- スイートプリキュア♪で百合7
733 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:32:55.40 ID:tCFKmmZz - SS投下しても良いですかね?
なんか明日放送がないと思ってMXの再放送見てたら唐突にネタが出てきたんだけど・・・ あんまり百合っぽくないかもしれない。 響視点。6レスくらい。先達の百合登場。 初投下なんでいろいろ大目に見て欲しいっす。
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734 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:38:01.01 ID:tCFKmmZz - 私立アリア学園。朝のホームルーム前のひととき。
「―――ねぇ、知ってる?」 カバンから教科書を取り出し、机に詰め込んでいると 少し紅潮した表情で奏が聞いてくる。 「・・・なんのこと?」 ぶっきらぼうに返事をしてしまったが、いつものことだ。 奏が今みたいに興奮ぎみに話をしてくるときは、大概がいわゆる「恋バナ」ってやつで 話題の大半が王子先輩のことばかり。 正直、面白くない話題だ。 そんな内心を私は隠そうとはしない。 王子先輩のことを話す奏は、ものすごく可愛い笑顔を私に向けてくる。 奏の笑顔が見られるのは嬉しいけど、その内容が「私」じゃないことが面白くないのだ。 「なによ響ったら、あからさまに不機嫌じゃない」 「そりゃすいませんねー。言っておくけど王子隊のコンサートだったら行かないし、王子先輩のことは興味が無いから全部パス。」 奏は私の反応にほっぺたをふくらまして不満を露わにしている・・・うん、ふくれた顔も可愛い。 「もう・・・別に王子先輩のことじゃないわよ。今日から教育実習生が来るって話、北条先生から聞いたりしてない?」 「えっ?・・・えええっー?!」
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736 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:42:07.88 ID:tCFKmmZz - 「ちょっと響、本当に何も聞いてないの?噂じゃ今年は2人らしいんだけど、あまり詳しいことがわかんなかったから響ならなにか聞いてるかと思ってたのにー」
「パパは学校のことなんて家じゃなんにも言ってくれないし、口を開けばドイツ語で音楽のことばっかりだよ!」 「まったく、頼りにならないんだから!まぁいいわ。どうせ授業が始まればわかるだろうし・・・あーあ、カッコいい人だったらいいなぁ・・・」 奏は遠い目をして物思いに耽ってしまった。・・・話題は王子先輩のことじゃなかったけど、やっぱり面白くなかった。 話題のもとである教育実習生はホームルームで紹介されたのであった。 「美墨なぎさです。担当は体育。みんな、短い間だけどよろしくね!」 「雪城ほのかです。担当は理科です。皆さんよろしくお願いいたします。」 教育実習生のふたりは早々に学園中の人気の的となった。 美墨先生はサバサバしてて話しやすく、天然ボケなところもあって女子生徒からの黄色い声が絶えない。 いざ授業となればビシビシ・キビキビ指導するし、生徒に混じって競技に参加したら男子顔負けの運動神経を見せ付ける。 雪城先生は穏やかな笑顔を誰にも向ける聖母みたいな性格かと思えば、ひとたびスイッチが入ると誰もついていけない薀蓄を吐き出す。 授業でも薀蓄を織り交ぜてくるため、生徒には非常にウケが良かった。
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737 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:44:57.36 ID:tCFKmmZz - 人気の秘密はそれだけではなく、ふたりがツーショットのときの空気。
かたや女性だけど凛々しい。かたやまだ若いはずなのに母性を感じさせるような雰囲気。 まるで長年連れ添った夫婦と見間違うくらいに息のあったやりとりはもうなんていうかベストフレンドどころかベストカップル? 女子生徒も男子生徒もふたりの間には入ろうとするどころか遠目から見ているだけでたまらない。ていうか誰も入れない。 私も、そんなふたりに羨望の眼差しを向けずにはいられなかった。 ―――奏と、あんなふうになりたい。 ―――奏と、ああいう関係を築きたい。 ―――奏と、あのふたりのような時間を過ごせるようになりたい。 ・・・あのふたりは、私が思い描く理想の奏との関係そのものだった。 放課後。 生徒のみんなは思い思いに一日のまとめよろしく今日あったこと、感じたことを話しながら帰宅準備を急いでいる。 「ねぇねぇ、今日の昼休みのあのふたりの様子見た?ほっぺのごはんつぶを取ってあげたりなんかしちゃってもう完全に二人の世界を作ってたのよーああもう最高よね!」 「美墨先生が芝生に座っていた雪城先生を引き起こしてあげてたの!くぅ〜、絵になる!たまんない!」 「私、昨日駅で買い物してたふたりを見たの!もうあれはデートよデート!自然に手を繋いで帰っていくの!い、家も同じだったりして!キャーッ!」
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738 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:48:28.01 ID:tCFKmmZz - ここ数日、生徒間の話題といえばあのふたりの教育実習生でもちきりだった。
かくいう私も奏に話すことといったらなぎささんとほのかさんのことばかりだ。 「あのときのなぎささんとほのかさんがさぁ〜、素敵なんだよね、そう思わない奏?」 「・・・私、部活いくから。響も助っ人ないんだったらもう帰ったら?」 「え、えぇ?」 「じゃあね」 「ちょ、奏!ケーキ!ケーキ食べに行くから!」 奏はスタスタと教室を出て行ってしまった。いったいどうしたというんだろう。 結局、ケーキを食べさせてはもらえなかった。 ギスギスした奏をなだめていたらいつのまにか下校時刻になった。 そんな大変なとき、ネガトーンが現れたのだった。
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739 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 22:50:54.65 ID:tCFKmmZz - いつものように変身して、屋上やらグラウンドやらで一悶着。
どうにかネガトーンは追い払ったものの撃退するまでは至らず、音符を回収することはできなかった。 そして奏の機嫌は直らず、奏は先に帰ってしまったのであった。 私は一人、校門で佇んで奏のことを思い返す。 「・・・奏、いったいどうしちゃったっていうの・・・?」 「どうせ響が鈍感なのが悪いんだニャ」 「なに、ハミィいたの?」 「いくら作者が忘れてたからってひどいニャ!」 「奏・・・どうして?実習生の話題を最初に振ってきたのは奏のほうなのに!私がなぎささんたちの話をするのの何が気に入らないってのよ!」 「響、いやなことは忘れるニャ。きっと奏も明日には機嫌が直るニャ」 「ハミィには私の気持ちなんてわからないのよ!」 「・・・あの、北条さん、だったかしら?」 ふと、後ろから声をかけられた。 あわててハミィをカバンのなかに押し込みつつ振り向くと、そこには教育実習生のふたりがいたのだった。
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741 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 23:21:08.05 ID:tCFKmmZz - 「下校時刻はとっくに過ぎているのよ?生徒はとっととおウチへ帰りなさい!ってね」
「もう、なぎさったら・・・えーっと、北条さん?もうすぐ日も暮れるわ。暗くならないうちに帰ったほうがいいんじゃないかしら」 「そーそー!この街は穏やかに見えるけど、”いろいろと危険がいっぱい”みたいだしさ」 「ちょ、ちょっとなぎさ、余計なこと言わないの」 「ほのかだってわかってるんでしょ?・・・さぁて響さん、あなたが帰宅してくれないと私たちも帰れないのよ」 「もう、なぎさ!いい加減にしないと今晩のごはん抜きにするわよ!」 「えーっ、ひどいよほのかってば!」 ―――喧嘩しているようでいちゃついているようにしか見えない。なんだか、このふたりには”絶対の信頼感”があるように見える。 このふたりの間に友情以上の感情があるかどうかはわからないが、それすらも超えた「絆」というものがあるように見えるのだ。 それが、ひどく羨ましい。私と奏はこのふたりのような信頼感(絆)を持つことができるのだろうか。 「あ、あのっ、先生!」 イチャイチャみたいな喧嘩に無理矢理割り込んで私は声を上げた。
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742 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 23:27:55.93 ID:tCFKmmZz - ふたりは言い争い(もっとも、どちらかというとほのかさんが一方的になぎささんを攻め立てていたが)をぴたりと止めて私を見る。
「私・・・友達といっしょにやらなきゃいけないことがあるんですけど、なんだかうまくいかなくて・・・ 私たちが先生たちみたいになれれば・・・ううん、私はその子と先生たちみたいな感じになりたい。 そうすれば、きっと二人でやり遂げることができるんだと思うんです。でも、どうしたらいいかわからないんです」 ふたりは真剣な目で私の言葉に耳を傾けてくれている。 私は感極まって泣いてしまっていた。 言葉がおぼつかなくなっている。 不意にほのかさんが私に歩み寄ると、ふわりと私を抱き寄せた。 「・・・そんなに悩まなくても、いいんじゃないかな」 優しく、でも力強く抱いてくれているほのかさんの言葉に続いてなぎささんが笑顔で言う。 「そうだよ。私たちみたいになりたいっていうのはよくわからないけど、あなたはあなたで、その子はその子でしょ? 私たちにはない、あなたとその子だけの、素敵な関係を築いていけばいいのよ」 「あなたがその子を好きでいて、その子もいっしょにやり遂げようとしているのなら、そんなに悩むことじゃないわ」
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743 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 23:31:59.89 ID:tCFKmmZz - ほのかさんは私の顔をのぞきこみ、ごく自然に涙を拭ってくれながら続けた。
「大丈夫、あなたの思うとおりに行動しなさい。その子のことを思っての行動なら、きっとその子もわかってくれる。それの繰り返すの」 なぎささんも私の頭を撫でながら諭してくれる。 「私とほのかみたいな関係なんてなかなかなれるもんじゃないんだからね! とにかく今はおウチに帰って、いっぱいご飯を食べて、ぐっすり寝なさいな。そして、明日その子と会うのよ」 「もう・・・なぎさったら・・・」 「さーて、落ち着いたかな?私とほのかはちょーっとやることができちゃったから送ってあげられないけど一人で帰れるよね?」 「はい・・・でも、あの・・・」 「いいからいいから」 「さあさあさあ」 そんな感じで無理矢理帰宅させられてしまった。 しょうがない。ふたりの言う通りにするしかなかった。 「とにかく明日、奏といっしょにネガトーンをどうにかするしかないニャ」 あいかわらずハミィは楽観的なことを言ってくれる。
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744 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/06/18(土) 23:36:02.86 ID:tCFKmmZz - 「やれやれ、のんびり実習だけですむと思ったのにね」
「しょうがないわよ。私たちはあの子たちの先生で、あの子は生徒なの」 「先生らしいことをしてあげなくちゃね。あの子たちのためにも。・・・6年振りくらい?」 「ふふふ、そうね。あの頃みたくできるかしら?」 「ほのかなら大丈夫ミポ」 「なぎさは不安だメポ」 「ちょっとあんたら!」 「まぁまぁ」 翌朝。 昨日のネガトーンになった音符が何故かハミィのベッドの中に入っていて、ハミィは深く考えずに喜んでいた。 私は正直わけがわからなかったけど、今日という日が素晴らしいものになる、そんな予感がしていた。 そう。ここで決めなきゃ女がすたる。 「イケてる実習生に気をつけろ!」 おわり お目汚し、大変失礼しました!
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