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【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】

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【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】
974 :599まみゆきss[sage]:2012/03/25(日) 04:31:37.09 ID:9aXPPxqB
599、628、753、876の続き。まみゆき。見切り発車ss。暇つぶしにどうぞ。

『アイス』

時折、不安そうな目でこちらを見る。私は、それが気になって、ついついいらぬお節介とやらをしてしまうのだ。元気がないのはどうしてなのか、言葉に出してくれなきゃわからないんだ。

「おつかれさまでしたー!」

『とびだせ!動物ワールド』のスペシャル企画の収録が漸く終わり、私と雪歩はへろへろになって帰りの車に乗った。

「づがれたー! いくら自分でも、こんなあっつい中のハードスケジュールはきつかったぞ……」 

乗り込んでそうそうに、普段ならあまり言わないような文句を運転手につける。それほどまでに、この番組では経験のない忙しさだった

「体力バカの響なら、と思ったんだがなあ。はっはっは、すまん!」
「自分はいいけど、雪歩のことちゃんと考えてた?」

プロデューサーが馬鹿面で悪びれもなく笑う。噛み付いてやろうかと思ったが、しかし、ミラー越しに、私の横で伸びている雪歩を確認したプロデューサーは笑いを止める。

「うおおおお!? ゆ、雪歩、大丈夫か!? ちゃんと水分取ったのか!?」

先ほどとは打って変わって絶叫する運転手。こちらを振り返ろうとする。

「前方不注意!」

雪歩はほとんど生気のない顔で、

「大丈夫ですー」

と、蚊の鳴くような声を出す。見ると、口元だけで少女は笑っている。

「え、雪歩、なになに、今日の夜は焼肉が食べたい? そっか、そっか」
「おいこら、明日からいぬ美達の食事がパンひと切れとかになっても知らないぞ」
「なんくるないさー、あいつらならちゃんと一人でも生きていけ……ご、ごめんいぬ美、売り言葉に買い言葉と言うやつで、あわわ、そんな目で見ないでくれよー」

いぬ美に加え、ハム蔵まで私のことを遠い目で見始めて、ミラー越しにその様子を見ていたプロデューサーが大声で笑っていた。悪いのは自分か、自分なのか。

「まあ、今日のテーマ『雪歩の犬嫌いを直す』のせいで、どーなるかは予想してたよ。二人とも本当にお疲れ様。スタッフに聞いたけど、なんだ、その、半分やらせじゃない分、涙あり、笑いありの内容のつまったものになったって喜んでたよ」
「ほんとか? それなら、駆けずり回ったのも悪くはないさー」

前半は聞捨てならないが、いい番組ができたなら文句は言わない。見てくれる人が楽しいって思って、何か感じるものになったなら結果論だって構いやしない。

「そんなわけで、今日の暑さを予想できなかった3週間前の俺から、ご褒美。事務所にアイスあるから食ってけよな」
「うっしゃあああ!」
「響ちゃん、元気……でも私も…うれ……しい。ありが……とうござい……ます」
「ゆ、雪歩。アイスみたいに今にも溶けそうだぞ?」
「響ちゃんも汗だくでアイスみたいになってるよ……」
「二人とも、ちゃんとアフターケアしとけよなー」
「セクハラ!」
「な、なんだなんだ? 近頃の若い子はそーやってすぐ大人を虐めるんだからっ」

疲れた体ながらも、馬鹿話で盛り上がり、西日が顔を差す前には私も雪歩もぐっすりと眠ってしまっていた。

【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】
975 :599まみゆきss[sage]:2012/03/25(日) 04:35:45.28 ID:9aXPPxqB
「ただいまー!」
「ただいまです」

暗がりの階段を上り、ふらふらと事務所に着けば、春香とあずささんと亜美がソファーに座り、揃いも揃って顎に手を当てていた。何があったのか、見ると、机の上にアイスの空き袋。
アイスの空き袋。ふたつ。私と雪歩は声にならない声で、その場に崩れ落ちる。

「お、おいそのアイスお前らが食べたのか?」

慌てて、プロデューサーが三人に聞いた。

「違いますよ。私が来たときにはすでにここにありました。どうせ、亜美あたりがまた散らかしたに違いないと思って亜美に聞いたんですけど……」

春香はそこまで言って、横目で亜美の方を見た。

「亜美だって、今朝見つけて……食べたかったけど、先に食べられてたからプンスカだよ! こりゃ、犯人をつるし上げるしかねえ! っと思ってとりあえず前科のあるあずさお姉ちゃんから疑ってみたのですがねえ……」

亜美はどこぞの警部みたいな口調で、上目遣いにあずささんに視線を送った。

「あらあら、それは大変ねえと思って、私も心当たりを探してみたんだけど、どこにもなくって……」

つまり、食べた記憶がない。食べてないということなのか、食べた記憶すらないのか、それがわからないところがあずさお姉ちゃんの怖いところである。

「犯人の手掛かりはないのか?」

私は、涙ぐみながら聞いた。それを見て、ぎょっとしながら春香が答える。

「うーん、それらしいものは……一人で昼間みんなに見られずに食べれる人ってみんなスケジュールばらばらだからわからなくって……」
「暑いもんね、アイス食べたくなっちゃう気持ちわかります。うんうん」

亜美がまだ刑事モードで相槌をうつ。

「そうねー、こう暑いとみんな冷たいものが恋しくなるわよねきっと」

あずささんが頬に手をあてて、仕方ないという風に言葉を吐く。

「困ったなあ。せっかく、二人が好きそうなの選んで買ってきたのに……」
「え?」


【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】
976 :599まみゆきss[sage]:2012/03/25(日) 04:37:04.60 ID:9aXPPxqB
ため息混じりのプロデューサーの言葉に、春香が声を返す。

「ああ、今日こいつらかなり忙しくて、その労いにと思ったんだが」

やれやれ、と彼は頭をかく。

「コンビニすぐそこだし、今から買ってくるか」
「それなら、自分アイス食べたいからひとっ走り行ってくるよ。雪歩、何食べ……?」

早々に踵を返そうとした私のTシャツの裾を、崩れ落ちていた雪歩が掴んだ。

「……口元にチョコ、ついてますよ」

と、小さな声だがはっきりと届いた、ようだった。私がきょとんとして振り返れば、少女たちは三者三様に口元に手を当てている。

「あは。袋は二つ空いてるのに、どうしてみなさん一人の方をそんなに押すんですか? どうして、互いの誰かの肩をそんなに持つんですか? もしかしたら二人かもしれないのに。ううん、二人の方が可能性としては高いはず。でも、今ので十分わかっちゃいましたけど」
「雪歩、怖いよ……」
「ゆ、ゆきぴょん、お助け……」
「あらあら」
「みなさん嘘がお下手ですね」
「おお、雪歩がいつになく荒れている」
「感心する所か?」

雪歩が私を支えにゆっくりと立ち上がる。

「春香ちゃん、真美ちゃん。穴を掘って埋めてあげます」

たぶん笑ったつもりだったのだろうが、疲れのせいで表情筋は歪な面を作り出している。

「「がくがく」」
「あらあら」

その後、二人は雪歩に屋上へと連れていかれた。特に打ち合わせをしたわけではなかったのだが、うまい流れとはあるものだ。

「……響、俺は雪歩にこれからも優しくするぞ。異論は認めん」
「……なんくるないさー」

二人が泣きながら戻ってきた頃には、プロデューサーが新しいアイスを買ってきていた。

「あれ? 雪歩は?」
「「雪歩様はまだ屋上です」」
「そ、そうか」

しっかり調教済みの二人を憐れみつつ、なぜか、あずさお姉ちゃんだけは被害を逃れた一番の謎を誰も突っ込まないので放置しつつ、私はアイスを持って屋上へ向かった。

【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】
977 :599まみゆきss[sage]:2012/03/25(日) 04:37:31.94 ID:9aXPPxqB

「雪歩、プロデューサーがまた買ってきてくれたから……機嫌なおしてくれ」

手すりに寄りかかる雪歩は、実際そこまで怒ってもいないのか、くすりと笑ってアイスを受け取った。

「ありがとう、響ちゃん」
「よかった。やっと笑ってくれた」
「え?」
「最近さ、雪歩元気なかったから……」
「ど、どうして……?」
「んー、ただのカン」
「カン……」
「でも、自分は言葉で伝えられないこと世の中にはたくさんあるって知ってるぞ。ハム蔵にだっていぬ美にだってそれがあるように。だから、カンでいいさー」

私はアイスにかぶりつく。ひんやりとして甘くて美味しい。屋上から見る、熱帯夜の都会の夜景も、どこか涼しく感じる。生ぬるい風が頬を撫でるけれど、それはどこか懐かしい。

「そう……だね」
「うん」
「響ちゃんにもある?」
「ある、いっぱいある」
「あの、聞いてもいい?」
「言葉にできないぞ……」
「あ、そ、そうだよね。ごめんね」
「謝らなくても……んー、でも、ほんとはさ、いつかは言葉にできるんだ。自分は人間だしな。口に出したい、伝えたい。でも、踏み込んでいいのかわからない。自分の中で抑えて置いたほうがいいような気もする。それは、相手にとって大切な気持ちなのかもしれない」
「……」
「雪歩、聞いてもいいか?」
「……響ちゃんには敵わないな」
「へへへ、自分はこれでもプロだからな!」

雪歩が口元で手を当てて笑っている。おかしなことを言ったつもりはないのだけれど。

「うん、どうして、敵わないのか……よく分かったよ」

雪歩は渡されたアイスの封をまだ開けていない。

「あ、雪歩、アイス溶けるぞ?」
「そうだね……」

ぽつりと呟くように頷いて、少女はアイスを食べ始める。

「私ね、真ちゃんのこと好きなんだ」
「……え」

しゃくりと、雪歩の口の中でアイスが鳴った。その小さな音がやけに耳に響いていた。

続く
【デュオで】アイドルマスターで百合 その39【トリオで】
978 :599まみゆきss訂正[sage]:2012/03/25(日) 04:46:22.89 ID:9aXPPxqB
響のあずさの呼び方誤記すまんorz


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