- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
97 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:19:14.10 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「ゴブリンパウダーを持ってきてくれ。できるだけたくさんだ」
司会「ゆ、勇者様が、そんなものを…?」 女勇者「そんなわけがないだろう。この人用だ」 女勇者「すぐに使用量をゼロにすることはできない」 司会「そのう…しかしこれは、高価なブツでして…ね?」 司会「勇者様に余裕があるのなら、少しばかり恵んでいただけるとこちらもスムーズに出せるといいますか…」 女勇者「……」ブンッ 司会「ひいっ!」 女勇者「早くしてくれないか」 司会「わ、わかりました。ただちに…」 俺(この人…口調こそ穏やかだけれど、怖いな)
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
99 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:19:45.36 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「自己紹介は必要かい?」
俺「いえ…勇者様のことは、存じ上げております」 女勇者「楽にしてくれ。元より、ボクが無理を言ってキミについてきてもらっているんだ」 俺(魔王に対抗する人間として神に選ばれた、神紋を持って生まれた少女…) 俺(生まれ落ちたそのときに、最強の人間であることを決定づけられた存在)」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
101 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:20:06.68 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「なぜ、俺を…?」
女勇者「話した通りだ。側近と魔王を同時に相手取れないから、どうしても仲間が必要になったのさ。あの戦いを見て、確信したよ。キミはこの国で、ボクの次に強いよ」 女勇者「自惚れみたいな言い方になっちゃったね…ごめんね」タハハ 俺「いえ…」 女勇者(ずっとぼうっとしてるな…ゴブリンパウダーのせいか)ジッ
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
105 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:20:28.56 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「キミの事情は遠巻きには知っているけれど、深くは知らないんだ」
女勇者「だけど…キミが話さないのなら、根堀り葉掘りは訊かないよ」 俺「……ありがとうございます」 女勇者(話してはくれない、か) 女勇者(初めて肩を並べて戦える仲間だから、もっと親交を深めたかったのだけれど) 女勇者(彼は、ボクに関心がないらしい)ハァ 女勇者「ちょっと寂しいな…」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
106 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:20:52.74 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者(ふう…旅続きは疲れる)チャプン
女勇者(ボクも歳頃の女の子なのだから、こんな異郷の湖ではなく、もっと綺麗なところで身体を洗いたいのだけれど…) 女勇者「仕方がない、か。魔王城の近くなのだから」 女勇者(あの人は色恋に関心がなさそうだから、そういう意味では仲間として安心できるのかな) 女勇者(ちょっと複雑だけれど…) 俺「……」スッ 女勇者「き、きゃあっ! お、俺さん、そういうのは…!」 俺「……悪い、ヤクでぼうっとしていたらしい」スッ 女勇者「…………」 女勇者「可哀想な人」ボソッ
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
108 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:21:18.50 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「頼む…寝る前に、頼む…」ガリガリ
女勇者「もう少し、量を減らさないと…」 女勇者「食事を増やして気を紛らわせるとか…」 俺「食べても食べても、気持ち悪いだけなんだ!」 女勇者「…ゴブリンパウダーさえなければ、キミは本当に最高の仲間なのだけれどね」 俺「お前にはわからねぇだろうなあ!」 俺「頭痛が酷くて、頭がイライラして、寒くて、寂しくて…」ガタガタ 女勇者「…わかったよ。使うといい」ハア
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
110 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:21:51.67 ID:EGO/y1Ok0 - ガサコソ
女勇者「……」ウツラウツラ 女勇者「キミ……まだ、起きているのかい?」 俺「……」ガバッ 女勇者「きっ、きゃあっ!」ドサッ 俺「暴れないでくれ…」ハァハァ 女勇者「キミがそういう人だとは思わなかった! 心底軽蔑したよ!」 女勇者「今なら、なかったことにする。早くボクの上から降りてくれ……!」 俺「…………」ハアハア 女勇者「降りろ! このっ、下衆が! 本当にボクは、キミに失望した!」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
118 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:22:47.75 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「この…ヘンタイがっ!」ドカッ
女勇者「信用していたのに…サイテイだよ!」ツゥッ 女勇者「こ、今後、ボクの三メートル以内に近づかないでくれ!」 俺「お、俺を、見捨てるのか…」ポロポロ 女勇者「な、何も、泣くこと…!」 俺「寂しいんだ、苦しいんだ」ガタガタ 女勇者「……」 俺「お願いだ…俺を、俺を受け入れてくれ」 女勇者「…………」 女勇者「……わかった、よ。元よりボクが、強引に手伝わせている、命懸けの旅路だ」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
122 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:23:47.08 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「ああっ、うぐ、ああ……んはぁ……」ハァハァ
女勇者「ボ、ボク……初めてだったのに、こんな、激しく……本当に、酷いよ……キミは」ギュッ 俺「……」ギュウッ 女勇者「キ、キミ……」 俺「もう、もう離さないからな…」 女勇者「そ、そんな恥ずかしいこと言わないでくれよ。ボ、ボクはあくまで、その……」 俺「女剣士……もう、離さないからなあ……ごめんなあ……」ボロボロ 女勇者「…………」 女勇者「……ああ、そういうことか」ボソッ
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
124 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:24:30.46 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「…………」ガリガリ
女勇者「どうしたんだい、キミ。そんなに辛いなら、アレをそろそろ使った方が……」 俺「いい……」 俺「もう、いい……」ガリガリ 女勇者「……そうかい」 女勇者「寝る度に騒がれても迷惑なのだけれどね」 俺「わかってる…善処する…」ガリガリ 女勇者「…………」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
128 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:26:01.26 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「動かないでくれよ……」
女勇者「はい、巻き終わったよ」 俺「悪い…ドラゴンなんか、鈍い奴の爪を受けるなんてな」ゼェゼェ 女勇者「戦いに集中できていないからだ」 女勇者「今のキミは、足手まといだよ」 俺「そこまで……」 女勇者「そこまでだよ」 女勇者「使いなよ、ゴブリンパウダー」ギロッ 俺「それは、できない……」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
131 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:26:44.47 ID:EGO/y1Ok0 - 俺(そろそろ抜けて来たんだ……)
俺(もうちょっと我慢すれば、剣の腕だって……!) 俺「発作を抑えるためには、とにかく聖水を呑めば!」ゴクゴク 俺(余計に渇く……なんだ、これは!)ハアハア 俺「うう、ううう……」ボロボロ 女勇者「聖水に入れておいたんだ、ゴブリンパウダー」 俺「は、はぁ!?」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
133 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:27:28.67 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「いいかい、キミの剣の腕は、ゴブリンパウダーありきのものなんだよ」
女勇者「気が付いていなかったわけがない」 女勇者「あの超人的な集中力は、ゴブリンパウダーの副産物なんだ」 俺「そ、そんな……」 女勇者「だから、抜けたら剣の腕が戻るなんて幻想だよ。キミには、魔王討伐が終わるまではゴブリンパウダーを服用してもらう」 俺「う、うう、ううう……」ヨロッ
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
135 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:28:35.39 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「女剣士、女剣士、女剣士!」ハァハァ
パンッ、パンッ、パンッ 女勇者「んぐっ、はぁ! ああ、そうだよ! ボクが、ボクが、キミの女剣士だよ」ハァハァ 女勇者「大丈夫、だよ…んっ! ボクは、いなくならないからっ! キミの前から!」 女勇者「キミのすべてを受け止めてあげるよ、ボクだけが!」 俺「愛してるぞ、女剣士……女剣士……」ギュウッ 女勇者「ああ、ボクも、ボクも、愛してるよ……俺……」ギュウッ 女勇者「キミが誰を見ていても……ボクだけは、キミを見ているからね……」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
146 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:30:06.31 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「ほら、早く使っておくれよ、キミ」ドサッ
俺「だ、大丈夫だ……ここまで服用しなくても……」 女勇者「魔王との戦いで、キミに足を引っ張られたくないんだ。わからないかな?」ギロッ 俺「そ、そんな……だが……」 女勇者「……」イラッ 女勇者「早く使えよ! 散々ボクを身勝手に犯しておいて、今更自分の身が可愛いから使いたくないのかキミは!」 俺「…………」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
167 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:33:36.16 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「また魔王城まで戻ってこられたよ」
女勇者「やっぱり仲間がいると、ペースが全然違うよ。キミがいてくれてよかったよ」ギュウ 俺「…………」 女勇者「奥の王の間に、魔王と……女剣士さんがいるよ」 女勇者「ボクは魔王を殺す」 女勇者「その間に、キミは、女剣士さんを殺すんだ。いいね?」ズイッ 俺「……わかっている」 女勇者「余計な気は起こさないでくれよ。彼女は、魔人になってから既に千人以上を殺してるんだ」 俺「……勿論だ」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
173 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:35:13.91 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「…………」
女勇者「キ、キミ、さ……その、この戦いが終わったら……ボクと結婚しなよ」カアッ 俺「え……」 女勇者「キミみたいな末期の中毒者の傍で支えてあげられる理解者は、ボクくらいしかいないよ」 女勇者「キミはボクがいなかったら生きていけない。そう思うだろう?」 俺「だが、だが、俺は……」
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- 女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ
180 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:36:54.08 ID:EGO/y1Ok0 - 女勇者「ボクがわざわざキミのゴブリンパウダーの使用量を調整して……それも、なるべく使用量が少なく済む様に、こうしてキミを抱きしめてあげているんだよ」ギュッ
女勇者「少量でもしっかりと、夜に眠れるようにね」 俺「だが、俺なんかで……」 女勇者「い、言っておくけれど、魔王討伐のために今は付き合ってあげているけれど、それが終わったら……わざわざボクは、他人のためにそんなことはしてあげないからね」 女勇者「しっかり……その、自分の今後も考慮しておくれよ」 女勇者「まさか、また廃棄街の剣闘士になるつもりじゃあないんだろう?」 俺「…………」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
1 :道楽時計[]:2020/11/21(土) 15:39:59.47 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「平民の猿を連れて歩かなければならなくなるなんて」ハァ
俺(なんで俺が、こんな目に……) 令嬢「うっ」ヨロッ 俺「し、失礼いたします!」バッ 俺「大丈夫でございますか!」 令嬢「……なぜ、石のある上を歩かせたのかしら?」ギロッ 俺「えっ、し、しかし、外ですし、そういうことも……」 令嬢「……」スッ 俺「て、鉄杖……?」 ガツッ、ドゴッ 俺「うぶっ!」 俺「お、お辞めください!」 令嬢「私は、公爵家の長女よ! 私の身体に傷でもつけたら、貴方はどう償うつもりだったのかしら!」ドゴッ、ドガッ 令嬢「貧民の老婆の手でも引いているつもりだったのかしら!」 令嬢「次やったら殺してやるわ!」 俺(こ、このままだと殺される……)ハァハァ
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
2 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:40:09.46 ID:EGO/y1Ok0 - 俺(……貴族の料理はやっぱり豪華だな)
令嬢「…………」 令嬢「口許まで運んで頂戴」 俺「そ、それもですか」 令嬢「…………」イラッ 俺「い、いえ! なんでもありません!」 俺(……こんなことまでさせて、恥ずかしくないのか?)チャカチャカ 俺(こいつら平民を人間だと思ってないから、そういう感情はないのかもしれんな) 俺(お高く留まりやがって。今フォークで突いてやったら、殺せるのに……) 令嬢「早くしなさい!」 俺「はっ、はい! 何からとりましょうか!」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
3 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:40:16.00 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「……取るのは遅いわ、間違えるわ、下に落とすわ」
令嬢「最低ね」ハァ 俺「……お粗末様でした」 令嬢「全部で八回だったわね」スッ 俺「え……れ、令嬢様?」 シュンッ、バンッ 俺「おぶっ! あがっ!」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
4 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:40:26.14 ID:EGO/y1Ok0 - メイド「大丈夫ですか、俺さん? こんな、怪我だらけで……」
俺「気を遣ってくれてありがとうございます」 俺「これくらい平気ですよ」ハハハ メイド「食事の時間以外令嬢様に付きっきりなのに、令嬢様の横暴で食事もまともに取れずに殴られっぱなしなんて……」 俺「……」 メイド「……大変でしょう。令嬢様は、サマエルと使用人の間で呼ばれているのですよ」 俺「それって、えっと……死の天使でしたっけ」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
6 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:40:34.64 ID:EGO/y1Ok0 - メイド「そうです。サマエルは、その罪によってモーセに目を潰されたのですよ」クスッ
俺「……聞かれるとまずいですよ」 メイド「このくらい、皆口にしていますよ」 メイド「それに、あの性格ですから。親族も令嬢様を遠ざけていますし、咎めて騒ぐ人はいませんよ」 俺「そんなものですか……」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
7 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:40:50.10 ID:EGO/y1Ok0 - メイド「あまりご一緒できる時間はありませんが……俺さんは丁寧で大人しくて、いい人ですね」ニコッ
俺「はは、あまり人馴れしていないだけですよ。田舎から出てきたもので」 メイド「またお時間合いましたら、お話しましょう」 俺「ええ、また……」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
9 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:41:00.33 ID:EGO/y1Ok0 - ドンッ、ドンッ
令嬢「遅い! 食事くらい、すぐに済ませなさい!」 俺「は、はい、すぐに!」 メイド「大変ですね」 メイド「妹様は、私達使用人にも優しく接してくださる、いいお方なのですが……」 俺「では、いつかまた」ドタドタ
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
10 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:41:11.23 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「呼べばすぐ来るのね」フンッ
俺「さ、さぼっていたわけではありません」 俺「その、急いできただけで……」 令嬢「…………」スッ 俺「ひっ!」 令嬢「……まぁ、よいわ。今回は見逃してあげる」 俺(た、助かった……)
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
11 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:41:23.99 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「私は光を失ったけれど、その代わり、耳はとてもいいの」
俺「えっ……」 令嬢「つまらない嘘は吐かないことね」 俺「…………」ゾオッ
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
17 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:42:57.41 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「早く着替えさせて頂戴」
俺「……は、はい」ゴクッ スルスル 俺(陰口でも天使と叩かれるだけのことはある……綺麗だ) 俺(人の手を借りないと生きていけないから割り切ってるのかもしれないが……それでも、普通男にはさせないだろ) 俺(本当……俺達平民のことなんて、道具としか見てないんだな) 俺(…………)ソオッ 令嬢「早くしなさい。殺すわよ」 俺「ただっ、ただちに!」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
18 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:43:15.56 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「……こ、この位置で大丈夫でしょうか?」ソッ
令嬢「本当に中央なのでしょうね」 俺「……少し動かしますね」 令嬢「………」チッ 俺「ひっ!」ビクッ 俺「これで、毛布を被せて……終わりました。今日もお疲れ様でございました」 令嬢「…………」 俺(ぺっ、労いの言葉もなしかよ)
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
19 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:43:23.20 ID:EGO/y1Ok0 - 俺(これで六時間開放される……)フウ
俺(令嬢様が起きる一時間前から横にいろって、どう考えてもおかしいよなあ)ハァ メイド「俺さん、お勤めごくろうさまです」ニコッ 俺「メ、メイドさん! どうも……」 メイド「実は、俺さんとお話をしたいとおっしゃっている方がいまして。来てもらえませんか?」 俺「そ、そうなんですか? しかし、睡眠時間がその……」ハハ メイド「妹様です」 俺「え、えっ!?」 メイド「いつも、一時間早いのでしょう? そちらの件も、妹様から許可を出していただけるかと」 俺「わ、わかりました。しかし、なんで俺なんかを……」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
20 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:43:30.97 ID:EGO/y1Ok0 - 妹「ありがとう、メイドちゃん」ニコニコ
メイド「い、いえ!」 妹「お話するのは初めてですね。俺さん」 俺「あ、あの、なぜ、俺なんかを……」 妹「……愚姉がいつも、迷惑をかけております」ペコッ 俺「そ、そんな、とんでもないです!」 俺(め、めっちゃいい人だ! なんで令嬢様と姉妹なんだ?)
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
22 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:43:37.76 ID:EGO/y1Ok0 - 妹「私が起こしてしまったので、朝遅く出る許可を出したといえば、父も母も、姉も、余計なことは言えませんよ」
俺「ありがたいです……」 妹「本題なのですが……俺さんはとても真面目で、仕事のできる人です」 妹「ここまで文句も大きな問題ごともなく姉に仕えていられる方は、本当に少ないんです」 俺「過分な評価ですよ。……正直、俺もいつまで続けられるか自信がなくて」 妹「そうでしょう。私はそのような人が、姉の横暴で潰されるのを見たくはないのです」 俺「え……」 妹「庭師の仕事を増やして、空きを作って差し上げます。俺さんがそちらへ入れるよう、手配してあげましょう」 俺「ほっ、本当ですか!?」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
26 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:44:00.37 ID:EGO/y1Ok0 - 妹「今の仕事だと、まともに故郷にも帰れない上に、何の自由もありません」
妹「庭師の仕事も楽だとは言いませんが、今よりはきっとマシですよ。昼の食事も抜けられますし、お菓子の時間も設けております」 妹「夕食の頃にはその日の仕事はお終いです」 俺「め、女神様……!」 メイド「よかったですね、俺さん」ニコッ 妹「一週間ほど、どうにか堪えてください。その間に進めてみせます」 俺「ありがとうございます!」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
29 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:44:13.78 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「……何を考えているの?」
令嬢「いつも、六時前にはここで待っているのではなくて?」イライラ 俺(こういう日に限って早起きなんだよなあ)ハァ 令嬢「抜けていたわけではないわね。五時にもいなかったもの」 俺(……ほ、本当、こういう日に限って) 俺「じ、実は他の使用人が倒れたらしくて、穴埋めに入っておりました」 俺「妹様より、許可はいただいております」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
31 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:44:23.08 ID:EGO/y1Ok0 - 令嬢「……お前は」
俺「…………」 令嬢「お前は私の世話係なのに、妹の言うことを聞くのね」 俺(ば、バレてる!? いや、そんなはずは……)ドキッ 令嬢「早く連れて歩きなさい」 俺「はっ、はい!」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
38 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:45:29.49 ID:EGO/y1Ok0 - ―三日後の夜―
妹「明日には父に提案できそうです」ニコニコ 俺「ありがとうございます!」 メイド「よかったですね、俺さん!」 妹「これであの腐れ女と離れられて、さぞ嬉しいことでしょう」ニマァ 俺「……あ、姉なのでしょう? そこまで言わなくても……」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
42 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:45:55.54 ID:EGO/y1Ok0 - 妹「元々嫌いだったのですよ。目が見えなくなる前から、高慢で、我が儘で」
妹「その癖に天才肌で、美人で……散々甘やかされて、人の気持ちなど考えたこともないというような、そういう女でした」 俺「は、ははは……」 妹「私も姉の尻拭いをさせられ、その上に姉と比べられ、お前はダメだとよく言われたものです」 俺「…………」 妹「そうしたら……フフッ、目が見えなくなって、あのザマで……!」 妹「ずっと何かに怯えてるみたいに、周囲の物に必死に当たり散らして、ああ、お可愛いことで」フフッ 妹「元々捻じ曲がっていた性格が、ああも悪化するなんて!」 妹「そのうち、捻じ切れてしまうかもしれませんね。なんて」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
45 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:46:12.47 ID:EGO/y1Ok0 - 妹「サマエルとはよく言ったものですよ、フフ」
妹「神様が見ていたのでしょう。あの性悪から、視力を奪っていったのです」 俺「…………」 メイド「本当、苦労かけられましたよね俺さん」 メイド「先に俺さんが死んじゃうんじゃないかと、ずっとハラハラしていました」 俺「……お、俺は……」 俺「…………」 俺(情なんてないだろ……! あんな奴……!) 妹「どうしました?」 俺「お願いします……庭師の仕事、お願いします!」 妹「フフフ……」ニコニコ 俺(……本当に、よかったのか?)ギュッ
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
46 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:46:22.50 ID:EGO/y1Ok0 - 盲目の令嬢「……私を待たせて、何様のつもりかしら?」イライラ
盲目の令嬢「本当に使えないわね」 俺「申し訳ございませんお嬢様」 盲目の令嬢「次からしっかり……」 俺「明日からは、別の人が世話係になりましたので」 盲目の令嬢「え……?」 俺「もう鈍くて覚えの悪い俺に苛立つこともありませんよ、よかったですね」 盲目の令嬢「え……? あ、え……?」 俺「そういうことですから……」 盲目の令嬢「あ……」ツウ 盲目の令嬢「ち、違う……これ、涙じゃなくて……あ……」
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
54 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:49:14.06 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「今日が、最後ですから……」
俺「よかったですね、お嬢様」 盲目の令嬢「……そう、そういうこと」 盲目の令嬢「やっぱり貴方も妹についたのね」 俺「……なんですか?」 俺「せ、責めたかったら、責めればいいだろ!」 俺「男の俺が世話係をするのは、不都合だし……お嬢様もせいせいするだろ!」 盲目の令嬢「…………」 俺(チッ、今日に限って大人しいのか。調子が狂う)
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- 盲目の令嬢「……準備なさい」俺「は、はい!」
67 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:51:53.22 ID:EGO/y1Ok0 - 父親「俺君、ご苦労。この食事が終われば、君には庭師に入ってもらう。先輩から学んでしっかりやってくれ」
妹「休憩も取れるようになりましたから、無茶はなさらないでくださいね。時間が合えば、一緒にお茶でも飲みましょう」ニコニコ 俺「はい……」 メイド「よかったですね、俺さん! これまで本当に大変そうでしたから……。妹様に感謝しましょうね!」グッ 俺「……」 盲目の令嬢「…………」ポツン 俺「……食べ終わりましたか?」 盲目の令嬢「……まだ、残ってるでしょ」 俺「……いえ、全然お食べにならなかったので。それは失礼を」
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
1 :道楽時計[]:2020/11/21(土) 15:59:24.64 ID:EGO/y1Ok0 - 聖女「ホーリークロス!」パァツ
オーク「ブモオオオ!」 俺「あ、あれは!」 女僧兵「聖魔法十三階位、ホーリークロス。この国では使えるのは聖女様くらいでしょうね」ハァ 俺「ありがとうございました……なんとお礼を言えば」 女僧兵「そのまま頭をあげないでください」 女僧兵「本来、聖女様はあなたのような下賤な輩とは、目も合わせるべきではない子高貴な御方」 俺「は、はい……」 女僧兵「まったく、聖女様ときたら。ゴブリンとオークの争いに加担して何が変わるのですか?」 俺「……」
|
- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
2 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:59:37.05 ID:EGO/y1Ok0 - 聖女「…その様な言い方はないでしょう」
女僧兵「し、しかし私は、高貴な聖女様が穢れてはと!」 聖女「下がっていてください」 女僧兵「は、はい、申し訳ございません…」 聖女「大丈夫ですか?」 俺「ありがとうございました! 本当に…」 聖女「ふふ、顔をあげてください。私の部下が、とんだ失礼を…」 俺「い、いえ」 聖女「ああっ! 怪我をしているではありませんか!」 俺「あ、大したことないので…」
|
- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
4 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 15:59:49.15 ID:EGO/y1Ok0 - 聖女「ホーリーヒール!」
女僧兵「こんな男の傷を治すために、聖魔法十三階位を使うなど…」アセアセ 俺「あ、ありがとうございます。凄い、痛みがすぐにひいた…」 女僧兵「本来、司教位上の尊い御方の傷を治すためのなのに…」 俺「噂でしか知らなかったけど、本当に凄い人なんだな…八階位の魔法を使えたら一流といわれているのに…」 女僧兵「無礼なことを、この国で一番御強いお方です」 女僧兵「二年前の魔人襲撃でも、たった一人で千の魔人を追い返したのですよ」 俺(なんでお前が偉そうなんだよ)
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
5 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:00:01.08 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「何度も言いますけど、ありがとうございました! 俺、今日のことは一生忘れません!」スッ
聖女「あっ」ビクッ 女僧兵「は?」イラッ 俺「す、すいません、握手なんて失礼ですよね…」サッ 聖女「申し訳ございません…異性の方と触れてはいけないと、戒律がありまして」シュン 俺(可愛い…)
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
6 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:00:08.60 ID:EGO/y1Ok0 - 女僧兵「早く行きましょう、ほら!」
聖女「…同年齢の男の人と話したのは初めてです」 聖女「また、どこかでお会いできるといいですね」ニコッ 俺「…!」ドキィ 女僧兵「聖女様っ!」
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
7 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:00:16.44 ID:EGO/y1Ok0 - ―宿屋―
俺「聖女様聖女様…! ああ、聖女様!」シコシコ 俺「いいんですか? 中に出して! 失礼いたしますぅ!」ビュッビュッ 俺「ああ、聖女様の綺麗な白い肌に、俺の穢れた白濁が…!」ハァハァ 俺「俺は、俺はァ!」 隣室「うっせぇぞゴミ野郎!」ドンッ
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
10 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:00:55.83 ID:EGO/y1Ok0 - 俺「……うう、すいません、聖女様でこのような下卑た妄想を…」ハァハァ
俺「ばれたらこれ処されないよな…。少なくともあの女僧兵は顔真っ赤にして怒りそうだが」 『…同年齢の男の人と話したのは初めてです。また、どこかでお会いできるといいですね』ニコッ 俺「……」 俺「なんだこのやるせなさ…はぁ、これが恋か…」 俺「また会えるかなぁ」ハァ
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- オーク「グオオオオ!」剣士俺「ぐっ…このままだと…」聖女「大丈夫ですか!」バッ
14 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:02:09.58 ID:EGO/y1Ok0 - ―聖堂―
枢機卿長「ではこれより聖交の儀を執り行う!」 司教「聖女様、こちらのベッドの上に…」 聖女「……はい」ゴロン 枢機卿A「フフフ…やはり聖女様の身体はやらしいのう」 枢機卿B「むむ? なんだこの胸は?」モミッ 聖女「う…あ…」 枢機卿C「おい、うつ伏せで尻を突き出せ」 枢機卿A「では儂は口を…おい、しゃぶらんか」 聖女「……」 枢機卿A「これは神聖な儀式であるぞ!」 聖女「はい…」
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15 :風吹けば名無し[]:2020/11/21(土) 16:02:54.58 ID:EGO/y1Ok0 - 枢機卿B「ほうれい」ペチンッ
聖女「んぐっ」 枢機卿C「んん? なんだ、今の嬌声は? 感じておられるのか?」 枢機卿A「なんと、これは神聖な儀式だというのに、まったく」ズッポズッポ 聖女「……」ツウ 枢機卿A「なんだ泣いておられるのか?」 枢機卿C「とうに生娘ではなかろうにw儂のチンポが恋しかったろう? むむ?」 枢機卿B「まずは尻に人差し指を入れるぞい」ズププ
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