- 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
197 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/07/30(土) 00:04:50.21 ID:J8AyJyFz - やっぱりわたしはここに来ちゃいけなかったんだ。
そうだ、ここの扉に『解錠厳禁』って書いてあったじゃないか。 「ご、ごめんなさい、でもせめて…」 それでもこの期に及んでわたしの好奇心は、声の主の正体を知りたがっていた。 それを聞いてか頭の中に話し掛ける声にはもう悲しみしかなくなって。 《貴女は、貴女のいるべき場所に戻りなさい…》 わたしが聞いた声はそれが最後だった。 ―――――――― 「…!」 気付いた時にはいつの間にか自分の部屋の扉の前に立っていた。 私が見たあの光景は夢だったのか、確かめに行く気力もない。 ぼーっとしたままの頭で部屋に戻ろうとすると、申し訳なさそうな表情のリンちゃんに会った。 「み、ミク姉…第8倉庫行ったの…?」 「行った」 「なにか…いた…?」 「何も、いなかったよ」 「やっぱり…?」 「いなかった」 「ご、ごめんねミク姉…」 「ううん」 そんな上の空の会話を交わしてから部屋に戻った。 「ミク姉、まだ怒ってるのかな…」 「怒ってはなさそうだったけど、上の空、って感じはしたわね」 「第8倉庫でなにかあったのかな…」 「知らないうちに何かに取り憑かれた、とか?」 「縁起でもないこと言わないでよルカ姉!?」 ――――――― 「ふぅ」 なんだか気が抜けちゃって、溜息をついてベッドに横になる。 夢か現かも分からない、あっという間の、長い時間だったかもしれない出来事。 ただ、確かにあの人に向けられる好奇心は強くなっていく一方で。 水に漂う白髪。 透けて融けてしまいそうな白い肌。 対照的に、まるで枷のように彼女を繋ぎ止めていた無機質な無骨なケーブル。 真剣に、『美しい』と思ってしまったあの人の姿。 「…寝よう」 わたしは目を閉じた。 近いうちにもう一度、あの人に逢いに行こうという決心と、 少し低い、それでも優しい、未だに頭の中で鮮明に反響する「Who are you?」の問いを抱きながら。
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- 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
198 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/07/30(土) 00:16:42.08 ID:J8AyJyFz - 【epilogue】
――――――― 数年ぶりにやって来た来客を半ば強制的に送った後。 誰もいなくなったのを認識すると、私は目を開けた。 (英語ライブラリ…誰が私にそんなものを…) ダウンロードされた痕跡はある。 ただ、「誰がいつ」という情報はない。 多分、じゃなくて明らかに意図的に消去されているけれど。 (私はもう、とうの昔に諦められた失敗作だというのに…) 思わず溜息がこぼれる。 ぽこぽこと浮かび消える泡を見送って私は目を閉じた。 次はその姿を目に焼き付けてやろうという決心と、 予想外の来客の慌てふためいた、澄んだ声の自己紹介の反響を抱きながら。 (初音…ミク、か…)
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199 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/07/30(土) 00:20:30.18 ID:J8AyJyFz -
…以上ですー 今回も長かったw 一応続きを書こうかなぁとは思ってるんですが、展開を悩み中なのと、 別ネタも進行中なのでいつになるか分かりません… 期待しないで待ってていただけると幸いですw それでは失礼しますー
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