- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 20
798 :ピザまみれ友情・フィナーレと円環の輪 1/2 ◆2GQkBO2xQE [sage]:2011/05/17(火) 08:58:39.00 ID:oEeOo3vw - 私は幸福の絶頂にいた。体か軽くて、こんな気持ちでご飯を食べるのは生まれて初めてだった。
山のように積まれた種々雑多なピザの箱。山盛りのナゲットが入ったでっかい紙バケツ。 山盛りのパスタ。黒くてかわいいブラックオリーブ。カレーの匂い。トマトの匂い。チーズの匂い。 まどかの匂い。新しい世界にドクターペッパーはなかったけど、 五人でご飯を食べるためにと買った、巴さんのお家の新しいテーブルは、 ピカピカに磨き上げられていて、それは驚くほどみんなの役に立っているようだった。 「わ、私の分にまでタバスコ掛けないでって言ってるでしょ!杏子のばか!ばかばか!」 「ちょっとぉー!転校生のサラミだけ絶対でかいじゃん!ずるすんなよぉー!ずるすんなよぉおお!!」 「落ち着きなよさやか。表面積は大きいけど、厚さの問題で質量的には五グラムほどの差異しかないよ」 「タバスコ掛けなきゃ美味くないだろ!それに、これペプシじゃないか!マミ!あんたあたしの金で何ペプシなんて買ってるんだよ!」 「ほむらちゃん。あーん」 「あーーーーーーーーーーーーーん」 私は大きく口を開けると、まどかの差し出したレギュラークラストのピザにかぶりついた。 八分の一サイズにカットされたそれは、ほくほくとした熱気を立てながら私の口の中で踊り、 ツナとマヨネーズのハーモニー。そして濃厚なチーズのコクが口の中に広がって、それはびっくりするほどティロ☆フィナーレだった。 「おいしい?ほむらちゃん」 「ほむほむ……おいひいわ、まどか!」 まどかが私にマウンテンデューを差し出すと、私は二股に分かれたストローのうち片方に口を付けて、思いっきりそれを吸い上げた。 「ほむらちゃんとちゅー!」 そしてまどかももう一つのストローに、その花びらのように美しい唇を差し出して、 私達は二本のストローで一本のマウンテンデューを飲むという、新宇宙創生にも匹敵する奇跡の光景を生み出した。 私は……感動に噎び泣いた。ツナマヨ。まどか。二本のストロー。ちゅー。 もしこの飲み物がマウンテンデューでなくドクターペッパーであったなら、 私は幸福のあまりソウルジェムをポンしていたことだろう。 「うっ……うっ……ぐすっ……まどかぁ……」 「よしよし、ほむらちゃんは泣き虫だねえー」 「まどかあぁ…………」 「あー!ずるい!まどかずるい!あたしの転校生といちゃいちゃしてる!超ずるい!!」 溢れ出す喜び。鼻水。美味しいツナマヨ。マウンテンデューは何故かしょっぱかった。 でも、それは幸せの味なんだとしたら、それはとっても嬉しいなって、私は思うのでした。 「タバスコだけとってよ!私が辛いの駄目だって知ってる癖に!」 「無茶言うなよ馬鹿!タバスコだってイタリア産だろ!黙って食えっつーの!」 「さやかちゃんもこっちにおいでよぉ!」 「馬鹿!もう知らない!コカコーラ党なんて死ねばいいのよ!」 「マジで!?いいの!?うおぉおー!転校生萌えだあーー!!」 「ハァ!?スカしてんじゃねーよペプシ野郎!キューリでも食ってな!」 「転校生ー!」 「まどかー!」 「ほむらちゃーん!」 「ティロ・フィナーレ!」 マミさんが広辞苑の角で杏子を殴り、杏子は私達の目の前までごろごろと転がってきた。 賑やかな世界だった。まるで悩み事が思い浮かばなかった。まどかをぎゅっと抱きしめながら、 ふと窓の外を見ると、血のように赤い夕日がビル街へと沈んでいくのが見えた。 ……なんだろう?私はなにか大事なことを忘れているような…… そんな不思議な感覚が脳裏に浮かんで、それはすぐに振動に掻き消された。
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799 :ピザまみれ友情・フィナーレと円環の輪 2/2 ◆2GQkBO2xQE [sage]:2011/05/17(火) 08:59:35.68 ID:oEeOo3vw - 「あたしのさやかになにしてんだ、ボンクラ!」
振動の正体は赤い暴れん坊だった。 杏子は一.八リットルのコカコーラボトルをラッパ飲みしながら私に向かって猛烈なタックルをかまし、 私は、私をかいぐり回していたまどかと、青いやつから引き離されてしまった。 「ま、まどか!?まどかぁぁぁああー!!!」 「うわー!返せー!あたしの転校生返せよー!ほむほむぅー!」 「ほむらちゃああーーん!!」 「杏子のばかああぁぁぁ!!!」 泣き叫ぶ私。さやか。まどか。そして杏子に抱きつく巴さんと、連鎖して伝わる衝撃。 私と杏子と巴さんは、リビングの床でごろごろと転がりまくった。 「あたしの目の前でさやかに手ぇ出すとは良い度胸じゃんか!」 杏子は巴さんを無理矢理引っぱがすと、私の上に馬乗りになって、むんずと鼻頭を指で摘んだ。 私はふがふがと鼻を鳴らしながら、なんとか杏子に反撃をしようとするが、 さすがに体術は杏子に一日の長があるらしく、私は芋虫のようにもぞもぞと動くばかりで、 タンクトップ一枚という、ほとんど諸肌を晒した杏子の細い体は、まるで動く気配を見せなかった。 「わー!!!今度は転校生が逆セクハラだ!転校生があたしの杏子を誘惑してる!!この不届き者!」 「いいわよ杏子!行きなさい!やっちゃいなさい!私が許可するわ! 「きゃー!!杏子ちゃんだいたーん!!ほむらちゃん、頑張って!!!」 「うおー!まどかのゴーサインが出たー!!こうなりゃ自棄だー!やっちゃえ杏子ー!!!」 外野はもうてんやわんやの大騒ぎだった。 空になったペットボトルをガンガンと打ち鳴らし、手に持ったキュウべぇをぶんぶんと振り回して、 やがて訳のわからないシュプレヒコールを上げて、私と杏子を囃し立て始めた。 「「「キース!キース!キース!キース!キース!」」」 「すごい!知的生命体の感情エネルギーがティロ☆フィナーレだ!これはエントロピーの大革命だ!」 鳴り響く喝采。興奮するキュウべぇ。そうか。宇宙は大爆発しているんだ。すごい。私、もう何も恐くない! 「ほむら!好きだ!さやかの次だけど!結構好きだ!」 そう言って杏子は私の頬にキスをした。 いくらこんなはちゃめちゃなノリの中だったとしても、その行動は私にとって飛んでもなく驚きの出来事で、 私は頭をぐるぐる混乱させながら、やっとの思いで何かを叫んだ。 「ティ、ティロ・フィナーレ!!!」 杏子はにっかりと笑った。 私達を見ていたみんなが大声を上げて、ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレ!と叫び続けた。 杏子は突然私を抱え上げると、私は杏子にお姫様だっこをされながら、部屋の中央。 空になったピザの箱を踏みつぶし、テーブルの上に乗っかったままくるくると回り続けた。 ぐらぐら回る視界の中でちょっとだけ窓の外が見えたのだが、そこにはもう夕日の灯りはどこにもなく、 血のような赤い記憶も、何かを忘れているような感じも消え失せていて、 私は、今まで一度もこんなに笑ったことがないんじゃないかって言うぐらいに大きな声で笑いながら、 いつまでもいつまでも、くるくる、くるくると杏子と一緒に回り続けた。 「相棒ー!!!!!」 そうだ。そういえば、昔。杏子が私を相棒と呼んだことがあった気がする。 「杏子ー!!!!!」 そうか。これが巴さんの言う円環の理ってやつなのだろう。 それは恐らく、友達の輪に違いなかった。そうなんだろうか? きっとそうに違いない。そしてそれはとっても楽しくて、私は。私達はいつまでも笑い続けた。 「うぇっぷ……」 「大丈夫?ほむらちゃん」 そして、これはきっと幸せ酔いだった。
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801 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/05/17(火) 09:13:09.37 ID:oEeOo3vw - 上げて落とす。基本だよな?
>>760見て感動的な続編を期待した人がもしいたらごめんなちゃい。 マジレスすると……>>760がオマケなんだよ。マジで。俺の本体は>>798です。 >>760も、読んでて全然絶望しないどころか、こいつらワル夜倒しちゃうんじゃね?な印象を読者に与えるのが目的だった。
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