トップページ > レズ・百合萌え > 2011年01月26日 > CvaHF57a

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名無しさん@秘密の花園
エーケービー四八で百合SSPart2

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エーケービー四八で百合SSPart2
813 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/26(水) 21:06:52 ID:CvaHF57a
あつみなで、あっちゃん視点。
萌えとかなくてごめんなさい。
エーケービー四八で百合SSPart2
814 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/26(水) 21:07:57 ID:CvaHF57a

サイコロ状の箱の中で、膝を抱えて蹲っていた。
箱の中は空っぽで、乾いていて、私の他には誰もいない。
薄暗い灰色の世界。
じっと目を凝らしていると、段々と周りが黒くなっていく。
黒に侵されていく。
この箱が、私の心の現れだと気付いたのは、もうずっと前のこと。
四方の壁が、私を守る防壁に見えた。
気付いた後も、特に変化はなかった様に思えた。
でもそうじゃなかった。
いつからだろう。
箱の天辺から、ポタポタと雫が滴る様になったのは。
ずっと蹲っていた私の足元に、水たまりが出来始めたのは。
今ではお腹の辺りまで浸水してきている。
もう、蹲ってなんていられない。





「……ゃん、あっちゃん。おーい」
「……何だたかみなか」

耳にすんなり入り込んでくる優しい声に呼び起されて、私はまどろみの中から意識を浮上させた。
悪態を吐きながらも、久しぶりに見るたかみなの顔に、体の力が急速に抜けていく。
このところ映画の撮影ばかりのスケジュールで、メンバーとの仕事があまりない。
最後にメンバーと収録があったのはいつだったか。
思い出せないくらい、久しぶり。

「たかみな背縮んだ?」
「逆に伸びた」
「……」
「嘘でス。でも多分縮んでもないと思う」
エーケービー四八で百合SSPart2
815 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/26(水) 21:08:23 ID:CvaHF57a

くだらない遣り取りに普段の感覚が戻ってくる。
ああ、そうだ、この感じ。
この場所では、私はたかみなに、他のメンバーに甘えられる。
とても居心地の良い場所。

「たかみな」
「んー?」
「ちょっとこっち」
「何ー?……ってちょいちょいちょい」

アンケートを真剣に書いているたかみなを呼び寄せて、後ろからギュッと抱き締める。
今日もトレードマークの大きなリボンは健在で、私の頬を髪と一緒にくすぐった。
体ごと全部抱き締めたかみなは、とても動き辛そうにしながらも、アンケートを書く手は止めない。
私も書かなきゃ。
右利きのたかみなのアンケートに、左利きの私が反対側から落書きを。
ちょっと書いただけだったのに、気付けば随分とファンシーなアンケートに仕上がっていた。

「私のにはたかみなが落書きしてね」
「うぇーっ何でや」

たかみなの背中にぴったりくっ付いた私の心に、また雫が降ってくる感覚。
でも違うんだな。
たかみなと一緒にいるときは、ポタポタじゃなくて、ザーザー。
雨の様に降り続き、箱の中が満水に近付く。
水位はやがてお腹から胸へ、胸から首へ。
あと少しで、息が出来なくなる。
息が出来なくなったらどうなるんだろう。
考えたことがなかった。

「あっちゃん、いつまでこの体勢を続けるのかな」
「えーっとね、たかみなの背が伸びるまで」
「そっかそっか、つまり一生ってこと……って違う!自分で言ってて悲しいよ」

知ってるんだよ、たかみな。
実は私分かってるんだ。
箱の中に流れ込んでくる水の名前。
それは恋心。
それも、たかみなへの恋心なんだよ。
たかみなは知らないだろうけど、もうすぐ私の心の箱は、たかみなへの恋心で一杯になっちゃうんだよ。
エーケービー四八で百合SSPart2
816 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/26(水) 21:09:16 ID:CvaHF57a

「たかみな」
「どしたの」
「たかみな」
「なんだよー」
「たかみな」
「ん?」
「……好き」
「あっちゃんがデレた!」

あ、ヤバい。
水が一気に。
本日の私の天気予報は、雨のち、豪雨。

「高橋もあっちゃんのこと好きだよ」

ところにより、防壁が決壊するでしょう。
ご注意ください。
水が一杯になって、ミシミシと嫌な音を立てながら、箱は遂に壊れた。
今まで見えなかった箱の周りは、全部私がよく知っている恋心で満たされていて、結局は壊れようが壊れまいが同じことだった。
酸素がなくなったこの水の中で、私は今日から段々と溺れ死んでいく。
たかみなが、私を救助してくれる、その日まで。
エーケービー四八で百合SSPart2
817 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/26(水) 21:09:53 ID:CvaHF57a
終わり。


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