- 千歌「――私と卓球、しませんか!?」 [無断転載禁止]©2ch.net
1 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:31:22.54 ID:i0UcVMUE - 果南「……本当に大丈夫なの?」
千歌「やってみようよっ! 卓球なら千歌達でも出来そうじゃない!? 長い間やってたしかなり得意だし!」 千歌「スクールアイドル兼、卓球!」 果南「うーん……」 千歌「だってだって! 可能性は二倍なわけだよ! スクールアイドルだけで有名になれるかもしれないけど、スクールアイドル卓球をすればそっちで有名になれるかも……」 千歌「オリンピックを目指すような人達は普通の競技としての卓球をするわけだから、すっごい上級者はいないと思うんだ! ねね、それなら再開してもなんとかなると思わない!?」 果南「まあ……」 果南(半分くらいお遊びの卓球ってこと、かな?) 果南「千歌の言うことが本当なら、まあそうかもしれないけど……」 千歌「よしっ! じゃあ曜ちゃんも誘って来る!!」 果南「え!?」 千歌「――卓球! しに行こうよ!」
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3 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:33:07.64 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
曜「えっと、つまり……スクールアイドルスポーツっていうものがあって……スクールアイドルがスポーツで競う、と。強ければ知名度も上がって、本来のスクールアイドルの順位にも大きく影響する……確かに、可愛い女の子がスポーツをやるっていうのは興行的にも……」 千歌「うんっ! ラブライブとは別の日程で行われるんだっ!」 曜「バスケとかバレーとかテニスバドミントン……メジャー競技は大体あるんだね」 曜「でもなんで卓球……」 千歌「千歌が小さい時からやってたからっ!」 曜「あ……やってたね……」 千歌「曜ちゃんもしよ!! 出来るじゃん!」 曜「い、今更なあ……。高飛びとかないの……? それなら自信あるけど……」 千歌「曜ちゃん上手いじゃん! 新しく 果南「水泳ならあるみたいだよ」 曜「あ、そっちの方が良くない?」
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4 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:34:41.75 ID:i0UcVMUE - 千歌「水泳なら曜ちゃんは別に練習とか必要ないし、大会出るだけで済むでしょ! じゃあそれもしよっ!!」
曜「そ、それも……? 今のスケジュールに卓球の練習まで入れたら死んじゃう……」 果南「そうだよ、やるなら私たちぐらいしか」 千歌「……そ、そうだよね。ごめん……」 千歌「あと、水泳だけど、競泳水着じゃなくって普通の水着だからね」 曜「え」 千歌「全国ネットで普通の水着で泳ぐのが放送されるの。曜ちゃんの鍛え上げられた肉体が――」 曜「……そ、それはなんかやだ……」 曜「と、とりあえず今から卓球するんだよね? ちょっと見てるよ」 梨子「――部室にいないって思ったら、何してるの?」 千歌「あ、梨子ちゃん良いところに!」
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5 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:35:45.54 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
梨子「いいじゃん! ねね、やろうよ梨子ちゃんも!」 梨子「む、むりむりっ卓球なんて出来ないよ!」 千歌「大丈夫できる! やろ、ね?」 梨子「うぅ……」 千歌「よし決定! ね!」 果南「ほら強引に決めない」 千歌「で、でも……じゃあ! ちょっと見ててよ! 楽しいからっ!」 梨子「う、うん……」 千歌「ここの体育館ねえ、卓球部はあるんだけどみんなほとんど来てないから卓球台、使ってもへーきなんだよ」 梨子「そ、そうなんだ……」 梨子(卓球台が一台、周りには……球が飛んでいっちゃわないようにフェンスがいくつか……練習自体はいつでも出来るんだ、恵まれてるなあ……) 千歌「で、卓球をあんまり知らない梨子ちゃんのために解説! これがラケットだよ」 梨子「というかなんで千歌ちゃんは卓球知ってるの……?」 千歌「家に卓球台が二台あるの!」 果南「千歌のお姉さんさ2人とも昔、卓球をしてて、お客様用も兼ねて買っておいてあるんだって」 曜「私も一時期かなりやってたなあ、卓球」 梨子「あぁ……確かにあったかも」
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6 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:36:45.76 ID:i0UcVMUE - 千歌「そうなの〜だからね、果南ちゃんとか曜ちゃんと小さい頃からやってたり、たまに流れでお客さんと卓球することも……」
曜(旅館に泊まったら千歌ちゃんと卓球も出来るんだ……サービスになる……のかな? 一応) 千歌「で、話を戻すと。こっちの片面でしか打てないのが"ペンホルダー"ラケットで、こっちの両面で打てるのが"シェークハンド"ラケット!」 千歌「こっちはシャーペンを持つときの形と持ち方が似てるからペンって呼ばれて、こっちのシェークハンドは、握手するみたいにして握るからシェイクハンドラケット! 簡単でしょ?」 梨子「う、うん……ペン? っていうのしか知らなかった……」 千歌「でもねこっちのシェークっていう方が使ってる人は多いんだって! 志満姉が言ってた!!」 梨子「へえ……」 千歌「とりあえず果南ちゃんと打つとこ見て、次は梨子ちゃんもやってみよ!」 千歌「はい果南ちゃんこれ!」 梨子「果南さんはペンホルダー……」 千歌「私はシェークハンドだよー、志満姉のお下がりだけど!」 千歌「じゃあさっそく……」 果南「うー、久しぶり、できるかなあ……このラケットお遊戯用じゃん」
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7 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:37:55.26 ID:i0UcVMUE - 千歌「競技用の日ペンなんて都合よく持ってません、いくよー!」
カコンカコン 千歌「いいねー!」 果南「まあ、案外いけるみたい!」 梨子「あれ……ふ、普通に打ち合ってる……ピンポンって感じじゃ……」 曜「千歌ちゃんと果南ちゃん、一時期本当にハマっててさー、普通に出来ちゃうレベルなんだよ」 梨子「そ、そうなんだ……経験者みたい」 曜「経験者だから」アハハ 梨子「そ、そうなんだ」 梨子「曜ちゃんも出来るの?」 曜「まあそこそこくらいかな……」 梨子「そうなんだ……あっ」 果南「――あっ……うぅ、やっぱりバックは苦手だなあ」 梨子「ペンホルダーってバック側を打つとき、手首を捻らなくちゃだけど不利じゃないの?」 果南「不利だね」 千歌「だからシェークが多いんだよ」 梨子「なるほど……」 千歌「メリットもあるんだけどね!」 千歌「ということで、梨子ちゃんはどっちがいい!?」
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8 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:38:56.52 ID:i0UcVMUE - 曜「打ちやすい方にしてみたらいいと思うよ」
梨子「じゃあ最初はその、シェークで……」 千歌「はい。じゃあ果南ちゃん、ゆっくり球出ししてね」 果南「おっけー、いくよー」 梨子「え、ちょ……う、打ち方とか……」 千歌「? とりあえずさっき見てた感じでやってみて!」 梨子「え!」 梨子(み、見ただけで真似なんて出来ないよぉ……) カコンッ 梨子(き、きたっ……えと、えとっ……) 梨子「えいっ」スカッ… 曜「あ……」 梨子「ぅ……」 梨子「察しないでよ曜ちゃんっ!」 曜「ご、ごめんっ」 果南「まあまあ、初めてなんだし、もう一回行くよ、球をよーく見てね」 カコンッ ブンッポ-ンッ 梨子「あ……」
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9 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:39:57.52 ID:i0UcVMUE - 千歌「ホームラン!」
梨子「な、なにこれ難しい……」 千歌「じゃあ打ち方を教えるね」 千歌「卓球のフォアハンドラリーはね三角形を意識してやるんだよ。最初は胸の前、次はそのまま右に引いて右手側に、その後斜め上に振り上げて顔の前。胸、右手側、顔、これを繋ぐようにスイングするの。こうやって」ブンブンッ 梨子「三角形……」 千歌「この打ち方なら、フォア面の角度が自然に真っ直ぐか下の方を向くでしょ? だからホームランする確率も下がるんだよ!」 千歌「はいラケット持って! 千歌が後ろから教えてあげる!」ガシッ 梨子「……///」 梨子(千歌ちゃんが私に密着してる///) 千歌「胸、右手側、顔……胸、右手側、顔……そう、こういう感じだよ腕手離すから、自分で続けてみて」 梨子「うん。胸……右手側、顔……」 千歌「そうそう、最初はぎこちないけど、三角形が楕円っぽくなって来て滑かになるからね」 千歌「で、右手側に引いた時に腕だけじゃなくって、腰も右手側にちょっとひねってみて」 千歌「あー違う違う、ここをこうやって」ガシッ 梨子「///」 千歌「ちょっと腰も落として……」 梨子(自然にお尻触られてる……///) 千歌「果南ちゃん球!!!」 果南「は、はいっ」 曜(すごい気合……)
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10 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[sage]:2017/06/22(木) 16:42:23.97 ID:i0UcVMUE - >>2
おそらく前回落ちた時からお世話になってます 今回は落ちる前に書ききれますので。
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11 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[sage]:2017/06/22(木) 16:42:31.30 ID:i0UcVMUE - カコンッ
千歌「球見て! 最初は胸、右手側に引くと同時に腰を捻るっ、そして正面を向きながら顔目掛けて振り上げる!」 梨子「は、はいっ!」 カコンッッ 果南「……おお」 千歌「惜しい……もうちょっとで入ってたよ」 梨子(さっきより全然いい球が出せた……) 千歌「果南ちゃんどんどん出して」 千歌「対角線に打つこと、クロス方向を意識して……打った後は手元じゃなくって、自分が狙っている方向を見て! そうっ!!」 曜「おー、入ったね!」 梨子「遅いけど入った……」 果南「十分十分」 千歌「やったー! すごいよ!」ギュッゥ 梨子「///」 曜「……」 千歌「ちょっと続けてみようか!」
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12 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:43:14.77 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
梨子「三分の一くらいはコートに入るようになってきた……」 千歌「うんっ、次はバックハンドね!」 梨子「うぅ、まだあるんだよね……難しい」 千歌「バックはもっと難しいよー?」 千歌「シェイクバックハンド、フォアと違って身体の前で打球するんだよ」 千歌「フォアの3点打ち、みたいな明確なのは無いから難しいんだけど……ラケットの角度を意識して、身体の正面!」 梨子「そ、それだけ?」 千歌「ちょっとやってみるから見ててね」 カコンッ 千歌「あんまり得意じゃない人は、来た球に対して、ラケットの角度が上を向いてるの。それだとホームランしちゃうからね、こんな風に!」ポ-ンッ 千歌「だから角度は被せ気味か垂直ね! で、こんな風に身体の正面!」カコンッカコンッ 梨子「なるほど……」 千歌「球を迎えに行くんじゃなくって、球を引きつけて十分待ってから打球! 基本だからね!」 千歌「はいっ、やってみて!」 カコンッ 梨子「あ、入った……」 千歌「あれ、バックの方が綺麗……いいね!」 カコンカコンッ 果南「結構いいかも、バックの方が得意なのかもねー」
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13 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:44:02.93 ID:i0UcVMUE - 梨子(ラリーちょっとだけど続く……楽しい……かも?)
果南「じゃあさ、次はペン使ってみよ」 果南(まあ、もう結果は見えてそうだけど) 梨子「うん」 梨子「わ……シェイクと全然違う……」 果南「フォアハンドはシェイクとおんなじで3点を意識してみて」 梨子「こ、こう?」カコンッ 果南「そうそう、いい感じ!」 果南「で、問題はバックなんだけど……」 果南「ペンホルダーは構造上ラバー……この赤いやつね、これが片面にしか貼られていないの。だから片面で打つしか基本的にはできない」 果南「さっきから私がやってたから分かると思うけど手首を捻って、打球しなくちゃいけないんだよね。だから絶対に反応が遅れちゃうの、ここに関しては例外はないよ」 梨子「じゃあなんでペンホルダーなんて存在してるの……?」 千歌「フォアハンドが強いんだよ!」 梨子「フォアハンドが?」 果南「そう、バックを犠牲にする代わりにフォアハンドの威力がシェイクより強いって言われてる。その他にも手首の可動域が広いからサーブの回転がかけやすかったり、台上での処理がやりやすかったり……メリットはあるよ」
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14 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:44:44.83 ID:i0UcVMUE - 梨子「ぜ、全然わからない……!」
果南「あはは、だよね」 千歌「ペンでのバック打って見てよ! やり方は手首を返して、角度を合わせて打球!」 果南「シェイクと違って面を被せるのは難しいから、最初は角度は上向きでゆっくりて大丈夫だからね」 千歌「球行きまーす!」 カコンッ 梨子「っ」カコンッ 梨子「ぅ……む、難しい……」 果南「梨子ちゃんはシェークだね」 千歌「うん」 梨子「そっか、シェークなんだ私」 曜「まあ、ペンは難しいよねー」 梨子「曜ちゃんもシェーク?」 曜「うん」 千歌「よーしっ、じゃあちょっと1ゲーム果南ちゃんとやってみるから……どんな感じなのか見ててね?」
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15 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:45:50.53 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
果南「最初にジャンケンをして、勝ったらレシーブかサーブか選べるの」 千歌「あ、勝った! サーブを選ぶのが有利で一般的ね!」 千歌「じゃあ今回は1セットマッチで!」 果南「11点先取で1セット取れるの」 梨子「じゃあ今回は11点取った方が勝ち?」 千歌「そういうこと! 絶対絶対手加減しないでね!?」 果南「わかってるよ」 千歌「よろしくお願いします!」 千歌「ふー……」カツカツカツ…… 梨子(なんか雰囲気が……) 千歌「ふっ」 キュッッ…ググッッ… 梨子「!?」 果南「!」 果南(下回転サーブ、打てないっ!! ツッツキでっ)
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16 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:47:14.62 ID:i0UcVMUE - 梨子(打ち方が全然違う……! 下からつっくくように……本当に経験者の打ち方って感じ……)
千歌「っぅ!!」キュッッズドンッ!!! 果南「くっ……」ポ-ンッ 果南(バック側にフォアドライブ……) 千歌「よしっ! 1-0!」 梨子(千歌ちゃんの打った球……なにあれ? 下から持ち上げるようにスイングして……台についた瞬間、ボールが一気に推進した……?) 梨子「さっきの、なに……?」 曜「ツッツキと、ドライブだよ」 曜「千歌ちゃんが出したサーブは下回転って言って、バックスピンが、かかってるの。普通に打つとネットミスするんだ。だから果南ちゃんはツッツキって言う下回転を下回転で返す守備的な打法で返したの」 梨子「ツッツキ……」 曜「そ、千歌ちゃんのサーブが短かったからそうするしかなかったね」 曜「ちなみにペンホルダーだとツッツキみたいな台上でする細かい技術がやりやすいの」 曜「まあ今は果南ちゃん久しぶりみたいだったし、ちょっと浮いちゃったけど」
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17 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:49:14.01 ID:i0UcVMUE - 曜「で、千歌ちゃんは果南ちゃんがツッツキで返した球をドライブで返した。ドライブっていうのは卓球で一番使われる技術で、ボールに対して上回転をかける技術なの」
曜「下回転を普通の打球で打つとネットミスになるから、上回転をかけて持ち上げるの。トップスピンがかかった打球は台についた瞬間色んな変化をする」 曜「その代表例が強い前進なんだ。下回転とは逆でラケットに当たった瞬間ポーンって打ち上げやすい。だからとっても攻撃的で、果南ちゃんは打ち上げちゃったんだよ」 梨子「い、一点の間にそんなこと、してたの……?」 曜「やってみるとそんなに考えなくても平気だよ」 梨子「そ、そうなのかな……」 梨子「というか詳しいね……」 曜「私も千歌ちゃんとやってたんだってば」アハハ… 曜「千歌ちゃんが辞めちゃったから――私もやめたけどね」 千歌「ふっ!! やった!」 果南「くっ、また……」 千歌「2-0!」 果南(だめだなぁ……全然足動かない……) 梨子「また……」 曜「3球目攻撃って言ってね、下回転サーブを出して、ツッツかせて、ドライブ攻撃。3球目に攻撃するのは一番代表的な点の取り方なんだよ」 曜「次は果南ちゃんのサーブ、おんなじようなことをするはずだよ」
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19 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:50:50.52 ID:i0UcVMUE - 果南「……」コツコツ
果南(取り敢えず下回転……普通に考えたら私の弱点のバックハンドにボールを集めてくる。短く出せばツッツキで返してくるだろうから、フォアに来ても見てから反応は出来る。やっぱり下回転だね……でもお遊戯用じゃかからないって) 果南「ふっ」キュッ 千歌(下回転!)ツッツキ キュッ 果南(よしっ一応かかった、読み通り……) 千歌(バック側に回り込んだ!! フォアドライブ! フォア、バックどっち!?) 果南「んっ!!」キュパッ!!ズンッッ スパ-ンッッ 千歌「くっ……」 千歌(フォアかあ……速くて触れない……) 果南「よしっ」 梨子「はや……」 曜「ペンのフォアドライブの破壊力は抜群だからね」 梨子(というか2人……こんな特技があったなんて……) 梨子(そういえば千歌ちゃんのプロフィールには特技卓球って書いてあったっけ……) 梨子(特技っていうより、普通に部活やってる人みたい……) 千歌「よしっ5-1!」
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20 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:53:21.57 ID:i0UcVMUE - 梨子「ふたりとも本当に上手い気がする……」
曜「千歌ちゃんの場合、お姉さん2人とも東海大会レベルに強かったんだよ。千歌ちゃんがラケット握ったのは小学生より前の頃からだし……その辺りの卓球部の子よりは全然強いかもね」 曜「果南ちゃんと私もそれに付き合ってたって感じで……あはは」 千歌(球が浮いたっ!! スマッシュで……!!)パコ-ンッ!!!! 果南「っ!!」スッッ 千歌「!?」 千歌(バックの深いところ……そんなところに、回りこめるわけ――) キュパッギュインッ!!! 千歌「!?」 スパ-ンッッ…ギュルルルルルルルルルッッ 千歌「……え」 梨子(フェンスに引っかかってもすごい回転……) 果南「ほ……」 千歌(――な、なに、今の……) 千歌(ラケット、お遊戯用、だよね……?)ゴクッ…
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21 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:54:40.94 ID:i0UcVMUE - 梨子「よ、曜ちゃん今のは……?」
曜「フォアゾーンのネット手前にボールを出して、果南ちゃんが前のめりになってツッツいて球が浮いたところを、千歌ちゃんがバックゾーンの深いところにスマッシュしたの。でも果南ちゃんはすぐに回り込んでクロスに前進回転のドライブ」 梨子「でもなんか……さっきの球と動きだけ凄かった、気が」 曜「うん……そうみたいだね」 果南「いやー……まぐれまぐれ、良かった入って」コツコツ 果南「8-7、サーブどうぞ」 曜「……」 千歌「まぐれでも悔しい! 勝つぞー!!」 千歌「ふっ……」ギュンッッ 果南「くっ……」フワンッ… 千歌(浮いたっ、チャンス!!) 千歌「!!」スパ-ンッヅ 果南「オーバー」 千歌「ぅ」 果南「チャンスは確実に決めないとだよ」 果南「何事も、いつでもチャンスがあるわけじゃないんだからさ」 千歌「わかってるよー!!」
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22 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:56:12.17 ID:i0UcVMUE - ――
千歌「10-8!!」 曜「マッチポイントだね、次千歌ちゃんが取ったら勝つよ」 果南「……」 果南(うーん全然だめだ……) 果南(……下くらいしか普段出さないしなぁ、たまにはアレ、やってみよっかな……)スッ… フッ…キュッッカコンッ 千歌(下回転! 回り込めないくらいバックの深いところにっ……)ツッツキッ 千歌「えっ」ポ-ンッッ 果南(よしっ……狙い通り) 千歌(回転がかかってない……ナックルサーブ……っ!!) 果南(後は、叩き込む、だけ!!)パシ-ンッ!!、 千歌「――っ!? いでっ!!」 果南「ぁ……」 コツコツコ…… 千歌「もう! おでこ狙った!?」 果南「ち、違うってば。久しぶりだから全然入らなくて……あはは」 千歌「むぅ、ま、とにかく11-8で千歌の勝ちー!」エヘヘ 千歌「果南ちゃんにまた勝った!!!」ピョンピョンッ!
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23 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:56:49.99 ID:i0UcVMUE - 千歌「……手加減してないよね?」
果南「してないよ、だめだね最近は」アハハ… 千歌「ということで梨子ちゃん!」 梨子「は、はい」 千歌「どーだった?」 梨子「えと、うん……凄かったと、思う。素人だからよくわからないけど……」 千歌「やりたい!?」 梨子「えっ」 果南「だから強引に勧誘しない、卓球まで付き合わせちゃだめでしょ」 善子「……」コソコソ 梨子「?」 善子「!!」バッッ 果南「どうしたの?」
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24 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:57:25.74 ID:i0UcVMUE - 梨子「う、ううんなんでも……」
善子(た、卓球してる……!!)コソコソ… 善子(ここって卓球部とか活動してないって聞いたけど……) 善子(それに、あっちのポニーテールの人の、さっき一回見せたドライブ……) 善子(うぅ、久しぶりに燃えて来たわ……) 善子「堕天使の寵愛を受ける資格がありそうね……クク……」 善子「はっ……だめだめ」 善子(っていうかあの人たちと知り合いでもなんでもないし……今更卓球なんて……) 善子「……」ソソクサ 梨子「で、でも……ちょっとくらいなら……」 千歌「本当に!? やった!」ギュッ 梨子「い、痛いよ」 曜「……」
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25 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 16:58:01.20 ID:i0UcVMUE - 千歌「じゃあねじゃあね、千歌が教えてあげるねっ!!」
果南「梨子ちゃん、本当に大丈夫?」 梨子「うん、続いた時はちょっと楽しかったし……」 梨子「あ、暑いから離れて……」 千歌「あ、ごめん」 曜「いつやるの?」 千歌「とりあえず暗くなったら体育館に移動して……一時間くらい練習に充てようかなあ?」 果南「一時間も?」 千歌「もっとやりたいけど!」 千歌「みんなも予定あるだろうし……」 果南「まあ、そうだね。それなら曜もできる?」 曜「ま、まあ」 曜(いやーまさか卓球することになるなんて……まあ楽しそうだからいいけど)
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26 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:00:06.97 ID:i0UcVMUE - 、
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27 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:00:24.13 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
旅館 千歌「あ、あのー……お客様、良かったら私と卓球……しませんか?」 千歌「あ! 私は、ここの旅館の三女で……」 志満「ちょっと千歌! 申し訳ありません……妹が」 志満「ほら行くよ」グイ 千歌「ぅ……すみませんでした」 リビング 美渡「はぁ、あんたまたなんかしたの?」 千歌「……卓球したかったの」 美渡「馬鹿じゃないの? お客さんのなんだから、やってない時ならともかくやってる時に割り込むなんて」 千歌「してくれる人もいるもん」 美渡「だからってね」 美渡「あんたみたいに体して可愛くない子じゃなくって、美少女に声かけられるっていうならお客さんも嬉しかったかもね」 千歌「な……なにさ!! いいじゃん別に!! 馬鹿!!」 志満「ちょっと、ふたりとも」 志満「千歌ちゃん……どうして急に卓球なんて」 千歌「ん……えっとね」
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28 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:01:26.93 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
美渡「あはははっ! スクールアイドルに、卓球? もう、冗談うますぎるって」 千歌「もう! なんでそうやっていちいち笑うの!? さいってい!!」 美渡「いくら普通の卓球と違うって言ったって、高校でやめちゃったけどそれまで強かった人はいるわけでしょ、そんなの無理に決まってるってこと、あんたが一番よく分かってるよね?」 千歌「っ……だって」 美渡「どうせすぐ辞めるんだから、やるの、やめておきなよ」 千歌「うるさい!!」 千歌「いいじゃんやってみたって……」 美渡「……」 志満「美渡ちゃん、すぐ酷いこと言わないの」 美渡「……」 志満「千歌ちゃん、確かに卓球ってあんまり疲れるスポーツってわけじゃないし、年齢関係なく誰でも出来る、でも……簡単じゃないってことはわかるよね?」 千歌「うん……」 志満「スクールアイドルだけじゃだめなの?」 千歌「……うん」 美渡「じゃ、少なくとも高校卒業までには私に勝ってみなよ」 千歌「勝つもん……絶対勝つ!!」 美渡「言ったな、そのくらいの言葉には責任持ちなよ」
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29 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:02:10.17 ID:i0UcVMUE - 千歌「うん……」
志満「じゃあ、ラケットも自分の買わなきゃね」 美渡「今志満姉のやつ使ってるんだっけ?」 美渡「千歌の戦型にまるで合ってないじゃんか」 志満「美渡ちゃんのラケットも全然違うしねえ……」 千歌「それも考えとく!!」 志満「うん、今日はもう寝なさい」 千歌「うん……分かった。おやすみ」 ドタドタ 美渡「はぁ、何考えてるんだか」 志満「ちょっと嬉しかった?」 美渡「は? 何言ってんのさ、そんなわけねーし」
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30 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:03:08.58 ID:i0UcVMUE - 志満「千歌ちゃんにも卓球して欲しかったから、小さい頃からやらせてたんでしょ」
美渡「ち、違う」 志満「まあ、いいけど……美渡ちゃんが本気でやれるくらい強くなるといいわね」 美渡「……知らない」 美渡「あ、お姉ちゃん」 志満「ん?」 美渡「今のラバーって、やっぱり進化してるかな?」 志満「んー……私に聞かれても、長い間変えてないし……」 美渡「そりゃそうか……」 志満「やる気になった?」 美渡「あの子になんか負けたくないだけだって」 志満「そっか」 美渡「そうだよ。おやすみ」 志満「おやすみ」
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31 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:04:18.81 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
梨子「……よっ、ふっ」カコンッ… 梨子「わわっ!」ブンッ 千歌「違う違うー! こーやって三角をイメージして……最初は横向きでもいいから……」 梨子「うぅ、壁打ち……難しい」 果南「壁打ちは1人でも出来るレシーブやラリーの基礎固めだからね、同じテンポならとりあえず100回くらいは続かないとだめだよ」 梨子「う、うそ……」 果南「バックは普通に出来てるのにねえ……」 曜「でもさ、初めての壁打ちでバックハンドがあそこまで出来るのはセンスあると思うな」 千歌「ねー、バックの方が最初から得意な人って珍しいよねー」 千歌「でもバックは出来るのにフォアになると空振るの、ちょっと可愛い……」 梨子「う。うぅ……」 千歌「じゃあ台に行こっか」
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32 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:05:04.82 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
曜「そ、今の感じだよ!」 梨子「う、うん!」 曜「今の感じをどこでも出来るように。だから壁打ちはオススメなの」 梨子「曜ちゃんも普通に壁打ちできるの?」 曜「んー、まあね!」 梨子「どのくらいで出来るようになったの?」 曜「うーん……割と短かったような。ていうか壁打ちから入らなかったから」 梨子「……あはは、曜ちゃんってなんでも出来るんだね、すごいや」 曜「全然! 千歌ちゃんには勝てないしねー」 千歌「うーんっ、やっぱりラケットとラバー……換えなきゃだよね」 果南「それカットマン用でしょ? そのまま練習してても変なクセつくだろうし……やめたほうがいいんじゃない?」 千歌「だよねえ……」 梨子「そのラケット……どこか悪いの?」 千歌「あ、ううん……このラケット自体は悪くないんだけど千歌には合ってないし……ラバーは劣化しきってるけどね」 梨子「え、えっと……?」 千歌「あ、ああ……えっとどこから説明すれば」 「――そのラケットはカットマン用、それに、ラバーも守備用の弾まないラバーですわ」
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33 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:06:47.76 ID:i0UcVMUE - 千歌「うげ……ダイヤさん……」
曜「なんでステージに……」 ダイヤ「全く……なにやらスクールアイドルなんて訳のわからないものをし始めたかと思えば……今度は何をしていますの?」 千歌「卓球です!」 ダイヤ「……卓球部にでも入ったの?」 千歌「い、いえそういうわけでは……」 果南「部長さんも使わないって言ってて、使わせてって言ったらいいって言ったからさ」 ダイヤ「なるほど。遊び……にしてはちょっとレベルが高いようでしたが」 果南「千歌も小さい頃から中学上がる時まで沼津の方のクラブに入ってたからね」 ダイヤ「へえ……」 千歌「さっきカットマン用のラケットとか言ってましたけど……ダイヤさんも卓球知っているんですか?」 ダイヤ「まあ多少は……そのラケット、貸していただける?」 千歌「は、はい」 ダイヤ(裏裏……) 梨子「……何が始まるの?」 曜「さ、さあ……」
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34 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:08:06.21 ID:i0UcVMUE - 、
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35 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:09:17.92 ID:i0UcVMUE - 果南「……まだ出来るの?」
ダイヤ「当たり前ですわ! ボールを出して」 カツンッ ダイヤ「ん」パコン カコンカコンッ 千歌「おお、普通にラリーしてる……ダイヤさんも卓球出来るんですね」 ダイヤ「ええ、そこまででは、ありませんけれど」 果南「良かったよ、自分のラケット持ってきてさ」 梨子(ラリーをしながらちょっとずつ後ろに下がってる……?) 曜(この足の動かし方……) ダイヤ「お願いですから、手加減してくださいね」 果南「わかってるよ」 千歌「……!」 果南「っ!」ギュインッ ダイヤ(ドライブ……!!) キュッッ…ガツンッッ 梨子「!?」 千歌「――カットマン……!!!」
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36 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:10:18.24 ID:i0UcVMUE - 果南「ふっ」ギュインッ
ダイヤ「っ」バツンッ 梨子「あの打ち方……なに?」 曜「カットって言ってね、上から下に振り下ろすようにして、ドライブの逆、下回転を掛けて相手に返球する打法だよ」 曜「後ろに下がって相手のドライブやスマッシュを返して返して返し続ける……卓球で一番守備的なスタイルなんだよ」 梨子「すごい……」 梨子(果南さんが打つ速いドライブを、ダイヤさんが打つと一気に遅くなってふわんてして、果南さんのコートまで戻っていく……) 梨子(打っても返して返して……ダイヤさんのところに引き寄せられているみたい……) ダイヤ「っ!!」バツッ…ギュウンッッ!! 果南「!!」 果南(今までのより絶対切れてるっ……それに短い……ツッツキで――)チョン…ズドンッッ 果南「ぁ……」 果南(ネット……) 曜「今みたいにね、強烈な下回転を掛けると、ドライブで攻撃することも出来なくなるの。果南ちゃんはツッツキで合わせようとしたみたいだけれど、それ以上に切れてたみたいだからネットミス。カットマンは相手のミスを誘うの」 梨子「な、なんか……かっこいい」 ダイヤ「わかりましたか? 千歌さんが使っていたこのラケットは私のようなカット主戦型のものなのです」
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37 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:11:14.41 ID:i0UcVMUE - ダイヤ「梨子さん、あなたのそのラケットと比べると……大きくて少し薄いでしょう?」
梨子「本当だ……」 ダイヤ「これは大きい方が当てやすく、薄い方が弾みが抑えられてオーバーミスが防げるためにこのような作りになっていますの。 ダイヤ「それに、ラケットは本来木で出来ていてこの赤と黒のゴムの部分、ラバーは別売りなんですの、ご存知でしたか?」 梨子「え!? で、でも普通に最初から付いて売ってるような」 曜「それはおもちゃみたいなやつだよ、競技用はラバーとラケットは別売りなの」 梨子「そ、そうだったんだ……」 果南「ラバーって意外と高いんだよ、片面8000円するのだってあるし。半年もしたらボロボロだしね、だから最低でも二、三ヶ月に一度くらいは替えないと」 梨子「け、結構お金かかるんだね……」 ダイヤ「ラケットとラバーは奥が深いので、調べてみると面白いと思いますわ」 梨子「は、はいっ」 ダイヤ「ありがとうございました千歌さん」 千歌「……」 ダイヤ「……?」 千歌「やりましょう……一緒に卓球、しましょうよ!!!」 ダイヤ「……は?」 千歌「やっぱりチームに1人はカットマンが欲しいんです! ダイヤさん、みた感じすっごく上手いですし、お願いしますっ!!」 ダイヤ「お断りしますわ」
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38 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:11:52.97 ID:i0UcVMUE - 千歌「えー!!」
ダイヤ「そんなに暇じゃありませんの、悪いですけれど、他を当たって」 千歌「そんな簡単にカットマンなんて見つからないですよー!!」ギュッ 千歌「ね、お願いします! 私が勝ちたい人の1人にカットマンがいるんです!! だから練習しないと……カット、打たせてくださいっ!!」キラキラ ダイヤ「だから、忙しいと……」 千歌「そこをなんとか!!」 果南「千歌」 千歌「だ、だって……」 ダイヤ「……」 千歌「ごめんなさい……」シュン… ダイヤ「邪魔はしませんから……応援していますわ」スタスタ 千歌「あ、あのっ!」 千歌「考え直してくれたら、いつでも言ってください! 待ってますから!」 千歌「はぁ……」 果南「仕方ないよ、いつも忙しそうだし」
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39 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:12:46.72 ID:i0UcVMUE - 千歌「そうだよねえ……」
果南「ダイヤも私と一緒でさ、おんなじ公民館で中学までやってたんだよ」 果南「高校に上がってからは私もあの子もやめちゃったんだけどね」 千歌「そうだったんだ……でもなんとか出来ないかな……」 果南「どうだろうね……家の都合だし」 千歌「はぁ……」 梨子「あの人がやってた打ち方、珍しいの?」 千歌「うん……かなり難しいし、それなら普通にドライブとかを練習した方が勝ちやすいから……」 千歌「だから上手いカットマンなんてなかなか見つからないの」 果南「卓球の強豪校なんかだと、練習台のためだけにカットマン転向させられる人もいたりするんだよ」 梨子「そう、なんだ……」 千歌「はぁ……いいと思ったのになぁ……ダイヤさんなら可愛いし」 果南「……どういう意味?」 千歌「どういう意味って……スクールアイドル卓球なんだから……可愛い方がいいに決まってるでしょ?」
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40 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:13:50.76 ID:i0UcVMUE - 果南「大会に出させるつもりだったの?」
千歌「うん! Aqoursにも入って貰って!」 曜「あ、あはは……」 果南「さ、流石に無理でしょ……」 千歌「そうかな……」 善子「……」コソコソ 善子(さっきの人、カットマン……? なにここ、カットマンまでいるの?)ウズウズ… 花丸「――善子ちゃん?」 善子「ひっ、びっくりさせないでよ!」 花丸「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃ」 花丸「何してるの? 最近よく体育館見てるけど……」 花丸「――卓球……?」 善子「べ、別になんでもないってば、あとヨハネね」 花丸「卓球かぁ……マルもちょっとやってたよ」
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41 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:14:20.42 ID:i0UcVMUE - 善子「え!?」
善子「部活入ってたの!?」 花丸「あ、部活じゃなくって……内浦にある近所の公民館で……ルビィちゃんもそこで」 善子「な、なによあの子も卓球してたの!? なんで言ってくれないのよ!」 花丸「え、ええ……? だって……言う機会もなかったっていうか……」 善子「ま、まあそうよね……」 花丸「卓球やりたいの? ちょっとなら教えられると思うけど……」 善子「クックックッ……残念だったわね花丸……これでも私、卓球には自信があるのよ……!!」 花丸「そ、そうなの?」 善子「今度ルビィも連れて市民体育館に行くわよ!!」 花丸「え、あ……うん!」
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42 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:16:24.58 ID:i0UcVMUE - 、
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43 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:16:40.84 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
週末 卓球ショップ 千歌「んー……何がいいかなあ……」 果南「まずはラケットからだね」 梨子「色々あるんだね……本当だ、ラケットは木だけだ、これがラバー?」 果南「そ、でもやっぱり沼津は田舎だし品揃えはあんまり、かな?。専門店があるだけマシなんだけどね……」 曜「わかるっ! 欲しいのなかったりするよね!」 梨子「確かに……卓球のスペースは小さいかも……」 果南「いっぱいメーカーもあって、それだけラケットやラバーもあるから、全部は置けないんだよ。ラバーだけでも種類に加えて、厚さも五段階くらいあるからね」 梨子「そ、そんなに……」 千歌「ここはね、クラブもあってね、千歌はここで昔卓球してたんだよー!」 梨子「へえ、そうなんだ」 果南「千歌は道具とか適当だったよね」 千歌「うん、大雑把にしか知らない!」 千歌「ちゃんとした方がいいのかなあって……」 カランコロン…
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44 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:17:33.05 ID:i0UcVMUE - 千歌「……!!」
ダイヤ「――え」 果南「ダイヤ……?」 ダイヤ「な、なっ……どうしてここにっ!!」 果南「いやこっちのセリフ……」 千歌「……わかった! ダイヤさんも卓球したいんですよね!」ギュッ 千歌「ね!!」キラキラ ダイヤ「そ、そういう、わけでは……」/// ダイヤ「その……久しぶりに趣味で、やる程度ならと思いまして……ラケットを取り出してみたら、ラバーが劣化していたので、見に来ただけですわ」 果南「そうだ……ダイヤは用具に詳しい方だし、千歌と梨子ちゃんにアドバイスしてあげてよ」 ダイヤ「そうは言われても……わたくしは千歌さんのプレイをあまり見たことがありませんし……」 千歌「……じゃあ卓球しましょ、ダイヤさん!」 ダイヤ「ぅ……そ、そうなりますのね」 千歌「お願いしますダイヤさんっ!!」 ダイヤ「わ、わかりましたわ……少しですわよ」 千歌「やたー!!」 果南「こら、お店の中で騒がない」
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45 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:18:26.05 ID:i0UcVMUE - 千歌「はい……」
ダイヤ「で、梨子さんのもの、でしたっけ」 梨子「お、お願いします」 ダイヤ「梨子さんは初心者……よね?」 梨子「はい」 ダイヤ「まずラケットから、初心者の方は基本的には木材のラケットをオススメされると思いますわ」 梨子「木材……鉄のラケットもあるんですか?」 千歌「ぷっ……」 果南「こら」 千歌「だ、だって、て、鉄……振れないってば」クククッ 梨子「ぅぅ」//// ダイヤ「木材の中にカーボンなど弾みが良いものが挟まれているラケットがあるんですの。重さ等はそこまで変わらずに、強い弾みが得られるのでトップ選手や実力がある方に好まれていますわ。それを"特殊素材ラケット"、というのです」 梨子「な、なるほど……」 ダイヤ「特殊素材ラケットは打球感が硬くなるので、コントロールが難しくなるの。だから初心者の梨子さんには、オススメできるとは言えませんわね」 ダイヤ「木材ラケットならば打球感が柔らかいものが多くて、手に掴むような感覚を得られるものもありますの。だからまずはそこから慣れるのがいいと思いますわ」 梨子「こっちが木材……こっちが、特殊素材……?」 ダイヤ「特殊素材ラケットは値段も割高なので、その面でも木材がオススメですわ」 梨子「でも、木材でもいっぱいあるんですね……」 果南「正直、最初は使いやすいって言われてるのから、フィーリングで選んでもいいと思うんだよねー。慣れて来たら自分がラケットに求めるものがわかってくるし」
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46 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:20:41.18 ID:i0UcVMUE - 千歌「でもでも! 千歌はわかんないよ?」
果南「それは考えてないからでしょ」 千歌「考えます……」 ダイヤ「あなたは大丈夫なんですの?」 曜「私? 私は卓球の練習に出てるだけで大会出る気はないんだー」 ダイヤ「なるほど」 千歌「曜ちゃんにこれ以上迷惑かけられないからさ」エヘヘ 曜「……」 千歌「ダイヤさん今ラケット持ってますか!?」 ダイヤ「え……持ってます、けど……」 千歌「――市民体育館に行きましょ! 今から!!」
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47 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:21:21.35 ID:i0UcVMUE - ◇――――◇
市民体育館 善子「堕天使ヨハネが罪を与えるっ!」 花丸「ひゃっ……」ポ-ンッ 花丸(スマッシュ……じゃないっ) 善子「っ……鎮魂の魔宴(サバトレクイエム)13式……」グググッッ…ブツブツ 善子「――"失楽園"!!」 ピョンッ…キュパッ…ッッ 花丸「!!」 ギュォォンッ…コツンッ…ビュンッッ 花丸「ぅ」ピョ-ン…… 花丸(なにこれ……やっぱり、すごい球……こんなの見たことないっ……!!) ルビィ「11-3で善子ちゃんの勝ち、お疲れ様」 ルビィ「す、すごい……」 花丸「未来ずら……」 善子「未来って何よ、私はどっちかっていうとクラシックスタイルよ!」 花丸「そ、そうなの?」 善子「多分! そう言われてた!」
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48 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:22:24.82 ID:i0UcVMUE - ルビィ「善子ちゃん……そんなに強いのにどうして卓球部に入ってないの?」
善子「だって活動してないじゃない」 花丸「まあ、そうだよね。クラブで続けてればよかったんじゃ……」 善子「……」 善子「目標に向かって全力でするー! とか、なんかクールなヨハネっぽくないでしょ! それだけ!」 ルビィ「そんなに強いのに……勿体無い……」 善子「勿体無くなんかないわ――強い人なんて幾らでもいるしね」 花丸「……」 善子「それより私が驚いたのは! 花丸、あなたが想像以上にまともに卓球経験者してるってこと!! ルビィもだけど!」 花丸「本当? そうかな」エヘヘ 善子「2人の戦型は中々嫌いだけど……」 花丸「よく言われるずら……」 ルビィ「ね」 ルビィ「でも善子ちゃん全然こういうの、効かないんだもん」 善子「対策されちゃうとね、どうしても苦くなるわよねあなた達の闘い方は」 善子「それにしても、偶然ね3人とも卓球が出来るなんて」 花丸「ねー、善子ちゃんがこんなにやってると思わなかったもん」
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49 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:23:11.73 ID:i0UcVMUE - 花丸「えーと、最近体育館で卓球してる人達いるよね、その人達に声かけて見たら?」
善子「べ、別にいいってば!」 花丸「千歌さんて人、スクールアイドルしてる人だよね? なんで卓球もしてるんだろう……」 花丸「ルビィちゃんもスクールアイドルしたいんだし、善子ちゃんは卓球がしたい……ちょうどいいずら!」 ルビィ「で、でもルビィはおねえちゃんが……」 千歌「――わ、空いてる空いてるー!!」 ダイヤ「引っ張らないでくださいっ」 ルビィ「――お、おねえちゃんっ!?」 ダイヤ「え……ルビィ! ど、どうして」 花丸「お久しぶりです、ずら!」 ダイヤ「花丸さん!」 果南「おー、卓球してるの? まだ続けてたんだ?」
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50 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:23:55.93 ID:i0UcVMUE - 、
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52 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:25:01.37 ID:i0UcVMUE - 花丸「えへへ、一応……」
千歌「花丸ちゃんにルビィちゃん!! なんで卓球やってるの!?」 花丸「こっちの善子ちゃんが……」 曜「およ……善子ちゃんだ」 善子「ヨハネよ!」 ダイヤ「……善子?」 千歌「善子……」 善子「ヨハネ!」 ダイヤ「津島!」 千歌「善子ちゃん!?」 善子「え、え……?」 梨子「……」キョロキョロ… 梨子(わ、わたし、置いてかれてる……)
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53 :名無しで叶える物語(おにぎり)@無断転載は禁止[]:2017/06/22(木) 17:25:20.69 ID:i0UcVMUE - >>51
ほとんど全て網羅するつもりです。
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