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P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】

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【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
620 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 22:42:42 ID:J65eK8/E
さすがはバレンタイン!
豊作ですねぇ、皆さんGJです!


…ということで私も便乗しようと思います!
今回は長いです。
やっぱりえろくなくてマスハク。
ずっとタイトルがログアウトしてたんですが、初のタイトルありのSS、
「酔いどれバレンタイン」次から投下しますー
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
621 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 22:46:55 ID:J65eK8/E
【酔いどれバレンタイン】



「きょ〜はなんのひ、ふっふ〜♪」
どこぞで聞いたようなメロディを口ずさみながら、向かいまするはリビングへ。

いたいた。
朝ごはんの準備にぱたぱたと可愛らしく動き回るハク姉が。
「やぁハク姉、おはよー」
「あ、おはようございます、そろそろ起こしに行こうかなと思ってたんですよ」
食欲をそそりまくる、魚の焼けた匂い。
起きたばっかりなのにお腹が空いてくる。
うん、本題を持ち出すのはご飯の後にしよう。
密かにそう決意したあたしは、とりあえず洗面所に顔を洗いに行く。


――――――――


「え?」
「だからー、今日は何の日でしょう?」

ヤバい。
ハク姉に遠回しに話を持ち掛けてみたものの、ご覧の通りの反応でちょっと泣きそう。
「今日は…2月14日ですよねぇ?」
日付は合ってるのよ!
問題はその2月14日が何の日かってことなんだけど。
「うーん…マスターさんのお誕生日…は違いますよね、私の誕生日…でもありませんし…」
「はやくー、ズビシィッ!と答えちゃってー」
「そ、そんなこと言われても…うぬー」
あたしの作戦は無意味で、それっきりハク姉は考え込んでしまった。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
622 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 22:49:33 ID:J65eK8/E

アレ?
ガチで忘れてる?もしくはそもそも知らない、とか?
え、でも天皇誕生日は知ってたよね?
え、え?司馬懿…じゃなくて芝居?
あ、ヤバい、泣きそう。
…とは言え急に、しかもこのあたしが泣き出したらきっとハク姉は困りまくるに違いない。
なので。

「いっ、いいよハク姉、もしかしたらあたしの思い違いかもしれないしっ」
「え?」
「うん、あたしの思い違いだ、ゴメン忘れて」
「じゃあ、マスターさんが何の日だと思ってたのか、せめてそれだけでも教えて」
「ううん、いい、ちょっとあたし…出掛けてくる」
「あ、ま、マスターさん!」

困ったら逃げちゃうのはあたしの悪いクセ。
…ってのは分かってるけど、今回は…今回も?
とにかく耐えれそうになかったので、あたしは家を出た。

―――――――

「あーあ、浮かれてたのはあたしだけかぁ」
ちぇっ、と地面を蹴りながらボヤく。
そうだ、これこそまさに。
「超ツマンネ…」
はあぁ…と溜息を吐いてから顔を上げる。
バカの一つ覚えみたいに街に溢れかえった「2.14 St.Valentine's Day」の文字。
今となってはそれが恨めしい。

「…はぁ、買っといたプレゼントどうしよう…」
もう行くアテのないプレゼント。
チョコ、ではないから別にどうにでもなるけど…自分用にするか?
「はっ、何が楽しくて自分自身にそんなん…」
寂しさが度を超したのか、なんだかどうでもよくなってくる。
「あーあ、今年も無縁かぁ」
あぁ…そもそもあたしたちってばそういうアレじゃあなかったか、と思いつつ、
この、どうにもやりきれない感情を発散させるべく目的地を見つけたあたしの足取りは、少しだけ軽くなった。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
623 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 22:53:34 ID:J65eK8/E

――――――――

「たd…ん?」
やる気のない挨拶を遮ったのは、玄関の異変だった。

ハク姉の靴がない。

「…ふーん」
あたしは大した感情も覚えず、早々に靴を脱ぎ散らかして、リビングに錘のような荷物を下ろした。
「あてててて…重かったなぁもう」
真っ赤になった手を眺めつつ、しかし荷物の中身…
「よぅし、まだまだ昼過ぎだが…飲むぞ♪」
買い込んできた缶ビールとおつまみの数々を一瞥して、手を洗いに急いだ。

―――――――――

「……」
特に面白くもないテレビを眺めつつ、淡々とビールを消化していく。
不意に、バレンタイン特集が始まったところでテレビを消した。

途端に拡がる無音。

あんまりにも静かすぎて、思わず余計なことを考えそうになるけど。
そもそもそれを振り払うためにこんな真っ昼間から飲んでいるワケであたしは、とにかくビールの消費に勤しんだ。



「……がぅー」
ほろ酔いをとっくに通り過ぎて、一段落ついてしまった頃合い。
テーブルにに突っ伏して唸るしかなくなって、まだハク姉の戻らないリビングの静けさにとうとう負けてしまった。

「ばかやろー…ハクねぇの、ばかやろー」
一度考えてしまうと、もう収拾はつかない。
「あほー、ハクねぇのあほー、にぶちん、おっぱいー」
ぐでんぐでんの頭では最早、何が悪口になるのかなんて分からなくて、とりあえず思いついたことを言ってみる。

…とは言え、聞いてる人なんていなくて。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
624 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 22:58:14 ID:J65eK8/E

「うぅ、そりゃあさ?そういうアレじゃないんだって、思ったりしたけどさぁ?」
握りしめていた缶をテーブルに叩きつけて
「けどさぁ…あたしは…ハクねぇのこと、好きなんだよおぉぉ!」
いつの間にか涙がぼろぼろ零れてきて止まらなくなる。
「うわあああん、ばかあああっ、あたしのばかやろーっ」
もうぐちゃぐちゃで、何がしたいのかワケが分からない。
「ハクねぇはわるくないんだ、あたしが、あたしが…わあああっ」

ただ分かるのは。
なんだか悔しくて辛くて寂しいってことだけ。

あたしは、さっきまでの反動みたいに死ぬほど泣きわめいて、
「うー…っ、ぐすっ…ひぐっ…」
泣き疲れてそのまま、テーブルに突っ伏して眠ってしまった。

―――――――

「たd…うわっ」
リビングのドアを開けた私の挨拶を遮ったのは、ものすごいアルコールの匂いと、テーブルの上の惨状。
そしてそれに埋もれるかのように突っ伏したマスターさんの姿だった。

「ちょっと…ヒドいなぁ」
あんまり人のことは言えないんだろうと思うけど…
空のビール缶を片付けつつ、マスターさんに目をやる。
何があったのかは知らないけど、たまにしゃくりあげながらも眠っている。
「っ、ひぐっ…zzz…」
「マスターさん?」
声を掛けてみるも、起きる気配はない。
仕方がないので、テーブルの上を片付けるのを優先した。


「あーもう、缶ひっくり返して…」
真っ昼間からビールだけ8.5缶。
あと、好き放題食べ散らかした、どれも中途半端なおつまみがたくさん。
マスターさんはそんな人じゃなかったと思うんだけどなぁ、どうしたのかなぁと考えていたら
「zzz、っう…あたしの、ばかぁ…えぐっ…」
(あれ…もしかしなくても…私のせい?)
マスターさんの寝言でそんな予感がした私は、ちょっとかわいそうだけどやっぱりマスターさんを起こすことにした。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
625 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 23:01:49 ID:J65eK8/E

―――――――――

「……す…さん」
どこか遠くで呼ぶ声が聞こえる。
でも応えたくない、ほっといて。
「ます…さ……お…て…」
そう思うのとは裏腹に、あたしの意識ははっきりしてきて
「マスターさん、起きてください、マスターさんっ」
「あ、うぅっ…?」
ついに目を覚ましてしまった。
「マスターさん、大丈夫ですか?」
「あ…ハク、ねぇ…?」
声のする方に少しだけ顔を上げると、心配そうに覗き込む緋色と目が合った。
「っ…」
「えっ、ま、マスターさん…?」
目が合って、上げた顔をまた突っ伏す。
「あの、私、マスターさんに言わなきゃいけないことが」
「いやだ」
「……」
きっぱり拒否するとハク姉は押し黙ってしまった。
違う、そんなこと言いたくないのに。
あたしの口は、どうしようもない強がりはあたしの心の底とは正反対のことをこぼしていく。
「マスターさ」
「いやだ、ききたくない」
「あぅ…」

『何?』って、それだけでいいはずなのに、そんな簡単なことも言えずにいると、意外にも

「じ、じゃあ聞かなくていいです、今から私が話すことは全部一人言なので、聞き流してください」
「……」
ハク姉が切り口を変えた。

『聞き流して』と言われたので黙っておくことにした、妙なとこだけ律儀なあたし。
「あのですね、まずは謝らなきゃいけないことがあるんです」
思いっきり話しかけてんじゃん、なんて半ば八つ当たりに近いことを思っていたら、不意に背中を、よく知った温もりが包んだ。
あたしは思わず身体を硬くする。

「マスターさんが言ってた、『今日は何の日だ』って質問、ホントは答え知ってたんです」
「っ…じゃあ…なんで…!」
条件反射的に身体を起こす。
すると、お腹に回ってきていた腕の力が少しだけ強くなって
「離してハク姉!やだ、離し……こ、これ…は…?」
振りほどこうとお腹に視線を落とすと。
ハク姉の手に、綺麗にラッピングされた箱が握られていた。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
626 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 23:05:26 ID:J65eK8/E

「あのっ!嘘をついたのは、コレをマスターさんに渡したかったから…びっくりさせたからなんです」
「!!」
「いつもマスターさんに色々としてもらってるから、たまには私が…と思ったんですが…ごめ」

無理だった。
我慢できなかった。

あたしはハク姉の手を無理矢理、それでも箱を落としてしまわないようにほどくと、ハク姉に抱きついた。
「っ、ハクっ、ね…ごめん…ぅぐ…」
「マスターさん?」
「うああああっ、ハクねぇぇぇ!」
ハク姉を抱きしめる腕に一際が入る。
胸に顔をうずめてまた、アホみたいに泣きわめく。
「は、くねっ…」
「いいんですよ、マスターさん」
ハク姉の手があたしの頭を撫でてくれる。
自分に対する怒りと、ハク姉に対する申し訳なさに涙が止まらない。

あたしはその後も、もう一生分泣いたんじゃないかってくらいに泣きじゃくって、
その間、ずっとハク姉はあたしを抱きしめてくれていた。



で。
ひとしきり泣いて落ち着いてから。

「落ち着きました?マスターさん?」
「ん」
ソファーに座ってなお、ハク姉に抱きついていたあたしは、その言葉を切っ掛けに身体を離す。
多分ヒドイ顔してんだろうな、あんまり見られたくないなぁと俯きがちでいると、苦笑いのハク姉が頭を撫でてくれた。

「じゃあマスターさん、改めて…はいどうぞ♪」
「中身はなに?」
「あ、定番のチョコレートにした…んですけど、私が作ったのでお口に合うかどうか…」ハク姉が頬をぽりぽりと掻きながら言った。
「ハク姉の、手作り?」
「そうですよ、前からミクちゃんたちに『バレンタインはさ、みんなでチョコ作ろうよ!』って言われてたので」
危うくネギとかマグロとか入れられそうになって慌てて止めたけど、なんて笑いながら。
「それで…いなかったの?」
「あ…そうそう、置き手紙でもしていこうかなと思ってたんですけど、急いでたのでうっかり…ごめんなさい」
「っ…」
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
627 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 23:08:42 ID:J65eK8/E

自己中心的な自分に死ぬほど嫌気が差した。
あたしが八つ当たりに勤しんでる間も、ハク姉はずっとあたしのことを考えてくれていたのに、あたしは何をしてた?
色々な感情がない交ぜになって、あたしは手にした箱に視線を落としたまま黙ってしまった。
口を開けば何を言うか分からないから。
「…マスターさん?」
「へっ?」
「どうかしました?」
「あ、いや…ちょ、ちょっと待ってて!」


「あの、ハク姉」
「なんですか?」
「…コレ」
行き場が無くなったと思ってたプレゼントは、予定通りハク姉へ。
「て、手作りでもないしチョコでもないけど…よかったら」
「わぁ、私にですか?ありがとうございます♪」
「気に入らなかったら、捨てていいから」
「これをすてるなんてとんでもない!開けてみていいですか?」
「ん」
包装を丁寧に剥がして、箱を開けたそこに入っていたのは
「これは…チョーカー?」
シルバーで出来たハートのモチーフを施したシンプルなチョーカー。
「ハク姉なら…に、似合うかなと思って…」
「……っと、どうですか?似合います?」
早速それを身につけたハク姉が、照れくさそうに聞く。
「うん、思った通り」
「えへへ、ありがとうございます♪」
「ううん、こちらこそありがとう、それに…ごめ…っ」
言い終わる前にあたしはハク姉に倒れ込んだ。
「マスターさん?!どうしたんですか、ねぇ、マスターさん!」
ぐったりしたあたしを、心配そうに覗き込む。
でももうあたしの身体は言うことを聞かない。
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
628 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 23:10:37 ID:J65eK8/E

「う…はく、ね…」
「マスターさん、一体どうしたんですか?!」
あたしは、息も絶え絶えになりながらも、それでも言わなきゃ、伝えなきゃと覚悟を決めて










「ご、ごめ、ぐふっ…飲みすぎと泣きすぎの…ダブルパンチで…気分がっ、うぐっ」
「……え?」

…ごめん台無しにした。
自業自得なのも分かってる。
けどもう立っても座ってもいられなかったんだ。

「うぅっ…あだまいだい…」
「え、ちょっ、えっ…えー…」
心配して損したよ、と言わんばかりの溜息。
「ぅぐ…頭痛が痛い…ぐるぐるするー…」
「全くもう…マスターさんは…」
「ご、ごめっ、ごふっ」
背中をさすられると、少し落ち着くような気がする。
そんな中で、来年はちゃんとしたバレンタインをしようと固く誓った。


あと、やっぱり飲みすぎよくない…
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
629 :P.N.ハク姉大好きっ娘さん ◆baWm.IlkH2 [sage]:2011/02/14(月) 23:14:22 ID:J65eK8/E

…以上です。
長いなぁ('A`)

最後のオチで四苦八苦してたんですが、間に合ってよかったですw
それでは、残り数十分しかありませんが、Happy Valentine!

失礼しますー


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