- Kanonの沢渡真琴を愛でるスレby葉鍵板Part13 [無断転載禁止]©bbspink.com
304 :名無しさんだよもん[sage]:2017/01/26(木) 21:36:16.22 ID:KXFlBJz40 - 「はぁ、疲れた。ずいぶん歩かされたな・・・」
鶴岡特有の冷たく重たく湿った空気がその部屋によどんでいた。 処置室から最も遠い部屋、それは霊安室。その距離は生と死を表しているかのようにも思えた。 遺体が傷むためか暖房の類は一切無いその部屋で、遺族はつぶやいていた。 長い距離を遺族とともに移動したストレッチャーから遺体が移し替えられた。 その光景を見ながら遺族は思い出していた。 あの男の口ぐせは「死ね!死ね!みんな死んでしまえ!」だったよなぁ。 まわりに死ね死ねいいながら、結局は先に死んじまった・・・言ってたことと真逆だったことに遺族は思わず吹き出しそうになった。 「とんでもない男だったよね」。ポカン面した死に顔を見ると遺族は回想を始めた。 「真琴〜真琴ぉ」と寝言でつぶやいていたから、翌朝「真琴って誰よ?」て聞いたら、荒れに荒れて手が飛んできたこと。 「あっ〜秋子さん〜」と寝ぼけて、よだれを垂らしながら言ってきたあの日。 「あうっ〜あうっ〜」と変な雄叫びをしたので、精神病を疑い始めたあの日。 そんな家庭崩壊を引き起こした男が息もせず横たわっている。遺体に向かって思わず小さな声で「ばぁーか」と言ってみた。 そんな時、エンジェルメイクを始めた看護師が叫んだ「きゃっ、パンツに血がついてる!」。 どうせカウパー氏腺液と精液を採取した傷口から出血したんだろ、情けない死に方だな。かなりいい加減な処置にまたもや吹き出しそうになる。 看護師は事情を知らされていない。 知らないんだけど、、、気分は憂鬱モードに突入。もしDNA鑑定で警察から呼び出されたらどうしよう・・・ 遺族は一刻も早く火葬場の炉に放り込んでやりたいと思っていた。 しかし死後24時間は法令的にも火葬できない。遺族はその時間がもどかしかった。
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