- 新井の21球
49 :(38/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:51:15.69 ID:qlf8ZFSW - 「新井、何しとんじゃ、はよう行かんかい」
.
|
- 新井の21球
50 :(39/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:51:43.99 ID:qlf8ZFSW - 「言うなァァァァァ!」
新井は絶叫した。7回裏のベンチ、満員の甲子園。相手は首位巨人。7回裏、点差は1点。1アウト、2塁ランナー…新井は絶叫した。 「黙れェ!黙れ!黙れェェェェ!言うなァァァァァ!!」 新井の突然の絶叫に、阪神ベンチは凍りつく。新井はほんの少しだけ、我に帰る。これは…金本の声なのだ。新井は慌てて金本を見る。 金本は、突然の新井の暴言に驚いていた。当然だろう。他の誰もが驚いている…新井らしくない台詞でもあり、相手は金本でもある… 「ああ…あ…」 新井は声を絞り出す。しかし言葉にならない。言葉が出ない。どうなってしまうのか?この場はどうなってしまうのか?
|
- 新井の21球
51 :(40/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:52:16.08 ID:qlf8ZFSW - わ…われェ!何いちびっとるんや!!」
激高したのは金本ではなかった。和田監督の傍らに居た有田ヘッドが、凄まじい憤怒の表情を浮かべ新井に詰め寄って来る。 「待って下さい、違うんです、自分が悪いんです、有田さん、悪いのは自分です」 阪神ベンチの誰もが凍りつく中。唯一、激高して新井に殴りかからんとする有田を押し止めたのは、他ならぬ金本だった。 「何が悪いんや!ふざけるな!先輩に向かって貴様、なんちゅう口利きさらす!このクソが!ボケが!」 「有田さん!悪いのは自分です!いつも面白半分新井をいじってるから!新井、いや新井君、すまん!有田さん!新井君は疲れてます!」 「ろくすっぽ打てもせん癖に!新井貴様何様のつもりや、どの面下げてゆうとるんや!」 「打てないのは自分も一緒です!やめて下さい!新井君は一生懸命やってる!それは自分が一番良く知っています!」 「やかましいわ!こんなカスみたいな奴は阪神には要らん!」 「聞き捨てならん!今のは取り消せ!あんたに新井の何が解るんじゃ!」 茫然自失、身動きも出来ない新井の両眼から、茫々と涙が溢れた。どうしてこうなってしまったのか…自分のせいだ。自分が悪いのに…
|
- 新井の21球
53 :(41/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:52:38.47 ID:qlf8ZFSW - 金本を振り払おうと暴れる有田。必死にしがみつく金本。誰も動けない阪神ベンチ。
激高した有田の右腕が自由になる。その拳が、金本に向かって伸びる。金本はそれを振り払う…バランスを崩した有田は、ベンチと フィールドを分ける、コンクリートの壁に頭から突っ込んで行く… 鈍く、酷い音がベンチに響いた。 「有田さん」 ようやく、動く事が出来た片岡が、ベンチの地面に倒れて動かない有田に近づく。 「有田さん…有田さん?有田さん!」 倒れた有田の頭部から、赤い液体がベンチの地面に広がって行く… 「なんちゅう事を…」 金本は呟き、ベンチに崩れ落ちる。
|
- 新井の21球
54 :(42/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:53:03.47 ID:qlf8ZFSW - 「うわああああああああああ!」
新井は目を見開いて絶叫し、頭を掻き毟り…ベンチ裏へと駆け出す。 「新井!」 和田監督が新井を止めようと手を伸ばすが、新井は間一髪それをすり抜けてしまった。ベンチ裏で呆然としているスタッフの合間を 駆け抜け、新井はベンチ裏の扉に体当たりする。 破砕音と共に、扉の蝶番が砕け、扉が吹き飛ぶ。扉の向こうは、甲子園からの脱出路である廊下に繋がっている。 しかし、そこに広がっていたのは漆黒の宇宙空間だった。地面も重力も無いその空間に、新井は回転しながら吸い込まれて行った。
|
- 新井の21球
55 :(43/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:53:36.50 ID:qlf8ZFSW - 新井は。埃の煙たい臭いに鼻をくすぐられ、飛び起きた。
甲子園の一塁側のベンチの床。新井はそこに横たわっていたらしい。ぼんやりと周囲を見つめる新井…無人のベンチ。音の無い甲子園。 ベンチの外には青空が広がっている。人の声は全く無い。ただ、風の音だけが聞こえて来る。 新井は今自分が寝ていたベンチの床を見る。新井が寝ていた形のままを残して、床にはかなりの埃が降り積もっている。よく見れば 自分の身体も埃だらけだ。椅子にもどこにも、夥しい量の埃が積もっている。 新井はとりあえず、自分の身体の埃を払う。静かだ。辺りには全く音が無い。空は青く高い。芝は青く綺麗に仕上がっている。けれども 人の気配は全く無い。何年も何年も、無人だったかのような、ベンチの埃。
|
- 新井の21球
56 :(44/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:54:26.88 ID:qlf8ZFSW - とりあえず、フィールドに出る新井。巨人も居ない。観客も居ない。勿論阪神ナインも居ないしスタッフも居ない。ただ、完璧に整備
された阪神甲子園球場だけがそこにある。 よく見れば、フィールド以外はどこも廃墟のように荒れている。フェンスはあちこちひび割れ、客席の一部は瓦礫と化し、バックスクリーンも 荒廃し、フェンスの一部は崩れかかっている。 新井はホームベース付近に歩み寄る。バッターボックスは綺麗に残っているし、内野はたった今トンボ掛けが終わったかのように整って いる。そして美しい芝生…これは阪神園芸の仕事だ。しかしそのプロ集団の姿もどこにも無い。 とりあえず、バッターボックスに立つ新井。バットを持たないまま構え、スイングしてみる。物足りない。ベンチを見ると。一本だけ バットが、バット立てに置いてある。 新井はベンチに戻り、バットを取り、他の道具を探す。内野用グローブが一つと、ボールが3個見つかった。
|
- 新井の21球
57 :(45/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:54:51.53 ID:qlf8ZFSW - もう一度バッターボックスに立つ新井。バットを構え、スイングしてみる。物足りない。そこでマウンドに立つ内海を想像してみる。
内海がサインを確認している。そして一瞬、投手をにらみつける自分を見て薄笑いを浮かべる。リリース。よく切れるチェンジアップ。 新井のバットが空を切る。なに、まだ1ストライクだ。 バットを構える。さあ来い。次はなんだろう。意表をついて、内角高めのストレート?スイング。ファールだ。追い込まれた。 二球で追い込まれた。ファンの溜息が聞こえるようだ。ちらほらと、野次も飛び始める。 三球目は外角低め、ストライクゾーンから逃げて行く変化球だ。これを、こう。あの頃のように傾いて。新井は力一杯にバットを振りぬく。 眩しい青空に目を細め、レフトスタンドを見つめる新井。 「やっぱり、打たないと感じが出ないな」
|
- 新井の21球
58 :(46/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:55:13.15 ID:qlf8ZFSW - 「2アウト満塁。ピッチャー新井、セットポジションから第一球…」
新井はマウンドに立ち、天高くボールを投げる。と、同時にバッターボックスへと走り、バットを拾い上げ、構える。 「四番新井…打ち上げたー!!」 落下して来るボールを、さらに高く打ち上げた新井は、バットを捨て、グラブを拾いながら打球を追い三塁方向へと走る。 「サード新井!追いつくか!追いつくか!」 三塁後方の深い所へ落ちる、高い高いフライに向け、新井は飛び込む。間一髪、白球は地面に落ちる前に、グラブに掬い捕られた。 「やりました〜!サード新井の超ファインプレー!!」 新井は満面の笑みでそう叫びながら、グラウンドを転げ回る。 7回半も回った所でようやく立ち上がった新井は、グラブをまたホーム付近に置きに行く。 「ピッチャー新井も一安心です!」 朗らかに笑いながら、新井はまた白球を手にマウンドへと駆けて行く。
|
- 新井の21球
59 :(47/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:55:33.06 ID:qlf8ZFSW - どれだけの時間が経ったのか。一人野球も一人主審も一人実況解説も、一人監督も十分に楽しんだ。新井はレフト定位置に佇み、
ライト側に沈み行く西日を眺めていた。もうすぐ、甲子園に少し早めの日が暮れる。今日の夕焼けは妙に赤い。 新井は暫く立ち尽くしていたが、もう一度一人野球がしたくなり、バッターボックスへと走り出した。外野から内野へ、そしてホームへ。 そして新井は、そこに置かれていた白球を手に取る。 拾い上げようと伸ばした、新井のその指先で。いつの間にかボロボロに風化していた公式球の皮が、粉々になって砕けた。 それでも新井は球を拾い上げる。皮だけではない。芯材も…まるで何百年も経っていたかのように。砂団子のように簡単に割れてしまった。 新井はバットも拾い上げる。こちらも似たような物だった。何百年も前の木材のように、乾いてひび割れている。もう野球には使えない。 レフト側を僅かに照らしていた日差しも消えていた。新井は、ゆっくりと一塁ベンチへと歩いて行く。
|
- 新井の21球
60 :(48/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:55:56.44 ID:qlf8ZFSW - ベンチは相変わらず埃だらけだ。新井はベンチ裏を覗く。そこも荒廃していた。全ての物が何百年も放置されていたかのように、錆びつき、
崩れかけ、腐食している。しかし何故か、新井のロッカーだけが何ともなっていない。 新井はロッカーを開け、ウインドブレーカーとタオルを取り出す。これも前に掛けた時のままのように見えた。 ベンチに戻った新井は、タオルで後列のベンチの埃を払う。五、六席くらい…このくらい掃えばいいだろう。それから一度ベンチを出て、 タオルについた埃をはたいて落とす。そして、汚れていない面を上にして丁寧に折りたたむ。 再びベンチに戻った新井は、畳んだタオルを、拭いたベンチの端の方に置き、それを枕にして、仰向けに真っ直ぐ横たわる。風邪を引くと いけないので、ウインドブレーカーをお腹に掛けるのも忘れない。 甲子園の日が暮れて行く。新井は暫くベンチの天井を見上げていたが、やがて目を閉じ、すやすやと眠りにつく。
|
- 新井の21球
61 :(49/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:56:22.71 ID:qlf8ZFSW - 「新井、何しとんじゃ、はよう行かんかい」
金本の声に、新井は目を開け、顔を上げる。新井はきちんとベンチに座っていた。歓声が聞こえる。 「すみません!今行きます!」 新井は元気良く応えて立ち上がり、バットを手にネクストバターズサークルへと走る。 満員の甲子園。相手は首位巨人。7回裏、点差は1点。1アウト、2塁ランナーは大和、打席には鳥谷。 巨人先発内海が放ったチェンジアップは、外角低め一杯を突き、阿部のミットに納まったかのように見えた。 しかし橘高の腕は上がらない。四球が宣告され、内海は不満げに舌打ちする。阿部はたいして気にもせず、ボールを返す。 鳥谷は仏頂面で一塁へと小走りに駆ける。 「1アウト、1、2塁だ。頑張るぞ」新井はにこにこと微笑みながらそう呟くと、足取り軽く右打席へ向かう。
|
- 新井の21球
62 :(50/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:56:55.56 ID:qlf8ZFSW - 1アウト、1、2塁。点差は1点。新井は心の中で何度も反芻する。1アウト、1、2塁。点差は1点。
「頼むぞー!!新井ー!」 一塁側スタンドで一人のファンが絶叫する。新井は、声がした方を向いて、笑顔で二度頷いた。 新井はバットを構え、マウンドと正対する。内海はよく知っている。何度となく対戦しているし、選手会で共に働く仲だ。 内海は素晴らしいピッチャーだ。そんな内海と沢山対戦出来る自分は幸せ者だ。新井は、思わず内海に微笑みかける。 調子を崩された内海は、一旦プレートを外す。 「あ、悪い事しちゃった…そうだ」 新井はつぶやき、バットを…右中間方向に向け、ピタリと指し示す。客席からどよめきが起こる。 拍子抜けに狂わされた内海の表情に険しさが戻る。観客の声援、どよめき、野次が激しさを増す。これでいい。新井はそう思った。 これなら、例えばライト側で新井ラーメンを食べている阪神ファンの少年も、一旦食べるのを止めて打席に注目するだろう
|
- 新井の21球
63 :(51/57) 15球[]:2013/02/09(土) 05:57:26.43 ID:qlf8ZFSW - 内海が再びセットポジションに入る前に。新井は素振りをする。内角低めの一点を、殺気すら篭るような鋭いフルスイングで、二回。
険しい表情を浮かべていた内海の眉間の皺が、一瞬消えた。よしよし。新井は心中頷く。 内海も阿部も海千山千のベテランだ。もう一球目に内角低めのストレートは来ないだろう。これでズルも無し、正々堂々の勝負だ。 内海がセットポジションから、クイックで投球する。一球目。外角低めの隅をつくチェンジアップ。いい球だ。新井は手が出せなかった。 しかし橘高の腕は上がらない。コールはボール。新井の視界に、一瞬うんざりして首を振る阿部が目に入る。 何の事は無い。今日の橘高は内にボール二個分くらいズレているのだ。左右関係なく内にズレている。阿部も苦労しているだろう。
|
- 新井の21球
64 :(52/57) 18球[]:2013/02/09(土) 05:58:18.96 ID:qlf8ZFSW - 新井は一二塁間を見る。自分のホームラン予告に関わらず、特に長打は警戒していないようだ。いつも通りのゲッツーシフトである。
まあ、シフトなど関係ない。スタンドまで飛ばしてしまえばいいのだ。 二球目。また外角低め。今度はシュートだ。今まで内海にシュートはなかったように思う。新井は感心して微笑む。内海は進化している。 だがこれは橘高でなくてもボールだ。 三球目。今度は内角高めに来た。これは釣り球と解っていても手を出さずにはいられなかった。どうにかカットした打球は三塁側 ファールグラウンドを転がる。これで2-1、バッティングカウントだ。 四球目の前のサイン交換で、内海は三度首を振った。何を仕掛けて来るんだろう。新井は喜びに震えた。
|
- 新井の21球
66 :(53/57) 20球[]:2013/02/09(土) 05:58:56.40 ID:qlf8ZFSW - 四球目は内角やや低めに来た。しかし今の新井には余裕があった。これは罠だ。新井は動きかけたバットを止める。
案の定、それは内海が去年から投げているフォークだった。低く外れたボールに、新井は安堵した。しかし。 「ストライク!!」 橘高のコールはストライクだった。新井は…こみあげる笑いを必死に堪える。勘弁して欲しい。笑ったら笑ったで大事になる。 しかし、笑ってもいられない。これで2-2、追い込まれてしまった。 五球目。内海の球はストレート。しかしこれはコントロールミスか。あからさまなストレートでありながら、外角中央、明らかに外れと いうコースに、だらしなく収まる。新井は余裕をもって見送る。
|
- 新井の21球
67 :(54/57) 20球[]:2013/02/09(土) 05:59:27.95 ID:qlf8ZFSW - 新井は阿部が返球する刹那の時間に、これまでの事を振り返っていた。
おかしな夢を見た。たくさん。夢を見るのは自分だが、見せたのも自分に違いない。それにしても、こんな夢を見るとは。 内海がロージンをつけなおしている。さっきのストレートは滑ったのだろうか。新井は打席から、阪神甲子園球場を見渡す。 絶景だ。ここは高い高い、山の頂上だ…阪神巨人戦、七回裏1アウト1、2塁。この頂上に立てる人間がどれだけ居るか。 登山家が山を神と結びつけて語る事がある。野球家たまに言う。野球の神様は居ると。 新井は気を引き締める。小細工は無しだ。内海を信じよう。あいつはこの場面でくそボールを投げつけて来るような男ではないと。 次は振る。一球で決める。多少外れた球でも喰らいついてやる。 見せてやろう。 新井貴浩という男の、最高の仕事を。
|
- 新井の21球
68 :(55/57) 21球[]:2013/02/09(土) 06:00:11.61 ID:qlf8ZFSW - 慎重にサインを覗き込む内海が、二度首を振る。
新井は密かに口角を上げる。ストレートを投げたいのか?しかし今日の橘高に外は使えないぞ?内で来るか?度胸だけは褒めてやろう。 三度目で頷いた内海がセットポジションに入る。さあ来い、内海。 歓声が高まる。それは波動となって、心臓を揺さぶり、打者の鼓動をも高めてくれる。たまらない。これが甲子園だ。 鋭いクイックモーションから。六球目。ついに新井の二十一球目が放たれた。 新井の目には。全てが止まって見えた。内海のクイック。リリースされる白球。煙るロージン。 白球の回転、軌道。外か。外のストレートで来たか。受けて立とう。それを打ってやる。 新井はゆっくりと傾いて行く。あの頃のように。バットのヘッドが唸り、鋭いスイングが始まる。 その脳裏には、レフトスタンドに突き刺さる打球のイメージが、しっかりと。 新井のバットが、外角低めの白球を捉える。本来の芯とは違う、新井にしか解らない、今の新井らしい第二の芯で…計らずも…
|
- 新井の21球
70 :(56/57) 21球[]:2013/02/09(土) 06:00:40.36 ID:qlf8ZFSW - 痛烈な打球音が響いた。瞬時に打球の行方を計算した新井は、バットを手放し一塁へと猛チャージを掛ける。
力強く弾き返された打球は、右方向へと飛ぶ。 それは正しく猛虎。大平原を駆ける虎のように、力強く大地を蹴立て、まっしぐらに伸びる。 内海は。手を出す事も出来なかった。グラウンドに力強く爪を立て、弾むように駆け抜け行く打球を、内海は。見送る事しか出来ない。 大地を駆け抜ける虎。その輝く両眼は、まっしぐらに獲物を見つめていた。 虎に狙われた哀れな草食獣は、みじろぎ一つ出来ずその場に佇んでいた。迫り来る虎に怯えるように。 大きく口を開けた虎の、牙の一撃が、哀れな獲物となった牛を襲う。 二塁定位置。巨人二塁手藤村の、牛皮製のグラブに、新井の打球はすっぽりと納まった。 藤村の送球は巨人坂本のグラブに納まり、坂本の送球は、巨人小笠原のミットに納まった。 七回裏、阪神の攻撃が終わった。
|
- 新井の21球
71 :(57/57) 21球[]:2013/02/09(土) 06:01:12.56 ID:qlf8ZFSW - 歓声は既に、凄まじい罵声に変わっていた。バットで右中間を指し示した結果がセカンドゴロ。しかし新井の予告通りとも言える。
新井は最後まで走り、一塁ベースを踏んで駆け抜ける。 「あー、やっちゃったあー!」 新井は叫んだ。何故だろう。涙が止まらない。目尻から溢れ、頬を伝う涙を堪えるように、新井は直立不動の体勢で天を仰ぐ。 内海は新井を一瞥し、苦笑いしながらマウンドを離れ、三塁側ベンチへと駆けて行く。 罵声が否応なしに高まる。それは勿論新井の耳にも入っていた。だけど今は、それが嬉しくて嬉しくてたまらない。 「ぼく、新井貴浩です!」 新井は直立不動で天を仰ぎ、目を閉じ、茫々と涙を流しながら、そう叫んだ。 みんな怒ってる。多分ベンチも怒ってる。辛い。辛いなあ。でもなんて楽しいんだろう。僕は幸せ者だ。幸せ者なんだ。 新井は深呼吸をするように、ゆっくりと大きく腕を広げて行く。この上なく高まった罵声を集め、全て受け止めようとするように。 幸せだった。新井は幸せだった。
|
- 新井の21球
73 :新井の21球[]:2013/02/09(土) 06:01:46.91 ID:qlf8ZFSW - おわり
http://www.logsoku.com/r/livejupiter/1355325230/
|
- 馬鹿「今回のWBCは日本以外が優勝の方が面白い」
6 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:01:51.28 ID:qlf8ZFSW - ワイらは日本優勝した方が盛り上がるけど、そろそろアメリカが優勝せんとアメカスがたいへんなことになるやろなあ
やっぱり世界一の野球大国なんだから、アメフトとかに負けてしまっては困る
|
- ハマのブラちゃん、ラミレスのバットで150m弾!
8 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:03:08.64 ID:qlf8ZFSW - 7スイングでサク越え6本
WWWWWwwwww? ? ? ? ????!!!!wwwwwwwwWWww
|
- なんでも鑑定団でありがちな依頼者エピソード
29 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:06:16.17 ID:qlf8ZFSW - このまえ一億がでたで
|
- 天正地震の震度分布wwwwwwwwwww
2 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:07:10.35 ID:qlf8ZFSW - 以下好きなスライダー
|
- なんでも鑑定団でありがちな依頼者エピソード
51 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:10:18.44 ID:qlf8ZFSW - 1位 5億円 「柿右衛門様式のツボ」 2005年9月放送
2位 3億5,000万円 「台湾工芸品3点」 2001年4月放送 3位 2億円 「モンロー衣装」 2004年4月放送 4位 1億9,400万円 「西洋アンティーク各種」2003年9月放送 5位 1億8,000万円「七宝焼きの香炉」 2005年4月放送
|
- 達川「ちょっと巨人のキャンプ見てきますわ」
3 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:41:57.22 ID:qlf8ZFSW - や め ろ
|
- 達川「ちょっと巨人のキャンプ見てきますわ」
19 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 15:48:00.48 ID:qlf8ZFSW - >>15
復活する可能性が微レ存・・・?
|
- hayabusaとかいう多村
2 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 16:17:42.56 ID:qlf8ZFSW - 自分は多村
|
- なんj壊れてるし今なら言える
25 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 16:43:18.04 ID:qlf8ZFSW - エネルギー板
http://uni.2ch.net/energy/
|
- な ん J 復 活
171 :風吹けば名無し[]:2013/02/09(土) 18:04:01.95 ID:qlf8ZFSW - エネルギー板
http://uni.2ch.net/energy/
|