- 【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋★2
29 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/03(土) 23:13:28.08 ID:N7aEltsT - 「愛しさよ、こんにちは」
「馬鹿は死んでも治らないってのは、あながち間違いじゃないみたいだな」 カーテンの隙間から外を眺めるネズミはそう言って笑った。 深夜2時、小さな窓から聞こえるのはヤンキー達の怒号。私たちが居るホテルの向かいには公園があって、どうやらそこが今夜の血祭りの舞台らしい。 青白い街灯が暴れまわる二種類の制服を照らしていた。 「あーあ、あれじゃすぐ終わっちゃうな。つまんない」 「相変わらず自分勝手な奴だな」 「人間なんかエゴの塊だからな。お前だってそうさ」 「楽しいか?無意味な喧嘩を見るのは」 「うん。楽しい。私はあっちの人間とは違うって思えるし」 「寂しいな、ネズミは」 「あ、やっと来た」 2対2だった筈の殴り合いは片方に大量の増員がなされ多数対2になった。 「やっちゃえやっちゃえー!あはは」 二人は囲まれてやがて見えなくなった。ネズミはとても楽しそうだった。 「見てらんねえ」 「まあまあ、そう言わず。これも私たちの為だよ?」 「それでも気に入らない」 「あ、ヤバい」 暗闇の中に一つ女とは違う叫び声が響いた。
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30 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/03(土) 23:20:19.73 ID:N7aEltsT - 「センター、電気消して」
「何故?」 「サツが来た。面倒に巻き込まれたくない」 私は言われるがまま電気を消した。そう広くない室内で、月明かりがネズミの横顔の輪郭を浮かび出す。 「やっぱり、もう終わっちゃった」 自転車を投げ出して笛を吹き鳴らす中年の警察官の背中にネズミは中指を立てた。 小さな体は悪巧みでいっぱいになって、その高笑いは私にも染み渡る。 頭が考えるより先に、私はネズミを背中から抱き締めた。 「なにこれ」 「寂しいんだろ?」 「は?」 「お前は寂しいんだ。だからこんな事ばかり繰り返してる」 「さっき言った。これはテッペン取りのため」 「違う。嘘を吐くな」 「偉そうに言うな。ウザい。離せ」 「あいつらはヤンキーの端くれに過ぎない。私たちには関係ない奴等だ」 「口答えするな。お前は黙って」 「ネズミ、私も少しは勉強したんだ」 彼女を抱き締める右手を胸元にそっと当てた。 「お前も私と同じように感じてくれてると分かってる」 小さなネズミの小さな心臓が激しく高鳴る。その鼓動が私の悦び。私の血となり肉となる。 「…自惚れるな」 嘘吐きはまた嘘を吐いた。 「それと、ちょっと期待してるだろ?」 ネズミの柔らかな首筋に恥じらいの跡を残す。窓に映る彼女の顔が一瞬歪んだ。 「今日はやめろって言わないんだな」 抗いの意志を見せ付ける事を怠ったネズミは、思い出したように私の腕を外そうとする。
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31 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/03(土) 23:22:07.73 ID:N7aEltsT - 「お前は太陽を避けて歩いて来たんだろ?闇に紛れる鼠だから」
「太陽なんて嫌いだ。暑苦しい」 「でも月はお前を傷付けない」 「だから?」 「だから…私は今からお前を抱く」 やはり想いは思うがままに伝えるのが一番だ。遠回しで凝った表現なんて必要がない。その証拠に、私の腕の中の愛しき人は、最大限の拍動を以て私に恍惚を与えてくれるのだから。 「いいよな?」 私と出会ってから、こんな風に好意を持って触れてくる者を彼女は拒めなくなった。YESともNOとも言えない恋人は、困ったように熱い溜め息を吐いた。 「返事をしないのは、YESって事だな」 「ちが…」 私はカーテンを閉めた。狭い室内は暗闇と化し、二人の息づかいだけで満ちた。 「私が居れば寂しくない」 ネズミを抱き締めていた手を離す。ゆっくりと後退りをしてシングルベッドに腰掛けた。 「センター?」 「ここだ。おいで」 うっすらと縁取られるネズミの影はもたつきながらこちらに向かってくる。差し出した手がパーカーに触れた。そのまま彼女を引き寄せると、ネズミはゆっくりとしゃがんで、私のスカートを掴んだ。 人形の様に整った顔に黒目がちな瞳は、喜びと期待と微かな恐怖でいつも以上に輝いていた。
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32 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/12/03(土) 23:24:20.78 ID:N7aEltsT - 私たちはただただ見つめ合う時の中で、互いの意志を紡ぎ合わせるように手を取り合った。強がりな口は閉ざされて、暗闇は彼女を素直にする。
「もうこんな事しなくていい」 「でもそれじゃテッペンは」 「私たちに勝てる奴が他に居るか?」 具合が悪そうに俯くネズミの頬に手を当てて、初めての時の様に小さなキスをした。彼女の熱い息が私に染み入り、そのままゆっくりと、脆く弱い体を慈しみながら横になる。 「お前が傷つくのは嫌なんだ」 赤く印を付けた右の首筋にはナイフを押し当てたような切傷が出来ていた。 滲んだ血を見ると苦しくなる。こんな風になるのは彼女だけだ。 「ごめん」 謝る彼女の唇をまた塞いで言葉以上に感じ合う事を選んだ。ごめん、だなんて聞きたくない。私の側に居て、私の愛を感じてくれればそれで良い。 それから私はネズミの全てを愛した。 髪から足の先まで触れられる所全てを愛した。 一番喜んでくれる女の部分にキスして、震える指を沈めた。溢れる水を舌で掬って彼女を癒し、指を曲げ音を響かせた。 狂った様に、でも確かな足取りで、彼女に最大の愛を伝えたつもりだ。自信はない。けれどこれが私に、私だけに出来るやり方だ。 太陽がまだ顔を出さない早朝、すやすやと眠る恋人の額にキスをした。 「お前は私が守るから」 制服に身を包み静かに部屋を出た。 終わり また後で一つ投下させて頂きます。
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