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88 :新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−[]:2016/10/23(日) 13:29:00.62 ID:ug9tkiLa0 - カイルン「乱蔵・・・ 俺たちはどうする?」
乱蔵「・・・とりあえず、日を改めてどこかで待ち合わせしよう。 それと、知り合いの退魔師にも来てもらうつもりだ」 乱蔵の言った“退魔師”と言うフレーズに、カイルンは少し表情を変える。 カイルン「知り合いの退魔師・・・? 俺たちと同じか・・・?」 乱蔵「ああ、草波 龍志郎って奴だ。 少し硬いが、いい奴だし、退魔師としての実力も問題ない」 カイルン「フム・・・ 解った」 その後、乱蔵はカイルンの宿泊しているホテルの電話番号を聞くと、 カイルンと別れた・・・
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89 :新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−[]:2016/10/23(日) 13:29:26.67 ID:ug9tkiLa0 - 祟られ屋・九十九 乱蔵。
霊符師ヤン・カイルン。 彼らもまた、この地上のみならず、様々な異世界を巻き込んだ 騒乱の歯車の中に巻き込まれつつあった。
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90 :新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−[]:2016/10/23(日) 13:29:39.89 ID:ug9tkiLa0 - 385 名前:新章/妖を狩る者達 −Part1,丑三つ時の激戦−・SSテスト:2008/03/29(土) 22:44:06
○九十九乱蔵、ヤン・カイルン→後日再開する事を約束し、今は別れる。 ○玄角→乱蔵の師匠・真壁雲斎の所に向かう。 △八雲紫→意味深な言葉を幾つか残し、退場。
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91 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:30:13.43 ID:ug9tkiLa0 - 都内某所 廃倉庫
i! ___/ , |!---- ァミ ∩∩∩ _ / {!__/_ ヽ ∩/i i i i | rf 、\ //Y:i:W:ii:iヽ ! !,|γ⌒E 夊>丶ヽ___ ______ |ト、i:i:i辷7i:i:i/i|/}_ |/弋ェェノi! /) r─(_)// {i:i:i//////////////`ヽ. x ,‐||i:i:\iーi:/i:i:i:i}!」∧レ⌒ー一1 /  ̄ `ヽ├《///////////////// //∧i:i:i:i:i}:i{!:i:i:i:i:i/´/, ,1//////// {√  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\///f ////i ー‐个ー一% ///|//////|' \/| !////,i!,\:ィ 、:f7¨´////!======{ `Y、///|!r‐i辷冖|////// |i:i:i:i:i|||i:i:ト、 ∨/|!|: :r─ァ´////// |i:ix≦'≧} }} /\|!i: :i://////「 ̄_ }//////|彡 {i:i:i:i||: : }=====ニニfi///|//////! 八i:i:i:||: : |!i:i:i:i:i:i:i:i:i::|i///|/////∧ 「i:i||: : |!i:i:i:i:i:i:i:i:i::||∧/!//////,i} ハi:||: : :≧===彡'1!/∧!/////// ≧ュ: : }}i:i:i:i:i:i:i:i||//人_///// Y|: : :\:iー=彳////≧=彡 イi__ -=ミ /≧彡//ムイ\_ //「`Y¨フ冖ミー-ェェf´ }回} /_》 ///{_ /,////}二コ |! }レ《/∧_ ウィザード「ハァッ!!」
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92 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:30:33.49 ID:ug9tkiLa0 - 古来より“草木も眠る丑三つ時”と称される深夜の時間帯……
業績の悪化した企業が手放し、無人になって久しい、無駄に広さだけはある資材倉庫の暗がりの中、 ショットガンと古代の海賊刀-カットラス-を組み合わせたような形状の得物をひたすらに振るう人影。 黒い外套を思わせる衣を翻し、紅色に輝く宝石のような仮面を被った戦士…… かつて、“ファントム”と呼ばれる人外の存在と戦った“魔法使い”にして、巷の都市伝説で囁かれる “仮面ライダー”の一角を担う、人呼んで仮面ライダーウィザード。 彼は今、得物…… ウィザーソードガンを片手に構えつつ、僅かな星明りが射すばかりの 暗闇に包まれた廃屋-ダンジョン-を駆け、“敵”を相手に攻防を繰り広げていた。 怪物A「ギィイッ!!」 怪物B「ジャァァッ!!」 ウィザードが相対していたのは二体の怪物…… その外見やフォルムこそ人間に近いものであったが、 異常に隆起した筋肉に、限界までに見開かれた双眸、そして“牙”と見紛うまでに伸びた鋭い犬歯…… 衣服など一糸纏わず、その溢れ出る獣性に従い、隙あらば標的の首筋を狙う、知性の無い異形の怪物。 その姿は、まるで中世ヨーロッパの伝承に登場する怪物、吸血鬼を彷彿とさせるものであった。 鋭い爪による徒手空拳の連撃を、剣先で難なくいなし、軽くステップを踏んで距離を取ったウィザードは、 目の前の化け物共――――先に報告を受けていた“地下勢力”の戦闘要員――――を、仮面越しにねめつける。
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95 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:30:49.61 ID:ug9tkiLa0 - ウィザード「(ヴェドゴニアの量産型…… やはり、ここ一帯での猟奇事件を引き起こした犯人はイノヴェルチ。
随分前に壊滅したとは聞いていたが…… 少なくとも、幹部格は“黄泉還った”とみて間違いないか?)」 ウィザードは、今現在刃を交えている怪物どもが、既に壊滅して久しい筈の勢力…… かつて、自身が掃討したはずの敵と同じ、“人外”によって運営される秘密結社“イノヴェルチ”が 戦力として造り出した、人造兵士の類だと察知した。 人の心をギリギリの所で残したまま、吸血鬼特有の不死性と破壊力を自在に操る事のできる、 人間側のみならず、吸血鬼にすら天敵成り得る吸血兵器…… ヴェドゴニア。 そのデータを基に、イノヴェルチに属する幹部格の吸血鬼、ナハツェーラーが人為的に造り出したとされる量産型が、 純粋に誕生した個体と比べてどれだけの差があるかはウィザードには 判別できなかったが、 それでもなお、獰猛さを剥き出しにした敵に対し油断するつもりは毛頭ない。 怪物=量産型ヴェドゴニア「シャアアアッッ!!」 ウィザード「(まずは、距離を取って……) これで!!」 量産型ヴェドゴニアの猛攻を剣先であしらうと、ウィザードは指に嵌めた“雷撃”-サンダー-の指輪をドライバーに翳し、 放電攻撃の波状攻撃によって敵を牽制、一瞬敵が怯んだ隙をついて“拘束”-バインド-の魔法を発動する。 次の瞬間、量産型ヴェドゴニアらの周囲を包み込むかのように巨大な魔方陣が発現すると同時に そこから無数の魔力を帯びた鎖が伸び、2体の敵の四肢を縛り付ける格好で拘束した。 間髪入れず、ウィザードは“蹴撃”-キックストライク-の指輪を発動させ、速攻でヴェドゴニアを片付けようとするが……
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96 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:31:03.25 ID:ug9tkiLa0 - 量産型ヴェドゴニア「ギィッッ!!」
ウィザード「……何だとっ!?」 敵はいとも簡単に、魔力の鎖を力技で引き千切ると、必殺技を発動させようとしてたウィザードに 腕を振りかぶって一撃をお見舞いし、体勢を崩した隙にもう一撃を食らわせる。 ウィザードは急遽迎撃の構えを取ろうとするも、攻撃の際に手元より滑り落ちてしまった“蹴撃”-キックストライク-の指輪に 気を取られてしまい、ヴェドゴニア2体の連続攻撃に晒される羽目になってしまった。 ウィザード「うぉ……っ、しまった」 量産型ヴェドゴニア「キェァァァアア!!」 ヴェドゴニアが無防備に晒されたウィザードの腹部に手を伸ばし、力の源たるドライバーを 強引に引きはがそうとした…… まさにその時。
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97 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:31:19.21 ID:ug9tkiLa0 - 声「―――――そこまでだ、悪党どもめ!!」
量産型ヴェドゴニア「!?」 突如、男のものと思われる低い声が、倉庫の暗がりの中に盛大に響いた。 何者か分からぬ、得体のしれぬ存在がまだ潜んでいるという事実に、敵戦闘員共が気を取られた、その僅かな一瞬の隙…… 四方八方より、何処から現れたのか無数のワイヤーロープが縦横無尽に辺りを飛び交うと、 瞬く間にヴェドゴニア2体の股を潜り、腕を縛り、足に絡みつき、そんでもって更に縛られ…… 数秒もしない程の瞬く間に、ヴェドゴニアどもはワイヤーロープによって雁字搦めにされてしまった。 人間の基準で考えるならば、一般的な炭素鋼製のワイヤーロープは到底自力で千切ることなど出来ぬ代物であるが、 吸血鬼のパワーを自在に操るヴェドゴニアならば紙縒-こより-同然…… 先ほどウィザードが放ったような、 強力な魔力を帯びた“拘束”-バインド-の魔法よりも遥かに簡単に破られてしまう筈だった。 しかし、今この瞬間、ヴェドゴニア達はただ単純に縛り付けられていたのではない。 手首足首の縛り方、絶妙に動きを脱力させる四肢の固定法、特定の筋繊維に程よく不可がかかるよう調整された力加減……と、 その拘束の仕方は、一件無秩序な拮抗縛りに見えてその実、何から何まで捕縛対象が如何なる強靭な力の持ち主であろうと 生物学的観点からしても徹底的に脱力させてしまう、まさに神業の拘束術。 事実、ヴェドゴニア達は自身らを縛るワイヤーロープを破るどころか、滲み出る快楽に抗えず、 もがく意欲すら出しあぐねてしまっているようだ。 そして、このような高等戦術をこんな僅かな時間の中でやってのけるトリックスターは、 世界広しと言えどもウィザード…… もとい、操真晴人が知る限りは決して多くはなかった。 中でも、このような“変態”染みたやり方を、全く恥じる事のない戦士など…… ウィザード「……サンキュ、色丞さん!」
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98 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:31:48.03 ID:ug9tkiLa0 - l/ヽ
,ィ////ヽ\ イ//////////ヽ,、 //////////////'//l ゝ///,, ̄ ̄ ̄,,`ヽ//ハ //// aiko ヽ// ´ l //゙゙ヽ'l/ l l´ ̄ヾ i, '//、 l'l _ l l ´\,ヽi l'l/_ ィ l l /l´ / (\ 、、 ヽ`ヽli、l_,l;i´_/ , / l 〈l `\ l l 、、 7'l,/ 'l\ /ハ 〈` 、 _`ヽ `ヽ'' ヽ \、_/'' ,, ヽ_//l/lヽ l_ ` 、 `ヽ ゙ l _ ,ィ、 _,l\ /:i:;゙' /, ,l/、 ヽ`_,´_‐ \ l / lヽ/` />,,l,-; ` ー ' '/ , 'l/\ ` ヽ ', / ,' ll,- l ´/ ; /,; ,ィ l / , l; \ 、 \ ,ヽ '/ _;、/`/ l /,゙l / , ヽ:;:; _\ ', \ l' , /ー ' / -;' -―'―/" 三,, ヽ /', \ / , '"´/ ''''' / 'シ '; / . ', ゙ \ / /_ -―‐ ':;/ /'l ' ''/ ' ', ヽ ヽ /" ―ニ , ,' / ', ヽ ´/ ニ,,, / / l ;; / 、 ヽ _ -‐三彡 /'/ l , ヽ ヽ / ー―‐= 三ニ= /_ / ヽ _ '" ,, ヽ` ` _ _ -― /  ̄ l\ __ ‐  ̄ -  ̄三/ / l i `ー;-―  ̄、 ーニ二ニ / l l、 l //、 _/ ,,ィ''" l l  ゙̄i`ー―''ヾ ´/ l ' ', /
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99 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:32:05.17 ID:ug9tkiLa0 - ――――――“変態仮面”。
女性のパンティを頭に被り、数多の“変態”染みた数々の技巧をもってして敢然と悪に立ち向かう、 “正義”と“変態”の両方の魂を兼ね備えたヒーロー…… 彼ぐらいしか。 変態仮面「礼は後でいい…… 仮面ライダーウィザード、今がチャンスだ!!」 ウィザード「応!!」 変態仮面の合図に併せるかのように、暗闇の中から今度は、ワイヤーロープに固く縛り付けられた物体…… 恐らくは倉庫の中から持ち出してきたのだろう、巨大な木材、もとい丸太がウィザードの下へと飛んできた。 ウィザードはそれを見据えると“筋肉増量”-エキサイト-の指輪を使用、見る見るうちにその姿を筋骨隆々の体躯に変貌させ、 急速接近してきた大きさ5メートルぐらいはあろう丸太をやすやすとキャッチ、それを抱える形で構えた。 そして今度は、また別のワイヤーに縛られた丸太を、まるでブランコにでも乗るような感覚で サーフィンのような格好で引き連れてきた変態仮面が、倉庫の中空に躍り出る。 所詮“振り子”でしかない丸太であったが、変態仮面の手による絶妙なロープの縛り方や、 搭乗者たる彼の絶妙な力加減の具合により、まるで縦横無尽の起動で動き回っているようにも見えた。
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100 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:32:20.11 ID:ug9tkiLa0 - 変態仮面「ウィザード、丸太は持ったか!?」
, -EC、 _// 辷7 ,', { || \ / i| 圦_} {__ 'ノ ___ _/ \、__/ニ\ /ニ=- ≫-=≦〔 {{=- -=ニニ二}}\_ . /二ニ=- /{!二ニニ=- ≧x -=ニ二x≦二二≧x== ミ /〉二ニ=- / |二ニニ=- W -=ニ二Y二ニ=- Vニ=-\ . / ー ─==ァ=- |二ニニ=- 《 -=ニ二,ソ二ニニ=- Vニ=- } 、 . Y≧== ‐ 〈ニニ廴二ニニ=- {{≫ - ≪}}二ニニ=- }≫─┘《i /ニニ=-  ̄| 「 ̄  ̄ ̄ ̄ | | | | r‐─=ニ二二/{___ } . /ニニ=- -=ニ! ! | | | i│ 〉〉二ニ=- Y /二二ニ=- -=ニ| | | | | | | //ニ=- -=ヘ 二ニニ=- -|ニ二乂、__ , イ|⌒i⌒〉〉、 //ニニ=- -=ニヘ 二ニ=- -=ニ八二二|「 ̄ ̄ i ! , // \__//ニニ=- -=ニ∧ ニ=- -=ニ/ ヽニニ|| // / { i  ̄〉ニニ!ニ=- -=ニニ∧ - -=/ Vニ》、_ , イ/ { 乂、 //ニニ=人=- -=ニニ∧ -=ニノ }ニZ {{ i //\___//ニ=/ ヽ=- -=ニ二} -=/ /ニ∧、____}} } { { ¨7ニr彡 〉=- -=ニ二7 . -=/ {ニニニ≧ 冖 彡─┴‐夊__/ニニ〉 /=- -=ニニ/ ウィザード「無論だ、挟み撃ちにする!!」 変態仮面「行くぞッ!! 変態秘奥義・地獄のお彼岸華スペシャル!!」
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101 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:32:42.99 ID:ug9tkiLa0 - 魔法で増強した肉体により易々と丸太を振り回すウィザードと、ワイヤーロープの慣性を自在に制御する変態仮面。
彼らは拘束されたヴェドゴニア2体にそれぞれ狙いを付けると、ウィザードは力一杯丸太を投槍の如く投げつけ、 変態仮面は丸太を大きく振りかぶらせて、その軌道の向きを標的に向けてから一気に敵に突撃させた! 量産型ヴェドゴニアA&B「「ギェアアァァッッ!!!」 ウィザードと変態仮面の放った丸太の一撃は、共にそれぞれが狙った量産型ヴェドゴニアの胸元を完全に粉砕。 強靭な肋骨もろとも心の臓を潰し、肉体を再生させる間もなく絶命させるに至った。 生命活動を停止した怪物の骸は即座に色褪せ…… 塵となって消え失せる。 ウィザード「ふぅい…… これで終わり、という訳では無さそうだな」 変態仮面「ああ。私もこの肌に纏わりつくような、邪悪な気配を無視する事はできぬ…… 隠れているのは分かっているぞ、出てこい!!」 変態仮面が一喝したのとほぼ同時に、無人だった筈の倉庫の照明灯が、突如点灯。 スポットライトめいた光に照らされた倉庫の段上に、階下に降り立ったウィザードと変態仮面を見下ろす形で 二人の人影が聳えたっている姿を、ウィザード……晴人らは目にした。 それと同時に、屋内一帯にエレキギターの金属的な不協和音が鳴り響き、続いてそれに併せた歌声が聞こえてくる。 声色に耳を澄ませてみれば、そのデスボイス染みた歌唱を二人の人物がツインボーカルでセッションしているようであった。
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102 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:33:02.08 ID:ug9tkiLa0 - 『切り刻め、切り刻め、太古の悪が呼んでいる』
『捧げるんだ、お前の神に、血まみれの生贄を』 ウィザード「曲だと……? なんだ、昔何処かで耳にしたような……」 ジャーマンメタルの旋律と共に紡がれる英詩は、日本人の晴人らは意味こそ即座に理解できなかったものの その曲調や歌詞の響に、かつて日常のいずこかで聞いたような仄かな感覚を憶えた。 晴人はそれが何であったかを思いだすのに少なからず手間取ったが、彼よりも先に変態仮面が心当たりを見つけたようだ。 暗がりを揺らすメタルの不協和音が大気を振動させ、彼の股間を締め付けるブーメランパンツをも揺らすことで その刺激が変態仮面の前身の感覚をより鋭敏にさせ、更に記憶をもより鮮明に引きだすことが可能になったのである。 変態仮面「TEPESの『魔女の鉄槌』…… 数十年前に一世を風靡したロックバンドの代表作か。 ならば疑う余地はない。あそこに居る、少なくとも片割れは…… イノヴェルチの幹部の一人!!」
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103 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:33:14.80 ID:ug9tkiLa0 - 『魔女を吊るせ、魔女を吊るせ、お前の隣に魔女がいる』
『串刺しにしろ、腹をかっ捌け、聖なる父の名の許に』 逆光に照らされたシルエットが目の慣れに伴い、徐々に姿を視認できるようになり…… そこに立っていたのは片や、黒い革製のボンテージ衣装に身を包み、豪奢な金髪を揺らした美麗な男、 方や、青白く腐敗した肌に骸骨を剥き出しにした素肌、ズタボロになった衣服をパンクロッカーの如く纏ったゾンビ。 見た目相反する二人の影は、互いに対になるかのような構図でエレキギターを構え、アンプを掻き鳴らしながら それぞれの前に丁重にも用意されたスタンドマイクに歌唱をぶつけ、ヘヴィメタルのセッションを奏でていた。 その姿を見る人が見れば、両者共に神業の如きギタープレイを披露していることが理解できる筈だ。 ……なにせ、彼らのその技術は“人間だった頃”から得意とする天性の魔性に他ならないのだから。
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105 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:33:32.00 ID:ug9tkiLa0 - 『永遠の命、久遠のパワー、太古の神の墓標を暴け』
『おまえは血に飢えた十字軍、悪魔の使徒を狩り立てろ』 ウィザード「――――ジグムント・ウピエル!! ザベル・ザロック!!」 ウィザードは眼前の男達の名前を叫びつつ、ウィザーソードガンの銃口を向けると躊躇することなく発砲、 銀の弾丸が男達の胸元へ正確に軌道を描くが…… ザベル「ヒャヒャァッ……ル・マルタァ!」
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108 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:33:58.17 ID:ug9tkiLa0 - それが心臓に届くまでもなく、ザベル・ザロックなるゾンビの背後に、突如巨大なスピーカーが……
否、スピーカーのような外見をした一つ目の怪物が出現し、スピーカーの音量-ボリューム-を上げる仕草を取ると それに併せてザベルが骨が剥き出しになった指で、手元のエレキギターを鳴らし…… 凄まじいまでの大音量となったアンプ音が発せられると同時に、それによって生じた衝撃波が大気をも揺らし、 物理的な破壊力を伴った音波となって襲い来る弾丸を一蹴、粉微塵に消し去ってしまう。 そして、音波の衝撃は弾丸を撃ち落とすのみならず、その先に控えていたウィザードと変態仮面にも襲い掛かり、 彼らはすんでのところでギリギリ回避するも、その背後に積まれていた木材は衝撃によって粉々に粉砕されてしまい 降りかかる瓦礫をよけながらも、再び段上に陣取った敵二人を睨み付ける。 人外の犯罪集団イノヴェルチの幹部格を務める、残忍極まりない吸血鬼ジグムント・ウピエル。 かつて帝王オゾムに魂を売ってダークストーカーとなり、オゾムが滅びた後も数々の勢力を渡り歩いて 破壊と殺戮の限りを尽くすゾンビのザベル・ザロック。 いずれも、ウィザードが“その手の筋”から配布された手配書に記されたそのものの人相をしており、 また、その生前の知名度や、凄惨極まりない残虐事件を引き起こした悪名から、否が応でも印象には強く残っていた。
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109 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:34:14.32 ID:ug9tkiLa0 - ウィザード「イノヴェルチの大幹部に、ギターを持った殺人ゾンビ…… いずれもブラックリストで見た顔だ。
ここ一帯で“怪物騒ぎ”を起こしていたのはお前達だな」 ザベル「ケケッ…… だったらどうした、あぁン!? 俺達の仕事に何かクレームでもあるってのかァ……?」 ウピエル「“量産型兵士”の実験は、こいつらの横槍さえなけりゃ特段問題無かったはずだぜ。 俺的には、モニターの一環で遠足中のガキどもを襲った時とか好きだったが…… ウ〜ン。 バスを横転させて、泣き喚くガキ共を生きたまま解体-バラ-したとこなんか、すげぇ興奮したぜ?」 ザベル「あれは悪くなかったなァ、思わず俺も飛び入り参加しちまったぜ…… 両手両足潰して芋虫みてェになったガキが呻いてたのなんか、これまでの中でも最高だったなァ、ハハハッ!!」
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110 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:34:27.22 ID:ug9tkiLa0 - ……ここ数日の間、近辺の市街において残虐極まりない連続殺人事件が横行していた。
ある時は人気のない夜道で、ある時はアパートの一室に押し入り、ある時は走行中の車両を強襲し…… いずれのケースでも被害者は、人間業とは思えぬ驚異的な力で全身をバラバラに引き千切られ、 もはや死骸といえないような血だまりといった惨状が現場に残されていたのだ。 警察は、手口からして犯人が“人間でない”事はほぼ確実視し、捜査の末に犯人の足取りを掴むも取り逃してしまい、 ただ唯一、それらの捜査と平行して事件を追っていた晴人、並びに彼と協力していた狂介が 攻防の末に殺戮の実行犯……量産型ヴェドゴニアを追い詰める事に成功した訳だが。 それら異形の殺戮者を「モニター」と称して街に駆りだし、罪もない市民を無差別に襲撃させ 生きたまま四肢を切り刻む、腹を掻っ捌いて臓物を引きずりだすなどの猟奇殺人を引き起こしていた張本人たる ザベル・ザロック並びにジグムント・ウピエル…… 彼らは自分達の所業を悪びれるそぶりさえ微塵も見せず、 むしろ凄惨な光景を酒の肴に楽しんだかのような口ぶりで、ウィザードらを嘲笑うかのように語り始めたのだ。 命を奪われた被害者の凄惨な遺体、その前で泣き崩れる遺族の姿を目にしていた晴人……ウィザードらは 異形のゾンビと吸血鬼を前に、その怒りを抑える事はできなかった。
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111 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:34:44.79 ID:ug9tkiLa0 - 変態仮面「外道めがっ!! 貴様ら異形を逃すつもりはない…… 覚悟!!」
ウィザード「あぁ。貴様らが属する組織-イノヴェルチ-と、それに繋がる勢力図…… 地獄に堕ちる前に吐いてもらうがな」 変態仮面はその双眸に明らかな殺意の色を浮かべ、その手に革製の丈夫な鞭を引き絞る。 同時にウィザードも得物を構え直すと、魔力を帯びた銀の弾丸を再装填した。 ザベル「ヒャハハハッ、異形なら手前も負けちゃあいねぇぜ変態野郎。 それに其処の“仮面ライダー”も、よぉく見りゃあ俺達と『同類』と違うのか?オイ……」 ウィザード「否定はしない…… だが、俺がお前たちの敵である事にも変わりはない!! これまで悪行の限りを尽くしてきたようだが、ここで終幕-フィナーレ-だ……」 ウピエル「生憎だが、俺達はまだまだやらんきゃァならねェ事が多すぎるんでなァ…… ここで道草食ってる暇はないのよ。 “量産型兵士”も十分データは取れた…… 倒されこそしたが、その分は改善点として報告させてもらうぜ」 ウィザード「……逃がすかっ!」 ウピエルらが手早く屋内から立ち去ろうとしたのをウィザードは見逃さなかった。 すかさず“雷撃”-サンダー-の指輪を行使し、強力な稲妻をもってして化け物どもを焼き尽くさんと魔法を放つ。が――――
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112 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:35:02.10 ID:ug9tkiLa0 - 女性「させないッ!!」
ウィザード「何!?」 放たれた“雷撃”-サンダー-の魔法がウピエルらに直撃する寸前、突如として一人の女性が立ち塞がる。 ―――女は紅い革製のビザールに身を包み、衣装の系統としてはウピエルやザベルと並べても違和感のない、 ロックバンドのメンバーが着用してそうな印象、といった雰囲気であった。 黒髪のロングヘアに隠れた顔立ちは、一般の感覚で言えば十分、むしろ相当な美人に類される容姿の持ち主ではあるが、 その生者の温もりを微塵も感じさせない青白い肌に、それとは裏腹にドス黒い真紅の光を宿した双眸…… 彼女もまた、ウピエルら同様の「人外」…… それも、吸血鬼ウピエルの眷属たる存在あることは容易に察知できた。 それは兎も角として、吸血鬼の女性……むしろ外見だけなら“少女”と形容したほうが正確であろう彼女は、 ウピエルらを庇う形で雷撃の直撃を受けてしまい、全身に酷い火傷を負いながらも膝をつくだけで踏み止まる。 恐らくは彼女も何の考えも無しにその身を晒したのではなく、最低限致命傷を避けられるようにしたのだろうが それでもなお、彼女が致命傷一歩手前のダメージを承知の上で負ったことは間違いない。 青白い肌を電熱で焦がし、肉の焼ける嫌な臭いを嗅ぎながらもウィザードと変態仮面は、 その少女がウピエルやザベル同様、ブラックリストに掲載されていた顔である事を即座に理解する。
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113 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:35:27.37 ID:ug9tkiLa0 - ウィザード「間違いない…… あの女は“ストリクス”。ジグムント・ウピエルの眷属か!」
“ストリクス”…… 厳密に言うと、この名は『吸血鬼になった』彼女を指して命名された一種のレジストコードで、 本名は「白柳弥沙子」といい、元々人間に過ぎなかった彼女がウピエルによって人外へと成り果てた存在だ。 人間だった頃の彼女は結構な家柄のお嬢様であったらしいが、それ故に相当な鬱憤を溜めこんでいたらしく、 心酔していたウピエルによって人間を捨てた後は、今に至るまでの自身のメンタリティを形成した原因たる 実家の肉親達を憎悪のままに殺戮、最終的にはウピエル共々、当時“ヴェドゴニア”だった青年・伊藤惣太により 誅殺された…… と、ウィザードらは事前に提供された資料で知りえていた。 明確な死亡データが確認されていないザベル・ザロックは兎も角、少なくともウピエルや弥沙子を始めとするイノヴェルチ関係者は 恐らく世間を騒がす“黄泉還り”の影響で復活を果たしたクチと見て、まず間違いはないだろう。
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114 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:35:48.90 ID:ug9tkiLa0 - 弥沙子「ウ、ウピエル様…… ご無事で……」
ウピエル「――――誰がわざわざ助けに来いって言った? この糞アマがッ!!」 ウピエルは、今し方自分達を命を賭して助けた、半死半生の女性の前髪を鷲掴みにすると そのまま力任せに持ち上げ、その際に髪の数本がブチブチと音を立てて抜け落ちる。 肌に酷い火傷を負いながらも、ただ只管主人のことを案じ、怯えた表情を浮かべる眷属の姿も ウピエルにとってはイライラに火を付ける切っ掛けにしかならなかったのか…… 髪を掴んでいる方と別の片手で弥沙子を殴りつけると、そのまま地面に叩きつけた。 弥沙子「あぐうっ! お、お許し下さい! どうか……」 全身に広がる火傷の痛みよりも、更に身体の芯にまで響くかのようなウピエルの暴力――――― 弥沙子は、地獄のような突き刺す激痛の中に、明らかな愉悦と快楽を感じていた。 ウピエル「……こんな状況で“感じて”るのか? 手前の変態癖は全く変んねぇなぁ。 どうだ? 俺だけでなく、敵の連中にもその薄汚ェ痴態を見せてやったらどうだ、アァ!?」 弥沙子「い、嫌…… どうかそれだけは…… ウピエル様にだけだったら、私の全てでも見せます、 ですからお慈悲を…… あぁ…… ハァ」
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115 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:36:06.11 ID:ug9tkiLa0 - ザベル「―――――ガタガタうるせぇ、この雌豚ビッチが!!」
弥沙子「ぐぅっ!!」 ウピエル「!? ……おぃゾンビ、客分の癖して何勝手に俺の下僕に手ぇ出してる?」 ウピエルと弥沙子の織り成すSM的風景に腹立たしさを感じたのか、ザベルは地面に平伏す弥沙子を 容赦なく蹴り飛ばすと、その顔をコンクリートの地面に踏みつける。 突然の味方からの横槍に腹立たしさを感じたか、ウピエルはぐったりした弥沙子を尻目に、 当面の敵であるウィザードらが眼中に無いかのような剣幕でザベルに詰め寄るも、 当の本人は何の感慨もなく、胸倉を掴みかかったウピエルの手を振り払い、彼の怒りをあしらう態度を取る。
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116 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:36:23.26 ID:ug9tkiLa0 - ザベル「文句言うのは後にしやがれェ…… 道草食ってる暇がねぇってぬかしたのは手前だぜ?
下らねぇSMやって奴らに首持ってかれるのは勝手だがなァ、俺に迷惑かけんじゃねェ……って話だ」 ウピエル「ちっ…… 行くぞ!」 弥沙子「あがっ…… ウピエル様」 ウピエルが苦虫を噛み潰した表情を浮かべながらも、足下に転がる弥沙子の髪を掴んで強引に引っ張るのを 確認したザベルは、背後にスピーカーを模した姿のまま鎮座していた彼の相棒、ル・マルタに合図をする。 それと同時にル・マルタは形状を崩し、その大きな口を開いてザベル、ウピエル、そして弥沙子を一瞬の内に呑み込むと すぐさまバスケットボール大のサイズへと縮小…… 最初から何も無かったかのように、忽然と消失した。
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117 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:36:36.66 ID:ug9tkiLa0 - 変態仮面「待て……!! くそ、逃がしてしまった」
変態仮面はル・マルタの形状変化を目視すると同時に、すぐさま手元のループをワイヤーの如く張り巡らせ ザベルらがつい数秒前まで立っていた地点に跳び移るも…… 到着した頃には既に敵は逃げ果せてしまっていた。 ウィザード「だが、事件の背後にイノヴェルチ…… 連中を始めとする“連合軍”が居る事は確実になった。 ザベル・ザロックが客分になってるだけじゃ済まないな。吸血鬼の運営する組織同士が秘密裏に結託、 大規模な破壊活動を起こそうと目論んでるという…… あのリークも、真実味を増してきた。 早いとこ、凛子ちゃんや木崎さんに報告しとかないと、色々面倒なことになりかねない」 変態仮面「警察の特殊部隊か…… 私にも“とあるツテ”で心当たりがある。 正直気乗りしないというのが本音だが…… 頭を下げて、助力を頼む必要がありそうだ。 ウィザード、間違っても一人だけで突っ走り、命を散らすことだけは無いようにな。 誰かの“希望”として戦い続けたお前が、身近な人間に寄りかかって駄目な道理はない」 変態仮面の言葉に、ウィザード……晴人は頷くと、胸に手を当てて自分自身のアンダーワールド―――― かつて彼の地に鎮魂し、今は自身の命と引き換えに永遠に喪われた“希望”-ホープ-の指輪へと想いを馳せた。 ウィザード「あぁ、勿論だ…… コヨミから託されたこの命、そう簡単に燃え尽きさせてたまるか」 既に敵を取り逃してしまった、仮面の戦士二人…… 残滓の欠片すらない暗闇に取り残されながらも、 そう遠くない未来に“来るべき事態”が待ち受けていることを、その肌に感じ取るのだった。
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118 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:36:50.43 ID:ug9tkiLa0 - 110 名前:新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト:2015/04/01(水) 23:39:30
○仮面ライダーウィザード&変態仮面→都内の某廃倉庫にて、イノヴェルチの戦闘員を掃討、組織の幹部格と相見える。 ●ザベル・ザロック&ジグムント・ウピエル→量産型ヴェドゴニアを下したウィザードと変態仮面の前に出現。 ザベルとイノヴェルチのみならず、複数の吸血鬼勢力が水面下で共謀し始めている模様……
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119 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:37:02.73 ID:ug9tkiLa0 - 【今回の新規登場】
○操真晴人/仮面ライダーウィザード(仮面ライダーウィザード) 笛木奏が日食を利用してファントムを生み出すべく敢行したサバトに巻き込まれるも、絶望に抗った末に 生き延びて「魔法使い」となった青年。ウィザードリングによって様々な魔法を行使する力を持ち、 仮面ライダーウィザードへと変身して異形の存在ファントムや、それらを背後から操る黒幕・笛木奏を打ち破った。 普段は一見お調子者を装っているが、その実態は至って真面目な青年であり、その過酷な人生から 自身の過去は基本的にあまり語りたがらず、加えて本心もあまり見せない。それ故に親しい人物の危機には 感情的になって冷静さを欠きがちだったが、戦いを経て身近な人々に背を預けるようになった。
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120 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:37:21.62 ID:ug9tkiLa0 - ○色丞狂介/変態仮面(究極!!変態仮面)
警視庁捜査一課の刑事。25歳。 同じく刑事であった父親ゆずりの正義感を持つ好青年であり、高校時代には拳法部に所属。 同職の四季春夏とは結婚しており、長男の色丞狂太郎が誕生している。 女性用パンティを被ることでSM嬢の母譲りの変態の血が覚醒し、変態仮面へと変身する。 変身時においては、通常の人間が30%程度しか発揮できない潜在能力を100%発揮することができ、 父親譲りの正義の血に則り、悪に怯むことなく外道に立ち向かう。 「地獄のジェット・トレイン」「空中亀甲縛り」等、決め技は相手に精神的ダメージを与えるものが多い。
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121 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:37:34.24 ID:ug9tkiLa0 - ●ザベル・ザロック(ヴァンパイアシリーズ)
残忍さと狂気を帯びたゾンビ。オーストラリア出身。 生前は「メタルの神」と称されるほど、絶大的な人気と崇拝的な支持を集めたロック歌手だったが、 ファイナルライブにおいて100人のファンの血を抜き取って殺害し、自らも自殺。20年後、闇の帝王オゾムの手によって 闇の洗礼を受けゾンビとして復活、破壊と殺戮を繰り返す。更なる力を手に入れてオゾムへの下剋上を狙っており、 オゾムの没後はその力を吸収したジェダ・ドーマに標的を向け、その魔力を奪って「Q極ハイパーザベル」になろうと目論んだ。 狡猾で残忍な性格だが、ひたすら元気で弾けている。同じくアンデッドであるチャイニーズゴーストのレイレイに惚れており、 一方的なラブコールを送っている。 ●ル・マルタ(ヴァンパイアシリーズ) ザベルと常に行動している魔界の超獣。 冥王オゾムがザベルにつけたお目付け役だが、実はザベルの監視を目的としていた。 尤も、仕事を抜きにすればザベルとは馬が合うようで、オゾム消滅後もザベルと行動を共にしている。 人間界と魔界を行き来する能力を持ち、ザベルを飲み込んで空間移動も可能。 様々な形に変身することが可能で、ザベルが使用しているギターもル・マルタの体の一部である。
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122 :新章/妖を狩る者達 −Part2,魔法使い達の挽歌−・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:37:54.11 ID:ug9tkiLa0 - ●ジグムント・ウピエル(吸血殲鬼ヴェドゴニア)
秘密結社「イノヴェルチ」に属する吸血鬼の一人で、「ヴァンパイア三銃士」と呼ばれる内の一人。 人間だった頃はメタルロックバンド「TEPES」のリードギタリスト兼ボーカリストを務めていた経緯があり、 表向き行方知れずとなった現在においても彼の携わった楽曲はその筋で評価されている。 その本質は殺戮に美学を求めるサディストに他ならず、残虐な趣味趣向を演出するために 敵対者の周辺人物に手を伸ばす事も厭わないが、その対象となった白柳弥沙子/ストリクスに対しては 単なる玩具以外の感情を、歪みながらも少なからず抱いていたことが示唆されている。 主な獲物は、ギターと一体化したステアーAUGの改造狙撃銃「SCREAMING-BANSHEE」。 ●ストリクス/白柳弥沙子(吸血殲鬼ヴェドゴニア) かつてのヴェドゴニア/伊藤惣太の同級生にして親友だった少女。密かに惣太を慕っていたが、 良家のお嬢様という生まれ故に親から抑圧される人生を送っており、それ故に相当な鬱憤を抱えていた。 ジャーマンメタルの熱狂的なファンでもあり、それを切っ掛けに誘き出されたライブハウスにて 吸血鬼ウピエルにより惣太を利用する目的により吸血鬼化、彼の忠実な下僕にして嗜虐の対象となる。 力を得た後はそれまで抑圧されていた憎悪や欲望を開放するかのごとく、周囲の人物へと牙を剥き その過程で家族をも殺害、最終的にはウピエル共々惣太の前に立ちはだかった。 ●量産型ヴェドゴニア(吸血殲鬼ヴェドゴニア・漫画版) 秘密結社「イノヴェルチ」に属する吸血鬼ナハツェーラーが、かつてサンプルとして捕獲した 伊藤惣太/ヴェドゴニアのデータを基に製造まで漕ぎ着けた、量産型の吸血鬼兵士。 なお、原作における「ヴェドゴニア」自体はあくまで吸血鬼になりつつある過渡期の人間の状態に過ぎず、 より厳密に解釈するならば、“ロード・ヴァンパイア”リァノーンにより吸血された眷属たる惣太の 戦闘能力を模したコピーであると推察される。
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123 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:38:33.43 ID:ug9tkiLa0 - ま…… 知ってるヤツが多かろーが少なかろうが、どうでもいいことだが
僕の名は岸辺露伴…… 漫画家だ。 以前、僕は【ピンクダークの少年】という作品を、少年ジャンプに連載していた事があり…… (あの傑作を読んでないからって編集部に電話するのはやめてくれ) あれは、そうだな…… 【ピンクダークの少年】の第三部が終了し、それから第四部の連載を描き始めてから 幾らぐらい経った頃だったかな? ひょっとしたら、第五部か第六部が終わった辺りだったかも…… まぁそんなのは些細なことだ。気にする必要性は欠片も感じないな。 ◆ ◆ ◆ ◆
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124 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:38:46.68 ID:ug9tkiLa0 - 当時、僕は【ピンクダークの少年】とは別に「読み切り」を描く事となり、
それのストーリーを練る為の取材として、杜王町より離れた山梨県の青木ヶ原樹海…… 所謂、“富士の樹海”へと足を運んでいた。 何故かって……? それは勿論、『面白い漫画』を描く為に決まっているだろう。 『面白い漫画』…… 別に漫画に限った事ではなかろうが、面白いものを描く為に不可欠なもの。 それは『リアリティ』だ。 『リアリティ』こそが生命-いのち-に生命を吹き込むエネルギーであり、 『リアリティ』こそがエンターテイメントなのだ。 『漫画』とは、想像や空想で描かれていると思われがちだが…… それは全く違う。 自分の見た事や体験した事、感動した事を書いてこそ面白くなるんだ。
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125 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:38:58.98 ID:ug9tkiLa0 - ……だからこそ、僕は「読み切り」の構想を練る為、こうして富士の樹海へと足を運んだのだ。
大変かって? そりゃあ楽じゃない。だが、この岸辺露伴が漫画を描くのには理由がある。 金や名誉? そんなものはどうでもいい。僕が漫画を描くのは『読んでもらうため』だ。 『読んでもらうため』、ただそれだけの単純な理由だが、正直他はどうでもいい。 そして、僕は『読んでもらうため』、毎日毎日『リアリティ』のある題材-ネタ-を探し続けている。 いつも原稿を完成し終わるとイイ気分になる…… 誰でも仕事が終わると気分がいいものだ。 自分で筆を進めずとも漫画が勝手に描かれていく…… そんな事が起きれば、僕にはむしろ 耐え難い苦痛でしかないだろう。 前に一度、実際にそのような「筆を進めずとも勝手に漫画が描かれていく」といった能力で 描かれた漫画の解説をした事があったが…… あれはもはや漫画じゃないだろう。 ちきしょー、思い出しただけでもムカつくな〜! 未来に起こる「事実」を写すだけの漫画なんて 漫画じゃあない! 子供の絵日記と同じレベルだ! このドグサレがぁ! 集英社もよくあんな本の解説を、天才である岸辺露伴にさせようとしたのか、未だに腹が立つ。
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126 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:39:10.82 ID:ug9tkiLa0 - ……話が脱線してしまった。少し落ち着こう。
兎に角、僕にとって漫画の描けない人生など考えられないという事だ。 仮に、十数年前の「JUDGES-ジャッジス-」の時のような世界規模の異変が起こり、世界中の漫画家が 筆を折っても、僕は漫画を描き続けるだろう。断言できる。 そんな訳で、僕は『リアリティ』を追い求め、富士の樹海を歩き続けていたのだ。 歩き続けて四十分くらい経過した頃、僕の視界に、何やら妙な影が映った。 露伴「……これは」
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127 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:39:30.11 ID:ug9tkiLa0 - 僕の目に写りこんだ影…… それは、木の枝に繋がった縄に首を括った、自殺者の腐乱死体だった。
縄からぶら下がった死体にはハエやウジが湧いており、顔や手首に至っては既に原形を留めておらず、 指先からは骨が見え、眼窩は既に空となっていた。 この気温だしな…… 見た感じ、完全に死亡してから数日って所だろうか…… 世の中には、例え生きていきたくても、不本意にその生涯を閉じてしまった者も数多い。 ……「彼女」が、そうだったようにな。 僕は、この亡骸ではないから、彼が何故に自らの命を絶つ事を選んだのかは知る事はできない。 だが…… 自らの生涯を全うできずに命を落とす人々が多いこの世界で、 彼がこうやって腐乱死体を晒してまで自殺を選んだ理由…… 彼なりの「信念」故に死を望んだのか、 あるいは、他殺同然に自殺にまで追い込まれたか…… 流石に深読みしすぎだろうか。 ―――その時、僕の周囲から、草木をガサガサ掻き分けるような物音が聞こえてきた。
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129 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:39:48.69 ID:ug9tkiLa0 - 露伴「……!?」
――――当時僕は、とある「都市伝説」を耳にした事があった。 何でも富士の樹海に、時空クレヴァスを通ってこの世界に流れ着いた怪物達が、 数多の自殺者の怨念渦巻く樹海の環境に適応し、群れを形成しているとの内容だった。 そして、樹海に探検気分で迷い込んだ遭難者や自殺者を見つけると、怪物の群れが取り囲み、 逃げ道を失った獲物を、そのまま喰らってしまう…… との事だった。 何故、富士の樹海に異世界の怪物が集まるのかと、話を言った奴に聞いたところ…… 自殺願望を持った人間は、昔から妖怪の大好物であり、妖怪はそういった人間を狙って 異界から現世に穴を開けて現れ、攫ってしまう…… という伝説があったらしい。 ……だから、自殺者が多い富士の樹海には、そういった異界の穴が非常に多く、 そこに結果的に時空クレヴァスが繋がり易くなり、異界の怪物が多く流れ着いた…… と、 この話を僕に聞かせた奴は、そう答えていた。 正直言うと、僕が漫画の構想を練る為に樹海に来たのも、その噂を聞いた事が一因である事は また否定しようのない事実であった。 事実、この世界は色々調べ尽くされたようで、実際にはまだまだ未知なる存在が眠っている。 僕が耳にした事がある噂だけでも、結構数多い。 明治に絶滅したと言われている日本狼が、まだ何処かで生き残っているとか…… 日本アルプスに挑んだK大山岳部のメンバーが、遭難者の捜索中に“雪男”を見たとか…… アフリカのジャングルにて、少女のターザンが人食い土人を蹴散らしたとか…… 他にも聞かれれば、まだまだ挙げる事は出来る。 兎にも角にも、僕はこれから「読み切り」を執筆する為にも、この富士の樹海を歩いて 何か「刺激」を受けて、その『リアリティ』を元に構想を立てようと思った訳だ。
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130 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:40:00.98 ID:ug9tkiLa0 - ただ、正直言うと――――
ウオオオ―――― ……狼の遠吠えらしき、それでいて人間の唸り声めいた叫び。 ヌチュ…… ヌチュ…… ヌチュ…… ……生理的な不快感を煽る、粘液質の滴る音。 ギャオオオオ!! ……そして、獣の様でありながら、僕の知るどの動物のものでもない、耳障りな咆吼。
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131 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:40:14.02 ID:ug9tkiLa0 - ――――正直な意見、今回は我ながら、流石に不用心だったかもしれない。
異様な音に僕が気付いた時、既に周囲は噂の「異世界の怪物」共が大挙して取り囲んでいた。 狼男、赤い巨大ナメクジ、太古の剣竜、ファンタジー小説に出てきそうな巨人…… (後に、そいつらが元々の世界において人狼、毒液獣、トリケプス、 オーガバトラーと呼ばれる種のモンスターである事を知った) 十数匹はいるであろう怪物達の群れは、どいつもこいつも揃い、僕と、その傍らの腐乱死体を凝視していた。 ……よーするに、僕とこのホトケさんは、彼らにとって絶好の夕食という事だろう。
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134 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:40:34.88 ID:ug9tkiLa0 - 人狼「ウオオオ――――」
毒液獣「ヌチュ…… ヌチュ…… ヌチュ……」 トリケプス「ブルルルル……」 オーガバトラー「ギャオオオオ!!」 ……怪物どもは、口から涎を垂れ流しながら、猛然と僕に襲いかかって来た!!
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135 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:40:51.03 ID:ug9tkiLa0 - 露伴「くそ…… 『ヘブンズ・ドア―――ッ!!』」
そう言いつつも、僕は自らが操るスタンド【天国への扉-ヘブンズ・ドアー-】を抜き放ち、身構えると 結果的に、猛進してくる怪物どもを迎え撃つ体勢を構える事となった。 ◇ ◇ ◇ ◇
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136 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:41:30.81 ID:ug9tkiLa0 - >>12
――――ここで一度、岸辺露伴先生の視点から離れよう。 露伴先生が青木ヶ原の樹海を彷徨っていたのと時を同じくし、また別の地点において 二人組の男女が道らしい獣道すら存在しない、草や枝木の茂った地面をかき分けながら歩を進める姿があった。 ……ここに傍観者がいれば気付いたであろうが、この二人、歩くには劣悪としか言いようのない悪路を歩みながらも 足音を殆ど立てていない。ただでさえ、異界由縁の怪物の出没が懸念されてるこの地を往くのなら 至極理に適ってはいるが…… それを難なく、まるで呼吸をするかの如く実行できている点に着目できれば 彼らが普通の一般人ではなく、その道を征く業界の人間であることは一目瞭然だ。 その超人めいた動作の様は、まるで古代の日本を暴力と恐怖で支配したという伝説が残る半神的存在、 “忍者”-ニンジャ-を連想させるには十分すぎるものだろう。 二人組の男の方は見た目、金髪碧眼の西洋人であり、ブロンドの長髪を棚引かせている。 ジーンズとタンクトップで身を固め、ジャケットを羽織って袖を捲っている90年代流行りのスタイルだ。 齢の頃は見た所、30代半ば。厚手の服に身を包みながらも、その鍛え上げられた筋骨が分かる 逞しい身体つきの男性であったが…… 気のせいか、その顔色は血色の悪さを伺わせる。 一方、女の方は東洋-アジア-系…… 日本人の様であり、こちらはカットソーにベストを羽織り、ボトムスはスカートを着用している。 長い髪は後ろでロングテール風に束ね、活動しやすいように一本に纏めてる様であった。 見た所は結構な…… というより、平均的に観ても非常に均整の取れた顔立ち、スタイルも上々と 文句なしの“美人”と形容できる女性であり、齢の頃は男と同じくらい、30ちょっとといったところか。
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137 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:41:48.22 ID:ug9tkiLa0 - >>74
この一組の男女…… 男の方は、かつてサウスタウンの支配者ギース・ハワードや、 裏世界を牛耳る闇の帝王ヴォルフガング・クラウザー、百鬼衆を従え全世界を手中に収めようとした武帝王…… それらを始めとする数多の強敵と戦い、仲間たちと共に勝利を収めてきた骨法使いの格闘家にして、 テリー・ボガードの義理の弟、名はアンディ・ボガードと言った。 そして女の方は、不知火流忍術の伝承者にして、アンディに惚れ込んで彼と共に戦いに身を投じ、 前述のクラウザー、武帝王等の強敵とも戦い抜いた女忍者、不知火舞であった。 二人は青木ヶ原の入り組んだ樹海の中を、殆ど迷わずに歩を進めてゆく。 それもその筈、かつてこの青木ヶ原には、舞の実の祖父であり、アンディの武術の師である 不知火半蔵が住んでおり、二人もこの地において修行した身であった。 半蔵の生前にはテリー・ボガードや東丈も彼の住居に世話になった事もあり、 不知火と敵対する忍者勢力の襲撃に対し、共同戦線を取った事も、既に懐かしい記憶だ。 ……と、その二人の視界に、何やら巨大な「影」が映る。
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138 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:42:06.14 ID:ug9tkiLa0 - アンディ「………!」
舞「あれは……?」 影の正体…… それは、“巨大な熊”であった。 その大きさは半端ではなく、全高は成人を迎えた人間の3〜4倍ぐらいはあるだろう。 見た感じ、日本在来種であるヒグマやツキノワグマ等とは明確に異なる種であり、 少なくとも樹海にこんな熊が生息しているという話は、アンディも舞も初耳である。 片手には登山杖の様な形状をした木の棒を握り、それで巨体を支えながら、 熊はドス、ドス、と足音を響かせ、アンディと舞の立っている方面に近づいてゆき…… 大熊「………」
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139 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:42:22.95 ID:ug9tkiLa0 - ―――身構えている二人に対し、頭を軽く下げて会釈した。
舞「あ、どうも……」 舞とアンディはそれにつられ、無意識のうちに会釈を返した。 大熊「………」 大熊は二人のその動作を確認したかのように、そのまま二人の横を通り過ぎて去ってゆく。
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140 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:42:44.14 ID:ug9tkiLa0 - アンディ「……初めて見たな。昔ここで修行した頃には、あんな熊は見かけなかったが……」
舞「……うん、私も知らなかったし、おじいちゃんからも聞いた事はなかった。 恐らく、あの熊は――――」 ――――舞がそこまで言いかけた次の瞬間、頭上より、木の枝の軋む音が僅かに響く。 舞&アンディ「………!」 それに反応した両者は、即座に臨戦態勢に構えを取り、“第三者”の気配を探る。 舞「……そこっ!」 そして、その気配の元を察知した舞は、胸元から扇子を取り出して開き、その気配目掛けて フリスビーの如く撃ち放った。舞の技の一つ「花蝶扇」である。 放たれた扇子は、何やら硬い物体にヒットした事を示す、乾いた音を上げて停止する。 舞とアンディが気配の元…… 樹海の木々の上を見ると、そこには一人の人物が枝の上に立っていた。 その人物は、腕、顔に夥しい傷跡を残した男性であり、その眼光は鋭く、 背には無数のシューティングスターが描かれたギターケースを背負っていた。 アンディ「……延道断、久しぶりだな」 ジ・エンド「アンディ…… 言っちゃ悪いが、体調やっぱ悪そうだな」
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141 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:43:02.89 ID:ug9tkiLa0 - 頭上に陣取る男からの返答に、アンディはその血色の悪い顔を曇らせる他無かった。
無論、男に悪気があってのことではない…… 純粋にアンディの身の事を案じての発言ではあるのだろう。 ……無論、それでもアンディが“闘争”に身を置く選択をした事は、命の灯火が消えかかりつつある今でも 後悔は微塵もしていなかった。無論、それは男…… 延道断も承知の上なのだろう。 ジ・エンド…… 本名を延道 断-えんどう だん-と言う、一人の漫画家である。
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142 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:43:31.00 ID:ug9tkiLa0 - かつては、人気や惰性だけで続いている内容の薄い漫画の最終回を勝手に描き、無理矢理
連載を終了させる連載終了請負人「ジ・エンド」として恐れられた人物であり、それと同時に、 テロリストや旧ロシア…… 現ソビエト連邦の元精鋭部隊へと単身突入し、壊滅させる程の凄まじい 戦闘能力を持ち、世界のパワーバランスをたった一人で揺るがす男としても、また恐れられていた。 その後、日本中の漫画界の変革に合わせ、自らも本名の「延道 断」で漫画家としてデビュー。 一時期はライバルであるコミックマスターJの描いた究極の漫画「JUDGES」を見て一時連載を 中断するも、「JUDGES」が発端となって壊滅状態となった世界を駆け、三年かけて戦争を 引き起こした世界中のテロ組織を壊滅させ、漫画出版集団CLUBと協力し、狂信集団SOMを ほぼ壊滅状態に追い込む事に成功した。 また、それらの戦いと時を同じくして、世界規模で暴れまわっていた数多の悪の勢力…… 現在のDショッカーの前身となった秘密結社ショッカー…… 一年戦争を巻き起こしたジオン公国…… 地球圏に騒乱を引き起こしたそれらとの戦いにおいても、ヒーロー達や各防衛軍などと協力し、 世界を駆けて戦い続けていたとも言われている。 そして、CLUBとSOMの決戦…… 歴史の教科書などで「復活の戦い」と記される戦いの決着から 十数年が経過し、驚異的な速度で世界が復興を成し遂げた現在は、再び漫画家「延道 断」として 複数誌を跨いで活動しており、少年漫画界のベテランとしてその名を大きく馳せている。 現在は上述の「ジ・エンド」としての活動を行う機会は少なくなったが、その比類なき戦闘能力は 「復活の戦い」より十数年を経た現在でも全く衰えを見せず、漫画家として活動する傍ら、 新西暦189年の現在においても数多の悪の勢力に対しての戦いは継続していた。 アンディや舞…… そして生前の不知火半蔵らとは、その闘争の中で面識を持つに至った間柄である。
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143 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:43:56.08 ID:ug9tkiLa0 - ジ・エンド「……よっと」
ジ・エンドは、高所の木の枝から、地面に難なく飛び降りると、合成樹脂製と思しき 三角定規に刺さったままの舞の扇子を、彼女に差し出す。 ジ・エンド「よぅ、舞も久しぶりだな。もうあの装束は着ねぇのか?」 ……ジ・エンドが言っているのは、彼女が戦闘時に着用している肌の露出の多い装束の事であろう。 舞「……あのカッコーで、電車や飛行機に乗る人がいますか!?///」 舞は顔を真っ赤にしながら、ジ・エンドの持っていた定規から扇子を引き抜く。 ジ・エンド「冗談だ、流石にお前もさんじゅ―― ……いや、“いい年齢-トシ-”だしな。 それはいいとして、アンディ……」 そう告げると、齢に触れられて膨れっ面の舞を尻目に、ジ・エンドは自分の前髪を手で寄せ上げると アンディと自身の額を密着させ、彼の体温を直に感じ取る。 ――――素肌越しに伝わったアンディの“熱”は、決して温かいと言えるものではなかった。
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144 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:44:21.15 ID:ug9tkiLa0 - ジ・エンド「……いいのか? 本当なら今こんなとこに突っ立ってる時間だって、お前にゃ惜しい筈だ。
今からでも遅くねぇぜ。他の連中に早急に連絡を取ることだって……」 心配そうな面持ちで目線を合わせるジ・エンドに対し、アンディは視線を伏せながらも、 確固たる意思を伴った力強い、それでいて今にも途切れそうな声色で彼に返事をした。 アンディ「延道さん、その答えは貴方ならば、なら言わずとも分かっている筈です。 俺に残された時間は、決して長い物ではありません…… だがそれでも、“やるべきこと”を成すまでは、決して無駄な時を過ごす様な真似はしない」 舞「……アンディ」 アンディ「今、俺がここに立っているのは、他でもない、俺自身の意思…… うっ!」 ――――突如、アンディがその顔色を一層悪くすると、喉を抑えて強く咳き込む。 口元を抑えた彼の掌からは、僅かながら吐血らしきものが唾液と共に滲み出ていた。 アンディ「ごふっ……!! ゴホッ、ゴホッ……」 舞「アンディ!!」 その表情を引き攣らせた舞がアンディに駆け寄り、その身体を支え、 少しでも身体の痛みを和らげようと背をさするが、彼の顔色は一向に良くなる気配は無かった。 ……それでも、男はその眼の輝きを曇らせはせず、震える身体を何とか立て直し、ジ・エンドに向き合う。 ジ・エンド「お前の病状は聞いた…… もう、臓物-はらわた-が手の施しようのねぇ状態だってな。 再生治療すら手遅れだとか、何の冗談だ…… そもそも俺は、舞にしか話を寄越さなかったはずだ。 にも拘わらず、手前はそんな死人目前の状態で、わざわざ死地に赴こうってのか……?」
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145 :新章/外伝 岸辺露伴は動かない -青木ヶ原の伝説-・SSテスト[]:2016/10/23(日) 13:44:40.45 ID:ug9tkiLa0 - 舞に身体を支えられたアンディは、僅かながら腐臭のする血液を垂らしながらも、その口元に無理やり笑みを浮かべて答える。
アンディ「――――延道さん、作家としての生涯に命を懸けているなら、どうか俺の立場も理解して下さい。 この森は、俺と舞、そしせ先生にとって掛け替えのない思い出が眠る地…… 例え命の灯火が、明日消える身だろうとも、目の前の戦いから退くつもりは毛頭ない。 漫画バカの貴方と何も変わりない…… 俺も、所詮“バカ”に違いないのです」 自身の身体が限界をとうに越していることを理解しながらも、残された自分自身の人生の“用途”を 既に覚悟した男の眼差しを理解し、ジ・エンドも流石にアンディの意を汲むことを認めざるを得なかった。 ジ・エンド「……分かった。俺も手前みてぇな連中は50過ぎの人生の中で、数えんのも嫌になるくらい見てきたしな。 どうせ人間、遅かれ早かれ皆いつかはお陀仏だ…… だがな、少なくともアンディ、 お前の生き様がただの“無謀”に終わるような真似は絶対にすんなよ」 アンディ「ありがとう…… ごほっ、ごほっ!!」 再び咳き込み、地面に血を垂らすアンディを支えながらも、舞にはふと一つの疑問を抱き、ジ・エンドに問う。 舞「ところで断さん…… さっきの熊はやっぱり……」 ジ・エンド「あぁ…… お前の考えてるとおりだぜ。時空クレヴァスから漂着して樹海に居着いた系列だ。 数日前にトアールに行って、“ネギ熊”っつー主婦に聞いたから間違いねえ。 異世界か未来世界かは不明瞭だが…… 「サクラ王国」という国の原住生物らしい。 害は無いらしいが…… “一礼”しないとその場に一時間正座させられるとも聞いた」 舞とアンディはその事実を聞き、大きな不安を禁じ得なかった。
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