- 平沢 唯 × 田井中 律 2
673 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/01(土) 00:33:30 ID:VTxc8g9X - 「正夢だあ」
「んー?」 唯の唐突な言葉に、疑問で返す。 「正夢になったよ、ほら、いつだったか、りっちゃんに起こされたときに見ていた夢」 言われて、いつかの唯の言葉を思い出す。 『あのねえ、りっちゃんがねえ、私に裸でしがみついて、すっごく甘えてきたんだよお』 『「唯が欲しい、唯とずっと一緒にいたい」っていってねえ、もーう、すんごくかわいかったんだからあ』 「……あ」 「ね? うふふ、嬉しいなあ」 本当にうれしそうに、唯は私に頬ずりをする。くすぐったいっつの。 そういえば、今……私と唯は、その、真っ裸で抱き合ってるわけで。 今さらながらに気付いて、体中が熱をもったような気がした。
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674 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/01(土) 00:34:01 ID:VTxc8g9X - 「なあ唯」
「んん?」 「夢、どこらへんで終わったんだ?」 「え? えーと、いいところまで?」 「つまり、今らへん?」 「そーう……かな?」 クエスチョンマークが浮かんでいる唯に、にやりとする。 「それで? もしもっと寝ていたら、それから夢でどうするつもりだったんだ?」 「ぐふふ。そりゃあ、りっちゃんを好きにし放題で……」 といったところで言葉を切り、私に殴られるかと思ったのか、唯は頭を抑える。 攻撃が来ないことが分かると、唯は、おそるおそる目を開けた。 「正夢なんだろ? だったら――」 そっと、唯の髪を引っ張った。 唯と私にしか分からない、秘密の合図。 「――続きも、叶うんじゃねーの?」 一拍の沈黙の後。 「ふええっ!? い、いいの?」 珍しく慌てふためく唯に、これはいいものが見れた、と得意な気分になる。 「私を、どうしたかったんだっけ?」 「……す、好きにし放題」 「……じゃあ、そうすれば?」 言うと、「りっちゃあああん! エロス!」とわけのわからないことを言って私に抱きつき、すぐさまベッドのシーツに私の体を押し付けた。 二人でくすくす笑いながら、お互いの体に触れ、さらに甘い夜に突入した。 一年たっても、相変わらず私たちは、幸せだった。
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675 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/01(土) 00:34:48 ID:VTxc8g9X - 今日も唯は慌ただしく出ていったけれど、ごみは置きに行ってくれた。
最近は、ほとんど唯が行っている。ときどきあの主婦集団とすれ違うようで、「おはようございまあすっていったら、なんかたじたじになりながら挨拶を返されたよ」と唯が教えてくれた。それを聞いて、私はものすごくせいせいした。 玄関前の掃除にでる。すると、表札が目に入る。 平沢 唯 田井中 律 私は、そっと田井中の部分を左手の指で隠した。 平沢 唯 律 なんでか、嬉しい気分になって、赤くなっているだろう頬に左手を当てる。 薬指には、イブの翌日、唯と一緒に取りに行った指輪がはめられている。 とても幸せな気持ちになって、その場で唯にはめてもらった。 少し怪訝な目で見られたけど、全然気にならなかった。 これは、ずっと付けている。ずっと、ずっと。 掃除を終えて、そうだ、とあることを思いつく。 来年のイブには、私から唯に指輪を贈ろう。 私は家に入り、今日も唯の帰りを楽しみに待つ。 おわり
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676 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/01(土) 00:41:12 ID:VTxc8g9X - ちょ、超投下ミス!
>>652と>>653の間にこれが入ります 「すごい、疲れてるんだね、りっちゃん」 「……見りゃ分かるだろ」 「ご、ごめんね」 座ったまま動かない私を見て、萎縮して小さくなった唯は、ラップをされた皿をもって電子レンジに向かった。ぴ、ぴ、と電子音が聞こえる。 料理も、温めるのも、ほとんど私がやってきたから、唯は家の電子レンジの操作に慣れていない。試行錯誤しながら何とかやろうとしている気配が伝わってくる。 唯、大皿のやつは、二分くらいに設定して、他の小鉢はまとめて温めるんだぞ。 ほら、みそ汁も温めないと。一応、いつもどおり上手く出来たつもりだからさ。 言葉にしようとしても、一向に口から出てこない。 「り、りっちゃん。あのね」 少し温めすぎた大皿を食卓に置きながら、唯が探るように声をかける。 「明日、私帰り遅くならないかもしれないんだ」 唯は全部の食器を置いて、席についた。 唯は、この空気を変えようとしているのか、いつもみたいに明るく話そうと努めていた。 「ううん、頑張って絶対早く帰るよ、だからね、明日――」 「じゃあ、何で今まで遅かったんだよ!」 気付いた時には、大声で唯にあたっていた。 「……り、りっちゃん?」 「頑張れば、早く帰れるんだろ!? だったら、今まで何してたんだよ!」 仕事に決まってんだろ、何言ってんだよ、私。 「お前が仕事できないから、ぐだぐだ働いているから、だめな奴だから、叱られたり、無駄な残業が増えてるんじゃないのかよ!?」 唯が、ちゃんと頑張っていること、知ってるよ。 「仕事がだめなうえに、ちゃんとした生活しようとしないし、いろんなとこ私任せにしてるし!」 やめろ、やめろ。 そうは思っても、自分の本音とはかけ離れた言葉が、次から次へと出てくる。 「……自分だけ、気楽な顔して、人のことほっといて。私が、どれだけ頑張って、どんな思いしてるかなんて、考えてないだろっ……!」 朝に、あいつらにぶつけてやりたかった胸のむかつき。 受け流せばいいのに。ちゃんと、自分の中で、消化するべきなのに。 唯を見た途端、ふいにそれが破裂していく。
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677 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2011/01/01(土) 00:44:36 ID:VTxc8g9X - これで、本当に終わりです
投下ミスとか、IDがころころ変わったりとか、大変ご迷惑おかけしました… ていうか、年明けたのにクリスマスSSってw あ、遅ればせながらあけましておめでとうございます こんな長すぎるSSを読んでくださって、本当にありがとうございました! 2011年も、唯律に幸多かれ!
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