- リリカルなのはクロスssで百合萌え(燃え)
143 :名無しさん@秘密の花園[]:2011/01/11(火) 14:03:02 ID:MEvq1DZd - しばらくお邪魔します...
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144 :リリカル幻想郷10 01/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:21:42 ID:MEvq1DZd - 「やーアリサちゃん」
久しぶりに見る顔に、アリサは思わず驚いて足を止めた。 相変わらず小柄な友人は、驚いたアリサを面白そうに、にやにやと眺めた。 「あんた、何してるの?こんな所で」 「んー。ちょお急にこっち来る用が出来てん。それでな」 「馬鹿。帰ってくるなら連絡しなさい、っていつも言ってるでしょ」 せやったなぁ、と呑気にへらへらと笑ったはやてに、アリサは呆れたように顔をしかめた。 「しかしこんな所でアリサちゃんに会うとは思わんかったよ」 「それはこっちの台詞よ。仕事で来たの? 今日はこれからどうするつもりなの? 時間あるなら家に来なさいよ。何ならすずかも」 「あーいや、あんまり時間ある訳やないんよ 本当はこっちまで来るつもり無かったんやけど…」 アリサは急いで捲し立てたが、はやてはやんわりとそれを中断すると空をちらりと見上げた。 アリサはそれをあえて無視すると、はやての腕を強引に取った。 「いいから!こっからだと近いし、ちょっとお茶の一杯でも飲むくらいの時間ならあるでしょ。 あんた顔出さなすぎなんだから。フェイトやなのははなんだかんだで定期的に連絡くれるのに あんたは全然だし。偶には友人に孝行しなさい」 「友人に孝行?」 「そう。心配かけてばかりの友人に、友達孝行」 はやては一瞬、困ったような苦笑を漏らしたが、 やがて大げさな身振りで手を上げると、 分かりましたー!バニングス隊長〜とふざけた風に敬礼をして笑って答えた。
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145 :リリカル幻想郷10 02/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:22:26 ID:MEvq1DZd - 夕方の何かと忙しい時間帯に、友人をいきなり連れてきたアリサに、嫌な顔一つ見せず、
鮫島がにこにこと入れてくれたアイスティーは、良く冷えていて実に美味しかった。 アリサは満足そうにほう、とため息を吐いた。 はやてもあまり上品とは言えない仕草でごくごくと飲むと、美味しい、と嬉しそうに破顔した。 道すがら、話した事は主にアリサやすずかの近況だった。 はやては、守秘義務等もあるのだろうが、あまり仕事の話をしたがらない。 アリサもわざわざ聞こうと、根掘り葉掘り質問したりはしない。 アギトや、なのはやフェイトの話は聞けば色々と話してくれるのだが、 アリサと話している時は、はやてはどちらかというと自分で話をするよりは、 こちらの話を聞きたがった。 八神はやてにはそう言う所がある。 ウィットに富んだ答えや、絶妙のタイミングで茶々を入れたり、 面白い雑学を話したりするので、一見は良く話しているように感じるのだが 後で思い返すと、本人は自分自身の事は殆ど話していなかったりするのだ。 逆に、初対面では少しシャイで、面白い会話が苦手なようなフェイトの方が、 興に乗った時は長々と色々彼女自身が日々思った事を話をしてくれる。 なので、今回も気づいたらアリサは自分や周りの事を色々と話してしまっていた。 しかしアリサは今回ははやてに聞きたい事があった。 アリサは回りくどい話は嫌いだ。 聞きたい事は遠慮なく聞くし、言いたことはハッキリと言う。 それが信条だ。 家について、少し会話の流れが途絶えたのはちょうどよい。 アリサは最近ずっともやもやと気になっていたが、本人がいなくて聞くに聞けなかった事を口に出した。
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146 :リリカル幻想郷10 03/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:23:23 ID:MEvq1DZd -
「…あんたさぁ、こっちに戻ってくる気ってもう全然ない訳?」 「うん…?」 きん、と冷えたグラスに口をつけたはやては少し眠そうな顔で首を傾げた。 聞こえなかったとでも言いたいのだろうか。 人の好い、フェイトあたりなら騙されるかもしれないし、 優しいすずかなら、はやての意図を察してその話を続ける事は止めただろう。 しかし、アリサは騙される気はないし、はやてを甘やかすつもりも全くない。 「だからさ。その、管理局の仕事。 それも定年とか…まぁこっちとは勤務体系とかちょっと違うのかもしれないけど そういうの全く無いわけじゃないんでしょう。 年とって。仕事を退職した後に、こっちに戻ってきて住むつもりは無い訳?」 「う〜ん。ないわけやないけど」 まだ分からないなぁ、と言うとはやては呑気にははは、と笑った。 そして、明日の事は神のみぞ知るのです、などとインチキ臭いものいいで呟いてみせる。 「家、売却に出されてたけど」 「あぁ。知ってたんか。アリサちゃんは何でも知ってるな〜。この、このう〜!エッチィ!」 にしし、と笑ったはやてをアリサは白けた目で見つめると、デコピンを食らわせた。 はやては、いだっ!とうなると涙目になって顔を抑える。
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147 :リリカル幻想郷10 04/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:24:38 ID:MEvq1DZd - はやてがミッドに移るまで住んでいた家は、はやて自身の持ち家だった。
彼女はそれをしばらくそのままにしていたが、 先日売却に出されている事にアリサは気づいたのだった。 今のはやてにとって、こちらの資金に価値があるとは思えないので、 その為に家を売却に出したとは思い難い。 もしかして、家が、自分がこちらで住む場所が、本当に必要ないと思った―、 思ってしまったからはやてはあれを売りに出したのではないか。 アリサはそう感じて不安に思っていたのだ。 あの事件があってから、はやてはまるでこちらに戻ってきていなかったのを知っていたから余計に。 「い、痛いんですけど…」 「痛くなるようにやったの」 アホか。とアリサは呟いた。 はやてはすると、何故かいかにも楽しそうに、嬉しそうに笑ったので アリサは先ほどまで問いつめようとした話が急に馬鹿馬鹿しくなってきた。 「…もう不動産会社には連絡したけど、あの家私が買う事になったから」 「ほえ?」 「あんたの事だからどうせ手入れとか。そういうの面倒になって手放すんでしょうけど、 帰ってきた時にまた家探すんじゃ余計に大変でしょ。 ちゃんと戻って来れるように、きちんと手入れしておいておくから」 「アリサちゃん」 「いつでも気軽に帰ってきて構わないんだからね」 「……」
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148 :リリカル幻想郷10 05/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:25:49 ID:MEvq1DZd -
はやては何も答えずに、微笑み黙り込んだ。 何とも言えない表情で見つめられているのをアリサは感じたが アリサもまた黙り込んで静かにグラスと手に取った。 それからたわいもない話をしばらく続けると、はやてはさっさと帰ってしまった。 アリサは後に、はやてを殴ってでも話をもっと続けるべきだったと深く深く後悔する事になる。
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149 :リリカル幻想郷10 06/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:26:51 ID:MEvq1DZd -
ふと気がつくと、日が沈もうとしていた。 なのはは窓をぼんやり見ながら、小さくため息をついた。 「折角の休日なのに、勿体ない事しちゃったなぁ」 誰に言うとも無く、苦笑を漏らすと手元のマグカップに気がつく。 そう言えば先ほど愛娘のヴィヴィオが、彼女自身が出掛ける前に、 コーヒーを気遣わしげに入れて置いて行ってくれたのだった。 すっかり冷めたそれに口をつけて、なのははまたため息をついた。
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150 :リリカル幻想郷10 07/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:27:39 ID:MEvq1DZd -
はやてが上層部の意を受け入れ、命令を実行した―、いやされてから、既に2週間が経っていた。 直後暴走し、管理局の一部を破壊、 そして局員に怪我を追わせたフェイトの謹慎処分が解けたのが今日だった。 やった事の大きさに反して、フェイトはたったの2週間の謹慎しか受けなかった。 上がこの件をどれだけ秘密裏に処分したいかを明確に示すようで、 この一連の出来事を知る関係者一同はみな暗く、苦しい表情を見せた。 なのはも謹慎処分こそ受けなかったが、上司からは厳重注意をされ、こってりと説教を受けた。 しかしそこは持つべき者は話の分かる上司、ということだろう。 彼は深くは追及してこなかったし、その事件の後からなのはが仕事を定時にさっさと上がり、 無限書庫へと足を運ぶようになってもそれを特に咎めるような事は言わなかった。 あの後なのはは暇さえあれば無限書庫へと通うようになった。 友人のユーノには随分と無理を聞いてもらっているのは分かっているが、 彼がそこを纏める立場である事をこれだけ感謝した事は無かった。 そこへと赴く理由は色々だが、一つは解決案を見つける為と、 もう一つは少しでもはやてを近くで感じたかったからだった。 はやてに起こった事を考えると、はやてと一番接点を持てる場所は無限書庫以外にはなかった。 しかし残念ながら、なのはには、はやてを感じられることはなかったし、 解決案も未だに見つかっていない。
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151 :リリカル幻想郷10 08/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:28:27 ID:MEvq1DZd -
(解決か…はやてちゃんは一体どうしてあんな…、いや、でもはやてちゃんは結局) 結局はやてはあの時から何も変わっていなかったのだろう、 となのはは2週間前から何度繰り返したか分からない後悔をまた反芻して視線を床に落とした。 なのはは、はやての動きを全く察する事の出来なかった自分を酷く責めた。 事の次第を追っていき色々と判明してきた事がある。 それらを照らし合わせてみても、はやてが取った選択は、 はやて以外の人間からすれば理解し難い事だった。 が、はやてらしい選択と言えなくもなかった。 それを予測出来なかった自分をなのはは酷く責めた。 しかし、一連の動きは完全に隠匿されており なのはがそれを直前に知る事が出来たのも本当に偶然だった。 なのはやフェイトがそれを予測する事は不可能だった。 なのはやフェイトだけでなく、もっと上の立場の、情報収集能力のある人間ー クロノや、ヴェロッサ、カリムでさえその動きを察知出来ていなかったのだ。
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152 :リリカル幻想郷10 09/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 14:29:08 ID:MEvq1DZd -
なのはは、立ち上がり、カーテンを引いた。 辺りは完全に日が落ち、空自体は暗くなっている。 なのはは、人工的な光で明るくなった街をぼんやりと眺め、またため息をついた。 随分とため息を吐く回数が増えたように思う。 やはりまだ相当参っているのだろう。 なのはは、自分がこれほどに落ち込んだのは初めてのように思えた。 自身が大怪我をして、一時は飛ぶどころか歩けなくなってしまうかもしれない、 という大事故にあった時もここまでは苦しまなかったし、 またその後に、あの時あの事件で大切な人達を失った時も ここまでは落ち込まなかったように思えた。 なのはにとって、大切な人物がいなくなる事は初めての事ではない。 あの時も事の次第を知った後は酷い喪失感に襲われたし、 完全に立ち直るには随分な時間が必要だった。 だが、ここまで苦しくはー無かった。 確かに喪失感は大きかったし、事件に対する後悔もあったが 一方でそれはなのは達にとってはどうしようもない事でもあった。 だからこそ、月日が経って気持ちが治まっていったのかもしれない。 しかし、この苦しみはまるでなのはの心臓を抉り取るような、 そんな物理的な痛みすら感じるような苦しみだった。 それは恐らくそれだけはやてがなのはにとって大事な、 かけがえのない人物だった、ということと はやての取った選択そのものが、なのは達を酷く傷つけたからだった。
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153 :リリカル幻想郷10 10/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 15:47:02 ID:MEvq1DZd -
そう、はやては自身を軽んじすぎた。 選んだ選択肢は寧ろ自分を罰するような選択だったと言ってもいい。 それではまるでなのは達の気持ちがー、 はやてを大好きで大切に思っている、という気持ちがー全く伝わっていなかったようで。 (はやてちゃんの時間は、あの時からまだ止まったままでいたのかもしれないね…) なのはは、また苦いものが胸に上がってくるのを感じた。 (ねぇ…はやてちゃん、私達ではやっぱりヴィータちゃん達の代わりにはなれなかったのかな…)
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154 :リリカル幻想郷10 11/11 ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 15:47:32 ID:MEvq1DZd -
なのはがそこまで思いながら、夜景を見つめ窓をそっと撫でた時、 カタン、と音がして鍵が開いた音がした。 恐らくヴィヴィオかフェイトが帰宅したのだろう。 なのははカーテンを完全に引いて、慌てて明かりをつけた。 「ただいま…」 「ただいまー」 ばたばたとした足音と共にヴィヴィオがリビングに顔を出した。 その後に固い表情のフェイトが続く。 「帰りにフェイトママとばったり会ってさー。一緒に帰ってきたんだ」 笑顔でヴィヴィオが言うと、フェイトが頷いた。 フェイトは近頃はすっかり笑顔を見せなくなったが、恐らくそれはなのはも一緒であろう。 代わりにヴィヴィオが健気に、なるべく笑顔でいてくれるのがただただ申し訳なかった。
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155 : ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 15:53:35 ID:MEvq1DZd -
今回は以上です。 長い割にあんまり進展無くてすいません。 あと話に時間かけすぎてて、 なのはの4期(漫画)と、東方の星蓮船以降の話の設定は引き継いでないので その辺今後矛盾が生じても目を瞑ってくれると助かります。
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156 : ◆dovsTtvt.g [sage]:2011/01/11(火) 15:57:39 ID:MEvq1DZd - >>136
季刊どころか年刊になりそうな遅さですまん とりあえず季刊に戻るように頑張るよ 悪いね、thx >>138,139,141 同じ人かどうか分からんけど、待たせちゃってすんまそ まだ待っててくれる人がいるのがかなり有り難い 次はもうちょい待たせないように努力する
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