- 探偵オペラミルキィホームズで百合 2
673 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:00:02 ID:H+6s78Uk - ハッピーバレンタイン!
てなわけで、ネロシャロ投下
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674 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:00:33 ID:H+6s78Uk - おはよー、おはよー、です! 皆さん!
シャーロック・シェリンフォードです! 2月14日は、バレンタインデーです! 好きな人に自分の想いをギュッと詰め込んだチョコレートを渡す日……なんですが。 私達ミルキィホームズには普段から浮いたお話など全く無く、そもそも貧乏すぎてチョコ を買う余裕すら無いという有り様で、バレンタインというイベントとはあまりにも無縁で した。 そう、無縁なハズでした。 でもでもなんと、ここでもあの人が助けてくれたんです! そう! アンリエットさんです! 『バレンタインは女の子にとっては特別な1日です。それなのに貴女達ときたら……仕方 ありませんね、材料・調理場所は提供します。後は好きにしてください』 流石はアンリエットさんですー! なんだかんだ言ってもやっぱりとっても優しい人です! というわけで、私達4人は2月13日にチョコを作りました。 渡す男の子なんていないのでみんなに配ろうかと思ったんですけど、コーデリアさんが 『バレンタインのチョコレートは誠実でなければいけないの! 本命一本に絞る……そ れが作る側からの、渡す相手への礼儀よ!』 って言ったので、1人1つずつ。 合計4つのチョコが完成したところで、私達のチョコ作りはお開きになりました。 さて、どうしましょう……これはつまり、誰か1人だけを選べということです。 困りました……私はみんな大好きなので、誰か1人だけー、なんて決められません。 でも、あの時のコーデリアさんの眼は本気でした……きっと、キチンと渡す人を決めない とすっごく怒られちゃいます。 悩んで悩んで、悩み抜いた結果。 チョコをあげたら一番喜びそうな人、って考えたら、自然と答えは出ました。 考えがまとまったのは日付が変わる数分前という、すごくギリギリなタイミングでしたけ ど……無事に答えを出せた私は、瞬く間に眠りに落ちていきました。 お菓子が大好きな、あの少女の顔を思い浮かべながら。
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675 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:01:04 ID:H+6s78Uk - 学園中の空気が、ふわふわと浮ついている。
でもそれは決して悪い意味でではなく、どこか温かいというか、甘酸っぱいというか。 そんな今日は2月14日。 そう、バレンタインデー。 周りの学生達がチョコだの告白だので騒がしい中、僕は至って普通に月曜日の授業を聞き 流しながら時間を進めていた……いや、意識しないようにしていた。 そして訪れた放課後。 僕は―――譲崎ネロは、シャロによって旧校舎にある空き教室に呼び出されていた。 「で、何の用なのさ。シャロ」 目的の場所に到着し、呼び出してきた張本人の存在を確認した僕は、単刀直入に聞く。 とは言っても、これは疑問に対する『質問』ではない。 人気の無い場所への呼び出し。 後ろ手に何かを隠すように持っているシャロの姿。 そして、今日は2月14日。 以上のことから導き出される答えは、最早推理するまでもなく明確なものだった。 そんな僕の『確認』に、シャロは無邪気そのものな笑顔を向けてくる。 「はい、ネロ! ハッピー・バレンタイン!」 じゃん!という効果音が出そうな勢いで、隠していた(つもりだったのだろう)包装され たチョコレートを取り出し、両手で持ったそれを僕に差し出してきた。 「……ああ、うん。ありがとう」 そんな素っ気無い返事と共に、僕は薄い正方形の箱を受け取る。 こんな落ち着き払ったような態度だけど。 さっきはあんな予測しながら内心でも余裕ぶってたけど。 ぶっちゃけ、めちゃくちゃ混乱してる。
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676 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:01:30 ID:H+6s78Uk - だって。
シャロからチョコを貰えるなんて、思いもしてなかったんだから。 作ったのは1人1個。 渡すのはどーせ生徒会長、次点でエリーかコーデリア、大穴で明智って感じで、最初から 僕なんてありえないって決め込んでたのに。 貰っちゃった。 やばい、ニヤけそうニヤけそう……でも、ここはなんとか我慢して。 なんでもない風を装って、目の前でとても明るく眩しい笑顔を放つシャロに問いかける。 「なんで、僕に渡そうと思ったの? しかもわざわざこんな場所に呼び出して」 「ネロに渡した理由は簡単だよ? チョコを貰ったら一番嬉しそうなのは誰かなあって、 その人その人の気持ちになって考えてみたら、ネロだったんだ!」 曇りの一切無い純粋な笑顔でそんなことを恥ずかしげもなく言えるこの少女はなんだ、天 使か? いや、シャロか。 「ここに呼び出した理由の方はね、えーっと。さっきの昼休みにコーデリアさんが『渡す 時のムード、雰囲気というものはとても大事よ。それを忘れないで、シャロ』ってアドバ イスしてくれたんだけど……よくわからなかったから、とりあえず人気の無さそうな所に 2人きりがいいかなあって思ったの!」 無意識なのに解っちゃってる辺り、恐ろしいなあと僕は思った。 さて、ここで問題が1つ。 今の僕は、もの凄くテンパっている。 とてもじゃないけど冷静な判断・行動なんて出来っこない。 つまり、何をやらかしてもおかしくない状況なわけで。
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677 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:01:53 ID:H+6s78Uk - 「シャロ。早速だけどこれ、開けてもいい?」
「うん! 遠慮しないでバリバリーって開けちゃっていいよー」 若干申し訳ない兼勿体ない気分になりつつも、包装紙を破りとっていく。待ちきれないと 言わんばかりに乱暴に。 そして現れたのは、ハート型のチョコレート。 中央にホワイトチョコで書かれた『はっぴーばれんたいん!』がなんとも可愛らしい。 シャロが、とても期待を込めた視線を僕に送ってくる。 しょうがないなあ、と嘆息した僕は。 「はい、あーん」 その期待を、見事に裏切ることにした。 シャロから貰ったチョコを、他でもないシャロの口元へ寄せることによって。 「えっ? ネ、ネロ……?」 途端に戸惑いを見せるシャロ。 そんな顔も可愛くて仕方ないんだけど、それでも僕は『あーん』を止めない。 「いーからいーから。ほら、あーん」 「う……」 どうやら、今の僕からは有無を言わせない気迫のようなものが発せられているらしい。 納得いかないといった感じのシャロも観念したのだろう。 あむっ、と一口。 ご丁寧に咀嚼すること数秒、最後には『んくっ』と飲み込む。 不満そうな顔で頬を膨らませているシャロ。 そんな彼女が何か文句を言う前に、その口を僕の口で塞いだ。
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678 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:02:17 ID:H+6s78Uk -
「んむっ……!?」 柔らかい。 それがシャロの唇の第一印象だった。 しばしの間、その感触を楽しむことに。 目と鼻の先以上に近くにあるシャロの顔からは、驚きと恥ずかしさのようなものが見てと れる。 『キスの時は…目を閉じるのが…マナー……』 とかエリーが言ってたような気がするけど、こんないい眺めを見逃すなんてありえないか ら却下。 数十秒くらいそうしていると、恥ずかしさに耐えきれなくなったのかシャロの方から目を 閉じた。 それが合図と言わんばかりに、僕の舌がシャロの口内へと進入していった。 「んむむ!? ん、んんっ……!?」 僕の舌がシャロの小さな舌を捕らえる。 甘い甘いチョコ味の口内を、蹂躙し尽くす。 いやらしい水音が、2人だけのに響き渡る。 ―――いつまでそうしていたんだろう。 シャロの口内からチョコ味が完全に無くなった時、僕はようやく口を離した。 「ぷはっ……はあっ、はあっ……ね、ろぉ……?」 とろん、とした表情。 とでも言えばいいのだろうか。 頬は紅潮し、どこか熱に浮かされたような感じ。 そんなシャロを見ていると、また長い長いキスをしてしまいそうになるけど、なんとか踏 みとどまって答えた。 「シャロのチョコ、美味しかったよ」 「っ……!!」
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679 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:02:46 ID:H+6s78Uk - 「あ、そうだ。はい、これ僕の作ったチョコ。勿論シャロにね」
極限まで赤くなったシャロに、ポケットから取り出しておいたチョコを渡した。 言うまでもなく、本命だ。 「ぁ……あ、ありがとう」 両手でチョコを受け取り、そう言うシャロ。 どーいたしまして、と返そうとしたら、シャロは何やら大急ぎで僕のチョコを開封し始め る。 そして現れた、円形のチョコレートを、おずおずと僕の口元に差し出し。 「……あーん」 なんて、潤んだ瞳+紅潮した頬+上目遣いという殺人コンボでされてしまったら。 「今度は食べさせてほしいの……? ふふっ、シャロは甘えんぼだなあ……」 こっちも、全力の誠意で応えるしかないわけで。 まだまだ続くであろう甘く長い時間を前に、僕は。 (……ありがとね、コーデリア♪) 今回の影の功労者へ、多大な感謝をしておいた。 ―――その間にエリーとコーデリアの仲が急接近していたというのは、また別の話。
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680 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/02/14(月) 00:03:16 ID:H+6s78Uk - 以上
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