- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 8
496 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/03/22(火) 16:30:44.49 ID:LY6OKD45 -
9話のifで、もし杏子だけが生き残ったら、ってことで。 真面目に書いたけど、読みにくくてごめんね… ◇ 魔女化したさやかと対峙したとき、あたしはさやかと一緒に逝くことを選んだ。 そのことはあたし自身が選んだことだから、後悔なんてない。 けど、気が付いた時に、逝ったはずのあたしとさやかがテーブルを挟んで、向かい合って座っていたのには驚いた。 どことなく暖かいその空間で、あたしとさやかは二人ぼっちで、ただ、座っていて。 あたしは、その場でさやかと話をしたんだ。 恋とはなんだ、とか、もし違った出会い方をしたら、なんて。 ころころと表情を変えて話すさやかを見て、あたしはきっと笑ってしまったんだと思う。 そしたら、さやかも笑ってさ、あたしはもっと笑って、二人でずっと笑ってたんだ。 それなのにさ、さやかが急に泣き出して、ごめんね、って繰り返したんだ。 あたしは、もう良いんだって、そう言って手を伸ばしたんだけど、 なぜかテーブルの向こうのさやかに触れなくて、伸ばした手は空を切るばっかりだった。 そうしてる内に、暖かかった空間はいつしか冷たくなって、あんなに近くにいたさやかが、居なくなったんだ。 そして、あたしは泣きながら目を覚ました。 そう、全ては夢。あたしが見た、都合のいい夢。 現実では、死んだはずのあたしが生きていて、病院のベッドに横たわっていてさ。 そして――どこにもさやかは居なかった。
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497 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/03/22(火) 16:32:44.01 ID:LY6OKD45 -
その後に会った暁美ほむらが言うには、あたしが捨て身の攻撃をした際に、 「なぜか」さやかの治癒の魔法が発動し、あたしを守ったんだという。 あたしはそのことを聞くだけ聞いて、妙に白いシーツの中に顔を埋め、また眠りに落ちた。 あの寒くなったところにさやかを一人、置いて生きたくない。 それがあたしの心に残った唯一の気持ちだったのだから。 退院したあたしは、さやかとの思い出がある場所に出歩き始めた。 病院で眠り続けていた身体は随分弱っていて、一歩一歩、足を引き摺るように歩いた。 初めてさやかと闘った場所も、朽ちた教会も、すべてを歩いて回ったんだ。 どこかにさやかが居るって、どこかにいけば会えると思って。 でもやっぱりさ、もう居ないんだ。 さやかが魔女になった、あの駅にたどり着いたとき、あたしはそう思った。思ってしまった。 座り込んだベンチの隣は、ずっと空っぽのままで、あたしはただ零れる涙を流れるままにしていて。 そうして、ゆっくりと目を閉じて、とっぷりと落ちるような眠りに誘われるままになった。 もう起きなくてもいいか、そう思って、ソウルジェムを線路の方へ投げ捨て、すっと眠ったんだ。
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498 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/03/22(火) 16:34:07.70 ID:LY6OKD45 -
◇ 何度眠って、何度目が覚めたんだろう。 何度探して、何度、その名前を呼んだんだろう。 今、あたしの目の前にさやかが居る。 あの時と同じ、テーブルを挟んで向かい合って座っていて。 あたしはそっと、さやかに手を伸ばした。 ずっと、届けられなかったその手を、もう一度伸ばしたんだ。 そうしたら、あたしの指先がそっ、とさやかに触れて、 さやかがこちらを振り向いたんだよ。 「バカ、なんでまたこっちに来るのよ」 そういってさやかは涙を流しながら怒っていて、 「一緒に居るって言ったじゃんか」 ってあたしも泣きながら言って、二人でまた笑いあったんだ。 「あぁーもう!仕方ないから、話でもしようよ、杏子」 「うん、時間ならいくらでもあるしな」 「あんたのせいでね」 「うっせぇなぁ」 そんな風に、あたし達は笑ってたんだ。 もう暖かくなったその場所で、二人ぼっちで、 ずっと笑っていたんだ。 (終)
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