- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
1 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:18:06.56 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「平民の猿を連れて歩かなければならなくなるなんて」ハァ
俺(なんで俺が、こんな目に……) 令嬢「うっ」ヨロッ 俺「し、失礼いたします!」バッ 俺「大丈夫でございますか!」 令嬢「……なぜ、石のある上を歩かせたのかしら?」ギロッ 俺「えっ、し、しかし、外ですし、そういうことも……」 令嬢「……」スッ 俺「て、鉄杖……?」 ガツッ、ドゴッ 俺「うぶっ!」 俺「お、お辞めください!」 令嬢「私は、公爵家の長女よ! 私の身体に傷でもつけたら、貴方はどう償うつもりだったのかしら!」ドゴッ、ドガッ 令嬢「貧民の老婆の手でも引いているつもりだったのかしら!」 令嬢「次やったら殺してやるわ!」 俺(こ、このままだと殺される……)ハァハァ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
2 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:18:25.63 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」 令嬢「口許まで運んで頂戴」 俺「そ、それもですか」 令嬢「…………」イラッ 俺「い、いえ! なんでもありません!」 俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ 俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな) 俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……) 令嬢「早くしなさい!」 俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
3 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:18:34.63 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」 令嬢「口許まで運んで頂戴」 俺「そ、それもですか」 令嬢「…………」イラッ 俺「い、いえ! なんでもありません!」 俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ 俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな) 俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……) 令嬢「早くしなさい!」 俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
7 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:20:23.22 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「大丈夫ですか、俺さん? こんな、怪我だらけで……」
俺「気を遣ってくれてありがとうございます」 俺「これくらい平気ですよ」ハハハ メイド「食事の時間以外令嬢様に付きっきりなのに、令嬢様の横暴で食事もまともに取れずに殴られっぱなしなんて……」 俺「……」 メイド「……大変でしょう。令嬢様は、サマエルと使用人の間で呼ばれているのですよ」 俺「それって、えっと……死の天使でしたっけ」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
8 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:20:33.35 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「そうです。サマエルは、その罪によってモーセに目を潰されたのですよ」クスッ
俺「……聞かれるとまずいですよ」 メイド「このくらい、皆口にしていますよ」 メイド「それに、あの性格ですから。親族も令嬢様を遠ざけていますし、咎めて騒ぐ人はいませんよ」 俺「そんなものですか……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
9 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:20:43.45 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「あまりご一緒できる時間はありませんが……俺さんは丁寧で大人しくて、いい人ですね」ニコッ
俺「はは、あまり人馴れしていないだけですよ。田舎から出てきたもので」 メイド「またお時間合いましたら、お話しましょう」 俺「ええ、また……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
11 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:21:07.38 ID:1Gjk3aDG0 - ドンッ、ドンッ
令嬢「遅い! 食事くらい、すぐに済ませなさい!」 俺「は、はい、すぐに!」 メイド「大変ですね」 メイド「妹様は、私達使用人にも優しく接してくださる、いいお方なのですが……」 俺「では、いつかまた」ドタドタ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
12 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:21:23.15 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「呼べばすぐ来るのね」フンッ
俺「さ、さぼっていたわけではありません」 俺「その、急いできただけで……」 令嬢「…………」スッ 俺「ひっ!」 令嬢「……まぁ、よいわ。今回は見逃してあげる」 俺(た、助かった……)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
13 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:21:46.83 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「私は光を失ったけれど、その代わり、耳はとてもいいの」
俺「えっ……」 令嬢「つまらない嘘は吐かないことね」 俺「…………」ゾオッ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
14 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:22:05.30 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「早く着替えさせて頂戴」
俺「……は、はい」ゴクッ スルスル 俺(陰口でも天使と叩かれるだけのことはある……綺麗だ) 俺(人の手を借りないと生きていけないから割り切ってるのかもしれないが……それでも、普通男にはさせないだろ) 俺(本当……俺達平民のことなんて、道具としか見てないんだな) 俺(…………)ソオッ 令嬢「早くしなさい。殺すわよ」 俺「ただっ、ただちに!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
18 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:22:30.06 ID:1Gjk3aDG0 - 俺「……こ、この位置で大丈夫でしょうか?」ソッ
令嬢「本当に中央なのでしょうね」 俺「……少し動かしますね」 令嬢「………」チッ 俺「ひっ!」ビクッ 俺「これで、毛布を被せて……終わりました。今日もお疲れ様でございました」 令嬢「…………」 俺(ぺっ、労いの言葉もなしかよ)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
19 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:23:40.12 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(これで六時間開放される……)フウ
俺(令嬢様が起きる一時間前から横にいろって、どう考えてもおかしいよなあ)ハァ メイド「俺さん、お勤めごくろうさまです」ニコッ 俺「メ、メイドさん! どうも……」 メイド「実は、俺さんとお話をしたいとおっしゃっている方がいまして。来てもらえませんか?」 俺「そ、そうなんですか? しかし、睡眠時間がその……」ハハ メイド「妹様です」 俺「え、えっ!?」 メイド「いつも、一時間早いのでしょう? そちらの件も、妹様から許可を出していただけるかと」 俺「わ、わかりました。しかし、なんで俺なんかを……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
21 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:23:53.83 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「ありがとう、メイドちゃん」ニコニコ
メイド「い、いえ!」 妹「お話するのは初めてですね。俺さん」 俺「あ、あの、なぜ、俺なんかを……」 妹「……愚姉がいつも、迷惑をかけております」ペコッ 俺「そ、そんな、とんでもないです!」 俺(め、めっちゃいい人だ! なんで令嬢様と姉妹なんだ?)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
22 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:24:15.82 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」 妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」 妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」 俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」 妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」 俺「え……」 妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」 俺「ほっ、本当ですか!?」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
26 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:26:37.07 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「今の仕事だと、まともに故郷にも帰れない上に、何の自由もありません」
妹「庭師の仕事も楽だとは言いませんが、今よりはきっとマシですよ。昼の食事も抜けられますし、お菓子の時間も設けております」 妹「夕食の頃にはその日の仕事はお終いです」 俺「め、女神様……!」 メイド「よかったですね、俺さん」ニコッ 妹「一週間ほど、どうにか堪えてください。その間に進めてみせます」 俺「ありがとうございます!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
28 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:26:47.76 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「……何を考えているの?」
令嬢「いつも、六時前にはここで待っているのではなくて?」イライラ 俺(こういう日に限って早起きなんだよなあ)ハァ 令嬢「抜けていたわけではないわね。五時にもいなかったもの」 俺(……ほ、本当、こういう日に限って) 俺「じ、実は他の使用人が倒れたらしくて、穴埋めに入っておりました」 俺「妹様より、許可はいただいております」 令嬢「……お前は」 俺「…………」 令嬢「お前は私の世話係なのに、妹の言うことを聞くのね」 俺(ば、バレてる!? いや、そんなはずは……)ドキッ 令嬢「早く連れて歩きなさい」 俺「はっ、はい!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
32 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:27:32.29 ID:1Gjk3aDG0 - ―三日後の夜―
妹「明日には父に提案できそうです」ニコニコ 俺「ありがとうございます!」 メイド「よかったですね、俺さん!」 妹「これであの腐れ女と離れられて、さぞ嬉しいことでしょう」ニマァ 俺「……あ、姉なのでしょう? そこまで言わなくても……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
35 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:27:58.64 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「元々嫌いだったのですよ。目が見えなくなる前から、高慢で、我が儘で」
妹「その癖に天才肌で、美人で……散々甘やかされて、人の気持ちなど考えたこともないというような、そういう女でした」 俺「は、ははは……」 妹「私も姉の尻拭いをさせられ、その上に姉と比べられ、お前はダメだとよく言われたものです」 俺「…………」 妹「そうしたら……フフッ、目が見えなくなって、あのザマで……!」 妹「ずっと何かに怯えてるみたいに、周囲の物に必死に当たり散らして、ああ、お可愛いことで」フフッ 妹「元々捻じ曲がっていた性格が、ああも悪化するなんて!」 妹「そのうち、捻じ切れてしまうかもしれませんね。なんて」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
50 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:30:37.85 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「サマエルとはよく言ったものですよ、フフ」
妹「神様が見ていたのでしょう。あの性悪から、視力を奪っていったのです」 俺「…………」 メイド「本当、苦労かけられましたよね俺さん」 メイド「先に俺さんが死んじゃうんじゃないかと、ずっとハラハラしていました」 俺「……お、俺は……」 俺「…………」 俺(情なんてないだろ……! あんな奴……!) 妹「どうしました?」 俺「お願いします……庭師の仕事、お願いします!」 妹「フフフ……」ニコニコ 俺(……本当に、よかったのか?)ギュッ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
55 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:31:14.70 ID:1Gjk3aDG0 - 盲目の令嬢「……私を待たせて、何様のつもりかしら?」イライラ
盲目の令嬢「本当に使えないわね」 俺「申し訳ございませんお嬢様」 盲目の令嬢「次からしっかり……」 俺「明日からは、別の人が世話係になりましたので」 盲目の令嬢「え……?」 俺「もう鈍くて覚えの悪い俺に苛立つこともありませんよ、よかったですね」 盲目の令嬢「え……? あ、え……?」 俺「そういうことですから……」 盲目の令嬢「あ……」ツウ 盲目の令嬢「ち、違う……これ、涙じゃなくて……あ……」
|
- 聖女(幼馴染)「異端者は聖火で焼き殺さなければ」主人公「そういうものなのかな…」
1 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:40:34.49 ID:1Gjk3aDG0 - 大司教「邪教徒の彼らを処刑する!」
主人公「あ、赤子まで!? 酷い…」 聖女「言葉を慎みなさい! 大司教様の前でなんてことを!」 聖女「次に口にすれば、私が貴方を斬ります!」 主人公「……」
|
- 聖女(幼馴染)「異端者は聖火で焼き殺さなければ」主人公「そういうものなのかな…」
2 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:40:59.02 ID:1Gjk3aDG0 - 邪教徒の女「主に従って、別派閥の者を虐殺して影響力を増す」
邪教徒「ただのありふれた侵略行為です」 邪教徒「支配者の利権拡大を目的としているなんて、随分と都合のいい神様ですね」 主人公「それは…」 聖女「汚らわしい邪教徒が世迷い言を!」 聖女「戻って来なさい主人公! 今なら見なかったことにしてさしあげます!」 聖女「来ないのならばそこの悪魔諸共、聖火に掛けます!」 主人公「ごめん…聖女」 聖女「!?」 邪教徒「狂信者に何を言っても無駄です、逃げますよ」 主人公「ああ…」 邪教徒「なんで…どうして…!」ギリッ 主人公とは別に絶対的な信じてる者を持ってるヒロインと袂を分かつけど、ヒロインが口汚く騒ぎながらも未練たらたらなのいいよな
|
- 聖女(幼馴染)「異端者は聖火で焼き殺さなければ」主人公「そういうものなのかな…」
3 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:41:22.78 ID:1Gjk3aDG0 - 聖女「…戻って来なさい」
聖女「今ならば脅されて連れて来られていただけだと口利きしてさしあげましょう」 聖女「これが最終通告です」 主人公「既に俺は聖教会の兵を手に掛けた!」 主人公「戻る気はない!お前達は間違っている!」 聖女「…悪魔に洗脳されてしまったのですね」 聖女「可哀想な主人公…地下教会で、ゆっくり療養させてあげますよ」ジャキン こういうのもいいよな
|
- 聖女(幼馴染)「異端者は聖火で焼き殺さなければ」主人公「そういうものなのかな…」
4 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 00:41:50.83 ID:1Gjk3aDG0 - 聖女「大人しく縄に付きなさい、既にあの女は捕えています」
聖女「刃向かうならあの女の首を刎ねます」 聖女「…貴方は邪教の重鎮、交渉材料として価値があると進言してあげますよ」 聖女「牢で聖書を読み、罪を悔いなさい。極刑だけは免れられるよう…」 主人公「な…アイツを返せ! 無事なんだろうな!」 聖女「……」 主人公「卑劣な行いばかり! お前らの方がよほど悪党だ!」 聖女「言葉を慎め邪教徒が!」 全部裏目に出て延々嫉妬心煽られ続けて欲しい
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
1 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:44:25.56 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「平民の猿を連れて歩かなければならなくなるなんて」ハァ
俺(なんで俺が、こんな目に……) 令嬢「うっ」ヨロッ 俺「し、失礼いたします!」バッ 俺「大丈夫でございますか!」 令嬢「……なぜ、石のある上を歩かせたのかしら?」ギロッ 俺「えっ、し、しかし、外ですし、そういうことも……」 令嬢「……」スッ 俺「て、鉄杖……?」 ガツッ、ドゴッ 俺「うぶっ!」 俺「お、お辞めください!」 令嬢「私は、公爵家の長女よ! 私の身体に傷でもつけたら、貴方はどう償うつもりだったのかしら!」ドゴッ、ドガッ 令嬢「貧民の老婆の手でも引いているつもりだったのかしら!」 令嬢「次やったら殺してやるわ!」 俺(こ、このままだと殺される……)ハァハァ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
2 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:44:39.57 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」 令嬢「口許まで運んで頂戴」 俺「そ、それもですか」 令嬢「…………」イラッ 俺「い、いえ! なんでもありません!」 俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ 俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな) 俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……) 令嬢「早くしなさい!」 俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
3 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:44:54.72 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」 令嬢「口許まで運んで頂戴」 俺「そ、それもですか」 令嬢「…………」イラッ 俺「い、いえ! なんでもありません!」 俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ 俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな) 俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……) 令嬢「早くしなさい!」 俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
11 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:46:54.84 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「大丈夫ですか、俺さん? こんな、怪我だらけで……」
俺「気を遣ってくれてありがとうございます」 俺「これくらい平気ですよ」ハハハ メイド「食事の時間以外令嬢様に付きっきりなのに、令嬢様の横暴で食事もまともに取れずに殴られっぱなしなんて……」 俺「……」 メイド「……大変でしょう。令嬢様は、サマエルと使用人の間で呼ばれているのですよ」 俺「それって、えっと……死の天使でしたっけ」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
12 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:47:04.96 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「そうです。サマエルは、その罪によってモーセに目を潰されたのですよ」クスッ
俺「……聞かれるとまずいですよ」 メイド「このくらい、皆口にしていますよ」 メイド「それに、あの性格ですから。親族も令嬢様を遠ざけていますし、咎めて騒ぐ人はいませんよ」 俺「そんなものですか……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
13 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:47:13.17 ID:1Gjk3aDG0 - メイド「あまりご一緒できる時間はありませんが……俺さんは丁寧で大人しくて、いい人ですね」ニコッ
俺「はは、あまり人馴れしていないだけですよ。田舎から出てきたもので」 メイド「またお時間合いましたら、お話しましょう」 俺「ええ、また……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
15 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:47:31.07 ID:1Gjk3aDG0 - ドンッ、ドンッ
令嬢「遅い! 食事くらい、すぐに済ませなさい!」 俺「は、はい、すぐに!」 メイド「大変ですね」 メイド「妹様は、私達使用人にも優しく接してくださる、いいお方なのですが……」 俺「では、いつかまた」ドタドタ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
16 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:47:45.83 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「呼べばすぐ来るのね」フンッ
俺「さ、さぼっていたわけではありません」 俺「その、急いできただけで……」 令嬢「…………」スッ 俺「ひっ!」 令嬢「……まぁ、よいわ。今回は見逃してあげる」 俺(た、助かった……)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
17 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:48:16.21 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「私は光を失ったけれど、その代わり、耳はとてもいいの」
俺「えっ……」 令嬢「つまらない嘘は吐かないことね」 俺「…………」ゾオッ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
20 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:48:40.35 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「早く着替えさせて頂戴」
俺「……は、はい」ゴクッ スルスル 俺(陰口でも天使と叩かれるだけのことはある……綺麗だ) 俺(人の手を借りないと生きていけないから割り切ってるのかもしれないが……それでも、普通男にはさせないだろ) 俺(本当……俺達平民のことなんて、道具としか見てないんだな) 俺(…………)ソオッ 令嬢「早くしなさい。殺すわよ」 俺「ただっ、ただちに!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
22 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:49:37.32 ID:1Gjk3aDG0 - 末尾Dって終わってる奴しかいないわ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
28 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:50:46.61 ID:1Gjk3aDG0 - 俺「……こ、この位置で大丈夫でしょうか?」ソッ
令嬢「本当に中央なのでしょうね」 俺「……少し動かしますね」 令嬢「………」チッ 俺「ひっ!」ビクッ 俺「これで、毛布を被せて……終わりました。今日もお疲れ様でございました」 令嬢「…………」 俺(ぺっ、労いの言葉もなしかよ)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
31 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:51:51.29 ID:1Gjk3aDG0 - 俺(これで六時間開放される……)フウ
俺(令嬢様が起きる一時間前から横にいろって、どう考えてもおかしいよなあ)ハァ メイド「俺さん、お勤めごくろうさまです」ニコッ 俺「メ、メイドさん! どうも……」 メイド「実は、俺さんとお話をしたいとおっしゃっている方がいまして。来てもらえませんか?」 俺「そ、そうなんですか? しかし、睡眠時間がその……」ハハ メイド「妹様です」 俺「え、えっ!?」 メイド「いつも、一時間早いのでしょう? そちらの件も、妹様から許可を出していただけるかと」 俺「わ、わかりました。しかし、なんで俺なんかを……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
33 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:53:22.04 ID:1Gjk3aDG0 - >>30
あのさ、なんJにスレ乱立してるところしか見えへんのは当たり前やろ? ワイは新人賞の二次選考残ったこともあるし、なろうでも2000pt取ったことあるで
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
34 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:53:46.46 ID:1Gjk3aDG0 - ホンマガイジすぎて腹立つ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
36 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:54:18.58 ID:1Gjk3aDG0 - >>32
それワイちゃうけど ガイジ?
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
42 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:55:21.39 ID:1Gjk3aDG0 - >>35
頭の悪さ指摘されて何も言い返せなくなってて草 お前は出来損ないのガイやから人間様に楯突いたらアカンで
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
45 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:55:55.57 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「ありがとう、メイドちゃん」ニコニコ
メイド「い、いえ!」 妹「お話するのは初めてですね。俺さん」 俺「あ、あの、なぜ、俺なんかを……」 妹「……愚姉がいつも、迷惑をかけております」ペコッ 俺「そ、そんな、とんでもないです!」 俺(め、めっちゃいい人だ! なんで令嬢様と姉妹なんだ?)
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
50 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:56:32.74 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」 妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」 妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」 俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」 妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」 俺「え……」 妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」 俺「ほっ、本当ですか!?」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
51 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:57:07.72 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」 妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」 妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」 俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」 妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」 俺「え……」 妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」 俺「ほっ、本当ですか!?」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
52 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:57:24.52 ID:1Gjk3aDG0 - 令嬢「……何を考えているの?」
令嬢「いつも、六時前にはここで待っているのではなくて?」イライラ 俺(こういう日に限って早起きなんだよなあ)ハァ 令嬢「抜けていたわけではないわね。五時にもいなかったもの」 俺(……ほ、本当、こういう日に限って) 俺「じ、実は他の使用人が倒れたらしくて、穴埋めに入っておりました」 俺「妹様より、許可はいただいております」 令嬢「……お前は」 俺「…………」 令嬢「お前は私の世話係なのに、妹の言うことを聞くのね」 俺(ば、バレてる!? いや、そんなはずは……)ドキッ 令嬢「早く連れて歩きなさい」 俺「はっ、はい!」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
53 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:57:51.21 ID:1Gjk3aDG0 - ―三日後の夜―
妹「明日には父に提案できそうです」ニコニコ 俺「ありがとうございます!」 メイド「よかったですね、俺さん!」 妹「これであの腐れ女と離れられて、さぞ嬉しいことでしょう」ニマァ 俺「……あ、姉なのでしょう? そこまで言わなくても……」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
62 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 09:59:22.10 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「元々嫌いだったのですよ。目が見えなくなる前から、高慢で、我が儘で」
妹「その癖に天才肌で、美人で……散々甘やかされて、人の気持ちなど考えたこともないというような、そういう女でした」 俺「は、ははは……」 妹「私も姉の尻拭いをさせられ、その上に姉と比べられ、お前はダメだとよく言われたものです」 俺「…………」 妹「そうしたら……フフッ、目が見えなくなって、あのザマで……!」 妹「ずっと何かに怯えてるみたいに、周囲の物に必死に当たり散らして、ああ、お可愛いことで」フフッ 妹「元々捻じ曲がっていた性格が、ああも悪化するなんて!」 妹「そのうち、捻じ切れてしまうかもしれませんね。なんて」
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
75 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 10:01:19.81 ID:1Gjk3aDG0 - >>66
う〜ん最近の子はシェイクスピアとか読まんねんな 人生損してるで
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
77 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 10:01:55.11 ID:1Gjk3aDG0 - 妹「サマエルとはよく言ったものですよ、フフ」
妹「神様が見ていたのでしょう。あの性悪から、視力を奪っていったのです」 俺「…………」 メイド「本当、苦労かけられましたよね俺さん」 メイド「先に俺さんが死んじゃうんじゃないかと、ずっとハラハラしていました」 俺「……お、俺は……」 俺「…………」 俺(情なんてないだろ……! あんな奴……!) 妹「どうしました?」 俺「お願いします……庭師の仕事、お願いします!」 妹「フフフ……」ニコニコ 俺(……本当に、よかったのか?)ギュッ
|
- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
79 :風吹けば名無し[]:2021/11/17(水) 10:02:41.86 ID:1Gjk3aDG0 - >>76
あのな、小説なんか小学生でも書けるで それしかでけへんから脚本にしてるんや、なんてマジもんのガイジの発想やで
|