- 【寸哲】シャーリー・プトラの寸哲
58 :名無しさん@お腹いっぱい。[]:2018/09/04(火) 04:44:45.06 ID:J3UGzDQd - 私の爺ちゃんの話をしよう。
曽祖父とまだ幼い爺ちゃんは終戦直後の無政府状態の中生き延びた。 私は何のリアリティも感じず、時折話す爺ちゃんの話を聞いて育った。 爺ちゃんはビアフラ共和国やベトナムやクメール・ルージュの話を盛んにしてくれた。 今思うと終戦直後のドサクサについて話したかったのだろう。 数少ない終戦直後の話しの中で爺ちゃんが言った言葉が忘れられない。 「あの頃は家族が生き残る為には、他人の命を金に換えなければ生きていけない悲惨な時代だった」と 曽祖父と爺ちゃんは戦い抜きいくつかの事業を企業した。それは現在で言えば限りなく違法に近い仕事だった。 そのおかげで富裕層の仲間入りになった。いわゆる成金である。 親族の一人が一流大学を出て弁護士になった。それがきっかけかどうかは分からないが 爺ちゃんは父に「これからは教育の時代だ。こんな賤業を続けていればいつかは人間としてダメになる」と 語った。爺ちゃんを尊敬する父は、その期待に応えるべく猛勉強をして誰もが知っている一流大学へ進学した。 そんな爺ちゃんも歳をとり、ちょっとした肺炎で入院した。 お見舞いに行くも爺ちゃんは、いつも通り元気な笑顔で迎えてくれた。爺ちゃんは私に笑顔で語った。 「お前に対しては教育の心配は何もしてないよ。今のままで、それで良い」 「だがな、どんなに金持ちになっても、どんなに教育を身につけても、人生には未練を残して死んで行くのが人間だ」 「爺ちゃんにも未練はある。その未練を孫であるお前に残す」 「お前が未練を未練のまま持って生きるのも善し」 「また、その未練をお前が別の形として生き抜くのも善し」 「お前が大学を卒業し、社会人となるまでに、この事だけは伝えたかったんだ」と あんなに元気だった爺ちゃんは一週間後に突然病室で亡くなった。 社会人として生きている今の私には、爺ちゃんの言葉の謎を探求するのがライフワークになってしまった。 未練を持ったまま生き抜く事が「勝利」と言いたかったのか? 自分の「未練」を子孫に託すのが「勝利」と言いた語ったのか?
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