- 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
45 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:32:22.02 ID:AfSAr/wh - うわあああ前話から一月以上経ってるう・・・
というわけで、前スレ>>781の続きを投稿します 今回で終わりかな、と思ったのですが、現実は厳しかったです いつものに比べてさらにgdgd感が増してますが、最終話に向けた通り道だと思っていただければ・・・ 次レスからお願いします
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- 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
46 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:32:56.65 ID:AfSAr/wh - 好きなものから逃げること。
それは、嫌いなものから逃げることよりも辛いことだった。 定例ライブで歌うデュエット曲をインストールしてから、1週間が経過したある日。 わたしたちは初めてのスタジオ練習をしていた。 「ダメね。全く形になってないじゃない」 一度通しで歌った所、メイコさんから厳しい言葉をもらってしまった。 当然のことだ。自分自身、この歌を『歌っている』実感が無いのだから。 「・・・休憩にしましょう。30分後に再開するわ」 返す言葉もなくしばらく沈黙していると、メイコさんは一つため息をついてそう言い残し、部屋を後にした。 「・・・」 わたしも、隣にいるミクも、黙って立ち尽くすだけであった。 「・・・」 漂う空気は重たく、居心地が悪い。 好きな人の隣にいるのに、ちっとも幸せを感じない。 「あ、あの」 「ごめんねっ・・・」 「あっ、ミク・・・!?」 いたたまれなくなって声をかけようとしたが、ミクは謝罪して弾かれるように部屋から出て行ってしまった。 ・・・失望させてしまったのだろうか。 思えば、ミクはこのデュエットを楽しみにしていた。あのときの笑顔は今でも思い出せる。 なのに、こんな有様だから・・・。 一人になってしまった部屋の空気は、さっきよりも重く、苦しい。
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47 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:33:19.83 ID:AfSAr/wh - ※ ※ ※
走る。逃げるように走る。 いったい何から逃げているんだろう。 「―――っ!」 足が痛みを訴える。たまらず、わたしはその場で立ち止まった。 息はかなり上がっていて、苦しい。 「な・・・んで」 壁に手をつき、息を整えながら、独り言をつぶやく。 それは誰もいないスタジオの廊下に空しく吸い込まれていく。 「せっかく・・・ルカ・・・デュエット・・・」 言葉が上手く出てこない。気づけば、自分は涙を流していた。 せっかくルカとデュエットできると思ったのに。 わたしはあの有様で。 ルカを失望させてしまったかと思うと、余計に涙があふれてきてしまった。 「う・・・うぅ・・・」 支離滅裂な言葉はやがて、ただの嗚咽に変わってしまう。 その場にしゃがみこんで、ひたすら涙を流すばかりだった。 「ミク!?」 メイコ姉の声と、こちらに駆け寄ってくる音が聞こえる。 「ミク、大丈夫?」 しゃがんだメイコ姉と、少しだけ顔を上げたわたしの視線がぶつかる。 さっきはすっごく怖かったメイコ姉だけど、やっぱりメイコ姉は大好きなお姉ちゃんで。 「めいこねえぇぇぇぇぇぇ!!!」 わたしは何もかもを投げ出して、メイコ姉に縋り泣いた。 もうどうしていいか分からない。 メイコ姉は黙って受け止めてくれた。 頭を撫でる手、背中をポンポンと叩く手。彼女の優しさ、温かさを感じる。 結局、メイコ姉はわたしが泣き止むまで側にいてくれた。
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48 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:33:54.58 ID:AfSAr/wh - ※ ※ ※
飛び出していったミクを追いかけようとも思った。 しかし、彼女を追いかけて、捕まえて、一体何を言えばいいのか。 今のわたしには、何も言う資格など無いだろう。 そう思った途端、追いかけることができなくなってしまった。 いや、追いかけるどころか、むしろわたしは逃げているのかもしれない。 何となくだが、そう思えてしまう。 いったい、何から逃げているのだろうか。 ・・・思考は暗く沈んでいく。 息苦しさがさっきから消えてくれない。 ふと気づけば、練習を再開する時間になっていた。ミクが戻ってきていない。 やはり探しに出たほうがよいだろうか。 そう思って手をかけた扉が、なぜか勝手に開いた。 「おっと、びっくりした・・・!」 扉の向こうにはメイコさんが立っていた。 いきなり目の前に現れるので、こちらも驚いて一歩下がる。 そうだ、ミクがいなくなってしまったことを伝えなければ。 「メイコさ・・・」 「今日の練習、中止にしたから」 「えっ?」 言いかけた瞬間、メイコさんの口から少し強い言葉が発せられる。 思わず自分の言葉を飲み込んでしまう。 「ミクがね、ちょっと調子悪いみたいだから」 「・・・」 少し困ったような顔。 でも、よかった。ミクはメイコさんと一緒にいたようだ。
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49 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:34:18.56 ID:AfSAr/wh - 「まあ、まだ本番までは時間あるしね。今無理させたら本末転倒だわ。ミクも、そしてルカちゃんも」
「わたしも?」 「そ、あなたも」 メイコさんがぴっ、と指差ししてくる。わたしは無理をしていたのだろうか。 「あなたに必要なのは考える時間かしらね」 「考える・・・?」 「そう。ちょっとだけ・・・そうね、一歩だけでもいいから、引いた視点で考えてみなさい」 メイコさんの言っていることは、分かるような分からないような。 それでも、とても大切な話をしている。それだけは分かる。 「・・・二人は相性バッチリって冗談っぽく言っちゃったけど」 メイコさんの言葉を噛み砕こうと、必死に頭を働かせているところに、メイコさんがもう一言付ける。 わたしたちにデュエットするよう告げた、あの食卓での会話のことだろう。 「わたしは、本気でそう思ってるわ」 「え・・・?」 「何となく。何となくだけど、貴女たち二人の間には、特別な絆を感じる」 特別な・・・絆。 「だから、きっと大丈夫よ、貴女たちは。今は、ちょっと上手くいってないけど、二人ならちゃんと考えて向き合えるはず」 メイコさんの言葉がわたしの心に深く浸透していくようだった。 考える。それは言葉通り、今のわたしたちについて考えなくちゃいけないってことなんだ。 わたしたちが、また向き合って歩んでいけるように。 「メイコさん」 わたしは決意のまなざしでメイコさんを見据えた。 「必ず、答えを出します・・・!」 「ふふ。良い顔だわ。ルカ」 メイコさんは満足げに肯く。 ・・・『ルカ』って初めて呼び捨てにされた。 「頑張ってちょうだいね、ステージ企画者のわたしの顔を立てるためにも」 ―――そして、何よりミクのためにも。
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50 : ◆ifz2ATWnPjh8 [sage]:2011/05/02(月) 01:39:49.62 ID:AfSAr/wh - 以上です!
ルカミクっていうより、メイコ姉の独り舞台といったほうが正しいでしょうねw 頼れるお姉さんキャラが好きなのですが、そんな感じが出せているでしょうか 次回、或いは次々回が最終話になると思います よろしければ温かい目で見守ってやっていてください・・・・
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