善子「最後ノート?」
661 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:16:51.92 ID:4cENyyvV - 梨子「よ、善子……ちゃん……!」ズズズ…
善子「………………」 鞠莉「くっ……そ、もう…腕も、掴めない……」ズルズル… 善子(体の感覚がなくなって……どうなったのかな……) 梨子「ま、鞠莉さ……もうっ…!」ズズズ… 鞠莉「梨子! あなたの腕をこっちに伸ばして!」ガッ 梨子「ご、ごめんなさい…もう……」ズズ… 鞠莉「梨子!!」
|
- 善子「最後ノート?」
662 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:17:43.51 ID:4cENyyvV - ズズ…… ズズズズ……
鞠莉「梨子!! 善子!!」ガッ …………。 鞠莉「む…うぅっ!!」ドンッ 鞠莉「くぅっ…くそっ! くそっ!!」ドンッ ガリッ 花丸「―――――」ブツブツ… 鞠莉「花丸!! 梨子も…善子も……っ!!」ガッ 花丸「…………まだだよ…まだ、終わりじゃない」
|
- 善子「最後ノート?」
663 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:18:57.96 ID:4cENyyvV - ―――――
善子「………………」 善子(もうなんの音もしなくなったな……) 善子「……………」キョロキョロ 善子(どうなったんだろ、私……渦に飲み込まれちゃったのかな……) 善子「…………ぁ…」 善子「ん、声がでる……」 善子「おーーい! 梨子ー! マリー! ずら丸ー!」 善子「………………」 シーン… 善子「ちょっと……梨子!! マリー!!」
|
- 善子「最後ノート?」
664 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:19:40.48 ID:4cENyyvV - 善子「……………えっと…冗談ならやめてよね!」
善子「……………………」 ヨシコチャン 善子「っ!? 梨子!! どこ!?」キョロキョロ ヨシコチャン 善子「聞こえてるわ! どこなの!?」 善子「……………」
|
- 善子「最後ノート?」
665 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:20:22.33 ID:4cENyyvV - フワッ
善子「ん……だ、誰……?」 ヨシコチャン 善子「な、なにかいる……後ろに……」 ヨシコチャン ヨシコチャン 善子「梨子……声はするのに視えない……でも……」 スッ… 善子「あ………あったかい……」 善子「なにかが触れている感覚……優しい、あったかい気持ち……」スッ 善子「梨子……なの?」
|
- 善子「最後ノート?」
666 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:21:10.58 ID:4cENyyvV - 梨子「善子ちゃん!!」バッ
善子「うわあぁぁ!!」 梨子「きゃっ!!」ビクッ 善子「な、なんでいきなり目の前に現れるのよ!!」 梨子「なに言ってるの、ずっと呼んでたんだよ?」 善子「あ、そうなの……なんだか声はすごく遠くから聞こえてたような…」 梨子「私も善子ちゃんの声、目の前に姿はあるのに、すごく遠くから聞こえていたよ」 善子「ん………」 梨子「善子ちゃん……」 善子「な、なに?」
|
- 善子「最後ノート?」
667 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:21:59.83 ID:4cENyyvV - 梨子「ごめん、繋ぎとめられなかった……」
善子「あー……じゃあここって……」 梨子「たぶん……真っ暗だね……」 善子「因果の渦とかいうやつかしら?」 梨子「かも………」 善子「で、どうして梨子までいるのよ?」 梨子「それは、たぶん私も善子ちゃんと運命を共にする存在だったから……かな?」 善子「一緒に引きずり込まれたってこと……はぁ……」 梨子「善子ちゃん?」 善子「ごめんなさい……」
|
- 善子「最後ノート?」
668 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:22:40.22 ID:4cENyyvV - 梨子「うん、いいよ」
善子「でも…私のせいで梨子まで……」 梨子「私達はなるべくしてなった運命共同体……でしょ?」 善子「何言ってるのよ……梨子は何もしてないじゃない……」 梨子「善子ちゃん?」 善子「梨子は…ただ私を助けようとしてくれただけよ……でも私は違う……」 梨子「…………」 善子「私はおもしろがってたくさん名前を書いた……ルビィもマリーもそう、ダイヤの時にちょっとやばいって思った……」 梨子「ん………」 善子「それでやめようと思ったけど……最後にもう一度だけ、気になったから……気になっちゃったから……」 梨子「うん」 善子「梨子の名前を書いた………」
|
- 善子「最後ノート?」
669 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:23:17.75 ID:4cENyyvV - 梨子「私も気になったから、善子ちゃんの名前を書いたよ」
善子「私とは……」 梨子「同じだよ。ノートが本物かもしれないって思ったら、千歌ちゃんでも曜ちゃんでもなく、すぐに思い浮かんだのは善子ちゃんだった」 善子「ぅ……」 梨子「そして二人で運命を乗り越えて死を回避した……」 善子「でもそのせいで……私達……」 梨子「うん。一蓮托生だもんね」 善子「なんでそんなに落ち着いていられるのよ」 梨子「それは、善子ちゃんと一緒だから」 善子「ぐっ………あ、そう……」プイ 梨子「あれ、もしかして照れた?」 善子「照れてないっ!」
|
- 善子「最後ノート?」
670 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:24:05.12 ID:4cENyyvV - 梨子「ふふ……でも落ち着いているというより、やっぱり安心したからかな」
善子「なにがよ……」 梨子「だってさっきまで善子ちゃん、黒い炎みたいなのに包まれてホントに苦しそうだったから…」 善子「もうあんまり覚えてない……」 梨子「だからかな、今のケロっとしてる善子ちゃんを見たらね……」 善子「なんか単純な扱いをされてるようだわ」 梨子「ふふ、どうだろうね」 善子「むぅ……」
|
- 善子「最後ノート?」
671 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:24:34.29 ID:4cENyyvV - 梨子「……………」
善子「……………」 梨子「私達、いつまでこうしているのかな?」 善子「ずっと浮いてるのかわかんない変な感覚だったけど、慣れるものね」 梨子「善子ちゃんだけハッキリ見えるのに、周りには何もないし……」 善子「ずっとここにいるのかしら……?」 梨子「そうなのかなー」 善子「……………」 梨子「……………」
|
- 善子「最後ノート?」
672 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:25:20.84 ID:4cENyyvV - 善子「お腹空いたらどうしよう?」
梨子「そういうの気になる?」 善子「だって食べないと死んじゃうでしょ」 梨子「自分がどういう状態なのかわからないけど、不思議とそういう感覚はないよ」 善子「もしかしてもう二人とも死んでいるのかしら?」 梨子「そうなのかも?」 善子「あー……死んでるのかもね」 梨子「なんだか軽いね……」
|
- 善子「最後ノート?」
673 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:26:02.11 ID:4cENyyvV - 善子「うん。でもきっと梨子がいなかったら私ずっと泣いていたと思う」
梨子「私も善子ちゃんがいなかったらって考えたくもない…」 善子「じゃあしょうがない……ここでずっと暮らそうか」 梨子「なにもできないけど……」 善子「ん………」スッ ギュッ 梨子「きゃっ!?」 善子「あ、ごめん……」 梨子「ううん、ただ触れられる事に驚いただけだよ…」 善子「お互いに触る事はできるのね……」
|
- 善子「最後ノート?」
674 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:26:39.52 ID:4cENyyvV - 梨子「これならしばらく退屈しなくていいかな?」
善子「なによ、エロい事でもするつもり?」 梨子「バ、バカな事言わないで!」 善子「その反応は可愛いけど、ずっとそうだとちょっと寂しいかも……」 梨子「え?」 善子「あーいや、なんでもない」 梨子「二人だけなのに隠し事?」 善子「隠し事じゃなくて、今じゃないって思うし……」 梨子「むぅ…」
|
- 善子「最後ノート?」
675 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:27:17.57 ID:4cENyyvV - 善子「あ………見て…」
梨子「ん? あ………」 ポァ… 善子「私と梨子……糸で繋がっていたのね」 梨子「気づかなかった……これって、いつのまに……」 善子「二人しかいないけど、こうやって繋がりを感じられるのはいいわね」 梨子「ん………そうだね」 善子「触ると……あ、感触はあるんだ」 梨子「光ってはいるけど、これって縁の糸ってやつかな」 善子「そういえばずら丸が言ってたわね……」
|
- 善子「最後ノート?」
676 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:28:02.26 ID:4cENyyvV - 梨子「花丸ちゃん……鞠莉さん………」
善子「どうしてるかな……」 梨子「鞠莉さんは渦に呑まれる事はなさそうだったけど、私達がいなくなったから……」 善子「………………」 梨子「心配、してるかな……」 善子「一人じゃライブもできないしね」 梨子「そういう問題?」 善子「だってせっかく準備したギルキスのライブも……」 梨子「ライブ………」 善子「ライブか……」 梨子「やりたかったね、ライブ……」 善子「そうね……」
|
- 善子「最後ノート?」
677 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:28:31.53 ID:4cENyyvV - 梨子「千歌ちゃん達、大丈夫かな……」
善子「ルビィ達も、大丈夫かな……」 梨子「……………」 善子「……………」 梨子「ね、ねえ……善子ちゃん………」 善子「きっと同じことを考えていたわ」 梨子「そうだね……私達……」 善子「うん………」
|
- 善子「最後ノート?」
678 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:29:22.02 ID:4cENyyvV - 梨子「未練……たくさんあるね」
善子「やりたい事、やっぱりたくさんある」 梨子「Aqoursもギルキスももっと続けたい……」 善子「まだまだ私もやりたい事があったわ。リトルデーモンもまだぜんぜんだし!」 梨子「だから……もう一回……みんなに会いたい……」 善子「会いたい……ううん、会わないと!!」 梨子「うん! 私やっぱり………」 善子「やっぱり…………」 「 帰りたい 」
|
- 善子「最後ノート?」
679 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:29:59.52 ID:4cENyyvV - キラッ
善子「ん?」 梨子「あ、見て善子ちゃん! 上!」 善子「なにか……降りてくるわね……あれは……」 梨子「………糸?」 善子「ふ………ふふ……」 梨子「あは、どうやらお迎えが来たみたいだね」 善子「そうね。頼りになるわホントに」 梨子「二本……縁の糸………」 善子「きっとマリーとずら丸ね」
|
- 善子「最後ノート?」
680 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:30:41.50 ID:4cENyyvV - 梨子「………………」
善子「………梨子?」 梨子「これで帰ったら、全部終わるのかな……」 善子「そうだといいわね」 梨子「私と善子ちゃんはどうなってるのかな?」 善子「どうって……なにかある?」 梨子「運命共同体は……そのままなのかな?」 善子「随分とそこに拘るわね」 梨子「……………だって」 善子「大丈夫よ!」ギュ 梨子「あ………」
|
- 善子「最後ノート?」
681 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:31:47.61 ID:4cENyyvV - 善子「運命共同体なんかじゃくたって、梨子がこの手を離さない限り…」
梨子「うん………離さない!」ギュゥ 善子「あなたはこのヨハネのリトルデーモンよ、永遠に」 梨子「うん!」 善子「そこには何者にも立ち入る事の出来ない、堕天の契約がなされているのよ!」 梨子「んー………うん、もう堕天でもなんでもいい!」 善子「なんでもって……ふっ、まあいいわ」ギュッ 梨子「善子ちゃん……」 善子「帰りましょう……梨子」
|
- 善子「最後ノート?」
682 :名無しで叶える物語(しか)[sage]:2017/12/07(木) 23:32:28.47 ID:4cENyyvV - 続くー…
|