- 【法学徒】 中央大学法学部通信教育課程Ver.79 [無断転載禁止]©2ch.net
182 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 21:40:44.44 ID:tQiJ41KB0 - 芦部憲法を読むには行間を読めと言われるが、どういうことだろうか。具体的に実践する
となるとあまりピンとこない。芦部・憲法の「立法の意味」のタイトル下には、以下のよ うに記されている。 およそ「立法」には、@国法の一形式である「法律」(国会が制定する法規範)の定立という 意味(規範の中身が何であるかを問わず法律という形式だけを問題にする概念であるため、 形式的意味の立法と言う)と、A「法規」(Rechtssatz)という特定の内容の法規範の定立と いう意味(規範の形式が法律であると命令であるとを問わず中身を問題にする概念である ため、実質的意味の立法と言う)の二つの意味があるが、四十一条に言う立法はAの実質 的意味である。しかし、「法規」は、十九世紀の立憲君主制の時代には、「国民の権利を制限し、 義務を課する法規範」だと考えられたが、民主主義の憲法体制の下では、「実質的意味の法律」を より広く捉え、およそ一般的・抽象的な法規範をすべて含むと考えるのが妥当である。〔芦部・憲法第五版286頁〕
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183 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 21:47:20.47 ID:tQiJ41KB0 - (1)まず「立法」と言う概念には、2つの意味があるという指摘がなされている。
1つは、形式的意味の立法ということであり、それを言いかえると「法律」という名称 の国法を定立することである。もう1つは、実質的意味の立法ということであり、 それは特定の内容の法規範を定立するという意味である。 この2つの意味があるが、憲法41条に言う「立法」はAの意味であるという。 ここで、憲法41条にいう「立法」の意味をAの意味であるとすると、どうなるか。 憲法41条は特定の内容の法規範は必ず国会が定めなければならないことを要求 しているということになる。 (2)この実質的意味の立法という概念につき、芦部先生は「法規」であると位置づけられている。 その上で、「法規」という概念は、19世紀の立憲君主制の時代には、「国民の権利を制限し、 義務を課する法規範」であるという内容であったが、民主主義の時代の日本国憲法の下では 「およそ一般的・抽象的な法規範をすべて含む」と解釈するべきである、 と書かれている。つまり、 「法規」と言う概念がもつ元々の意味を拡大して,一般的抽象的法規範説を述べられている。
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185 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 21:52:10.52 ID:tQiJ41KB0 - (3)では、「法規」の元々の意味は「国民の権利を制限し、義務を課する法規範」であるということだが
これはどういうことなのか。 法規と言う概念は、19世紀ドイツ立憲君主制の下で、議会が君主・政府の活動を抑制するために説い た「法律の留保」の理論に由来する概念である。行政活動に対して議会が留保すべき事項とは何か、 という発想である。当時は、議会が弱かったため、君主から奪って議会の権限に移管できた事項は、 国民の利益に最も密接な関係にある「自由と財産」に関する事項のみであった。 このような政治状況で生まれた概念であることから、「法規」という概念は,議会と政府の間の権限分配 にあたって,「法規」の定立は議会の専権に属するが,それ以外の事項は法律の規定によることを要し ないと理解されがちになった。そこで、日本国憲法における「立法」の解釈をめぐっては「法規」という概念 は批判的に捉えられることになった(法規と言う概念は立憲君主制下のイデオロギー的産物であると言われることがある)。
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186 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 21:54:20.35 ID:tQiJ41KB0 - このような理解が背景にあれば、たとえば
「「立法」の観念は議会と政府の権限分配の指標である、ということはどういうことか。」という 問いかけにも答えられるだろう。
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187 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 22:45:51.80 ID:tQiJ41KB0 - >>184
質問を「文字」に起こしてみたらよいと思いますよ。 文字にする。文章にする。文章として「相手に伝える」ように整理する。 その過程で「自分が分からないポイント」を探ることになり、 少しずつ疑問が氷解して行くことも多いです。 自分はいったい何が疑問なのだろう、ここまではわかるが ここが分からない、そういう絞り込み作業を自然としているものです。
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188 :名無し生涯学習[sage]:2017/03/16(木) 22:47:02.69 ID:tQiJ41KB0 - (4)さて、日本国憲法41条に言う「立法」の意味については、
ア 国民の権利義務に直接関係のある法規範を意味するとする見解(伝統的法規説) イ 一般的・抽象的法規範を意味するとする見解(一般的抽象的法規範説) ウ 法規概念を拡張して次のように解する説(権利義務説) T 国民に新たな義務を課しまたはその権利を制限する法規範(田上) U 直接または間接に国民を拘束し,あるいは国民に負担を課するような新たな法規範(宮沢・戸波) V 直接に国民を拘束し,または少なくとも国家と国民との関係を規律する成文の一 般的法規範(清宮) W 国民の権利義務を定める規範を主要な構成要素とするが,国家と機関との関係に関する法規範を含む(佐藤(幸)・中間説) ‐ と分類できる。 ア説は,伝統的な「法規」の概念に沿った学説であり、ドイツ公法学説の影響を受けたものである。 この「法規」概念に対しては、行政権が議会の統制の範囲外で任意に活動できることを広く認める理論であると 批判が向けられたことは周知のところである。 このような伝続的な法規概念を拒絶し,立法権の強化を図ろうとする方向がイ説やウ説である。 (ただし、芦部先生は、一般的抽象的法規範説を「法規」概念を拡大した説として位置づけている点に注意が必要であろう)。
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