- 桃色四葉で百合萌え★3
426 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 00:15:11.40 ID:uYB4heum - >>425
赤黄かわいいー なんかほのぼのしてて癒された、乙です。
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429 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 00:47:44.37 ID:uYB4heum - ※緑桃(桃視点)
「ねえ、今日この後少しどこか寄らない?」 「え、…?」 それは突然のお誘い。 珍しく仕事がお昼で終わり、家に帰ってDVDでも見ようか…なんて考えながら帰りの支度をしている時の事だった。 「だめ、かな?用事ある?」 「ううん…用事はないけど、」 ふと頭を過ぎる、心配性なママの言葉。 帰りは寄り道せずに、真っ直ぐ家に帰ってきなさい。 それがあるから、今までも友達や他のメンバーからの誘いは泣く泣く断っていた。 今日のお誘いもメンバーである杏果からで…、 「やっぱり、ママが許してくれない?」 「ん…でも私も杏果と遊びたいし、お願いしてみるよ。」 私は携帯を取り出し、着歴をほぼ独占している番号へと電話をかける。 コール中、どうやって説得するかを考える。今日は何としてでも説得したい、そう心中で意気込んでいた。 だって他でもない、大好きな人からのお誘いだから─、 3コール目でママへと繋がる、聞き慣れた声が聞こえた。 どうやら機嫌が良いらしい、これはチャンスかもしれない。 「あ、もしもし。ママ、あのね─…」
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430 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 00:50:03.80 ID:uYB4heum -
結果は私の完全勝利、とはいかなかった。 お許し自体は得たものの、それに比例して徐々に暗くなるママの声色に物凄く罪悪感を覚えたから。 電話を切る際の寂しそうな声に、少しばかりママに気持ちが傾きそうになったけど、やっぱり好きな人との時間も大切だからと考えを改め心を鬼にして電話を切った。 「どうだった?」 「うん、遊びに行っても良いって」 「あーりんママ、寂しがってたでしょ?」 「少しね。でも帰ったらママ孝行するから大丈夫だよ」 「そっか、じゃあ行こうか。」 そう言ってお互いバッグを持つ、今日は比較的荷物が少ないから出掛けるにはちょうど良かったかも。 おもむろに杏果の小さな手が私の手に触れる、それを合図に指先同士を絡めて離れないようにぎゅっと握った。 もう既に部屋には私達しかいなかった。明かりを消して扉を閉めてから、静寂な室内に別れを告げ二人で歩き出す。
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431 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 00:50:56.12 ID:uYB4heum -
「どこに行くの?」 「まだ決めてない。」 「珍しいね、杏果が無計画なのって」 思わず笑みが零れる。 釣られて笑う杏果の顔がどこか照れ臭そうで、 「結構、衝動的だったんだ。あーりんの事考えてたら、私達付き合ってまだプライベートで一回も遊んでない事に気付いて。これじゃいけない、もっとあーりんの事を知ってもっと仲良くなりたいと思ってさ。」 突然の事に、黙り込んでしまった。瞳をぱちぱちと何回も瞬いて杏果の顔を見た。 微かに頬が熱を孕む。 好き、だなぁ…。 私、この人の事が本当に大好きなんだ、って再認識させられた気がした。 「私も、ね。もっと杏果の事知りたいし、もっと仲良くなりたい。」 「ん、…行こっか。」 握ったままの手を引かれる、杏果の顔は見えないけれどきっと私みたいに赤くなってるって何となく解った。 だって繋がっている杏果の掌も、私の頬と同じ位熱を帯びていたから─。 終わり。
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454 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 15:04:05.73 ID:uYB4heum - ※赤桃(桃視点)
ない。お気に入りの化粧ポーチがない。 気付いたのは事務所から駅に向かう帰り道の途中。リップクリームを取り出そうと鞄の中へ手を入れるけど、触り慣れたそれはそこに存在していなかった。 はた、と気付く。 そう言えば、事務所を出る直前に化粧室で一度ポーチを出していた。きっとあの時に違いない。 一緒に帰っていたメンバーに一言伝えてから、私は慌てて来た道を引き返した。 「あれ、夏菜子ちゃん?」 「あ…、あーりんだ。」 無事にポーチを発見した私は事務所を出ようと入口へ向かって歩く、その途中で意外な人物と鉢合わせになった。 そこに居たのは、風邪で声が出ない筈のリーダー。まだ完治していないからという事で、大事をとって今日はお休みって聞いていたのに、一体どうしたんだろう? 「もう…喉、いいの?」 人差し指を自分の喉元へ。 夏菜子ちゃんは普段通りのにんまりとした顔で頷く。 「うん、もう全然大丈夫っ。折角お休み貰ったんだけどさー、ちょっと事務所に用事あって結局来ちゃった。」 「そっか、大丈夫なら良かったよ。あ、夏菜子ちゃんも今から帰るところ?」 「ん、そのつもり。そう言えば、あーりん一人?」 珍しいね、と夏菜子ちゃんは他のメンバーの姿を探す様に辺りを見回した。 「うん、ちょっと忘れ物取りに来たの。夏菜子ちゃんも駅行くでしょ?一緒に帰ろ。」 「おっけー、帰ろ帰ろ。」 止まっていた歩みを再開する。 事務所を後にして、二人横並びで駅の方へ。
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455 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 15:06:46.51 ID:uYB4heum -
「普段結構喋ってる分、全く喋れないのはかなり辛そうだったね。」 「もう本当にっ、凄いストレス溜まるからね。喋れないのがあんなに辛いとか思ってなかったからさー。」 他愛もない会話。今まで喋れなかった分、かなり溜まってるらしい夏菜子ちゃんはそれはもう休む間無しのマシンガントークで、私は常に聞き役に徹していた。 でもこのやり取りが意外に好きだったりする、不思議な事に夏菜子ちゃんの話しを聞いているのって全然苦じゃないんだよね。 AB型同士だからかな? ふと駅に向かうに連れて通行人の数が増えていく事に気付く、少し肩がぶつかりそうになる程度歩道に人が密集していた。 しまった、と携帯で時間を確認すれば、所謂帰宅ラッシュの時間帯と被ってしまったらしい。 こういう時に限って私は割りと踵が高めの靴を履いて来ていたりして、あまりに人が多い所為で今にも足元が覚束ず体制を崩す事間違い無しな危うい状況。 「人多いなぁ、あーりん大丈夫?」 そんな時、前を行く夏菜子ちゃんが心配して声をかけてくれた…けれど、返事をする前に通行人とぶつかり、案の定私はバランスを崩して前のめりに倒れかかった。 ─あ、ダメ。 直ぐに硬く瞼を閉じ諦めの姿勢に入る。咄嗟にどうにか出来る程、私の運動神経がよろしくないのは周知の事実。 「……。」 でもいつまで経ってもアスファルトにぶつかる衝撃と痛みがやって来ない。 恐る恐る瞼を開くと、私は夏菜子ちゃんの腕の中に居た。 端から見たら、抱き合っているかの様な光景。 「ちょっと、あーりん大丈夫?ヒールのある靴なんか履いて来るから…、」 「あ、…ご、ごめんね。ありがとう、支えてくれて、」 何だか恥ずかしくなって慌てて体を起こす。触れていた体が妙に熱い。 「どう致しまして。リーダーなんだから、メンバーを支えるのは当然っしょ」 お得意のどや顔が炸裂。 なんでこう、最後が決まらないんだろう…この人。 まあそこが愛らしいけれど。
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456 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/05/22(火) 15:08:20.30 ID:uYB4heum -
「はい。またこけると危ないし、引っ張ってってあげるよ」 と、右手を差し出す夏菜子ちゃん。 「…びちゃびちゃって言わないでね。」 わざと手を拭ってから、そっと握り返す。 「それ言ったのあたしじゃないじゃん。大丈夫、あたし乾燥肌だからきっとちょうど良いよ。」 彼女なりのフォローと笑窪が深まる程の笑みに釣られて私まで吹き出してしまう。 「よし、じゃあ帰ろー」 その儘手を引かれ再度二人で歩き出した。 人と人の間を上手くすり抜けながら先導する様に前を進む夏菜子ちゃんを見ていたら、何だか知らない間にとくとくと鼓動がやけにテンポの早いリズムを刻んでいく。 頼りない様でいてしっかりしているその背中が凄く大きな物に感じられた瞬間だった。 後に気付く、これが恋の始まりだったと。 終わり。
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