- 希「最低で最高のヴィーナスの誕生」【SS】 [無断転載禁止]©2ch.net
123 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:49:27.03 ID:zHddF/18 - 凛「……うるさいな。優等生ぶっちゃってさ」
自分でも驚いた。まさかこんなどす黒い感情が……あることじゃない。表に出てしまうほど膨れてしまったこと。 そして一度あふれだしたら、もう止まらないこと。 真姫「な、なによ、みんなが当たり前にやってることもできないくせに。非行でしか自己表現できないの?」 凛「みんなと同じことしかできないとか気持ち悪いんだよ!」 真姫「はっ。なにその低次元な言いわけ。高校生にもなって恥ずかしくないの……いや、高校生くらいなら“よくあること”かしら」 凛「知らない人と一括りしないでよ!」 真姫「するわよ。それとも自分は特別だとでも? そんな傲慢な思い込みはテストで一〇〇点取ってからにしてよね」 凛「一〇〇点が特別って偏った価値観だなぁ!」
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124 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:49:58.59 ID:zHddF/18 - 真姫「なんですって! あなた尾崎豊聞きすぎで頭おかしくなったんじゃないの」
凛「西木野さんこそ髪の毛ぐるぐるすぎてクルクルパーなんじゃないの!」 真姫「今クセっ毛関係ないでしょー!」 凛「尾崎豊のほうが関係ないじゃん!」 真姫「それは……っ! それは……確かに」 凛「はい凛の勝ちー。西木野さんの負けー」 真姫「ていうかそもそもあなたに関係ないじゃない、私たちアイドル部のことは」 凛「は――――関係ない? 凛が関係ない……ねえ、かよちんもそう思ってるの?」 花陽「え……それは……」 真姫「花陽を巻き込まないでよ」 凛「凛はかよちんに用があったんだよ」 真姫「なによ用って」 凛「それは、えっと」 真姫「ほら、さっさと用事済ませちゃって」 凛「…………」
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125 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:53:25.20 ID:zHddF/18 - 完全に返す言葉を失った。
だって用事なんて、声をかけたいから……くらいだった。 凛を強気にしていた何かがすぅ、と失せていく。目の前の目つきの悪い女の子が急に怖くなってきた。 どうしよう……気を張ってないと体のどこかが震えだしそう……もう凛ができることは、虚勢を張ることくらいだ。 このまま黙って……黙って、逃げる……? そんなの悔しすぎる。黙って突っ立ってる? みっともなさすぎる……。 思いあぐねていると、奥からまた見覚えのある人が出てきた。 絵里「はいはい、そこまでよ」 真姫「エリー……」 絵里「黙って聞いてようかとも思ったけどね、二人とも度が過ぎるんじゃないかしら」 この金髪……! 集会で見たことある。生徒会長だ。 生徒会長ということは頭が良くて、優等生だ。優等生だということは凛みたいなのを見下してるに違いない。見下しているということは……つまり凛の敵だ。
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126 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:54:30.43 ID:zHddF/18 - 絵里「私たち、今アイドルの勉強をしてたの。“部活動”でね。これ以上邪魔するのはよしてくれないかしら」
凛「凛は……別に邪魔なんて……」 絵里「結果的にしてるのよ。あなたは何? 下校中って風じゃないけど」 凛「…………」 絵里「先生たちも頭を抱えていたわよ。このままじゃ単位を落とすって。あなたのためにも、その辺にして置いたら?」 凛「関係ないじゃん……かんけーないじゃん!」 勝ち負けとかどうでもいい。とにかくここにいたくない。イヤな気持ちになる。 凛は出口に向かった。 花陽「り、凛ちゃん……たまにはちゃんと学校きてね」 聞こえないふりして、二度と振り返らなかった。 *
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127 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:55:06.71 ID:zHddF/18 - *
凛「ってことがあってさー! 頭きちゃったほんと」 にこ「大変だったねー」 凛「にこちゃんはどう思う……ていうかにこちゃんは何してるの? 部活とかいいの」 にこ「ニコは……大丈夫」 凛「だよねえ。大丈夫だよ。みんな将来とか、夢とか、よくわかんない話してさ。凛には理解不能だね」 にこ「夢は……」 凛「うん?」 にこ「夢ならあるニコ。部活は……なかなか練習場所が空かなくて、苦肉の策実施中なんだけどね」
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128 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:55:50.95 ID:zHddF/18 - 凛「ちょっと待ってよ、にこちゃんも部活やってるの? なんか……熱中してるの」
にこ「うん。ニコはスクールアイドルになるのよ。大人気のね」 凛「…………」 にこ「凛ちゃんのことは好きだし、大切なファンだけど……人の夢は、けなしちゃダメだよ」 凛「なんだよ、なんで……なにが……そんなにいいの? アイドルとか、歌とか踊りとか……」 にこ「そんなの決まってるニコ。楽しいから」 凛「楽しい? どこが」 にこ「そうだよ。楽しい。例えば……自分のダンスに、誰かが釘付けになってくれたとき……とか」 凛「あ……」 にこ「ファンになってくれる子がいたりとか、頑張ってくださいって言われたら嬉しいし」 凛「そんなの自己満足じゃん……」 にこ「誰かが満足しているのをみて、満足する。それってすばらしいことじゃない」 凛「凛にはできないよ……満足してる人……充実してる人……楽しそうな人……見てると苦しくなる」 にこ「凛ちゃん……」
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129 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:57:22.82 ID:zHddF/18 - そのとき初めてにこちゃんの“笑顔”以外の表情を見た。
怒りも、悲しみも笑顔で上乗りできるにこちゃんは、凛をただただ“無表情”で見つめていた。 にこ「前から思ってて……口にはしなかったんだけど、もしかして学校行ってないの?」 凛「……登校は、してるよ。最後までいないだけ」 にこ「ダメだよ」 凛「そんなの、にこちゃんだって……」 にこ「ニコは、だって……通信制だもの」 凛「え……通信……?」 にこ「こんな時期の編入だったからいろいろ条件があったの。あとは学費が……それはいっか。とにかくスクーリングは月に数回しかないの。だからこうして、平日の昼でもあなたに会えるのよ」 凛「でも結局、遊んでるんじゃん!」 にこ「最近は、練習もバイトもない時間はだいたい凛ちゃんと会ってる。――あのね、これは誰にも秘密なんだけど、実は私あそこのゲームセンターでバイトしてるの」 凛「バイトを? いつ?」 にこ「あのダンスゲームも、本当は集客のためにやってるの。そういうバイト。誰にも言えないから、練習も兼ねてってことにしてるの……あんなので上達するわけないのにね」 凛「なんだよ……にこちゃんは仲間だと思ってたのに……凛ばっかり、凛だけ……何もない」
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130 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 15:58:00.04 ID:zHddF/18 - にこ「凛ちゃん……」
凛「はっ、もういいよ。“ファンサービス”なんでしょ! にこちゃんなんかもういい! 二度と……あっちいけぇ!」 にこ「……」 凛「こんな凛を内心笑ってたんでしょ!」 にこ「………」 凛「ばかにしてたんでしょ!」 にこ「…………」 凛「しかたなく付き合ってたんでしょ!」 にこ「……………」 凛「もういいんだよ! あっちいけ!」 にこ「いかないよ」
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131 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 16:00:05.75 ID:zHddF/18 - 凛「あっちいけ! あっちいけあっちいけあっちいけ!」
にこ「いかないよ」 凛「あっちいけ、あっちいけ、あっちいけ……いけ……よぉ……」 にこ「いかない。笑ってもいないし、ばかにもしてないし、しかたなく付き合ってもいない」 凛「あっち……いけぇ……うぅ……」 にこ「こんなこと思っても……普段は絶対認めないんだけど……“私”は凛ちゃんと一緒にいたいから一緒にいるのよ」 凛「う、あ、あ、あ、あ」 我ながら不気味な声だと思った。 こういう泣き方をするのは初めてだった。 かよちんに言われたこと。にこちゃんに言われたこと。西木野さんに言われたこと。生徒会長に言われたこと。 ごちゃごちゃになって、今まで目をそらしていたものが浮き彫りになるようだった。
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132 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 16:00:36.75 ID:zHddF/18 - 凛「凛だって……一緒にいたかったよぉ……ずっと一緒がよかったよぉ……“かよちん”がいないと、凛なんにもやる気しないよ、なんにもできないよぉ……」
にこ「かよちん……?」 凛「かよちん……会いたいよ、お話ししたいよ、声が聴きたいよ、笑いかけて欲しいよ、手を握って欲しいよ……ずっとずっとずっと一緒に居たかったよ……」 かよちん、かよちん、かよちん……かよちん。突然頭の中がかよちんとの記憶でいっぱいになる。 かよちんでいっぱいになって、溢れて、残ったのは……。 『り、凛ちゃん……たまにはちゃんと学校きてね』 その言葉が冷水のように凛を冷ます。 ――ああ。何癇癪起こしてるんだろう。何で泣きわめいてるんだろう。 凛「…………もう遅いよ」
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133 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 16:01:34.18 ID:zHddF/18 - 凛「…………もう遅いよ」
にこ「遅くないよ」 凛「でも……」 にこ「あなた私と違ってまだ高校一年生でしょ、時間はあるでしょ、やるべきこともわかっているんでしょ?」 凛「わからないよ……かよちんはもうスクールアイドルで忙しいんだから……」 にこ「だったら簡単じゃない! あなたも始めなさいよ!」 凛「え!?」 にこ「凛ちゃんもスクールアイドルになればいいじゃない」 ……考えたこともなかった。そんな方法があったのか。
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134 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 16:03:11.78 ID:zHddF/18 - 凛「でも、凛にはアイドルなんて無理だよ」
にこ「無理でもできなくてもやるのよ、その人と一緒にいたいんでしょ。なら即行動! あなたは私みたいになっちゃダメっ!」 凛「でも、でも……」 にこ「だったら私が教えてやるわよ! ……こほん、“ニコ”が教えてあげるニコ。“アイドルのなり方”!」 凛「アイドルに……? 凛が……?」 にこ「うん……うん! いいのよ。それをあなたが望むなら……ニコはその“かよちん”ってのと正々堂々正面から戦って勝ち取るだけなんだから」 凛「どうしてにこちゃんとかよちんが戦うの?」 にこ「わからないならいいニコ。とにかくニコは、凛ちゃんのほうからお願いしてくるなら、協力するニコ」 にこちゃんの言ってることは難しくてわからなかったけど、とりあえず凛がまたかよちんと仲良くなれるように応援してくれるんだということはわかった。 涙を拭いて、立ち上がる。 凛「うん――にこちゃん、力を貸して」 ******
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136 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:10:35.22 ID:zHddF/18 - ******
Side ? ****** ある校舎の階段。一人の少女が上の階へ昇る。 そこには少女のよく知る、大物が待ち構えていた。 ツバサ「こんにちは。矢澤にこさん」 にこ「あ……ツバサ、さん」 ツバサ「どう、励んでる?」 にこ「ええ……まあ」 ツバサ「あなたならきっとすごいアイドルになれる」 にこ「ありがとう」
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137 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:11:10.75 ID:zHddF/18 - ツバサ「そう思ったから、私が上に掛け合った……というのに、どうしたというのかしら。編入当初の覇気? 野心? が全く感じられないんだけど」
にこ「そんなことは……」 ツバサ「心配しなくても、三年生の三月までは誰でも平等にスクールアイドルになれるのよ」 にこ「ええ」 ツバサ「それとももう怖気づいちゃったのかしら。ほら、だってあなたは『音ノ木にいるから大成できなかった』『UTXに行っていれば人気スクールアイドルになれていた』んですもの」 にこ「…………そうよ」 ツバサ「ねえ……次の言いわけは考えてあるの」 にこ「ない! あるわけない。私はまだ……」 ツバサ「そうよね。諦めているはずがない。ここにいるのが何よりの証拠」 にこ「そうよ私……ニコは必ずトップスクールアイドルになる……ニコ!」 擦れたように見えて、矢澤にこはまだ矢澤にこのままだった。 ――というか矢澤にこは割と元から結構擦れている。
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138 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:11:45.96 ID:zHddF/18 - 『トップスクールアイドルになる』。
その夢だけを追いかけて、音ノ木坂からUTXへと編入を果たした矢澤にこ。 今はそれ以外、なにもいらない。なにも求めない。なにも考えない。 自分すら完全に客観視し、“矢澤にこ”を決して一人称で語らない。 一歩進むたび、矢澤にこと現トップスクールアイドル綺羅ツバサの距離は縮まる。 一歩昇るたび、同じ高さに近づく。 矢澤にこは綺羅ツバサを一瞥すると、そのまま階段を昇っていった。 ツバサ「これだけ発破をかけてもダメだったら……その時は少し考えないとね」 *
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139 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:12:19.54 ID:zHddF/18 - *
放課後。今日も矢澤にこの練習スペースはない。 この学校には無数のスクールアイドルが在籍している。地位を築いているユニット以外は、週に一度練習場所が与えられればいいほうなのだ。 地位はおろか、他にメンバーさえいない一人の生徒が特別扱いされることはない。 また一人、小さな空き地や空いている公園を探す。 不満はない。いつか必ず自分を見てくれる人が現れると信じている。 今まではスタートラインにすら立てなかったんだ。これくらいの逆境、今更なんでもない。 矢澤にこはいつか必ず報われると信じ、歯を食いしばって腕を必要以上に振って歩く。 ……そんなときだったのだ。矢澤にこが星空凛と出会ったのは。 心が晴れるようだった。 思った通り、自分を見てくれている人はいるんだ! 自分の決断は間違っていなかったんだ!
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140 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:12:50.15 ID:zHddF/18 - ……だから、星空凛の口からかつて自分が通っていた高校の名前が出た時は心底驚いた。
“音ノ木坂学院” 。 自分から離れた場所だけに、未練なんてものはなかったが、はやり名前を聞けば当時を思い出す。……あれから、どれだけの月日が経っただろうか。 こんなところにいたら無駄に時間を浪費するだけだ。そう思った矢澤にこはまず、“理事長の娘”である当時一年生の“ある少女”を探した。 こんなこともあろうかと顔を合わせれば挨拶を交わす程度の顔見知りにはなっておいた。 本当は実力で行きたかったから、これは最後の手段だった。 その少女と仲良くなるのに、時間はかからなかった。純粋にとてもいい子だった。 いつしか一緒に服を見に行ったり、毎日のように雑誌の話をするようになった。 そんなある日。矢澤にこがその少女に自身の境遇を告げると、その少女――“南ことり”は自分からこう言い出した。 『お母さんに、相談してみるよ』 心優しい少女だった。きっと本心から友達の力になりたいと思ったのだろう――そのために友達になったのだとも知らないで。 あるいは、知っていたとしても南ことりならそうしただろうか。
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141 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:13:28.54 ID:zHddF/18 - どちらにせよ、矢澤にこが彼女の働いているメイド喫茶を行きつけにしているのは、その密かな“罪滅ぼし”である。
――もう少し記憶を遡る。 矢澤にこはなぜ、UTXへの編入を決心したのだったか。 あれはたしか、気まぐれに応募した学校主催の美術館研修のときだった――。 館員『こちらが今開催中の展覧会の目玉“ヴィーナスの誕生”です。日本では今しか見られない貴重なものです』 ギリシャ神話……ヴィーナス。その誕生を描いたであろう絵画はあまりに有名で、芸術に興味のない矢澤にこでさえ、みた瞬間『ああこれか』と思った。 大きな貝殻と、その上の裸の女性。 まあ、なんだ。すごい絵よね。矢澤にこはそう思った。 隣にはほとんど話したこともないクラスメイトがいて……矢澤にことは対照的に本当に感動しているようだった。
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142 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:13:57.62 ID:zHddF/18 - 『これが、女神(ヴィーナス)の誕生……すごいなぁ』
にこ『あなた、こういうの詳しいの?』 『え、ええと……うん。ギリシャ神話とか……知ってる?』 にこ『ああ、神話が好きニコね』 『うん……矢澤さんは、なにが好きなの』 にこ『ニコ? ニコは……アイドル好きニコ』 『やっぱりそうなんだ。あのね、アイドルも女神も、きっと似てるよ』 にこ『え?』 『な……なれるといいね! アイドル!』 にこ『……なれるかな』 『なれるようにおまじないしてあげる』
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143 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:16:02.54 ID:zHddF/18 - 電波入ってんなぁ……でも……そうか。そうだったのね。
そうだ。すべてはあの子との何気ない会話から始まったんだった。 なぜだか“私”は、あの言葉に……強く後押しされた。 『あなたに女神ミューズの加護がありますように』 思い出した。あの顔……あれが…… “東條希”だった。 にこ「そういえばアイツ……やっぱり関西弁じゃなかったじゃない」 ******
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144 :@無断転載は禁止[]:2016/05/14(土) 19:16:44.92 ID:zHddF/18 - 今回はここまでです。
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