- 【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
276 :代理[sage]:2012/04/23(月) 00:41:36.83 ID:/2HolI/4 - 「ミミさんです!フィリーさんに依頼の報告してるのを見かけたんです!帰ってきたんですよ!!」
ひゅっと息を吸い込む。それ以上の行動が出来ない。瞬きすら忘れる。 ミミちゃんが……帰って来た?本当に? 「そう…なの」 「そうですそうです!今ならまだあそこに居るかもですよ!会いに行きましょうよ!」 「会いに…?」 これから、ミミちゃんに会いに行く? 「そうですよ!さぁ、行きましょう、トトリ先生!」 メルルちゃんが手を掴んで、そのまま外に向かおうとする。 ミミちゃんに会う。これから。すぐに。 会って何をするの?おかえりなさいと言えばいいの?心配したんだよって笑えばいいの? ミミちゃんはもう―――私の友達としてすら居てくれないかもしれないのに? そう思った瞬間、メルルちゃんの手を振り払っていた。 パシッと乾いた音が響く。 「え?トトリ先生……?」 きょとんとした眼が私をとらえる。 「あ、ごめ……ん」 払ってしまった手は宙に浮いている。 無意識にふるまったから、強い力ではなかった。痛くは無かっただろう。 でもその手をまたつかんで、ミミちゃんの元に行く事は今の私には出来そうもない。 「あの、ごめんね……。でも、私は……ここに、いるよ」 私の言葉を聞いて、メルルちゃんの瞳の怪訝な色が濃くなっていく。 前の私ならこんな長い期間ミミちゃんと会わなかったら、ためらわずに向かっていたと思う。メルルちゃんには、きっとそれが分かってる。 「えっと……何か急ぎの依頼でもあるんですか?」 「特には、ないよ」 「じゃあどうして?ミミさんが帰ってきたんですよ?」 「―――そうだね」 ミミちゃんが帰ってきたんだよね。 ミミちゃんが、そばに居る。会いに行けば、会える。話せる。顔を見れる。 でも、そのすべてが怖い。 会って話すのが怖い。声を聞くのが怖い。目を見るのが怖い。 もう友達ですら居られないかもしれないのだと、現実を突き付けられるのが何より怖い。 嫌な事を聞きたくないから、見たくないから耳をふさぎ目をそらす。まるで、子供だ。 お母さんの事を忘れてしまったあの頃から私は、何にも変わっていないのかもしれない。 そう理解していても、固まってしまった足は前に動こうとはしないのだ。
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- 【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
277 :代理[sage]:2012/04/23(月) 00:43:42.48 ID:/2HolI/4 -
無理矢理、頬を釣り上げる。 「ごめん。私は、いけないよ」 「本当に……どうしたんですか?何があったんですか?最近のトトリ先生、おかしいです」 「何にもないよ。ただ……少し、疲れてるだけだよ」 「嘘です!絶対なんかありましたよね!?」 即座に否定される。まいったな。今の私に、上手い言い訳を思いつける余裕なんてないのに。 「……なんで、かな?」 「最近トトリ先生、うっかりミスも多いし、どこかぼうっとしてます。今のミミさんの事だってそうです。変です。なによりトトリ先生の最近の笑顔、なんだか苦しそうで見てられませんよ。笑顔なのに泣き顔みたいなんです」 ミミさんがいないからさびしいんだと思って、今まで何も言いませんでしたけど。 そう続けるメルルちゃんの声が耳を抜ける。 その声音は気づかいと優しさ満ちていて、心底心配してくれているのだと感じる。 ふと、涙がこぼれそうなった。 一人で葛藤していた期間は私にとってあまりにも長くて孤独で。 気づいてくれていた人がいたのだと、ただそれだけの事実で少し気持ちが軽くなる。 震える唇を開く。 「あのね、メルルちゃん――――」 こんな事で弟子に甘えるなんて、先生として失格かもしれない。 それでも抱えきれないこの想いを、少しだけ聞いてもらってもいいかな。 続く。
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- 【ガスト】アトリエシリーズで百合 3
278 :代理[sage]:2012/04/23(月) 00:45:47.32 ID:/2HolI/4 - 某御方のご支援を頂き、無事投稿できました!某様ありがとうございました(土下座 規制怖いです。 さて、まだ終わりが見えないこの話。まだまだ暗いのよHAHAHA。次回投稿までまた気長にお待ちくだされば嬉しいです。お、遅いとさ、三か月…後…とかかかkkがんばります。
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