- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
224 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/09(火) 06:17:40.74 ID:kTOqgoqS - 丸丸は佐藤に範子の最後を語った。
涙が止まらなかった。 佐藤は能面のように無表情に聞いていたが、話が終わるとこれも短く淡々と「そうか」と言った。 「佐藤君」 「景山は尊敬されているようだな、と言ったようだが、その通りだ。俺は彼女を尊敬している」 「う……」 「人類を救うのは、仏法ではなく、この世に再び蘇った彼女だと思う。俺は彼女を待ち続ける」 丸丸はまじまじと佐藤を見た。彼は落ちこぼれの顔ではなかった。真剣に恋をしている男の顔であった。 この瞬間、丸丸は佐藤の奪取には失敗したという事に気がついて愕然とした。 佐藤はなおも範子を愛している、その意味では範子は生きていた。
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225 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/09(火) 06:18:26.15 ID:kTOqgoqS - 倉田は、結果的には相当に初動の悪さや損害の大きさを指摘されて伝説の「夢の島交番」へでも飛ばされそうであった。
必死で戦った、あの瞬間の輝きがあるからいいさ。クリスマスは来る、そう、それでいいじゃないか…… 倉田が報告書をまとめていると部下がすっ飛んできた。 「本部長、装甲車が奪われました!」 「何だと?」倉田は驚愕した。 「おらおら〜」と大阪府警の装甲パトカー。 「うわー」 「あれー」 東京を初めとする関東の警察は「大阪府警」と見ただけで逃げる事になっていた。お約束だった。 「やっぱ、この暖房めちゃええわ、大阪でも活用させてもらうで。 なになに、クーラーも同様に利きます? 夏場の警備にこれ、最高のオアシスになるやん。大阪府警の全警察署で取り合いや。大阪戦争勃発や」 装甲車には「強力クーラー」を上から凄い勢いで浴びで体温を下げる「エア、シャワー」やウオーターサーバーもついていて、 夏はこれ以上の拠点はないぐらいのものであった。
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226 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/09(火) 06:19:03.37 ID:kTOqgoqS - 装甲パトカーは大阪にたどり着いた。
「大阪やで」婦警は、後部に安置された棺おけに言った。無論、返事はない。 用意しておいた(と、言うか奪った)ラジカセに「見よ、勇者は帰る」のCDをかけた。 「見てみいや、今日もトンボリの川面にグリコの看板が映り、若い衆がひっかけ橋でナンパをする。 ヒラパーではジェットコースターがこの寒いのに動いている。平和とは、そんなもんなんや、 そして市役所の前には電飾が光って中ノ島が美しく輝く一瞬の時が……見れんで残念やったなあ」
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227 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/09(火) 06:56:28.90 ID:kTOqgoqS - 装甲パトカーは静かに府警本部の駐車場に入って行った。
大阪府警と書いてあるので皆そうか、と思い警備の警官も、うちにもこんないかつい車両あったんかと思い、騒ぐものもおらず東京とは別世界のようであった。 少なくとも、大阪府警本部では鉄ばんばが出るなどと言う物騒な事は有り得ない。 「そうや、そんな素手で鉄を砕くような妖怪がこの世におる訳がない。 妖怪が人間に化ける、ないしは人間と結婚すると言う話は雪女やバンシーなどをはじめ数々ある。 バンシーは死者を悲しんですすり泣いたりするのが定番や。 しかし、バンシーは生者を優しく守るもの、ともされていて、詩人に才能を与える力があるなどとも言うな……」 婦警は、そんなひとり言を言いながら本部の向かいにある大阪城を眺め、任務は終わったと報告するために装甲車を降りた。
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