- 【馬路須加学園】中央×鼠の秘密の部屋★3
514 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/10/10(水) 14:25:53.98 ID:hWDoI6mZ - ※センター×デレネズミ(のつもり)
続きです。 ほんの一瞬、ただ軽く押しつけるだけのキスは、私の唇に優しい体温を分け与えてくれた。ゆっくりと名残惜しげに離れた唇から漏れた吐息は熱を含み、乾いた空気を湿らせる。 私は立ち上がってセンターを椅子に座らた後、向かい合わせになるようにセンターの膝上に座った。センターは私の腰に、そして私はセンターの首に腕を回し、見つめ合う。 私を見上げるセンターの瞳は窓から差し込む光を全て吸い込んでしまいそうなほど黒く濡れていて、そこには上気した頬を晒した女が映っていた。なんて顔をしているのだろう。こんなに表情に出すほど、私は分かりやすい人間だっただろうか。 「センター…」 私がセンターの名を呼ぶと、少しだけ微笑んだセンターは私の左耳に髪かけて、そのまま頬を撫でた。それがくすぐったくて首をすくめると、額にキスを落とされる。 まるで愛しむようなその仕草に、私の心が満たされていくのが分かった。センターが与えてくれるもの全てが、今の私の糧となる。 もう止めることはできない、成熟していくその想いは、急速に花開こうとしていた。この世界に生まれてからずっと芽を出すことを知らなかったこの種が、こんな、知り合って数年の人間の愛で。 「もっと…キス、して」 ねだるように首に回した腕に力を込めれば、センターは私の素直な行動に少しだけ視線を外して、いいのか、と訊いてきた。普段ならば学校でこんなことをするのを躊躇う私が、自ら望んでいることにセンターは戸惑っている。 私はセンターに目線の高さを合わせ、そして、いいよ、と囁いた。その了承に再び私の方を見たセンターは、言いようのない欲情の色を映した瞳で私を射抜く。 私はその色に背中がぞわりと震えるを感じながら、センターを煽るように自分の襟に通してあるスカーフを抜き取り、パーカーも脱いで床に捨てた。センターはそんな私を抱き上げて、読書用の広い机に私を押し倒す。 「…今お前がしてるその表情を、お前自身に見せてやりたい」 そう呟いたセンターは私の頬に手を添えると、再び唇を合わせた。センターが私の下唇を柔く食んだので、私もセンターに応えるようにセンターの上唇を食んでやる。 もどかしいほど優しく施されるキスは、私がセンターの首に再び腕を回したのを合図に、深く激しいものへと変わっていった。センターの舌が私の閉じている唇の割れ目をなぞったので、薄く唇を開いてそれを受け入れた。 私のものではない、ぬるりとした舌は口の中でうごめき、私のものと絡み合う。私たちは何度も角度を変えて、お互いを味わうようなキスをした。 「…触って」 最後にもう一度柔く食んだ唇を離して額を合わせる。鼻の頭がくっ付くほど近いこの距離で、私は、さっきならば言えなかった言葉を口にしていた。 もう、どうしようもなくセンターが欲しくて仕方がなかった。まるで私自身が芽吹いた種になってしまったかのような感覚に、私は抗うことができない。この腕で愛されたらどれほど幸せなのだろうと、体は疼くばかりだった。 センターは私の言葉に少しだけ眉を下げ、まるで自分の激情を抑えようとするかのような切羽詰まった表情をした。私が煽っていると分かっているのに、それでも学校で私を思うがままに抱くことで、迷惑がかかるのではないかと懸念しているのだろう。 何を今更、躊躇する必要があるのか。どうして私が煽ったか、センターは分かっていないようだった。 「私は今、お前の全部が欲しいんだ」 マジになれよ、という私の言葉にセンターは目を見開いた後、言ったことに後悔するなよ、とだけ呟いた。
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515 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/10/10(水) 14:26:44.57 ID:hWDoI6mZ - 「あ、…はぁ…っ、…ん…」
達した私を労わるようにキスをしたセンターは、ゆっくりと私の中に埋められた指を抜いた。とろり、と私の中で塞き止められていた何かが溢れる。 唇を離したセンターはその何かを指で絡め取り、目の前でそれを舐めて見せた。透明な糸を引くそれが、私の感じた証だと知らしめるように。 私は上体を起こすと、そんなセンターの手首を掴んで引き寄せ、同じようにして私も指を舐めた。舌に広がる味は私のものとは思えないほど甘ったるく感じて、夢中になってセンターの指を咥える。 「…積極的だな」 私の様子にいやらしく笑ったセンターは、私の頭を撫で、そして咥えられた指で今度は私の口の中を弄び始めた。 センターの揶揄に、私は指を甘噛みしながら、悪いかよ、という目で睨んでやった。でもその睨みが本当に睨んでいるわけではないと分かっているセンターは、宥めるように私を抱き寄せた。 「仕方ないだろ。お前をここまで手懐けるのに、どれだけ苦労したと思ってる」 そう言いながら指に噛みついた仕返しとばかりに、私の首筋にセンターは噛みついた。少し歯を立てた後に、その痕を丁寧に舐める。そうやって痛みと快楽を使い分けながら、センターは確実に私を追い詰めていった。 首から鎖骨へと辿る唇は、時折ちくりとした痛みを伴いながら、赤い痕を残していく。センターが私を抱いているのだという確固たる証拠を与える行為は、まるで新しい芽吹きを待つ種を植えていくかのように見えた。 「好きだ…ネズミ」 センターは再び私を押し倒し、そして私の呼吸を奪うような貪るキスをした。私はそれが息苦しくて仕方がないのに、こうされることに言いようのない安堵を得る。 センターが私を求めてくれている事実が、この体を喜ばせるのだ。そうして、また次々に植えられた種が芽吹いてゆく。 とても、幸せだった。人に愛されるということが、こんなにも満たされるものだとは知らなかったから。 (…でも、それは、) 春が始まれば、いつかは季節が巡り、冬が来る。種が芽吹けば、花を咲かせ、次に訪れるものは何か。それが自然の摂理であると言うのであれば、私はその先にある答えを無視することができなかった。 いつも最中には考えないようにしていたのに今日に限ってそれが浮かぶのは、私が普段よりもセンターを欲しているからで、しかも当然のように欲しいものを与えられる現状に、慣れてしまっている自分に気付いたからだ。 いつまで、この水をセンターは与え続けてくれるのだろうか。欲しがる私に、絶え間なく与えてくれるその水を。
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516 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/10/10(水) 14:28:11.11 ID:hWDoI6mZ - 「お前は…いつまで、こうやって私を愛してくれる?」
センターの両手が私の胸を包んで柔く揉もうとした時、私が呟いた言葉にセンターはその手を止めた。 唐突な問いかけで意味を理解するのに少しだけ時間がかかったセンターは、数秒固まってから私を見る。 「急にどうした」 「…いいから、答えろよ」 回答を促して、覆いかぶさるセンターの足に私の足を絡めた。この問いから逃げられないように、私はセンターに密着する。早く言え、と目で訴えながら。 新しく植えられた種もすぐ芽を出すようなこんな素晴らしい季節を経験したことのない私は、これが急に終わりを迎えることが怖い。考えればもう今は11月で、こうやってセンターに愛されるために学校へ足を運ぶことのできる日数は徐々に減ってきていた。 センターと出会ったのは、この学校だ。センターと私を繋ぐ唯一の共通点は、あと数カ月でなくなってしまう。 もしセンターと会えなくなってしまったら…水を与えられなくなってしまったら、きっと元の私に戻ることはきっとできないだろう。一度芽を出した種は、成長するサイクルからもう抜け出せないのだ。 「…愚問だな」 でもセンターは私の不安をよそに鼻で笑うと、私の手を引っ張って体を起こし、そして力強く抱きしめてきた。 さっき密着したよりも更に強く引き寄せられて、私はセンターの肩に額を乗せ、背中に腕を回した。 「私はお前がテッペンだからとか、同じ学校だからとかいう理由で好きな訳じゃない。私はネズミが好きなんだ。…分かるだろ。卒業しても、ずっと一緒だ」 私の思っていることを見透かしたような回答に、私は心が震えた。どうして、何も言ってないのに…私が欲しい答えが分かるのか。 お前よりもずっと一緒に居るはずの親は、私が何を望んでいるのか、全く分かってくれなかった。それなのに、なんで。 私が少し体を離してセンターを見ると、少し照れくさそうな笑みを浮かべたセンターは私の頬にキスをして、そして唇にもキスを落としてこう言った。 「…お前が好きで、お前のことをもっと知りたいと思ってた。だから、心が通じてる今は、お前の考えてることも分かるんだ。言っただろ、顔を見れば分かるって」 私がそんなセンターに再び抱きつくと、センターは私の頭を優しく撫でてくれた。その些細な行為ですらどうしようもなく愛おしくて、私は涙が出そうになる。 センターと出会って、私は今まで知らなかった、たくさんの経験をした。センターのことで一喜一憂して、苦しかった時期や、悲しくて隠れて泣いた時期もある。でも今は、その時と同じ涙ではない。 私はこれからもセンターの隣に居ていいのだ。他人と居ることを嫌った私が、他人と一緒に居られることを、こんなにも喜んでいるなんて。 「…好きだ…」 「ネズミ…」 「本当に、好きなんだ」 だから、この腕で、いつまでも私を繋ぎとめて欲しい。私が枯れてしまわないように、ずっと。
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517 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/10/10(水) 14:29:09.08 ID:hWDoI6mZ - 「立てるか?」
「…一応」 あれから更に何度も抱き合って、私はセンターに全てを曝け出した。ぎしぎしと軋んだ音を響かせる固い机で何度も求め合ったからなのか、少しばかり体は痛むが、それでも嫌な感じはしない。 窓の外から差していた光はいつの間にか月のそれに代わっていて、ほとんど明かりのない中、私たちは帰る身支度をしていた。立てるかどうかを気遣ったセンターは左手を指し出してきたので、私はそこに右手を重ね、その好意に甘えることにする。 自らの指をセンターの指に絡めてから机から降りた私は、最初に床に落としたパーカーとスカーフを拾い上げると、スカーフを襟に通してセンターの隣に立った。 その様子を見ていたセンターは一瞬怪訝な表情をして私を見る。ああ、きっとこいつはこれを不思議がっているのかと、私は左腕に掛けたパーカーを見た。 「着ないのか」 案の定訊かれた言葉に私は少しだけ笑って見せて、いいんだ、と言った。私が寒がりなことを知っていて気遣っているのだろうが、このパーカーは寒いから着ているというわけではないという事を、センターは知らないようだった。 私はパーカーをセンターに渡し、それを受け取ったセンターはどうして、と言いたそうな目をした。こんなものは、必要ないのだ。お前の隣に居るのであれば、尚更。 「…これは、私の鎧だ」 「鎧…?」 「周りと私を隔てる壁、私自身を守ってくれる鎧だ。でも今は、この場所にお前しかいない」 この学校へ入学した時、他の人間と慣れ合うことを嫌っていた私は、自分からその予防線を張った。それが、このパーカーだ。周りの煩わしさを覆い隠すようにフードを頭まで被って、私は何も見ないように学校生活を過ごしていた。 そんな陽の光を浴びることのない私に、初めて光を差し込ませたのが紛れもなくセンターだった。2年の時にあった、体育館での殴り合いの後。フードに触れた手を除けられなかったまさにあの日、私は初めてフードを脱いで他人と接した。 きっと、それが全ての始まりだったのだろう。私とセンターはこうなるのだという運命のレールが敷かれたのも、私がそれに乗り込んだのも。 「お前と私を、隔てる必要なんてないだろ」 「ネズミ…」 センターは私の特別だ。だから、こんなもので互いを仕切りたくはなかった。 センターと繋いでいる右手をきゅっと握る。私の言葉を理解したらしいセンターは、私のパーカーを床に落とすと、右手を引き寄せて、今日、何度目か分からない抱擁をした。 「…嬉しい」 そう呟いたセンターの腕は力強かった。センターの喜びがきちんと私に伝わってくる。 でも、こんなにも密着しているのに、まだセンターが遠くに感じてしまう私は我侭だろうか。 私の中で育った花の蔓が、センターを絡め取ってその全てを私の一部にしてしまえればいいのに、と。私たちの間にある制服も皮膚もすべてなくなって、一つになってしまいたいと思う、醜い私がそこにはいた。 「好きだ…お前が、すごく、好きなんだ」 「…うん」 「絶対に離さない」 愛の言葉を囁くセンターにこの狂気じみた思考を気付かれないよう、私はセンターの背中にそっと両腕を回した。 きっと私の中にある花は、正常な感覚をなくすぐらいの毒を持っているに違いない。徐々に私を蝕んで中毒を起こしているのか、今までにないほど、狂おしくセンターが愛しかった。 だからなのだろう。センターの胸に顔を埋めようとした時、視界の端にヘッセの本がパーカーと折り重なるように床に捨てられているのが見えて、私は口角が上がるのを止めることができなかった。 「…私も、お前を離したりしない」 私は応えるように呟いて、同じく離すまいと背中に回した腕に力を込めた。私の中の種が花開いた今、この世界の何よりもセンターを独占することが、私の人生となってゆくのだろう。 そう。私は愛されるために、生きるために、センターと共に歩いていくのだ。 これから先、何があっても。 おわり
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- 【馬路須加学園】中央×鼠の秘密の部屋★3
518 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/10/10(水) 14:36:33.51 ID:hWDoI6mZ - おわりです!\(^o^)/
花が開いてしまったことで、独占欲出まくりなネズミさんでした。 さて、次の話の流れはどういう風にしようかなあと模索中です。 ビッチっていうのはいいけど、どうやってビッチなネズミさんにしようかなと… 前ビッチなネズミさんの話には入れたいシーンあるって言ってたんですが それ入れると話がまとまらなくて結局ボツにしてしまいました\(^q^)/ ちょっとまた整理しつつ合間合間の時間で考えてきます… ではまた次のお話で!
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