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名無しさん@秘密の花園
【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】

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【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
507 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 18:40:04.04 ID:D5YCv9Sz
「空に花火」で妄想してしまった・・
乱文で申し訳ないがSS投下します。

七さん一人称です。




「アズキさん、こっち!こっち来てください!」

興奮気味のあなたは、私の手首をぎゅっとつかんで、人ごみをぐいぐいかき分けて引っ張っていく。

まるで、幼い子供のように。

(あほやなぁ。手、つないだからって誰も見いひんのに。)

私もなんだか可笑しくなって、思わず笑みがこぼれていた。


ふと、視界が開けたそこは、海べりの一端だった。

足元に、蒼い波が押し寄せては砕け散る。

「・・・・・・ここ、立入禁止の場所やんか」

私が立て看板を指さすと、由利はいたずらっぽく笑った。

「一番の穴場なんです。どうしても連れてきたくて」

「ゆりっぺらしいなぁ」

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
508 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 18:49:00.77 ID:D5YCv9Sz
私が砂浜に腰を下ろすと、由利もすぐ横に腰を下ろした。

「ええの?お気に入りのスカート汚れるよ」

「いいんです。・・・今日は」

二人の間のわずかな隙間を、海風が通り抜ける。

「花火、もう始まるやろか」

「えーとね・・・、あと10分くらいやと思います。あー、わくわくする!」

「ほんま、数寄屋なあ、ゆりっぺ。こういうの」

「・・・・・・アズキさんは、私が行こうって言わなかったら、来なかったんですか?」

「うーん。そやね。一人で来てもしゃあないし」

「・・・旅には一人で行っちゃうのに」

「ふふっ。旅は一人旅でもええけど、こういうの、一人じゃ寂しいやろ?」

ふと、由利が私の瞳を覗きこむようにして見つめる。

その瞳に、哀しみの色が一瞬浮かんで、それから・・ぽつりと言った。

「二人でも・・・・・・寂しそう。」

「ゆりっぺ?」

由利は視線を海の方へ戻し、立てた両膝の上に、顔をちょこんとのせた。

今日は下ろしたストレートの髪。何の飾りもない、自然体の姿。

そういう姿を見せてくれるのは、きっと、私に、だけ。

その髪が、風にふわっとなびいて顔にかかり、由利の顔に影をつくる。

由利の白くて長い指が、おもむろに髪を耳にかけた。

その仕草が・・・・・・私には、たまらなく愛しく思えた。

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
509 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 18:55:12.30 ID:D5YCv9Sz
私は、思わずその頬にそっと指を伸ばした。

「な・・・なに?」

一瞬、おびえたような瞳でこちらを振り向いて、私を見つめる由利。

冷たい頬。細く、やわらかい髪。

ああ・・・、由利は、ここに、私の隣にずっといてくれてる。

目を伏せると、涙がぽろぽろこぼれた。

「アズキさん?・・・・・・泣いてるんですか?」

「ゆりっぺ。・・・こっち、来てよ。」

由利は静かに私を引き寄せ、・・・そして、抱きしめた。

由利の匂い。

私の場所。

「この・・・さびしがりやさん!」

「お互いさまやろっ」

私が抱きしめかえした瞬間、頭上で大きな音が砕けた。

「あ!始まった!」

一緒に空を見上げると、二発目の大輪の花が、夜空いっぱいに広がった。

二発目が終わると三発目の花が咲く。

咲いては散り、散っては咲き・・・・・・その繰り返し。

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
510 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 19:01:14.78 ID:D5YCv9Sz
「人も花火もおんなじやなぁ」

「え?」

「大きな花を咲かせては、揺れて・・・・・・消えてしまうやろ」

「そう・・・ですね。やっぱり、考えることがアズキさんらしいですね」

「ええ?そやろか?」

「うん・・・・・・とても。」

二人の間に流れる、穏やかな時間。私はこの時が、とても好き。

だからこそ・・・・・・、終わりが怖いんだ。

そんな私の気持ちを見透かしたように、由利が言った。

「ずっと。ずっと一緒にいましょう」

「・・・・・・由利」

花火の鮮やかな彩りの欠片が、ゆっくりと海にすべり落ちてゆく。

由利がほほえむ。

「先のことなんて、わからないでしょ?

私達が今、こうして一緒にいることだって、少し前には考えなかったことなんですから。

でも、私は、あなたに会えて、こうしていられることが・・・・・・

・・・ほんとに、嬉しいんです。七さん。」

二人が恋人同士でいられる時間だけ、由利は私の下の名前を呼ぶ。

その甘い響きに、影のように儚げに揺れていた”未来”が、不思議に私の中に身を落ち着かせた。

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
511 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 19:07:35.99 ID:D5YCv9Sz
「ちょっと歩こか」

「そうですね」


「・・・・・・七さん、何してるんです?」

「見たらわかるやん。靴脱いでんの」

「もー!そういうこと言ってるんじゃないでしょー!」

裸足に、冷たい波が心地良い。

「冷たくて気持ちええよ。ゆりっぺも脱げば?」

「でも、ぬれちゃう」

「ほんま、現代っ子やわ〜」

二人で手をつないで、海岸を歩く間も、花火は次々とその命を煌めかせる。

どの花火も、北の空を目指すみたいにして・・・・・・。


由利の手から伝わってくるぬくもりが、私をほっとさせる。

なくすこと。失うこと。

そんな私の怯えを、全部眠らせてしまうみたいに。


「あー、もうこんなに歩いてきたんですね!」

由利が私達の足跡を数え始める。

「1、2、3・・・・・・」

「いくつあった?」

「あー、わかんなくなった!もう一回数えます!」

「懲りひんねぇ」

そう。二人の足跡は、もうこんなにも続いてきたんだ。

これからも、きっと続くように私は祈るよ。

それがたとえ、永遠じゃなくとも。生きているかぎり、私はあなたとの道を想うよ。

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
512 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 19:14:04.91 ID:D5YCv9Sz
花火が四、五発一緒に上がって、休む間もなく、次の花火たちが咲く。

「もうクライマックスですね」

「そやなぁ」

由利の瞳の中に、いくつもの花火が咲く。

由利の瞳が、それらを宝物みたいに優しく包み込んでいる。

一瞬一瞬を、この人みたいに大切にする人って、きっと世界中どこを探してもいない。


「由利」

「ん?」

「愛してる」


「は!?」

目を丸くする由利。

「七さん、そんなこと言うんめずらしいから・・・・・・びっくり」

あはは、しどろもどろやんなぁ。

「ゆりっぺも、言うてよ」

暗くても、由利が耳まで真っ赤になったのがよくわかった。

「そんなことっ・・・・・・、言わなくてもわかってるんでしょうー!?」

「はーいはい。ちゃんとわかってますって。」

・・・これ以上、いじめたら可哀そうやんな。


夜空の煌めき。

一瞬のうちに燃え尽きてしまう花火は、永遠に輝き続ける星に憧れるかもしれない。

でも、憧れてもいい。

私達、花火は、今日も明日も、いつだって。

同じ空へ向かっているから。



(完)

【ゆりっぺ♪】GARNET CROW 八 【七さん♪】
513 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/04/07(木) 19:17:04.22 ID:D5YCv9Sz
ゆったり進行すぎですねw

お目汚しですみません。誤字脱字には御勘弁ください。

空に花火をリピートしているうちに浮かんでしまった・・・・・・


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