- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
198 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/04(木) 06:35:38.04 ID:8IY2nC+g - サンタさんとトナカイさんは長い長い旅に備え、武器をしっかりと固定していった。
後日談として、武器のうちライフル系は大久保と幸福の錬金術を代表して棚橋が来て回収した。 未使用のLAWもだ。 物としてはなかったが交戦した時、捕獲した火器が他にないかも確認されたのだった。 隊を抜ける以上そういった確認は必要だった。 ただ、拳銃に関してはやはりこれだけの事件であった。遺族もいる。 報復される危険があると言うことで、行動隊側も所持を認めると言う事になった。
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199 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/04(木) 06:36:14.51 ID:8IY2nC+g - チャイナマンは、もう暴力と銃はみだりに使わない。行動隊からも足を洗うと太田に約束した。
だが、行動隊の上に報告を上げ、政府との和平を仲立ちしてもいいと言った。 これは太田にとっては渡りに船だった。 さらにチャイナマンは、幸福の錬金術との交渉に、自分の名前を使えばスムーズに行くのではないかとも指摘した。 結局、警察は守ってくれないというのが幸福の錬金術側の武装の大義名分なのだから、これからはいつでも、警視庁の七人の婦警がチャイナマンを呼ぶことが出来るのだ、となれば大義名分は失われる。 また、貪理もしかりで、彼が行って「その時のチャイナマンしか知りえないような事実」を語れば彼が人海戦隊チャイナマンであると認めるであろうし、教主を救った人物の言う事は聞くだろう。 聞く限りでは報復を叫んでいた貪理だが、自分が行き説得すれば武装解除に応じるだろう。 平和になった今、武器は要らないと思う。 大筋、そのようにチャイナマンは言った。 おお、と太田は思った。 やはり逮捕すると言うのは全くの間違いで、このチャイナマンは衣服の通り、まったく素晴らしいプレゼントをくれるサンタさんだぞ!
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200 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/04(木) 06:36:48.52 ID:8IY2nC+g - 「分かった。全く君の言うとおりだ。君、ところでこの軽トラだが、盗難届けが出ているんだよな?」と太田は言った。
事実、さおりは子供収容所から軽トラを盗んで来ていたから答えは「はい」だった。 「そうだろう、そうだろう、聞いたかね、倉田君。だから……」 「無論、ナンバーは誰かが控えてしまっています。しかしこの軽トラは盗難車、そう、盗難車です。 また、七人の婦人警官には名前を隠すように警視庁の構内放送で言います。命令です。 だから、チャイナマンの携帯電話の番号は分かっていてピンチの時に呼ぶことはできるが、そこから警察が捜査する事もできないんです」倉田は言った。楽しいといった響きがあった。 「完璧だわ」と萌未は言った。 そして萌未はトナカイにこう言った。 「犬田代作はこの事件を映画にするとしたら、China man The last hopeなんて臭い名前、つけようとしたって聞いたけれども私ならこうつけるわ「人海戦隊チャイナマン トナカイの使命」」 「しぶいな」とそれを横で聞いていた大阪府警のおばちゃんの婦警は言った。 彼女は最後まで「名前がない」ままであった。
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201 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/04(木) 07:25:16.53 ID:8IY2nC+g - 「お風呂は?」と萌未は聞いた。
トナカイ=さおりは、すっかり冷えた体に湯と言うイメージはそれだけでも暖かさが来るのを感じた。 しかし、大人の常識として、今だ貞子が血に染まった服を着替えられないのに自分はお風呂と言うわけには行かないのは分かっていた。 それを言いかけたが、さおりは、今度は「貞子様が血まみれだから」はまずい、と考えてこう言った。 「鉄ばんばが怖いから、また今度にします」 貞子は、微妙な笑みを浮かべてその答えを聞いた。 血は、もう乾いていた。しかし、まだあの声はこびりついたままだ。 「あたしの……ゆめは……」 ……そう、あの少女には「今度」はないの 萌未に投げキスのジェスチャーをするチャイナマンと、「恋人はサンタクロース」のサビをハミングするトナカイ。 暗号であった。このハミングは七人の婦人警官にしか分からない。 そして、軽トラに二人は乗り込んだ。
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202 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/09/04(木) 19:47:24.69 ID:8IY2nC+g - 最初、運転はチャイナマンがしようとしたが、疲れているでしょうと言ってさおりが運転席に乗った。
何気ない言葉だったので皆、それこそがトナカイの使命であった事には気がつかなかった。 走り出す。 その時、空から白いものが降ってきた。 「雪だ」と太田は言った。 「もしかしたら」と貞子は誰にともなく言った。 「何か?」と涼子。 貞子は、何かが取りついた様に、ささやき声で言った。 「クリスマスイブにサンタさんを乗せてやってきて、また乗せて帰る、永遠にそれを繰り返す」 「それは?」と太田が聞いた。 「あのジョークは本当だったのかもしれない。子供たちは、一番大切なもの、命、をもらった訳だし、結局、彼は逮捕されず、行くのだから」 えっ、と太田は軽トラを見たがそれは激しくなってくる雪の中を幻のように消えて行った。 「ええっ? トナカイさんとサンタさんやて? ほんまの」と大阪府警のおばちゃんの婦警は驚いて言った。 「クリスマスは来る」と高田が言った。 貞子は無言で微笑んだ。あれを見ろと言うように指差す。 みなが見ると、睦美が酒井田のほほにキスしていた。 激しさを増す雪の中、彼らはクリスマスを思った。
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