- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
177 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/31(日) 06:33:07.00 ID:XQmLijpY - フェルプスはその間、萌未と友達になり、サンダーバード2号の発進音を披露したりした。さらに彼女のひきで、チャイナマンのインタビューに成功した唯一の人になった。
まあ、正しくは外交官なので、百パーセント一般人とは言えなかった。 彼は身元が分からないようにと絶対ジョークと言う質問を、あらかじめ示し合わせた上でしたのだった。 インタビューは日本語を使った。フェルプスは日本語を流暢にしゃべれた。カメラマンは萌未がした。 「あなたがショッカーの改造人間だと言う噂があるが事実か」とフェルプス。 「ノーコメントだ」 「その仮面はどこで買ったのか」 「あるお祭りの屋台で売っていた。昔のことなので値段は覚えていない。もちろん、正体を隠すために便宜上用いているだけで、反中国の思想はない」 「サンタの服を着ているが、あなたがサンタさん?」 「そう言ううわさがあるとは承知している。 その質問には直接には答えられないが、こちらから一つ質問しよう。チャイナマンが来ず、生華学会が勝ったらどうなっただろうか」 「ノー、そうなったらクリスマスは永遠に来ないだろう、ここ日本には」 「そうだ。そうなってしまうところだった。 今回は危なかった。あの歌の放送がなかったら? そう、彼らが子供を人質にするという卑劣な手段を使わず、そんな放送なんかなしでとりあえずやることはして、それから放送と言う手段も考えられた」 「おー、まさにそうだ。いつでもNHKは使えたからね」 「そう、国会議事堂は占拠したのだから、それは生かして上手くやれば敗北はなかった。だが変な人質とか余計なことをしたから、こうなって行く」 「ありがとう、国会記者会館前からでした」とフェルプス。
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178 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/31(日) 09:19:08.04 ID:XQmLijpY - 萌未とフェルプスは、チャイナマンをカトウのところに連れて行った。
「平和の人です」とフェルプスは言った。 「そうか、君が言うんならきっとすごい人だろうね」と涙田は言った。 その実、彼はカトウの事を良く知っていた。行動隊でも涙田は彼の事を「尊敬するべき人物」としてあげている位の人であったからだ。 行動隊では、隊員教育の一部で「今の世界で尊敬するべき人物は?」「その人はどんな人か」と各人がインターネットなどで調べて発表すると言う事をしていた。 それでもって、その隊員の人格が推し量れると言う効果があったから、この「発表」は必ず一度はするものであった。 あるものはアラブの大富豪、あるものはオサマ・ビン・ラディンと言った。 その時点では彼は生きていたのだった。 さらに、行動隊がすごいのは「その人物を殺すためのプラン」を考えることが要求されると言うところだった。
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180 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/31(日) 19:06:26.87 ID:XQmLijpY - 涙田は一応考えたプランを発表はしたが、その実それは不可能なプランだった。
また、彼は殺すつもりなどなかった。行動隊のそれも「訓練」の一部であり、誰でも殺すことが出来ると言う「暗殺者・テロリストとしての自覚」を植えつけるためのプログラムであった。 そんな訓練を受けているから、行動隊はいざとなったら親衛隊を蹴散らし東京を奪回したのだった。 もし、小川が犬田と同じ野望を抱き、行動隊が親衛隊と同じように小川の手足だったら東京はクーデーター側の手中に収まっていた。 涙田は決して立ち上がる事はなかった。 仮に生華学会と親衛隊が反クーデターに回ったと仮定しても結果は今と同じで惨敗に終わったと思われる。 太田も倉田ら警察幹部も生きていないだろう。行動隊は正義の側に立てば強いが、作戦の面で馬渕のように甘くはなかった。 「君がチャイナマンか?」 チャイナマンは、正式には軍隊式の敬礼か捧げ筒(スナイパーカスタムを肩に下げていたから)をするべきだったが、サンタの礼、すなわち帽子をとって左胸につけつつ頭を下げる、をした。 「おおっ!」と誰かが言った。 「サンタさんのお辞儀だっ!」 サンタさんのお辞儀は子供を祝福するためのものでめったに見られるものではなく、見たものは幸せになれる。
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181 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/31(日) 19:07:13.26 ID:XQmLijpY - 「今晩は。いつかはお会いできるかと思っておりました」とチャイナマンは言った。
「君の活躍は聞いている。しかし……」 「は……」 「もはや戦いは終わった。私はそれを告げるために来たのだった」 「まさしく平和の使者です、副大使と言う地位ではなくもっと昇進なさるべきでは?」 「それは、私の本意ではないよ。君は誤解している。 世間の者はいろいろ言うが、私は所詮は一人の外交官にすぎん」 「はっ」 「大切なのは、平和を作る人たちだ」 「はい」 「戦争は、「平和のために」始められ、「戦争を終わらせるために」続けられるものだ」 「は」 それは古来より語られる事であった。 「まあ、Wikiで「平和」を調べてみれば分かる以上の「平和」など、私は知らない。 だが、平和と言うものは命と同じで失われた後では取り戻せないんだ。 だから……」 カトウはやや間を置いて続けた。
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182 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/31(日) 21:13:43.47 ID:XQmLijpY - 「スミスは排除できなかった。生華学会も排除できなかった。
これからは君だけが頼りだと言うのに、君は逮捕されるようだね」 「そうです、残念ながらここまでの事をしてしまったのですから。 ヒーローストーリーではヒーローはかっこよく去って行きますが、本当の英雄とは惨めに手錠を掛けられ護送されていくのです」 「幸福な王子、のようだね、人々が幸せになって行くに連れて、王子はだんだん惨めになって行く、そしてヒバリは死ぬ」 「そう、ヒバリは死にます」彼はちらりとトナカイを見た。 「こう言う話を聞いた事がある。ある秘密がばれてしまうとサンタさんとトナカイさんは死んでしまうと言うものだ、だが、秘密は今はまだばれていない、そうだろう?」 「えっ?」 「私が合図したらダッシュでトナカイの手を引いてあのハンビーへ乗れ。そしたら私も乗って横田基地までノンストップで行く。 ハーキューリーズで離陸、八丈島で一回燃料補給、そこからグアムまでのフライトで、君たちはアメリカの土地を踏める。 そしたら、君たちは自由だ。 市民権を取ってあげる。ミーンズ大統領もこれだけのファイターをスカウトしてきましたと言えば、首を横に振る度胸はない。 一回市民権を取ったら、二人でどこかへ消えるんだ。君なら出来るだろう」 「そ、それは」 「平和の世界に戻って来い。今の世界には君たちのようないざとなったら立ち上がることが出来る人がいる。 必要なんだ。 刑務所の中ではその力は全く……無意味だ」
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