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71 ：ジョン・スミス[sage]：2017/02/08(水) 20:55:25.68 ID:LHOUt6KG - 〜西域・敦煌〜
城山恭介が万魔殿の封を解いてから歳月は一巡り。ぶーぶー法師らの一行は天竺にて無事目的を果たし、中華の地に帰還していた。
鉄棒を手にのし歩く法師の肩の上、そこに座すは天竺の高僧、法名を禁書目録とする一人の少女であった。
ぶーぶー法師ら五名は旅立つ前とあまりの都の変わり様に絶句する。田畑は荒れ人々の顔は絶望に澱み市は閑散としている。
”智多星”禁書目録は我が目を疑う。これが音に聞こえた大国、大中華であろうはずがない。孫ベアトリーチェらもたった一年で何があったらここまで衰微するのだと言葉も出ない。
街の者数人に話を聞く。曰く、先王は疫病で崩御、王位をとったのは何処からか現れた官吏とその妻。曰くその妻は鬼神のように強く反対勢力を根こそぎ斬殺してのけた。
曰く国号は栄から殷に改まった。曰く、紂王と妲己は王は自分らの悦楽のために重税を課し我ら民草は塗炭の苦しみに喘ぐしかない。
元宮廷の高官であった親船なる婦人に会って話を聞くことが出来た。曰く酒池肉林の享楽に耽っている紂王と妲己に変わり政務を執るのは宰相”混世魔王”アレイスター。
曰く紂王より妲己の暴虐凄まじく紂王は妲己の言うがまま暴令悪策の勅書に国璽をつくのみ。王は酩酊の覚める間も無いという。
禁書目録は涙する。かような悪道苛政許されていいはずがない。見よこの敦煌の都を。市に店はほとんど無く人通りも薄く高級菜館は閉じている。
民の目は虚ろ。田畑に地味無く家畜は痩せ幼子は空腹に泣いている。追いはぎや泥棒の類を追う官吏らですら幽鬼の如く。
音に聞こえし中華とはこのような国ではなかったはずである。春は点心を楽しみ夏は麻婆や酢豚で乗り越え実りの秋は八宝菜に舌つつみを打ち冬は水餃子や火鍋を家族で囲む。
かくして一家団欒、天下泰平。中華とはかような国だったはずである。
禁書目録の赤心の涙が胸元の宿星珠に落つる時、中華各地に散らばる一〇八人の胸の宝珠が光を放ち、一つの方向を指し示す！
群がる賊匪どもを適当に粉砕していた天女達が。酒場で一杯ひっかけていた変装の達人、”鼓上蚤”ニャラルトホテプが。
清廉な捕吏、”催命判官”陣内隼とその助手、”両頭蛇”菱神艶美が。”神医”と名高いカエル顔の医者が。
新たに重層武器を一つ手に入れそれをキャスリンに使わせて戦力を拡充していたクウェンサー達が。妻子を探して旅をする”錦毛犬”すねこすりが。
強者を求めて旅をする”行者の”トールとその相棒”石将軍”ミョルニルが。あまりの不況に頭を抱える相場師、”金銭豹子”小手蜜惑歌が。
天草教に身を寄せていた上条らや神裂達が。深山幽谷に生きる”病大虫”大ムカデが。召還仙術士”浪士の”クロードと”鉄叫子”エリ・スライドが。
兄を探して重曹武器で旅する”一丈青”アズラフィルが。悪の道士集団を焚殺して回る”赤髪鬼”ステイルが。
英傑好漢達がそれぞれの事情で胸の光が指す方向を目指して進み始める。其は大河に囲まれた中州山、水の滸りの梁山泊！
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