- ゆるゆりでガチ百合
715 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 12:19:50.04 ID:Zz8sLTa+ - ちょうど久々に今日来てるな
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- リリカルなのはで百合萌え(燃え) 40愛し合って
12 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 21:14:02.72 ID:Zz8sLTa+ - >>1乙
なのフェイで、ヴィヴィオ視点で3レスくらいお借りします。 死にネタなので苦手な人はスルーで。 前スレ>>383の後。 息を引き取る刹那、なのはママは微笑んだ。 懐かしいその笑顔の意味が、すぐにはわからなかった。 「――あ。」 遺品の整理をしている最中、何気なく開いた詩集のひとつ。 春を詠う一遍の中に、それは挟まれていた。 しおり代わりに使っていた様な、カード形の記録端末。 (写真か何かかな――?) そう思ってわたしは特に疑問に思うこともなく、手の中の物をクリスに手渡した。 クリスは小さな両手で、銀色のそれをギュッと抱きしめると、コトコトと中身を読み始める。 読み込みを待つ間、カードが挟まれていた詩集をなんともなしにパラパラと捲ってみた。 これはいつも、なのはママのベットサイドにあった一冊だ。 少し黄ばんだこの詩集を、なのはママがいつどこで手に入れたのかは知らない。 ただ、詩はすべて日本語で書かれていた。 ひとしきり詩集を眺めると、あとはすることがなかった。 本を閉じ、ぼんやりとクリスを待つ。 「……。」 そうやって何も考えないでいると、気がつけばあの日のことを思い出していた。 この部屋で、なのはママの最後を看取ったのは私だ。 余命を宣告された日、なのはママは家に帰ることを望んだ。 亡くなるまでの、数日間。 なのはママは、人生で一番穏やかな顔をしていたと思う。 今思えば何かを期待していたのかも知れない。 春の甘い香りが漂う、温かい日の午後――。 かつて大空を映した青い瞳は、今はもう何も映せなくなっていた。 白く濁った瞳孔は、もう朝と夜しかわからなくなっていた。 「なのはママ――。」 あの日、静かに声をかけながら、わたしはなのはママに寄り添っていた。 鳥が、風が、空が。今が別れの時だと告げる。 悲しい時、嬉しい時。 いつも抱きしめてくれた左手がそっと、わたしの頬を撫でた。 節目の歳を、幾度か迎えた娘の頬を、老いた母の手が静かになぞる。 名残惜しむようにゆっくり、ゆっくりと、その瞳から焦点が失われていった。 眠るように母は旅立とうとしていた。 私はひとつ残らず目に焼き付けようと、じっとなのはママを見つめた。 そうして、目蓋が閉じ切る瞬間、何も見えないはずの瞳が、不意に私の隣を捉えた。 そして笑った。 母は笑って、本当に嬉しそうに笑って、そうして息を引き取った。 その笑顔には、見覚えがあった。 すぐにはわからなかったけれど、確かにそれは私が知っている笑顔だった。 あれは、特別な笑顔だ。 なのはママがフェイトママにだけ向ける、特別な笑顔。 フェイトママを失った後、一度も見ることはなかった。 だから私は、すぐに思い出せなかった。 (あぁ……。) そうじゃない。 そうじゃない。 ただ辛くなるだけから、無意識に思い出さないようにしていただけだ。
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- リリカルなのはで百合萌え(燃え) 40愛し合って
13 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 21:15:13.04 ID:Zz8sLTa+ - ≪……。≫
読み込みの終わったクリスが、悲しそうに顔をあげた。 「どうしたの?」と私が問いかける前に、クリスはカードの中身を再生した。 「……。」 彼女が見せた画に、私は言葉を失った。 目の前に広がる、もうひとりの母の笑顔。 カードに記録された、ただ一枚の写真。 この家にフェイトママの写真はない。 フェイトママが亡くなった後、 フェイトママの写真が、新たに飾られることはなくなったから。 そうして、元々、飾ってあった写真は。 何年もかけて、静かに。 そう、静かに、少しずつ。 なのはママが一枚、一枚、外していったから。 「もういいよ、クリス――。」 私も、気がつかないくらい。 ひとつずつ、ひとつずつ。 写真は減っていった。 代わりにフェイトママの子供たちの写真は少しずつ増えていった。 桜が舞い散る海鳴の防波堤。 その先に微笑む、金色の天使。 小さなカードに残された思い出に、私は母が抱えていた悲しみを知った。 あの頃の私は子供で、本当にただの子供で。 わたしは、私は母の孤独を、少しも理解出来ていなかった。 なのはママは、私よりももっとずっと、深く傷ついていた。 繰り返し、何度も読んだ跡がある詩集。 けれど、数えるほどしか再生されていないフェイトママの写真。 一体、どんな気持ちでこの詩を読んでいたんだろう。 ≪……。≫ 声もなく静かに泣く私の頬を、白い小さな手がそっと拭う。 そういえば、この子の瞳の色はフェイトママと同じだ。 そんなことを考えて、また涙が溢れた。 失われていった、フェイトママの写真も。 時折、仕事で見せる、理由のわからないなのはママの無茶も。 残された、アルハザードに関する膨大な資料も。 今ならわかる気がした。 「仲良すぎだよ、ふたりとも――。」 あの日、たぶん、はにかみやのもうひとりの母が迎えに来たのだ。 きっとわたしの隣で、昔と変わらぬ微笑みを浮かべていたのだろう。 私の肩を抱く、優しい手のひらの感触を。 今も確かに覚えている。
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14 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 21:16:41.52 ID:Zz8sLTa+ - 2レスだった。おわり。
>>10 同意。イト?って思ってた。
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