トップページ > レズ・百合萌え > 2011年12月25日 > F4+I6kLC

書き込み順位&時間帯一覧

11 位/222 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000000000000000000000033



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
名無しさん@秘密の花園
【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋★2

書き込みレス一覧

【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋★2
210 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/25(日) 23:09:37.02 ID:F4+I6kLC
「たったひとりの恋人」

きらびやかなイルミネーションの中で、一人きりの私が居た。
クリスマス。
いつからこの日は恋人同士が過ごす日になったのか。知らないし知りたくもない。興味がない、どうでもいい。
だけど私は待っている。マジ女を卒業してから5年。青春の真っ只中を共に過ごしたマブダチを。

次々と、待ち人が来て手をつなぎながら夜の街にカップルが消えていく。
幸せそうな彼らの目には私がどう映るのだろうか。
暗めな紺色のドレスに間に合わせのコートを羽織って、冷えた手の薬指に指輪を光らせた私。
幸せそうに恋人を待つ女に見えるのだろうか。もう一度視線を上げると、ガラスに写る私はお世辞にもそんな風には見えなかった。


「待て!どこに行くんだ!」
「ごめんなさい!私…行かなきゃいけないの!」
父の怒鳴り声が未だに耳に残る。婚約記念のパーティーを抜け出すには、彼女の一言で十分だった。

「会いたい」

知らないメールアドレス。けれど、誰かはすぐに分かった。たった四文字が私の記憶を呼び起こしてしまう。
将来の伴侶となる人は、舞台袖に私と共に居た。
「大丈夫かい?」
「え、ええ…」
「新しい門出だ。不安かも知れないけれど僕が側に居るから」

舞台上では父がいつにもまして饒舌になって騒いでいた。
どうしたらいい?
心の中で押さえつけて鍵を掛けた箱が開いてしまう。思い出してしまう。
ガラスとガラスが触れ合う可憐な音が頭に響いて、どんどん大きくなる。
薬指を強く握った。この場所は、こんな物を付ける場所じゃなかったのに。
「さあ、行こう」
彼が手を差しのべた。その笑顔は、私が欲しい物じゃない。その瞬間、ガラスが割れた、割れてしまった。
「ごめんなさい。私…あなたじゃダメなの」


【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋★2
211 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/25(日) 23:12:20.50 ID:F4+I6kLC
私は舞台へ飛び出した。
「婚約は出来ません!!」
「な、何を言ってるんだ!!」
「お父様ごめんなさい。ダメなんです!」
「待て!どこに行くんだ!」
「ごめんなさい!私…行かなきゃいけないの!」

騒然とする群衆を掻き分けてホテルを飛び出した。エントランス前に止まっていたタクシーに乗り込み、彼女に電話を掛けた。
「もしもし」
「もしもし、あの…わ、わたし」
「…………ネズミ?」


愛しい人の声。今の私をそう呼んでくれるのは彼女だけだった。
「そう、ネズミ。ネズミさんだよ」
「そうか、ネズミか…久しぶりだな」
「センター、どこにいるの?」
「さあ、どこかな」
「なにそれ」
「私はいつでもお前の側に居るよ」
「相変わらずだな」
そんなクサイ台詞も大好きだった。その懐かしい声に涙を堪えるのが苦しかった。溢れないように見上げた窓の向こうの空からは、白い雪が降っていた。
「ネズミ。駅で待ってて」
「…うん。分かった」
「すぐ行くから」
私は返事をして震える指で電話を切った。

------------------------------

ドレス一枚だった私は駅前のデパートに駆け込んで、その店で一番高いコートを買った。
慌てて走ってきたお陰で、セットした髪が少し乱れていた。髪を直し、とれかけた口紅を塗り直した。
彼には、申し訳ない事をしたと思っている。あの世界には珍しく純粋で優しい人だった。初夜まで私には触れないという約束までしてくれた。
だけど彼女と別れてからずっと、決定的な何かを見失ったまま生きてきた私に、その優しさは苦痛なだけだった。
彼は悪くない。悪いのは私だ。
彼女はいきなり姿を消した。悲しくて悲しくて、泣いても泣いても涙は枯れなかった。彼女の言葉の全てが今も鮮明に思い出され、触れられた全てが痛む。
傷はいつか癒えるけれど、私に残されたのは一生消えない堕天の印だった。



【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋★2
212 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/25(日) 23:14:34.30 ID:F4+I6kLC
「女と恋愛だなんて…言語道断だ!!」

不思議な事に私は怖くも悔しくも悲しくも無かった。
それの何が悪いのか、何がいけないのか、そればかりが不思議に思われた。
「世間の常識で勝手に決めつけないで下さい」
「自分のしてることが分かってるのか!?」
「ええ、分かってます。頭でも、体でも」
決め台詞をネズミさんスマイルで言ってやると、父は怒りと驚きで顔を真っ赤にしていた。
その衝動にまかせ父は私を殴った。
「ふざけるな!!許さん!」
「別に許されなくても結構です」
「そうか、じゃあ出ていけ!今すぐ!」
「分かりました」

その夜荷物をまとめながら彼女に電話を掛けた。
「もしもし」
「もしもし、私だ」
「どうした?」
「勘当されたよ。親父に」
「何故だ?」
「お前と付き合ってるのがバレて、別れないなら出てけって」
「出ていくのか?」
「もちろん。こんな家とおさらば出来て清々するよ」
「ネズミ。それはダメだ」
「なんで?二人で暮らせるんだよ?嬉しくないの?」
「それだけはやめろ」
「なんで!?じゃあ別れたいの!?」
「違うよネズミ、聞いてくれ」
「酷い、酷いよセンター。喜んでくれると思ったのに!もういい!センターなんか大嫌いだ!!」

私は携帯を壁に投げつけた。
信じていた彼女に裏切られ、家も失った。暫くして着信音が鳴ったが、電源を切って鞄にしまった。
真夜中、月明かりが眩しく光る空の下、私は鞄と通帳片手に家を出た。



続く





※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。