- 【それ町】石黒正数作品で百合【ネムルバカ】
600 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/25(水) 23:21:56.67 ID:sd856wR8 - 久しぶりですが>>499の続きです。
歩鳥のいつになくしおらしい姿を見ているうちに、今にも飛び出しそうだった心臓の鼓動が落ち着きを取り戻してきている。 恐る恐る歩鳥に触れていた自分にも少しばかりの勇気が湧いてきた。 「歩鳥をもっと感じたい」 そう告げると、右手を歩鳥のTシャツの裾へと下ろし、背中側から内へ差し入れる。 「ふぇ?」 まだ意識が混濁しているのだろう。私の唐突な発言と行動に、休んでいた思考が追いついていないようだ。 それを意に介さず、右手をブラのベルトの高さまで持ってくると、指先だけでホックを外した。 Tシャツの裾を持ってそのまま首元まで引っぱり上げると、薄桃色の歩鳥らしいシンプルなデザインの下着が露わになる。 そのままブラをたくし上げてTシャツの下へ押し込むと、そこでようやく歩鳥が私の肩に置いていた手を離し、両腕を体の前で交差して胸を覆ってみせた。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 顔を赤らめて気恥ずかしそうにながらも、咎めるような、それでいて拗ねるような表情で無言の抗議を私に向けてくる。 (かわいいな……なんかイジメたくなっちゃう。) とはいえ、警戒してしっかりと固められたガードを突破するのは簡単ではない。 どうしたものかと考えて、けれどすぐに妙案を思いついた。 * * * * * なんだこの状況は!?いや、こんなときこそ冷静に、これまでの出来事を振り返ろう。 たしかベッドの上で先輩とおしゃべりをしていて――そしてどうやらそのまま眠ってしまって――気がついたら先輩に……キスされていた。 先輩からなにかとても重大そうなことを言われて、慌てて受け答えをしているうちにまたキスをされて、先輩の舌が……。そしてTシャツをほとんど脱がされてしまった。 先輩の手を目で追うと、ちょうどわたしのブラのカップを持ったところだ。そのまま持ち上げて、どういう訳かいとも簡単に外してしまった。 (ブラを外し!?わっわぁぁぁ!) 急いで両腕を引き戻す。 先輩がいきなりあんなことするから……体にぜんぜん力が入らない。 さっきの先輩の言葉。一応その、わたしに少なからぬ好意を持ってくれていることはわかったし、もちろんわたしも先輩のことが好きだ。 だけどこんな不意打ちみたいなことをするなんて。 先輩は自由奔放なようでいて、実のところは常識家なので、このような突飛な行動に出るのはとても意外なことだ。 意外で、驚きであると同時に、なんだか腹立たしい気分になる。 こういう大事なことは、きちんと相手に伝えなくてはダメなのだ。 そう、お互いに向き合って、わたしの気持ちもちゃんと先輩にわかってもらってから……。 だけど、このことをなんと言葉にすればいいやら、頭の中がフワフワして考えがまとまらない。 とにかく、女子高生として、人間として胸を隠したはいいけれど、なにやら不満な気持ちと気だるい体と、依然としてピンチな状況に変わりはないのだ。 先輩はあまり動じていないようで、あんなことをした後なのにいつもと変わらない様子だ。 そんな先輩がずるいような気がして、無性に悔しくなる。 「もうっ、どういうつもりなんですか!?こんなことして!」 声を振り絞って問い詰めるも、しかし先輩はそれには答えず、にぃっと口端を吊り上げただけだった。 うぅぅ、これは何かを企んでる顔だ。 先輩がこんな表情をした時は決まってわたしをからかって遊ぶのだ。反射的に前に組んだ腕を引き締める。
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