- 【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
262 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:10:10.41 ID:oOlhIdUf - 二か月前ほどに投稿した長編の続きです
うげげげ、おそくなりまくりおろろろrrr 記憶からきれいさっぱりの方が多いとおもいます。 60と129から一話と二話が読めますんで!!ほんとすいません!! 以下3話になります
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- 【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
263 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:11:28.25 ID:oOlhIdUf - 『ガラスの花』
3話 「……また、失敗しちゃったな」 そっと右手の指先を左手でなぞる。 撫でられた箇所は赤くなっている。先程、錬金中に鍋の中身がかかり火傷した個所だ。 よく冷やしたものの、未だに少し痛む。 ピリピリとした感覚が右手の先から消えない。 これで、3度目だ。 錬金術をやり始めてからもう、何年たっただろう。 こんな基本的なミスは、ロロナ先生に教わっていた初めのころにやったかやらないか。 それがここ3カ月で3度目。あり得ない頻度だ。 しかもこれだけじゃない。 些細な失敗を繰り返している。
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264 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:12:21.94 ID:oOlhIdUf - メルルちゃんと一緒に採取に出かけた時は、危うくモンスターに背後を取られる所だった。
すんでの所で軽い傷を負いながらもとどめを刺したけれど、それは運が良かったのと、メルルちゃんのおかげ。 あそこでメルルちゃんがフォローしてくれていなければ、どうなっていたか分からない。 メルルちゃんは不注意の私を責めるでもなく、いの一番に傷の事を心配してくれた。 手を付いている私に手を差し出して、大丈夫ですかって聞いてくれた。 差し出されたその手には、土すらも付いていなくて。 メルルちゃんは、すごくすごく成長してると思った。 そしてそれ以上に。 「私、先生……失格だよね」 誰もいないアトリエだからこそ呟ける本音。 ここ最近の私は、本当に府抜けている。
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265 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:13:24.28 ID:oOlhIdUf - そう、ミミちゃんが旅立ったあの日から特に顕著だ。
心ここにあらずな状態が長期間続いていて、周りに迷惑をかけていると自覚もある。気をつけようと思ってもいる。 でも今一つ集中できない。 何かをやろうとしても、心のどこかでミミちゃんの事がちらついてしまう。 あの時、メルルちゃんから、ミミちゃんが旅立ったと聞いて驚いた。 今までだったら2〜3日採取や依頼に出かける事があれば、お互いに必ず一言伝えあっていた。出かけてくるねって。いってらっしゃい、気をつけてってミミちゃんも私も何度いい合ったか分からない。 時間が取れなかったり、急ぎの旅立ちなら伝言を頼んだりしていた。
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266 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:14:27.48 ID:oOlhIdUf - それが突然長期の旅の依頼に出ただなんて。
もう、3か月になるだろうか。 音沙汰は、何もない。 手紙も。伝言も。何一つ、ない。 「…………………いつまでも友達でいてくれるんじゃなかったの? ミミちゃんの……」 ――――――うそつき はっとした。 口から出そうになった言葉を、かろうじて口内でとどめる。 今、私は何を呟こうとした? ミミちゃんを、悪者にしようとしたの? 悪者は、私だっていうのに。 火傷した個所を握り締める。 ひきつれるような痛みが指先を通り抜ける。
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267 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:15:40.00 ID:oOlhIdUf - もっと痛めばいいのに。頭を真っ白に染め上げて、何も考えられなくなるくらいに。
そうしたら、自分の汚い部分を見つめないですむのかな。 ……無理だよね。だって私はもう、自分が弱虫の卑怯者だって知っちゃったんだから。 ぐしゃっと髪をかき上げる。 あぁ、ダメだ。また自己嫌悪しちゃっている。 これがいけないんだと分かってはいるけれど、どうしても止められない。 水でも飲んで気分を変えようと、たちあがった。 すると、机の上に置いてある小瓶が目に入る。 小瓶の中には小さなドライフラワー。 ミミちゃんが帰ってきたら渡そうと思っているものだ。 ミミちゃんと別れたちょっと後の旅先で見つけた、小さな花。 とてもきれいな赤い花びらの可愛い花だった。 たくさんの友達たちと一緒に、その花は風に揺られていて。まるで、おとぎ話のような場所で。
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269 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:16:37.74 ID:oOlhIdUf - ミミちゃんに、見せてあげたいな。
真っ先にそう思った私は、花を持ち帰りドライフラワーにする事にした。 以前ミミちゃんに渡して喜んでくれた、小瓶入りのドライフラワーを思い出しながら作り上げた。 そして、喧嘩した訳じゃないけど、仲直りのきっかけにしたいなって思っている。 こんな事があったんだよ、今度ミミちゃんも一緒に行こう!って誘うんだ。 そしたら、また、昔みたいに。 昔みたいに……また、ミミちゃんの優しさに甘えるの? 刺すように胸が痛む。元の関係に戻りたいのは偽らざる本音。 でも同時にいいようのない後ろめたさも感じる。 ミミちゃんに昔通りの関係を望むと言う事は、あの出来事を無かった事にするという事だ。 あの出来事があったから、いかに自分がミミちゃんに甘えて寄りかかって、守られていたのかが分かった。 府抜けた今の自分を見れば嫌でも気づく。
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270 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:17:42.03 ID:oOlhIdUf - それが嫌だから、一人は寂しいから―――自分の弱さを見つめたくないから。
だからミミちゃんに元の友達に戻ってほしいなんて、そんなの。 「…………ただの最低なわがまま、だよね」 つらいなぁ。 決して言葉には出せない。 出せば、もっともっと今の自分が崩れてしまう気がして。 私よりもつらかったミミちゃんの事を、おとしめてしまう気がするから。 こんな私の事なんて、ミミちゃんはもう忘れているかもしれない。 どうでもいい事だと、吹っ切れているかもしれない。だから連絡もないのかな。手紙一つないのかな。 もう、私と友達でいるのすら、嫌になったのかな。 ドンドンドンッ! 突然鳴り響く音。 一瞬体が硬直してしまった。
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271 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:18:42.18 ID:oOlhIdUf - 「トトリ先生―っ!いますかーっ!?」
メルルちゃんの声が、玄関の向こうから聞こえる。 どうやらメルルちゃんのノック音だったようだ。 びっくりした。それにしてもあんなに急いでどうしたんだろう。焦った様子が伝わってくる。 「どうぞ、鍵は空いてるよ!」 大きく声を張り上げて、扉の向こうに届くようにする。 ここ最近、落ち込んだ気分の日が多いため、急に誰かが入ってこないように鍵を閉めている時がある。 泣き顔に近い顔なんて、人には見せられない。 「失礼します!」 元気よく扉を開けたメルルちゃんが、私の方へ走り寄ってくる。 はぁはぁと息が切れていても、浮かべているその笑顔には曇りがない。 しかし、さすがに息が切れすぎていて喋れないのか、私の前で息を整えようとている。
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272 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2012/04/23(月) 00:19:35.38 ID:oOlhIdUf - かなり体力があるメルルちゃんが、ここまで息を切らすなんて。
どこから走ってきたのか。よっぽど急いでいたのかな。 「どうかしたの? メルルちゃん」 「はい、はぁっ、はっ、あの、ですね」 息を整えるのと、喋るのとを一緒にやろうとして、息継ぎがうまくいっていない。 思わずほほえましくて頬が緩む。 まるで昔の私を見ているようだ。 「急がなくていいよ、落ち着いて。ほら、深呼吸だよ」 「は、はい、す〜〜〜は〜〜〜す〜〜〜は〜〜〜……」 助言に従ってすぐに深呼吸する所も、すごく素直だ。 うん、そろそろ落ち着いたかな。 「そんなに急いで、どうかしたの?」 「あ、は、はい、トトリ先生!!みたんですよ!私みたんです!!」 「えっと……何をみたの?」 幽霊でも見ちゃったっていうのかな。でもそれならこんなにはしゃいだ感じには―――
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