トップページ > レズ・百合萌え > 2011年02月14日 > fMLhWHjt

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冒険の書【Lv=1,xxxP】
部長って1話の「親しき仲にも(略)」の人ですよね?
スイートプリキュアで百合

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スイートプリキュアで百合
338 : 冒険の書【Lv=1,xxxP】 [sage]:2011/02/14(月) 07:25:30 ID:fMLhWHjt
『しーくれっと☆すいーと』


「……した……で……」
昼休み、廊下を歩いていた奏が空き教室の前を通りかかった時、締め切った扉の向こうから
声が聞こえてきた。普通なら環境騒音にまぎれて聞き流すようなかすかな声だが、奏の耳は
それが彼女のよく知っている人物のものであることを認識していた。
(響?こんなところで何してるのかしら)
そっと扉に近寄った奏は、思いがけない言葉を聞くことになる。
「あのう、この事は」
「言われなくてもわかるわ。奏には内緒、でしょう?」

放課後、帰り道。響から少し離れたところを歩きながら、奏は尋ねた。
「ねぇ響、うちの部長って知ってる?」
「ぶっ、部長!?ああ、奏と張り合えるくらいケーキ作りがうまい人、だよね」
「部長の方がずっとうまいわよ。それでね、昼休みにちょっと部長に用事があったんだけど
会えなかったの。響は見かけなかった?」
「し、知らないよ」
「そう……ごめん、先に帰るね」
奏は響を置き去りにして、足早にその場を立ち去る。
響と話していたもう一人の声は、部長のものだった。

翌日のスイーツ部。
(響ったら、私に隠し事だなんて)
鬼気迫る勢いで卵白を泡立てる奏に、一人の部員が恐る恐る問い掛けた。
「一体どうしたの奏?」
「何でもないわ」
不機嫌そのものの声で応じた奏は叩き付けるようにボウルを置き(乱暴に泡立てていた割に、
卵白が分離していないのは流石である)、クーベルチュールを千切りにしていく。
「みんな、遅れてごめんね」
扉が開く音に続いて聞こえてきた穏やかな声に、包丁を握る奏の手が止まった。
「ぶちょお〜、一体どこに行ってたんですかぁ」
「野暮用よ野暮用。あら」
部員の質問をやり過ごしたその声の主、すなわち部長は奏の視線に、正確には奏が自分に視線を
合わそうとしないことに気付いた。その顔に微笑みが浮かぶ。
「青春っていいわねぇ」
「何歳ですか部長」
先ほどまで家庭科室を満たしていた緊迫した空気が和らいで行く中、奏は傷だらけになった
まな板の上のものを小さな容器に移し、片手鍋に水を満たすと火にかける。
そしてこの日、響は家庭科室に来なかった。

スイートプリキュアで百合
339 :部長って1話の「親しき仲にも(略)」の人ですよね?[sage]:2011/02/14(月) 07:29:01 ID:fMLhWHjt
調理器具の後始末を終えた頃、奏の携帯にメールが届いた。本文はたった一行。
『西門から3つ目の桜の木』
奏は小さな包みを鞄に放り込み、他の部員への挨拶もそこそこに指定の場所へ向かう。
「よかった。今日はちゃんと会えたね」
柄にもなく緊張した表情の響が待っていた。
「あのさ奏……これ、受け取ってください!」
後ろ手に持っていた平たい箱を奏に突きつけた、その両手の複数の指に絆創膏が巻かれている。
小さい頃から体を動かすのが好きでよく生傷をこしらえていた響だが、こんな風に指ばかり
怪我をしているところを奏は初めて見た。
「ずっと食べる方専門だったから実感なかったけど、お菓子作りって大変なんだね。部長さんに
アドバイスしてもらったのになかなかうまく行かなくて、でも今日渡さないと意味がないから」
その言葉を聞いた奏は、箱をそっと抱きしめた。
「響……ありがとう。開けていい?」
「う、うん」

中にはビスケット大のハートが7つ。それぞれ違う文字が描かれ、全体で一つの文になっていた。
ハートの一つを半分ほどかじる。
「……どう?」
(テンパリングが十分じゃなかったみたいね。固まり方にむらがあるし気泡まで入ってる。
けど、響が私のために精一杯頑張って作ってくれた。それだけで私にとっては)
「おいしいわ、響」
「ほんと?よかったぁ」
「ね、これから私の家に来ない?私も響に受け取ってほしいものがあるの」
響のために作ったそれは、既に鞄の中に入っている。ただし誤解の余り、カカオ分90%という
超ビター仕様にしてしまった代物。このまま渡すわけにはいかない。せめて甘い紅茶でも
飲みながら食べてもらわないと。
「奏の家か、そういえば久しぶりだね。おじさんたち元気かな」
「相変わらずよ。響が新作の試食をしてあげたら、きっと喜ぶわ」
「うーん、今日は奏のだけでいいや」
「もう、響ったら」
歩き出した二人は、どちらからともなく手をつないでいた。

∬♯♭♪∬♯♭♪∬♯♭♪

「言った通りだったでしょ、面白いものが見られるって……どうしたの?」
ニコニコしながら振り返った部長の背後で、スイーツ部員たちが悶絶していた。
「甘い、甘すぎるぅ!」
「想像以上です、部長!」
「あらあら、これでも食べる?奏が使った超ビターなクーベルチュールの残り」



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