- カードファイト!! ヴァンガードで百合をイメージ
508 :エミサキ八年後2[sage]:2011/09/04(日) 00:25:31.46 ID:GuQwKCiJ - 紅茶を飲みながら、お互いに色々な話をした。
カムイが全国大会常連のファイターとして、シンが大会のTV中継の解説者として、すっかり有名人になったこと。 エミが留学しているアメリカでもヴァンガードは人気の競技で、TV中継も盛んなこと。 エミは昔と変わらない明るさでよく笑い、よく話した。それでもミサキは、エミが再び自分の前に姿を現したことに、まだ現実感がなかった。 「ところでミサキさん、お腹空かない?私、良かったらお夕飯作るよ?」 「え、そんな…いいの…?」 「だってミサキさん、忙しかったりであんまり食べ物に気を遣ってなさそうなんだもん」 「う、図星…かも」 「ちゃんと食べないと、折角スタイルいいのに」 「あ、ありがとう…私、それじゃあお風呂沸かしておくね」 「一緒に入る?」 「…それは恥ずかしいからいい//」 エミの作った料理は魔法がかかったように素晴らしく、家族と一緒にいた頃を思い出した。または、恋人同士や夫婦って、こんな感じなのかもしれない、などと思ったりもした。 エミは明日には日本を発つといい、そのままの流れで、ミサキは彼女を家に泊めた。 「遅い時間になっちゃったから」、そう口では言っても本当は自分が寂しいだけ、少しでも長く傍に置きたいからだと自分でもわかっていた。 エミに空いた部屋を貸し、暗い自室のベッドで考え込む。 明日は店は休みだ。今日のさっきまでと、明日のせいぜい昼まで一緒に過ごせたところで、エミは遠い国へまた行ってしまう。 無論、しばらくは会えない。人にはそれぞれの暮らしが、人生がある、当たり前のことだ。理屈では理解していても納得はできなかった。 なぜ別れを言う間もなく行ってしまったんだろう。 なぜまた急に現れて、そしてまた行ってしまうんだろう。 好きって、伝える暇すらないじゃない。 目を瞑るとまた涙が出てきた。 こんな気持ちにさせるなら、本当に二度と会えなくて良かったのに。
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509 :エミサキ八年後3[sage]:2011/09/04(日) 00:56:08.62 ID:GuQwKCiJ - その時、小さな柔らかい手が濡れた頬に触れた。
それはエミの手だった。目を開けて、身を起こす。 「…エミちゃん…どうして」 「あの、ミサキさん、今日最初に会ったとき、泣きそうになってたから…大丈夫?」 「…ごめん、ね…」 今度は堪え切れず、ぼろぼろと涙が零れる。 「ミサキさん…」 そっと抱きしめてくれたエミの胸で、母親に泣きつく幼い少女のように泣きじゃくる。 「エミちゃんが帰ってきて、すごく嬉しくて、でも、寂しくて。また会えないから。私…エミちゃんが好きだったから、今も好きだから、ずっと。でも今まで、ずっと言えなくて」 「…!」 「ごめんね、こんなこと急に…わがまま、だよね」 「…ミサキさん、私が黙っていなくなったこと、怒ってる?」 「…ううん…」 「ごめんね、黙って行って…でもね、実は、私もミサキさんのことが、ずっと好きだったんだよ」 「!」 「綺麗で優しくて大好きって、ずっと思ってて。でも言い出せなくて、行く前には言おうと思ってたのに、言えなくて、ミサキさんを忘れようとしてたの。 でも、忘れるなんてできなくて、こんな時に…本当にごめんなさい、ミサキさん」 「エミちゃん…いいの、私も好き」 「ありがとう…」 エミはミサキの潤んだ目を見つめて、それから無言で口付けをした。 それから何度も名前を呼び合いながら甘えてくるミサキを抱きしめて眠った。 空港のロビーでミサキはエミを見送る。 家族の見送りの後で、会える時間は僅かだったが、不思議と寂しさはあまりなかった。 あるのはお互いを想いながら日々を強く生きていこうという思いだけだ。 「また今度ね、ミサキさん。今度はもっとゆっくり過ごそうね」 「うん、エミちゃんも。頑張ってね」 「ちょっと寂しいけど、泣いちゃだめだよ。ちゃんと連絡もするから。ミサキさんの泣き顔、ちょっと可愛いけどね」 「と、年上なんだから子供扱いしないで//」 「またね、ミサキさん…」 「うん、エミちゃん。またね…」 そう言って、別々の方に向かった。振り返りもしないし、「さようなら」とも言わない。 未来があるなら、また何度も会える。過去ではなく未来を見ること、それをエミはまた教えてくれた。 そして、いつか二人で結ばれて生きていく未来を、ミサキはイメージした。
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510 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/09/04(日) 00:58:10.99 ID:GuQwKCiJ - SSとか投下していいスレなのかわからないが未来イメージが湧き上がったので書いた。今は反省している。
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