トップページ > レズ・百合萌え > 2012年07月13日 > padyDRMx

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最上級生―やりたい放題好き放題― ◆br3vUc.tj.us
名無しさん@秘密の花園
咲-Saki-で百合萌え 17局

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咲-Saki-で百合萌え 17局
867 :最上級生―やりたい放題好き放題― ◆br3vUc.tj.us [sage]:2012/07/13(金) 22:10:00.35 ID:padyDRMx
なんか流れに乗ってるような逆らってるような微妙な感じだが、てるてると菫さんで突発妄想
原作と明確に矛盾させたつもりは無いが多分にオリ設定混じりになってるとおもう
それでよければ

咲-Saki-で百合萌え 17局
868 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:13:51.31 ID:padyDRMx
夕日にその外壁を赤く燃え立たせる白糸台高校の放課後。
実績に見合うだけの広大な敷地を与えられた麻雀部部室棟において
部の頂にして中心『チーム虎姫』の更に中心にある二人の少女が、
人気が消えつつあるこの場所を、恋人同士の睦み合いの褥へと変えつつあった。

「……」

一人目。弘世菫は、長椅子にまるで一枚の絵画のように端正に腰掛け。

「……」

二人目。同じ長椅子に寝そべった宮永照は、上半身を菫の膝の上にしどけなく預けている。
照の『表向きの顔』はともかく、彼女の実情をある程度知る者たちからすれば、
誰にも心許さない孤高の野良猫が、まるでただ一人と決めた主にするような無防備な姿に
驚きを隠せないかもしれなかった。

「お前、また髪の手入れをさぼっただろう」

膝の上の照をなでていた菫が、照の特徴的な髪の跳ね部分を手櫛ですいた後
その先端を軽く指で摘んで眉をしかめる。

「面倒くさい…」

目を瞑ったままうつ伏せで、香る菫のスカートの匂いを胸に溜めるように息を吸った照が
吐くと同時、ため息なのか言葉なのか判然としない億劫そうないらえを返す。

「…だから一緒に暮らそうと言ってるだろう」

毎日風呂に入るようにはなったのは偉いけどな、
フォローなのかなんなのか、優しげにそんな風に続ける菫の言を信じれば
年頃の女子にあるまじきことに、照には風呂には毎日入るという習慣がなかったらしい。
咲-Saki-で百合萌え 17局
869 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:14:13.02 ID:padyDRMx
「生(き)の匂いがいいからと、しばらく気が付かなかった私も迂闊だったが…」

菫が髪をすく度かすかに漂う、見繕ってやった馴染みのシャンプーの香。
なにもしなくとも発散させていた照の不思議と心地よい体臭が、
少し懐かしいなどと言ってしまえば、またかつての習慣に逆戻りだろうから口には出さないが。

「…毎日シャンプーをするのはむしろ頭皮の為にはよくない…」

「ん?」

「…ってこの間TVでやっていた」

菫が少し笑う。

「…ああ、確かにものによってはそうらしいな。昔は石鹸にしろなんにしろ質の悪いものも多かった。
 だが、そこはちゃんと考えて厳選して渡したからな、安心して毎日洗え」

「む……ぅ」

「大体、私が、お前の体を、少しでも傷つけるようなことをすると思うか?」

恋人の腿に、むずがるように顔をぐりぐりと押し付ける照。

「…だからそれも含めて世話をしてやると言っているだろう。
 自分で言うのもなんだが、これで私は甲斐甲斐しいぞ? 嫁に貰うなら麻雀部(うち)の誰よりお薦めだ。
 ……どうして、そんなに一緒に暮らすのを嫌がるんだ」

台詞の後半は、菫にしては珍しく不安混じりの沈んだもので、
まるで自分のものだと言わんばかりに気安く照に触れていた手つきもわずかに鈍る。

「……」
咲-Saki-で百合萌え 17局
870 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:15:04.72 ID:padyDRMx
沈黙が落ちた。
問いが、重ねて発されることはない。

「…………ぁ……」

十数秒ののち、思わず聞き逃してしまいそうな程にちいさな声。

「……笑わない……?」

また数秒待って、それからようやく吐かれた照の言葉は、菫にはそのように聞こえた。
大人には理解して貰えない、秘密の夢を明かすような、その物言いそのものの微笑ましさに、
顔をほころばせてしまいそうになった菫は、次の瞬間くちびるを固く引き結ぶ。
うつ伏せた照の両手が、菫のスカートの端を握って震えていた。

「……笑ったりしないよ」

壊さないよう、導いてやるよう。
自分にあらわせる最大限の愛情と優しさを手の平にこめて。
菫が照の髪を撫でる間、部屋には誰かの呼吸の音だけがする。
また暫しの沈黙が続き、、やがて

「…………もうこれ以上、菫に依存したくない……」

拒絶された。と、一瞬、菫の心臓が止まる

「……これ以上菫を好きになるのは……怖い…」

しかしそれには続きがあった。
ひとつ前の言葉を、その意味を、丸ごと変えてしまう続きが。

「…………………馬鹿だな」
咲-Saki-で百合萌え 17局
871 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:15:36.14 ID:padyDRMx
本来、菫はこの年頃にはありえないほどに聡明な少女である。
前半の沈黙の間に、照の心情をなんとなくでも
いや、これ以上ないほどに明確に汲み取っていた。

「私は照を裏切らないよ」

「…………」

重ねる

「私は照を一人にしない」

「…………」

言葉を、重ねる。

「……結婚の時に『死が二人を別つまで』って言うだろう?」

「…………」

「私はな、照。……照とだったら『一緒に死にたい』と思っているんだ」

「……?」

膝枕をはじめてから、初めて目が合った。

「照がいなくなった後の私は当然だけれど、
 私がいなくなった後の照にだって『幸せに』なんかなって欲しくない」

「…………」

「だから」
咲-Saki-で百合萌え 17局
872 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:16:00.68 ID:padyDRMx
一瞬、菫が躊躇する。
ここまで言ってしまっていいのか。
紛れもない本心だけれど、秘めていた本心なのに。秘めるには、秘めるだけの理由があるというのに。
ああ、でも照が可愛くて愛しくて、まさかあんなことを言ってくれるとは思わなかったから。

「一緒に死のう。どちらかが死ぬ時」

「…………」

「………………ま、これは勿論、私の勝手な」

「嬉しい」

ゆらり、と照の瞳に、危うげなものが瞬きよぎる。

「すごく、嬉しい」

ごまかしの言葉なんかいらない。ただ瞳だけで、そう菫の言葉の続きを止める。
半ば狂人のようなやりとりに、菫が感じていたのは恐怖ではなくただただ安堵。
『受け入れてもらえた』――『私だけではなかった』、と。
もしや、照の瞳に見えたと感じたものは、そこに映る菫自身の危うさではなかったか。

「……まったく、困ったやつだ」

自分のことは完全に棚に上げ、菫は、腰に抱きついてくる照の頭を撫でる。

「お似合い」

ごろごろと喉を鳴らす音がしないのが不思議なくらいの照の態度に菫の目がなごむ。

「……しかし、ま、それなら焦る必要もないか」
咲-Saki-で百合萌え 17局
873 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/07/13(金) 22:17:20.52 ID:padyDRMx
繋がりを、繋がりの極北を確信できれば、思った以上に心が軽かった。
菫自身現金なものだと思うが。まだ学生の時分、同棲を焦らずとも、今のこの距離感も存分に楽しめそうな気さえした。
『白糸台高校の生徒』で居られる季節は、どうせあと一年に満たぬのだ。

「卒業してからで、いい」

抱きついた菫の上半身を登り。対面座位で、キスの寸前、照が言う。
ここに至るまで情熱というものがまるで失せたような照の声音は、
しかしその全てが紛れも無い本心だった。

同じ気持ちを互いの体と抱きしめると
夕日差し込む白糸台高校麻雀部部室に、ひとつに合わさる影が、長々と床に伸びていく。















※テーブル挟んで向かいのソファー

淡  「…ああいう話って普通、二人きりの時にするもんじゃないですかね…」
亦野「『普通』はな」
渋谷「(ずず…)」


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