トップページ > 創価・公明 > 2014年09月12日 > /HGk9lLL

書き込み順位&時間帯一覧

9 位/124 ID中時間01234567891011121314151617181920212223Total
書き込み数0000003200000000000000005



使用した名前一覧書き込んだスレッド一覧
政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11

書き込みレス一覧

おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
234 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/12(金) 06:19:35.42 ID:/HGk9lLL
 親切な人

 このお話は徹頭徹尾フィクションである。存在しない人物が、存在しない本を探す話である。

 その女性とはある図書館の集まりで知り合いになった。
 魅力的な人であったが、残念なことに人妻であった。仮に小山千鶴子さんとしておく。
 千鶴子さんは、私が作家で本に詳しいと知ると、自宅に来て母に会って欲しいと言った。
 奇妙な話だった。

 千鶴子さんの母は、仮に桃子さんとしておくが、桃子さんは車椅子で生活していた。
 彼女は、私に、実は……と、ある依頼を切り出したのだった。
 桃子さんのお父さんは一回だけだが本を出版したことがあるという。それを古本屋で買うことはできないか、と言う奇妙な依頼であった。
 無論、この家には実物はないらしかった。ただ一冊残っていた奴を棺に入れて燃やしたと言うことだった。
 「で、何と言う名前の本ですか」
 「それが、分からないんです」と桃子さん。
 「ええ?」
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
235 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/12(金) 06:20:15.95 ID:/HGk9lLL
 よく聞いてみるとペンネームも不明であった。出版は戦前らしかった。
 以前にも、探そうとしたことはあったようだった。だが、ことごとく失敗したらしい。
 ある古書業者はひどい言葉を投げつけたということだった。そんな本は存在しないと言った。
 私は、桃子さんを見て、怒りが起こった。もちろん、古書業者に対して。
 棺に入れたという証言から考えて、本そのものが存在したことは間違いなかった。
 それを否定するようなひどい言葉を吐いたらしい。
 私は、困難な任務を達成しようと心に誓った。同時に、わずかに持っていた千鶴子さんへの下心を捨てなければこの困難な任務は達成できないことを直感で悟った。
 だから捨てた。正確に言うと、下心を最後の最後まで隠し続けることを決めた。

 私は、桃子さんに「お父さんはどんな火とでしたか」と尋ねた。
 そこから探っていくしか糸口はなかった。
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
236 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/12(金) 06:20:58.28 ID:/HGk9lLL
 もう失われてしまった本。

 私はあきらめてはいなかった 
 証言によれば自費出版ではないと言う。だから何らかの事情でプロではないが本を書いたと考えられるが、そこが分かればたぐることができる。
 桃子さんの目からは涙があふれた。それから語られた話は当然、秘密の事である。
 そして、古書業者が誤っている事は立証された。彼と彼の本は存在している事は明白であり、存在しないなどとは良くも暴言を吐いたものだった。
 私は、そんな古書業者など物体としての古書を扱う資格はあっても、「古本」を手にする「人としての値打ち」はないと確信したのだった。
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
237 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/12(金) 07:11:05.30 ID:/HGk9lLL
 任務達成への道のりは遠かったが、それを記述すると迷惑がかかってしまう。
 だが、古本ハンターとしての私は、そこらの奴とは明らかに違うところに目をつけた。
 「古本屋で本を買うと言う事はもはや不可能だと思います」と私は桃子さんに言った。
 「そうですか」
 「しかし、その本を手にとって読む事は出来ます」
 「えっ?」
 「国立国会図書館に所蔵されていることが判明しました。
 そこにはたくさんの本があって、読んでもらえるのを待っています。そこが、本を探す人の最後の希望なのです」と私は言った。
 最後の希望と言う言葉はここに生まれたのであった。
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
238 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/12(金) 07:44:12.51 ID:/HGk9lLL
 私の下手糞なアクション小説よりも車椅子で交差点を突っ切る事のほうがはるかに困難であり、冒険だった。
 彼女は国立国会図書館まで冒険の旅に出ると言った。
 彼女にとっては最後の旅になるかも知れない。

 最後に、作品内で言及されるあるホテル、全国町村会館であるが、ここはとても親切で車椅子の母娘の受け入れについて色々と便宜を図ってくれた。
 とにかく、おすすめのホテルだ。
 国会図書館の売店は実際はコンビニのようなものだ。
 実はこの図書館、二階に喫煙のスペースがあるが緊急時にここに行ってタバコを吸うと言うのは不自然だったので前でタバコを吸うと言う描写にした。

 最後に。
 人間は最後の最後まで親切な人を演じ続ければ、親切な人になれる。たとえ私でも。

 親切な人 完


※このページは、『2ちゃんねる』の書き込みを基に自動生成したものです。オリジナルはリンク先の2ちゃんねるの書き込みです。
※このサイトでオリジナルの書き込みについては対応できません。
※何か問題のある場合はメールをしてください。対応します。