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政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11

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おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
147 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/25(月) 06:17:12.11 ID:OUK7SSnW
 景山はそれを見て哄笑した。この男はどこまでも人間の悪いところを具現化したような存在であった。範子の反対のような男だ。
 「げんきですかあ」と丸丸はパンチを鳩尾に入れた。
 「グハッ」
 「これは、カメラマンの分よ。あの人は放送に携わる人としてあんたの何倍も偉いわ。
一瞬も放送そのものに出なかったけれど、あの人がいなかったら放送そのものが出来なかった」と丸丸。見上げた洞察力だった。
 多分、赤ちゃんのとき丸々としていたから短絡的な親がつけた名前と思われるが、とにかく、その顔にはすさまじいまでの殺気が走っていた。
その時には、クラスの皆、殺意がほとばしる瞬間を感じていたのだった。
 「もういいだろう、止めるんだ」と犬田弘忠が言った。流石は宗教の人間だった。そして最低の人間の景山もすがるような目で彼を見た。これは宗教と言うものの原図のようだった。
 「そんな、こいつやっちゃいましょう」と冴子が言った。
 「いかん、殺人は駄目だ。殺人をしたとお前たちはこの男のことを非難しているが、この男を殺せばこの男と同じになると言うことだぞ。
 この男と同じになるんだぞ。それがどう言う事か。
 小林はあきらめて銃を捨てるようにとこの男に最後に言ったがお前らにも同じ事を言わないだろうか」
 高校生らは考えたが、やはり憎しみの目は変わりは無かった。
 「よし、では怪我の程度を見ようぜ」と鷺野が言った。
 「全部脱がせろ、人間じゃないこんな奴に服なんか着せておくな!」と丸丸が言い自分が率先して脱がせた。
その間はコブラツイストではなく、服が通過する時だけ外されるアイアンクローに変更された。
 「大した怪我ではないな、唾でもつけてろ」と冴子は全裸の景山に唾を吐いた。数名が唾を吐いた。無論、治すとかではなかった。
 高校生らは手当てなどしなかったから、怪我の程度を見ると言うのは口実でこれは服を脱がすという刑罰だった。
 景山はなおもメンチを切った。
 「なんだ、その目は」と丸丸は言った。
 「治療のために救難センターに送るんだ」と犬田はぴしりと言った。だから丸丸は殴ろうと振り上げた手をしぶしぶ下ろしたのだった。
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148 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/25(月) 07:18:15.19 ID:OUK7SSnW
 「先生はああおっしゃる。どうか?」と鷺野は言った。
 「こいつは人間じゃない、治療なんていらない」と誰かが言った。高校生らはほぼ同じ意見であったが……
 「どんな罪人にもいくらかの許しがある。しかし、先ほどからこいつを見ていると罪人どころか罪そのもののように思えるが、どうか」とまた鷺野。
 怪しい宗教のようだが、酒井田が考えるに景山の振る舞いはもはや罪そのものと言われても仕方がないレベルだった。
 「しかし、こいつを殺すことは殺人と言う罪を作り出すだけだ。新たな罪を作ってどうするんだ。ここは、範子に習って人間の良い心を示すべきだ」
 と酒井田は言った。若干、担任の犬田の意見を代弁するような感じであった。
景山は犬田を見てやはり救いを求めるようなまなざしであったし、犬田の口調も殺人はいけないと言う「教師のとるべき行動」だった。
 だからそれを酒井田としては代弁するような感じで言ったのだ。
 「そうだ、生華学会は仏教だと言いながら殺しまくった。俺らは殺さない」と男子生徒の一人で、葉山と言う男が言った。
 彼は軍事マニアでチェチェン紛争やらに興奮して何かSNSで書き込んだりする男であったものの、
人命や平和に関してはカトウの事を尊敬していると常に言っていて、その点ではクラス内で定まった評価があった。
 実際、酒井田はメカニックには詳しかったが軍隊の動きになると葉山のほうが詳しかったから、鷺野の副官、クラスの中心は冴子と彼だった。
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149 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/25(月) 07:21:59.72 ID:OUK7SSnW
 「では、殺さないことにしよう。だが、ここで俺からクラスのみんなに提案がある。罪人なら歩かせるが、罪が二本の足で歩くのはおかしいと思う」と鷺野。
 「ほう?」と酒井田。
 「睦美、コブラツイスト交代よ」と冴子。
 「次、私やるから」と寧美と親しかったレスリング部の孫秀美が言った。
中国帰国生の秀美はいじめを克服するために覚えたプロレスの技からレスリングの道に入り、今ではすさまじいパワーを持っている。
 「で?」と酒井田。
 「つまり、酒井田、あの例のリヤカー、あの平和への道筋をつけてくれた乗り物に罪を乗せようと思う。こんなとんでもない罪を流すにはあれぐらい神聖な乗り物でないと」と鷺野。
 「ほほう、楽に行かせるか、そうか」と酒井田は言った。そんな筈は無いことぐらいは百も承知であった。
 ここまでのいきさつからそんな「楽に救難センターまで送って差し上げる行為」なんて鷺野が考えるはずが無い。
 何かはある。
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150 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/25(月) 07:29:05.20 ID:OUK7SSnW
 「ああ、しかし、こいつは人ではなく罪だから人のように立ってではなく、座ってでもなく、もちろん寝てでもなく救難センターまで送らねばならないと思う。
また、逃げられてはならん。罪だからな。
 俺らには「罪」をいわば固定して救難センターに送る神聖な義務がある。殺された仲間の代わりにやらなければならない事だ。
 つまりずっとコブラツイストのままで、送らねばならんと思うがどうか」
 「異議なし」
 「そうだ、交代制でコブラツイストだ」
 「寧美が将来生むはずだった赤ちゃんの分までコブラツイストを味わえ」
 「良かったな、曲がった根性がコブラツイストで直るぜきっと」
 「四人殺した訳だ。死刑以外ありえないだろうが裁判がある。弁護士がつく。救難センターに着けば人間に戻り治療が受けられる。だがそれまでは」と鷺野。
 「罪らしくコブラツイストをくらえ」
 景山はあきれたことにこれを聞いて、なおも叫んだ。
 「生華学会ばんざーい! 仏法よ永遠に……」
 「四人に口なしだ。奴にもしゃべらせるな」
 「了解」
 ガムテープが持ってこられた。
 リンチだが、いあわせた大人たちはそこまでのいきさつから黙認せずにはいられなかった。
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
151 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/25(月) 21:40:27.01 ID:OUK7SSnW
 リヤカーはゆっくりと国会図書館の方向へと向かって行く。
 「おお、これが罪か、服を着ておらず立っても座っても寝てもなく、足で歩かずに運ばれて行く。
コブラツイストで固定されて言葉も出さずに」と鷺野は言った。
 「言葉も出せずに、だろうが。しかし、範子に見せたかった。あいつなら何か言ったと思う」と酒井田は言った。
 「彼女は死んだわ」丸丸は淋しそうに呟いた。
 佐藤君になんと言えばいいのか?
 このリヤカーには「罪」が乗っている。それは確かだった。それは語ることが出来る。
 だが、あのような、生きているコンピューターのような存在が武器を捨てるように促す壮絶な情景は言い表せそうにない。


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