- 【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋
608 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/10/24(月) 06:01:59.67 ID:ZxpEt46h - >>600
センターの視線は冷たい筈なのに、私の体はみるみる内に熱くなっていく。 肌が焼き付けられるような熱さだ。 ネックレスを外してテーブルに置き、下着姿の私は大きめのベッドに腰かけた。 彼女に目配せをするが、依然として黒い瞳をぼんやり浮かべたままだ。 「ねえ、センター。こっち来てよ」 「何故だ?」 「…近くで見て欲しいから」 私の言葉に驚いただろうが、彼女は心を殺して口を閉ざす。どうせ恥ずかしい思いをするのなら、目の前で私を感じて貰いたい。 いつもは言葉にしない気持ちも、今日は勇気を出して声に出してみる。 センターがベッドの端に乗る。白いシーツが濡れた。 「一つだけお願い」 私は彼女の冷えた手を取った。 「センターの指でさせて」 彼女は黙って壁に凭れた。 「勝手にしろ」 センターは私を試している。苦しみに覆われた時の私のように。 私は全てを脱ぎ捨てた。何も着ていない女と雨に濡れた服を着た女。 彼女に見詰められた胸の蕾は既に花が咲いていた。 口の端だけでセンターは笑う。どんな笑いにせよ、笑ってもらった方がずっと楽だ。 こんな状況でも彼女を求める体の熱は、収まることなく増していくのだから。
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- 【マジすか学園】センターとネズミの秘密の部屋
609 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/10/24(月) 06:03:45.48 ID:ZxpEt46h - 私は彼女の正面に座り、彼女の手を取った。指に静かに舌を絡ませて吸う。唾液が流れてはまた舌で掬う動作を繰り返した。
静寂に包まれた部屋に二人きりで、私が空っぽになった彼女の指を愛でている。 私の愛を分かって欲しい。そんな悲しいことを言わないで欲しい。 そう思いながら見詰めた瞳は少しずつ赤く光る。 充分濡れた所でそのまま胸元に運んだ。片方を自分の手で、もう片方は彼女の手で。乳房に圧力をかけるだけのささやかな刺激は、苦しくて気持ち良くて感覚を尖らせていく。 小さく声を漏らす私は、段々と声を言葉に変えていった。 「センター、見て。私を見て」 彼女の指で摘まんだ蕾。濡れた指は力が無かったが確かに熱を持っていた。 膝をついた両足の谷底はじんわりと漏れている。私は足を開いて彼女に向けた。その時、センターが小さく息を飲んだのが分かった。 「ちゃんと見て。これが私の証明だから」 指が沈む音が静かに響く。私は彼女の名前を何度も呼んだ。 動く度に溢れる水がシーツに染みを作り、甘美なメロディーが二人を包んだ。 好き。愛してる。 そんなメッセージは震える腰が伝えてくれる。
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610 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/10/24(月) 06:05:46.17 ID:ZxpEt46h - 狂おしい程の快楽は彼女でなければだめなこと、長い長い一幕が終わるまで私の息から漏れていた。
悲しみと、どうしようもない愛しさが一気に集まってくる。 恥ずかしさなどとうに消え、愛する人の指で震える私を目に焼き付けて欲しい思いでいっぱいだった。 こんな私を見せるのはお前にだけだよ。好きすぎて苦しくなる日も、悲しくて苦しくなる日も、私たちだけのもの。 泣きながら叫ぶ私からセンターは目を逸らさない。センターも息苦しそうだった。 「信じて、私は、お前が好きなの」 スピードを上げる。咽び泣く私の腰をセンターは抱き寄せた。動かない筈の指は最後に優しさをもって、一番奥の場所に力をこめられると、心臓が大きく弾かれて私は果てた。 「ネズミ、ごめん。ごめん」 彼女を縛る苦しみの糸が切れたのか、私は泣きじゃくるセンターの涙を拭い、そっとキスをした。 -------------------- 「今日、ネズミと別れた後、用があって街に出たんだ」 温かい湯船に浸かりながら、センターは一つ一つ絞りだして声に出す。私は手を握りながら相槌を打った。 「そしたら、母親にそっくりな人が居て、母な訳ないのに、私動けなくなってさ」 センターの綺麗な涙が一粒落ちた。 「思わず名前呼びそうになって、そしたら小さな子供が、お母さんって嬉しそうに言いながら走って来たんだ」 「うん」 「なんで私は捨てられたんだろう、私は悪い子だったのか?っていつも考えないようにしてたけど、頭がいっぱいになって」 センターは真っ赤な目で私を見る。強く逞しく優しい恋人も、まだ一人の少女だった。 月を見上げて寂しくなるときもある。ひとり、夜に涙することだってある。 彼女は、弱い私を守ろうと、私の前で必死に演じていた。私はそれに気付かなかった。
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611 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/10/24(月) 06:09:07.89 ID:ZxpEt46h - 「それで、ネズミに会いたくなって家まで行ったんだ」
「え…」 「でも丁度車で出る所だった。叫んだけど、聞こえなかったみたいだな」 力なく笑うセンターは、壊れかけた人形のように脆く儚く、それなのに美しかった。 寂しいとか悲しいとか、そんな片側の感情では語り得ない複雑さが私を引き付ける。 それからセンターは、私を追いかけてこのホテルまで来たこと。雨に打たれながら私を待っていたこと。丁度出てきた時に電話をかけたけど、電話に出ずに男と一瞬に去っていく私を見て、裏切られた気持ちになったこと、全て話してくれた。 愛の逆は無関心だ、と人は言うが、彼女の場合愛の裏返しは憎しみ。裏切られた時の悲しみ。 好意的な感情以外を素直にぶつけられるのは久しぶりで、センターの痛みが全身から伝わってきて私の胸も酷く痛んだ。 けれど彼女の苦しみなら共有したいと願う。その原因は一生消えない。私たちは永遠に傷付き続ける。こうして二人、共に居ること自体が苦しみの原因でもあるから。 だけど、傷付いたらまた癒せばいい。 強く抱き締めて、優しくキスをして、涙が出る程愛し合い二人で生きていけばいい。 全てを吐き出したセンターは私の涙を拭ってくれた。 「ネズミ、本当にごめん」 彼女は私を抱き締めてくれる。いつもの温かい彼女の腕だった。 「もう二度とあんなこと言わないから」 「それと、あんなこともさせないでよ」 私が笑って言うとセンターは顔を見て笑ってくれた。 「いや、あれはあれで良いんじゃないか?」 「うわ、サイテー」 広い風呂場に二人の笑い声が響く。 「改めて、今夜はどこでしようか」 「…ここで良いよ」 センターの頬が少し赤くなった気がした。嬉しそうに笑ってキスをしてくれる。 「愛してるよ」 私は小さく答えて、今度は私から唇を重ねた。 初めて二人、寂しさに負けた夜だった。 終わり
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