- 【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋
705 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 10:00:23.11 ID:15crkMhV - >>670です。待っててくださった方もいられるようで感謝です
続きは今日の夕方から夜には投下出来そうです。 ただ後編の前のインターバルが長くなってしまったので、中編になってます
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707 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:07:02.02 ID:15crkMhV - >>670
「願いはきっと」〜中編〜 センターが変だ、絶対に変だ。まあ普段からかなり変なヤツではあるが、それとは違う。 明らかに様子がおかしい。 こっちがどれほどウザがろうとベタベタしてきたセンターが、どこか微妙によそよそしい。 五日前、屋上で私がセンターに「お前のものになってもいい」と口にした時から。 ・・・そして、その話題はそのとき以来私たちの間に上っていない。 放課後、風は少々肌寒いが背中に感じる日の光がキラキラと眩しく暖かい秋の午後。 センターと二人、いつものように屋上にいた。 ベンチに並んで座っているのもいつもと同じ。だが、私が少し距離を開けて座っても、セン ターは詰めてはこない。その隙間を冷えた空気が通ってゆく。 これは私の知る「いつも」とは違う。不安や痛み以上に苛立たしさが募る。 私は頭を覆うグレーのパーカーのフードを外し、首を振って長い髪を秋風に晒した。 センターは静かにヘッセをめくり、私はMP3プレーヤーから流れるクラシックに耳を傾 け・・・ずに、センターの様子を窺った。 気づかれないように窺ってるつもりはないから、きっと分っているはず。 本に目を向けていても、視線やページめくりから内容に集中している感じは全くしないし。 そのくせ何も言ってこないとは、こっちの腹立たしさは倍増しだ! 「センター」 「なんだ、ネズミ」 お前は本から顔を上げずに、淡々と返事する。 「キスして」 さすがに顔をあげた。ちょっと驚いている様子。 私からキスをはっきり強請ったのは、そう、五日前のあの時以来だ。 センターはヘッセを脇に置くと、私の方に向き直り、頬にチュッとバードキスをしてきた。 センターの表情は、困ったと照れたを足して2で割ったようで、私がジト目で見つめると、 ワンテンポ遅く視線を横に逸らした。
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708 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:11:18.36 ID:15crkMhV -
「何かのプレイなわけ?」 「え?」 「………センター、お前いったい何なの?我慢も限界なんだけど」 「……ごめん」 「ごめんで許すヤツがヤンキーなんてやってないね。ってさ、だいたいお前は何が悪いと思 って謝ってんだ?」 センターは答えず、項垂れてしまった。私は勢いよくベンチから立ち上がってセンターを見 下ろした。 腕を組んで、心持ち大股で立つのはセンターの立ち姿を意識して。 「お前、様子変だよね、自分で分ってるだろ?」 センターは目を合わせず、軽くコクコクと数回頷いた。 「この前の話が原因…ってことは私も分るよ。だけどそれ以上のことは私はお前じゃないん だから分るわけない。黙って変な態度取られるのって気持ち悪いし、ムカツク」 挑発の意味もあるから、キツイ言葉を投げつける。だがセンターはまだ無言だ。 そして、次の言葉は口に出せば、自分がナイフで切り刻まれるような痛い台詞。 だけど言わずには居られない。 「・・・ふ〜ん、ま、別にいいけど。つまりお前は、私なんかとはやりたくもないしキスも したくないってことで」 「違うっ!!」 センターは弾かれたように叫んだ。必死の形相だ。だが私の気持ちが癒えるわけはない。 「私はお前が好きだって言ったろ?」 「ま、聞いたけどね。だけど言葉なんて所詮どんな意味にも取れるんだ」 「信じてなかったっていうのか?」 「さあね。でも、だったらなんであんなしょぼいキスしてくるわけ?」 「それは…」 「それに最近私のこと、微妙に避けてるだろ?気づいてないと思ってた?」 「そんなつもりはない」 「……私にあ〜んなこと言わせておいてさ、結局弄んだってことか。お前かなりひどいよね。 無神経。最っっ低」
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709 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:18:26.37 ID:15crkMhV -
私は高ぶってくる気持ちをどうにか抑えて、尖った声を出しセンターを責める。この怒りが 不当なはずがない。恥ずかしいし情けないし悔しいのはこっちなんだ。 センターは深い色の目をしてじっと私を見つめて、大きな溜め息を一つついた。 「ネズミ、お前に本当に悪いと思ってる。だけど…どうしたらいいかわからないんだ」 絞り出すようなセンターの声。また再び項垂れてしまった。 しおれた花…というよりまさに飼い主に叱られてしょぼくれてる犬そのものだ。 おいおい、ちょっと待て。 「いったい何がだ?」 「・・・・・」 「おい黙るな、センター!私たちはマブダチだろ?悩みがあるなら聞いてやる。良いからさ っさと私に相談しろっ!」 「…私は、そういうことするの、初めてなんだ」 センターの返事は小声ではあったが、有難くも明瞭で非常に聞き取りやすかった。 ・・・・思わずフリーズしてしまった。 これにいったいどういう反応をすればいいのか?自分にとって得意な分野ではない気がす るが、動揺する気持ちを抑えて頭を回転させる。 私もセンターも高校二年生。誕生日が来てないからまだ16歳だ。 早いヤツらはとっくの昔に経験しているだろうが、だからといってまだ未経験なのが際だっ て遅いという程ではないはずだ、多分。 まあヤンキーだからといって、いろんなヤツがいるのは当たり前だ。 マジ女で出会う前のセンターのこと、よく知るわけではないが、男に媚びて付き合う姿など 想像も出来ない。それどころかその辺の同年代の女のように、流行のおしゃれで着飾ったり、 群れて恋愛話をすることすら、ひどく遠い気がする。 もちろんセンターが少し化粧でもして可愛い服でも着れば、とびきりの美少女が出来上がる のは見ればわかる。 そして勿論、今のままのセンターに人を惹き付けて止まない魅力があることも。
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710 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:24:46.76 ID:15crkMhV -
だが、私にとってセンターは、ただ目の前のセンターなのだ。 少なくとも私は、そんな経験など期待も予想もしていなかった。むしろそんな相手がいたと 知らされたら・・・・どう感じていただろう? そんなのすぐ分る、想像しただけで不快感が胃の奥から這い上がってくる気がする。 そう、だからセンターがそれで悩んだというなら、ただただ呆れて少しだけ微笑ましい。 「私も初めてだよ。…男も女もね」 だが、自分で口に出してみて初めて分った。意外に言いづらいことだ。恥ずかしいし弱みを さらけ出すような気分になる。手のひらがジンとして、自分が緊張しているのが分る。 「ネズミ、そうなのか?」 「あっ、当たり前だ!なんだその反応は?!お前は私が経験しまくりの方がいいって のか?!」 驚いたように目を丸くしたセンターの答えにカッとなり、思わず語気が荒くなる。 「そ、そんなわけないだろ。むしろ……」 「むしろ…なんだよ?」 「すごく嬉しいんだ。当然だろ?」 センターの頬と目尻が赤く染まっている。私もつられて赤くなりそうだ。 こんな言葉に詰まりそうなときほど、何故か思わず饒舌になってしまう。 「う、嬉しいとかいうなよ、当たり前だろ?誰かとつきあう以前に、ダチからしてお前が初め てなんだ。誰かと関わりたいと思ったことないし」 そう、誰かを操りたい陥れたい支配したいという欲望は胸を巣くい、それをこの手で実行して きたことは事実だが、まともに関わろうなんて思ったのは後にも先にもセンターだけだ。 「それは私も同じだな」 センターは少しはにかんだ綺麗な笑顔をようやく向けてくれた。久しぶりな気がする。私は 自分が思っている以上に、センターのことが好きで仕方ないのかもしれない。 心が通じていると思えると、こんなにも幸せな気持ちになれるのだから。
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711 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:29:51.13 ID:15crkMhV -
私はセンターの傍らの髪が触れるほど近くに、再びストンと腰を下ろした。 「この前ネズミがさ、私としてもいい…って言ってくれたとき、すげー嬉しかったんだ。上 手く言えないけど、感動したっていうか…うん、眠れなかったし」 どこかしみじみ語るセンターの詞に、顔の火照るような嬉しさと恥ずかしさが湧いてくる。 「…で、お前としては『だけど初めてだし、どうしよう』ってこと?」 「う、うん、まあ、それはあった。知識はあっても実戦経験がないと役に立たないってのは、 基本的に喧嘩と一緒だと思うし」 「……そういうことと喧嘩を一緒に論じるのはどうかと思うけど?」 「やはりそうか」 「ってセンター、お前経験無いとか言ってるクセして、知識とかあるわけ?!」 「…河原でやってんの、ときどき見かけるし」 「おい、こら、覗いてんのか?!」 「覗いてって・・・見たくなくても目に入るもんなんだよ!」 むきになってるセンターが可笑しくて、思わず手を叩いて大笑いしてしまった。 そしてピタリと笑いを止めて、スッとセンターの左手に右手を重ねる。 私はちゃんとセンターの気持ちに応えなくてはならない。 「お前になんの知識が必要か?」 至近距離でセンターの目を覗き込む。 「センター、私はお前に何を望んでいると思うのか?」
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712 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:37:23.74 ID:15crkMhV -
センターはゆっくり私の右手を取ると、覆っていたグローブを躊躇いがちに外しにかかった。 私は黙ってするがままにさせた。 センターは私の裸の手に自分の右手を重ねた後、指で何度もなぞるように触れ何度も柔らか く撫で、そしてキュッと握りしめた。 「ネズミ…お前の手は小さいな。指もとても細くて白い」 「…うん」 心から慈しまれているような感覚が広がり、切なさに胸が塞がってくる。 鋭敏な感覚を持つ裸の手が触れ合うというのは、お互い何を感じ何を伝え合うんだろう? 「お前はとても可憐だ」 「……」 「抱きしめるたびにお前が折れそうで、なんて華奢な身体してるんだって思ってたんだ」 「…そう、かな?」 私たちの右手は触れ合ってもつれ合って絡み合って、自然と恋人握りになっていた。 「お前を私が壊してしまったらどうしようって……」 センターの目は、今にも泣きそうにも見えた。 ……お前、怖いのか? こうしてお前と手が触れ合っているのは、たまらなく嬉しく気持ち良い。 この手が私の髪に触れ頬に触れ、そして強く抱きしめてくれたらどんなに満ち足りるだろう と思える。 だが、私の触れているセンターの右手は、センターの武器であり、誰かと闘い誰かを傷つけ る危険な凶器だ。 拳を振るって闘うお前の激しい姿を、私はいつだって見てきたんだ。 「私がそんなにヤワだと思うのか?壊すなら壊せよ」 「ネズミ…」 そして、この手はどんなときだって私を求め続け、私の血と涙をぬぐい、そして私の心と身 体を守ってくれた手でもあるのだ。 それらがすべて愛おしい。私はセンターの手の甲に唇を寄せた。 「私はセンターの手が好きだよ」
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713 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 20:49:06.82 ID:15crkMhV -
視線が甘く絡まる。私が目を閉じると唇の上に震える吐息を感じた。 そして、お前は今度こそ私の望みの場所に唇を落としてくれた。身体中がようやく叶っ た願いに歓喜しているのを感じる。 私の頭は痺れたように思考が奪われ、泣きたくなるような切ない気持ちの中で、ただお前 の唇を求め、入ってくる熱く激しい舌の動きに応えることしかできなかった。 唇が離れたとき、つうっと二人の間を光るモノが繋いでいた。 私たちは顔を見合わせた。 お前はニヤリと笑うと、中指でそれをすくってぺろりと舐め、私はぬぐいもせず、口腔 内に残った二人分の唾液をコクリと飲み干した。 そのとき、私は鳩尾の辺りがきゅんと痺れて弾け、下半身にじわりと広がるのを感じた。 私は裸にされた右手を伸ばし、センターの右手を取った。 そして、その右手を引き寄せ、グレーのパーカーの下の制服の私の左胸にそっと押し当てた。 センターの手が一瞬強張るのを感じたが、構わない。 手首を握る手に力を込めた時、息をのむ音を聞いた。 「……ッネズミ」 うわずったセンターの声。 心臓がバクバクする。センターの目を見る事が出来ない。 「……触ってよ」 本当は「触って良いよ」と言おうとしたはずだ。でも出て来た言葉が『許可』から『懇願』 に変わってしまったのは、きっとそれが本音だからに違いない。
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714 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 21:09:23.94 ID:15crkMhV -
センターは長い指を探るように使いながら、手のひらで丸く円を描くよう何度も撫でる。 未知の感覚が広がっていく。 痺れが広がり、ツンと締め付けられようで、尾てい骨から背筋へのゾクゾクした感覚が止ま らない。時々ピクンと先が熱くなる。 自分で素肌の胸を触ったって、こんな感覚得られないのは分っている。 私の、お前の手だからだ。制服がもどかしい。 「んっ……はっん…」 思わず息の下から声が漏れ出てしまう。お前の息づかいも激しくなり、お互いの息が耳 に絡みついて、首筋をぞくりとさせる。 「好きだ…」 甘やかにかすれたお前の声に、頭を振って応える。 優しかったセンターの手にキュッと力が籠もった。 視線を合わせるとお前の艶やかな黒い瞳に、自分の蕩けた顔が映っている。お前も私の目の 中に、今の自らの欲望の在処を見つけているのだろうか? 「ネズミ、これから私の家に来ないか?」 「ん…」 頷く私を、お前は口角がきゅっと上がった見惚れる程のいい顔で見つめ返してくれた。 今更迷いは無い。私は、その言葉を待っていたのだから。 まだ霧のかかった頭の中で、センターが言った「お前を自分のものにしたい好き」という言 葉を思い返していた。 それは、お互い湧き上がる愛しさを伝え合い、こんな震えるような感覚を与え合うものなの だろうか。 それとももっと深い何かがあるのだろうか? この先に進んだらどこへ行くのか、私たちはどうなるのか?何かが変わるのだろうか? 私は知らない。きっとお前も知らないはず。 だけど怖れなど些細なモノと吹き飛ぶほどに、目の前の扉を開きたいのだ。 ただもっとお前を知りたい、お前を内側に感じたいから。 〜つづく〜
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716 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/11/09(水) 21:30:13.67 ID:15crkMhV - グダグダでへたれなセンターの中編で、結局エロまで行きませんでした すみません
続きはもうやるしかない所まで来てるので、後編ではいくとは思うのですが。。 読んでくださった方感謝です >>715 さっそくのご感想ありがとうございます
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