- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 2
93 :12[sage]:2011/02/15(火) 01:03:30 ID:t7+6xaI9 - 流れに乗って投下します。
結局自分で続き書きました。 >>12の続きですが、ミスがあったので訂正を。 ×今日の放課後だった ○昨日の放課後だった に脳内変換しといてください。
|
- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 2
94 :12[sage]:2011/02/15(火) 01:05:31 ID:t7+6xaI9 - 登校中。鞄が重い。
中に入れた教科書でも、体育着でもない例の物体が原因だ。 結局、昨夜は徹夜することになってしまった。 勉強、スポーツなど一通りこなしてきたほむらだったが、お菓子作りは初めての経験だった。 渡すからにはやはりいいものを渡したい。ほむらはレシピ集を眺め、小麦粉やチョコレートと格闘し、何度も何度も作り直した。途中材料が足りなくなって何度も何度もコンビニに走った。 「はぁ……」 ほむらは昨日から数えてもう何度目かわからないため息をつく。 どう考えても張り切りすぎた。チョコ程度で自分は何をやっているのだろう。この寝不足が授業や魔女退治に影響しないといいのだけれど。 ほむらは眠い目を擦りながら学校に向かう。 ……どういうことだ。 学校に到着し、ほむらは少なからず衝撃を受けた。 彼女の視線の先にあるのは自らの上履きが入っているの下駄箱。 そこに、はちきれんばかりにチョコレート――おそらく手作りと思われる――が詰め込まれている。 この学校ではそれが普通なのだろうか、と隣の生徒の区画をちらりと覗くが、そこにチョコレートらしきものは入っていない。その隣の人も、その隣の人も同じだ。 つまり、どういうことだ。 自分だけがこの大量のチョコレートを貰ったということか。 ほむらはあたりの様子を窺う。そして持ってきた通学用鞄にそれをドサドサッ、と一気に放り込む。そのまま逃げるように教室に駆け込んだ。 「どうぞ、暁美さん」 休み時間。 またチョコレートを貰った。 くれたのは、クラスメイトの女子だ。 「ありがとう」 まさかこんなことになるなんて思っていなかったので、余分なチョコなど作ってきていない。一方的に受け取るだけになるのがちょっと心苦しかった。 「ねえ、ちょっといいかしら」 ほむらは、背を向けて自席にもどろうとしているクラスメイトに声をかけた。 「はい?」 「どうしてみんな私にチョコレートをくれるの?友チョコ、とかいうやつならもっと他に渡す人がいるんじゃないの?」 今日の朝から感じていた疑問だった。 どうして社交的でない自分が他人以上にチョコレートを受け取っているのだろうか。 彼女の顔をじっと見て問いかける。 「えっと……その……」 何故だか彼女の顔はみるみる真っ赤に染まってゆく。 突然どうしたのだろう。熱でもあるのだろうか、と心配していると、 「そういうのじゃなくて、暁美さんかっこいいからみんなの人気者だし……一応私のそれも、本命のつもりだから……迷惑じゃなきゃ、その……」 最後まで言い切ることなく、そのクラスメイトはごめんなさいと言って走り去ってしまった。 一人残されたほむらは、貰ったチョコをじっと眺める。 本命チョコ。 不意に出現した単語に、頭の中で言葉がイメージに結びつかない。 それは、どういった性質を持つものだっただろうか。 義理チョコや友チョコは、仲のいい友人や同僚に渡すものだ。 では、本命チョコとは。 バレンタイン本来の意味をそのまま持つチョコレート。 好きな異性に贈るもの。 ということは、さっきの彼女は自分のことを―――― ならば、自分が持ってきたチョコレートはどうなのだろう。 義理チョコ?友チョコ?それとも……? 鹿目まどかは友達……と呼べるほど親しくない。だからこれは義理チョコにカテゴライズされるのだろうか。 でも昨日これを作っている時は、彼女のことが頭から離れなかった。離れなかったから、こんなに頑張って作ってきたのだ。
|
- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 2
95 :12[sage]:2011/02/15(火) 01:06:27 ID:t7+6xaI9 - 「……と!……!……転校生!」
ほむらが考えに耽っていると、不意に肩を叩かれた。 美樹さやかだ。 「ぼーっとしてんじゃない!」 「ご、ごめんねほむらちゃん」 よくみると隣に鹿目まどかもいる。 「なんの用かしら」 ほむらがそっけなく返事をすると、元から不機嫌そうだったさやかの表情は更に険しくなった。 「はい、これ!」 ずいっと胸に押し付けられたのは、小さな青い包み。 さやかはあさっての方向を向いて、ほむらに向かって激しい口調で言う。 「ほんとはアンタなんかに渡す義理は無いんだけど、まどかがどうしても渡したいって言うから。いらなきゃ捨ててもいいから」 「……ありがとう」 でもそこまで言うならくれなきゃいいのに…… ずっと不機嫌な顔のまま引っ込んださやかに次いで、まどかも可愛いピンク色の包みをほむらに渡す。こちらは優しく手渡しだ。 「どうぞ、ほむらちゃん。」 まどかの手が自分の手のひらに触れた瞬間、少しだけドキッとする。それを悟られないように平静を装う。 「……ほむらちゃん、人気者だね」 ほむらの鞄に入った大量のチョコレートが見えたのか、まどかは言う。 「こ、これは……」 弁解しようと口を開くが、言葉に詰まる。どう弁解するというのだ。見たまんまの状況ではないか。 第一、どこに弁解する必要がある? まどかに本命チョコを貰ったことが知れたとして、別に構わないはずなのに。 何故か、嫌だった。彼女にそれを知られるのが。 「行こ、まどか」 さやかがまどかの手を引いてほむらの席から離れる。 いいのか? このまま行かせて本当にいいのか? ほむらの逡巡は長くは続かなかった。 「待って!!!!!!」 自然に声が出た。 突然の大声に2人の動きが止まる。 「どうしたの?」 まどかが振り返って言った。 「えっと……わ、私もあなた達にチョコレートを作ってきたの!」 通学鞄をあさり、貰ったチョコに埋もれている自分が作ってきたチョコを取り出す。 机の上に置かれたのは、星型の大きな包みとハート型の大きな包み。 「こっちが、貴方で。こっちが、貴方。」 ほむらは星型の包みをさやかに。 ハート型の包みをまどかに渡した。 「……これ、アンタが?」 さやかが面食らった表情で問う。見ると、まどかもきょとんと同じような顔をしている。 何なの?この反応。 「……私がお菓子を作ってくるのがそんなに変かしら。いいわ、キャラじゃないのは最初からわかってたし」 「そ、そうじゃないよ!」 まどかは言う。 「ちょっとびっくりしちゃっただけ。ありがとう、ほむらちゃん。とっても嬉しい」 「ま、私も一応礼は言っとくわ。ありがとう。……それにしても、どういう風の吹き回し?見たところ渡したのは私たちだけみたいだけど」 「特に深い意味はないわ。気の迷いよ」 「それにしてはずいぶんと凝ってらっしゃるようですけどー?手作りみたいだし」 さやかはからかうような口調で言った。 図星を突かれ、むっとしたほむらはこう返す。 「勘違いしないで、美樹さやか。あなたのはただの義理チョコなんだから」
|
- 魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 2
96 :12[sage]:2011/02/15(火) 01:07:13 ID:t7+6xaI9 - 三人の動きが一斉に停止する。
すぐにほむらは自らの失言に気付いた。 『あなたのは』ただの義理チョコなんだから。 この口ぶりだと、本命チョコを他にあげたってことになるじゃないか。 チョコを渡したのはさやかとまどかの2人のみ。 ということは…… 「まどか。あんたのは本命みたいよ」 さやかは真剣な表情でまどかに言った。 「ちょ、ちょっと!!!」 ほむらは慌てて静止しようとするが、 「違うの?」 さやかはさやかを見て尋ねる。 違うのかどうか、と聞かれると…… ……多分、違わない。 口には出さなかったけれど、それは表情やら様子やらで伝わったようで、まどかの頬がみるみる赤く染まる。 「どどどどどどどどどどどどうしようさやかちゃん!!!」 「あんたが決めればいいんじゃないの?」 そう言ってさやかは親友を見捨てて自分の席へ戻る。 ほむらはまどかと向かい合う。 じっと顔を見つめていると、まどかの頬の赤さは火を噴きそうなほど顕著になる。そして、更にほむらが渡したチョコをぎゅっと抱きしめる。 その様子がなんとも可愛くて。 自分が渡したのは、やはり間違えなく本命チョコだったんだ、と実感する。 「鹿目まどか」 「は、はい!!」 突然名前を呼ばれ、まどかは背筋をぴんと伸ばす。 ここまできたら、もう後戻りは出来ない。 ほむらは大きく息を吸って、 「やっぱり私、あなたのことが好きみたい」 ------fin 以上です。駄文に付き合ってくださりありがとうございます
|