- 【馬路須加学園】中央×鼠の秘密の部屋★3
387 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/09/13(木) 02:15:06.77 ID:+AS/wqsY - ※馬路女卒業後、成人&同棲してる前提です
※なんかタイミング的にネタが微妙な感じになっちゃってごめん、前から書いてたもので変な意図はないです 日付が変わる直前の深夜、ガタガタとやかましい音を立てて玄関のドアが開いた。 「んー、ネズミぃ〜ただいまぁ……」 出迎えたネズミを見て、真っ赤な顔をしたセンターが子供のように笑う。 そのままぎゅっと抱きしめられたはいいが、体から漂う酒の匂いにネズミは顔をしかめた。 「お前、どれだけ飲んだんだ」 「おぼえてない……」 「よく無事に帰ってきたな。犬の帰巣本能ってやつか」 よしよしと頭を撫でてやる。首筋に鼻面を埋めて甘えた声を出すセンターは、本当に大型犬のようだった。 お互い、職場の付き合いで飲みに行くのはめずらしいことではない。 しかしセンターは、どんな席でも必ず酒を一滴も飲まずに帰ってくる。 よっぽど酒が嫌いなのかと思っていたが、この様子を見ると全然飲めないわけでもないらしい。 「こら、ちゃんと立て……めずらしいな、お前が酒飲んでくるなんて」 「おちゃだとおもったら、おちゃじゃなかった」 「ふーん?」 それは、騙されて飲まされたということだろうか。 毎回お茶しか口にしないセンターに業を煮やした誰かの仕業だろうが、ちょっと穏やかじゃない話だ。 もっと用心するよう、あとでしっかり言い聞かせようと考えながら、くっついて離れないセンターをひきずって寝室まで戻った。 二日酔い対策にたっぷり水を飲ませてから、自分で着替えるよう寝間着を渡す。 やけに従順なセンターはふらつきながらも着替えをすませると、ベッドに座って足を伸ばすネズミのもとへにじり寄ってきた。 すこし赤くてとろんとした目に見つめられて、ネズミの心臓が不本意に早鐘を打ちはじめる。
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388 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/09/13(木) 02:15:51.21 ID:+AS/wqsY -
「ネズミ……」 断りもなく唇を重ねられても、痛いくらいに抱きしめられても、ネズミは文句を言わなかった。 その代わり、首に回した腕でぎゅっときつく抱きしめ返す。 一緒に暮らすようになってから、寂しさを上手に隠すことが難しくなっていた。 ひとりで食べる夕飯が寂しかったなんて、少し前までの自分が聞いたら鼻で笑うに違いない。 名残惜しげに唇を離して、至近距離で見つめ合う。 センターの綺麗に整った顔が笑み崩れると、それだけで心が優しく暖まることを、ネズミはいつも不思議に思っていた。 甘えるように胸にこすりつけてくる頭を、手櫛で丁寧に梳いてやる。全身で分かち合う体温が愛しかった。 「今日は、楽しかった?」 「うん……飯、うまかったな。二次会もいこうっていわれたけど」 「ん?」 「ネズミがねちゃう前にかえりたかったから、ふりきってきた」 ずいぶん健気なことを言ってくれる。頭のてっぺんにキスを落とすと、髪を梳く手を取られて温かい指が絡んだ。 次第に重くなってくる体と、高い体温が、センターの意識が限界にあることを伝えてくる。 ゆっくりとセンターの体をベッドに横たえて、肩まで引き上げた毛布に一緒にくるまった。 すぐに回された腕に免じて、今晩だけは酒臭いのも我慢してやろうと、ネズミは薄れていく意識の中で鷹揚に笑った。
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- 【馬路須加学園】中央×鼠の秘密の部屋★3
389 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/09/13(木) 02:16:53.86 ID:+AS/wqsY -
「……ズミ、ネズミ……!」 翌朝、やけに切羽詰まったセンターの声に名前を呼ばれて、ネズミは思い瞼をこすりながら目をさました。 まっさきに目に飛び込んできたセンターの顔には、昨夜の甘い空気の余韻など欠片も見当たらない。 すこし青白くすら見える顔色に、二日酔いでもしたかと思ったが、それにしてはどうにも様子がおかしかった。 「センター?」 「ネズミ、お前、どこも怪我してないか?」 「は……?」 全く脈絡がつかめないのは、寝起きの頭のせいではないはずだ。 とりあえず落ち着かせてから話を聞こうと、ネズミは体を起こしてセンターに向き合った。 口元を押さえるセンターの手がかすかに震えている。そんな様子が痛ましくて、シーツを握りしめる片方の手にそっと自分の手を重ねて包んだ。 「どうした……?」 「ネズミ……私、確か昨夜、酒を飲んでしまって」 「うん、べろべろで帰ってきたよな」 「全然、覚えてないんだ……」 こいつ、そんなに酔っぱらってたのか。 無事に帰ってきたことに改めて胸を撫で下ろしたが、それにしてもやはりセンターの動揺が大きすぎる。 酔って記憶をなくす人間なんていくらでもいるだろうに。 そう言うと、センターは首を振りながら、何かを確かめるようにネズミの頬を両手でそっと包んだ。 「ネズミ、本当に怪我はないか? 私……もしかして、お前を殴ったりなんか……」 センターの顔が泣きそうに歪む。それでやっと、彼女が何を心配してるのか理解できた。 センターがずっと、酒を飲むのを拒んでいた理由。 酔って理性をなくしては、母親と自分を殴る蹴るした父親と、同じ過ちを犯すことを恐れていたのか。 こみあげてきた色んな感情を、全部混ぜこぜにしてひとつ溜め息を吐き出す。 それを非難と受け取ったのか、センターの目が悲しそうに伏せられるのを見て、ネズミは意を固めた。 「ネズミ……!」 寝間着から下着から、すべてを躊躇いなく脱ぎ捨てていく。 あっという間に一糸まとわぬ姿になったネズミは、惜しげもなくその白い体をセンターの眼前に晒した。
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390 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/09/13(木) 02:17:38.61 ID:+AS/wqsY -
「好きなだけ見て、確かめてみろ。どこにも怪我なんてしてない」 「ネズミ……」 「お前は」 裸の胸に、しっかりとセンターの頭をかき抱く。 「お前は、わけもなく私を殴ったりしない。そんなことは絶対にしない」 「でも……」 「それに、私が大人しくやられて黙ってると思うか?」 目を覗き込んで、ニッと笑ってみせる。ヤンキー時代に身に付いた不敵な笑みは、今でも堂に入ったものだ。 「万一そんなことになったら、三倍にして返してやるよ。お前も無事ですむわけないだろ」 軽く唇を重ねると、ようやくセンターの表情が緩んだ。それにほっと安堵して、目尻に浮かんだ涙を親指でぬぐってやる。 ネズミの手をつかまえて、確かめるように手のひらに頬を押し当てるセンターは、幼い子供のように見えた。 そのまましばらく、きつく抱きしめ合ってお互いの体温だけを感じていた。 「ネズミ……」 センターが何か言いかけるのを、キスで封じる。 首に手を回して体重をかけて引っ張ると、センターの体はあっけなくネズミの上に落ちてきた。 「……で? 確かめなくて、いいの?」 耳に唇を近づけて囁く。裸の肌に乾いたシーツの感触が気持ちいい。 けれど、もっと気持ちいいものを知っている。 「昨日のお前、可愛すぎて我慢するのが大変だった」 覚えてないだろうけど。笑いを含んだ声でそう教えてやると、センターの耳がさっと赤くなった。 「全部確かめても、いい?」 「うん……全部、確かめて」 射し込む朝の光に溶けてしまいそうな、真っ白い笑顔がゆっくりと降りてくる。 悪い夢もなにも、一緒くたに溶けてなくなってしまえ。 そう願いながら、ネズミは愛しさをこめてセンターの体を抱きしめた。
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391 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/09/13(木) 02:20:16.67 ID:+AS/wqsY - 終わりです
初めて二人を書いたけど楽しかったw >>385 楽しみに待ってます!
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