- 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
675 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 11:51:43.33 ID:RC4yhIc5 - ちょっと遅くなってしまいましたが、先日の続きを投下させていただきたいと思います
暫しのお付き合いをばよろしくお願いしますm(__)m
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676 :【>>650続き】[sage]:2012/02/01(水) 12:06:05.39 ID:RC4yhIc5 - ―――――――
「!」 天使の第一声はそれだった。 『似たようなもの』ってなんだろう、と詮索するよりも、澄んだ緋い目に釘付けになってしまった。 あのときと、彼女に初めて出会ったときと同じ。 声が出ない。 動けない。 そうしているうちにやがて、彼女は口を開いた。
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677 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 12:15:26.46 ID:RC4yhIc5 -
『私は…』 ――――――― 歌姫。 そう言われる理由が分かった気がする。 現に、私を見る澄んだそのエメラルドグリーンに私も見とれてしまっていた。 思考回路が、プログラムが、久しぶりに物理的に停止した。 しかし私がフリーズしてしまってはと、何度もその名前を呼びたくなる気持ちを振り切ってそれぞれの活動を再開させた。
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678 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 12:33:25.80 ID:RC4yhIc5 - ―――――――
『Prototype:Σ-01(black-box-test-case/result=a failure)』 「う、ううん? ぷ、ぷろとたいぷしぐま…?」 慣れない英語に頭がついていかない。 目を白黒させていると、 『要するに、「失敗作」ということ』 「失敗作?」 見る限りはそういう風には見えない。
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679 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 12:42:47.47 ID:RC4yhIc5 - それっぽい格好をさせて、新しいボーカロイドだって言い張ってしまえば通用すると思う。
…やらないけど。 そんなことを考えているうちに、彼女は自分について語り出してくれた。 要約してしまうとこうだ。
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680 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 12:56:28.79 ID:RC4yhIc5 -
――― まだ「ボーカロイド」って言葉もない時代。 既存の音楽に少し飽きてきていた開発者たちは「機械に歌を歌わせる」ことを思いついた。 ただ思うがままに書きなぐられていくプログラム。 そして誰も思い付かなかったことへの試み。 当然簡単に事が運べるわけもなく、試行錯誤、トライアンドエラーの連続。
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681 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 13:12:00.56 ID:RC4yhIc5 - それらを繰り返していけば、当然「失敗作」も生まれるわけで、しかし何が起こるか分からない、と開発者たちはその全ての結果を律義にも保存していた。
やがて、いわゆる「VOCALOID」が誕生し、 再び試行錯誤を重ねて、わたしたち「VOCALOID2」が生まれるころには、 その「失敗作」はとんでもない容量を誇っていた。
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682 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 13:24:56.43 ID:RC4yhIc5 - だが、慎重に慎重を重ねたい開発者たちはどうしてもそれを廃棄したがらず、
苦肉の策として全ての失敗作を1つに圧縮し、研究棟の下層に格納した。 その場所こそ、この第8倉庫。 各プログラムの暴走があってはならないと、全てのログ監視システムを搭載したこの場所を「居場所」とした失敗作たちは、 やがてそれぞれを誇張しながらも統合され、今のこの姿を取って眠りに就いた。
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683 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 13:36:50.48 ID:RC4yhIc5 - ―――
「え、えーと…」 『無理して理解しようとしなくていい、とにかく私は、貴女が関わっていいような存在ではないことが分かってもらえれば…』 なんとなくだけど分かった。 この人がどういう人なのか分かった。 多分。 「ち、ちょっと聞いてもいいですか?」 そしてどうしても聞きたいことができた。 『何?』
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684 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 13:47:21.58 ID:RC4yhIc5 - 「『ボーカロイドって言葉もない時代』ってことは、メイコ姉よりも前からいたの?」
『そう、なるわね』 「そして、『VOCALOID2が生まれるころには』ってことは、えーと、あなたのプログラムの中には、メイコ姉はもちろん、わたしやリンちゃん、ルカ姉の…うーんと…試作品?もいるんだよね?」 『そうね』 答えを聞けた。 全てが繋がった。 どうしても伝えたいことができた。
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685 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 13:53:49.89 ID:RC4yhIc5 - 「ってことは、わたしたちは、あなたがいなかったら生まれてこれなかったってことだよね?」
『それは…私には、分からない』 「ううん、きっとそうだよ! ねえ、しぐまさん!」 『な、何?』 わたしはきっと、これを伝えるためにあなたに出逢ったんだ。 「生まれてきてくれてありがとう!」 ―――――――
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686 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 14:02:32.95 ID:RC4yhIc5 -
…気付いたら部屋に戻ってきていた。 「あ、あれ……」 でも今回は、この間みたいな、夢か現か、みたいな感覚はない。 多分、わたししか知らないことをわたしは知ってる。 今回はちゃんと覚えてる。 なんだか達成感に満ちた気分。 「んふふー♪」 布団にうつぶせになりながら、枕をもふもふしながら、わたしは決めた。
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687 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 14:12:18.89 ID:RC4yhIc5 - これから毎日、あの人のところに行こう。
行ってたくさんお話ししたい。 ずっと眠っていたなら知らないこともたくさんあるだろうし、それはわたしが教えてあげるの。 代わりに、わたしが知らないことを、いろいろ教えてもらえたらいいなぁ、なんて。 明日はなにを話そうかなあ、そんなことを考えつつワクワクしていたら、眠ってしまうまでにそう時間は掛からなかった。
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688 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 14:16:22.56 ID:RC4yhIc5 - ―――――――
【epilogue】 『……』 屈託のない笑顔。 しっかりと脳裏に焼き付いてしまって、怖くなってまた、強制的に帰してしまったけれど。 『「生まれてきてくれて、ありがとう」…?』 「ありがとう」は確か感謝の言葉。 この「失敗作」の私に…? 『……』
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689 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 14:20:51.87 ID:RC4yhIc5 - 水槽の中の私を包む水に混ざって分からないけれど、多分私は泣いていた。
涙、をこぼしていたんだと思う。 『あの娘なら、私を変えてくれるのかな』 現実味のない、それでも確かな願いを口にして。 『あ』 気付いた時には遅かった。 視界が鋭い赤色に変わったのを認識して、私は全ての機能を停止した…―
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690 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2012/02/01(水) 14:25:41.52 ID:RC4yhIc5 -
長かった! これにて第2話終了です(;´ω`) 長々とすいませんorz ちなみに次で最後です 「まだ続くのかよ!」って思われるかもしれませんが、またお付き合いいただけますと幸いですm(__)m それでは失礼しますー
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