- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
137 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/23(土) 06:11:52.54 ID:xNp3lzBA - この男、景山は口先だけではなくかなりの大物っぽい。戦争は終わるわけだからこれからは戦後処理って奴になる訳だ。と橋口は推理した。
こいつの情報が何かは分からないし、しゃべれといってもそれがネタな訳だからそこは無理だろうが、ずどんと一発で終わり、より長い物語をしゃべらせたほうがいい。 「まあ、例えば、この作戦の真の立案者がまだ捕まっていない、と言ったら、あんたならどう考える? 詳しく聞きたいと思わないか」ちらりとネタばらし。景山も馬鹿ではなかった。 「かもな、しかし、何で総理大臣なのかね、今現場の指揮官は倉田警視だ。彼は……」 「サツのダンナにワッパは勘弁して下さいって言ったって無理に決まってるだろう。当然だ。 しかし、総理大臣と直接交渉できれば、助命は不可能かも知れんが、何年間か刑の執行を猶予するなどの処置が得られるかも知れん。 そう言う前例はある。オウムの事件なんかでな。取引ってことじゃないが、あることはあるんだよ。 死刑しかないんなら、学会に忠義を立てる必要は無いなと分かったわけさ、あんたに銃を向けられ死ぬっと思った瞬間、そう思った」 「なるほどな、じゃちょっと待ってろよ。血を止めるなどの処置が」 「いや、総理との話をつけるのが先決なんだ。分かるだろ、救難センターに行ったら取引なんか出来るチャンスは無い」 橋口は自分が銃で痛めつけたと言う引け目があったから待ってろと言い部屋を出た。 「左手はそんなにやられてないな、忍者はったり君か」と景山は独り言を言った。
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138 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/23(土) 06:13:30.41 ID:xNp3lzBA - 橋口はすぐに戻ってきた。
「入り口付近でアメリカ大使ともめていたよ。あの看護婦もいたが、もめている現場の向こうにいたので呼んでこれなかった」 「ああ、それは仕方が無いな、しかし、アメリカ大使?」 「うん、ネオナチの日本大会で握手したことがあるから間違いない」 「周囲はSPで完全防御かね? 近寄って話を聞いてもらえんと困るが」景山は言った。本意は隠していた。 「今はそれどころではないと思う。しかし、逆にSPはおらんよ、 ただ、なにやらしようとしているんなら言っておくが、周囲には百戦錬磨のSATが多数おりダメ押しでチャイナマンがいて、倉田が指揮している。不可能だろう。 それに、アメリカ大使が連れてきた護衛も十人いた。彼らも例えばおまえが拳銃を抜いたら瞬間で射殺する訓練を受けている。 絶対不可能だ」 「そうか」 「不意打ち、とかは……しかし、おまえは元から生華学会だと言う事がばればれな上に今さっき三人射殺したばかり、すたすたと太田首相の元に近づいたと言うだけでも射殺されるだろう」 「ああ、そうだろうて」 「ま、あきらめろや。死刑になれや」とは言いながらも橋口はこの男から重要な情報が取れれば無残にも射殺された三人が無駄死ににならないと考えた。 特に今後の処理に役立つような情報が取れれば彼自身のリンチも「口を割らすためだった」で罪が軽くなる可能性も出てくる。 ただ、橋口自身はその手は臭いから使わないつもりで、あくまで潔く自首するつもりだった。
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139 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/23(土) 06:15:22.82 ID:xNp3lzBA - 「それはなあ、死刑は、その、まあ殺しをしてしまってから言うのもなんだが」景山は死刑はいやなのは事実であったから渋った。
「ま、絞首台に上がってから気持ちよくあの世に行くお経でも唱える訓練でもしとけよ」橋口は考えとは正反対のことを言った。そうでないとこの景山がまたぞろなにやら悪い知恵を働かしそうだから困ると思ったからだ。 「お経で解決は出来ない」景山はそう口走って自分の言った事に愕然としたが、気を取り直してこう言った。 「さっきの男が、だな。馬渕と言うやつだが、あいつは今フリーと考えられる。この戦争が終わったら、奴はリベンジに出る」 「かも知れない。俺はその時には娑婆にはいないが、お前を痛めつけた罪で逮捕されるからな」 「ああ、時に、予備弾は?」 「それは無いが、後二発残ってるよ」こいつ妙な事言うなと思いながら橋口いはワルサーを抜く。 「そしてこれで三人が死に、おまえはリベンジされた訳だ」橋口はワルサーP38を見せびらかした。 「まあな」
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140 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/23(土) 07:33:20.39 ID:xNp3lzBA - 「まあ、逮捕されるんならあの放送に出ていたアイドルみたいな若い婦人警官に逮捕されたいとこだが、ま、真っ先に大阪府警から来ているおばちゃんの婦人警官に相談するぜ」
「えっ、それはなぜだい」 「あのおばちゃんは勇気がある人だ。しかし、名前も告げずに大阪に帰るらしい、かっこいいぜ。 あんたのワナにはまったトナカイさんを助けるために全力疾走していく彼女を俺は何も出来ずただ見ていた。 せめて、最後に出来る自由な行動はあの勇敢な婦人警官にお縄を頂戴することであったらいい。 勇敢であると言うことはお前が射殺したカメラマンも認めていたぜ。あの人も今となっては名前が分からないが、俺もまた無名の、戦争に巻き込まれた人の一人になっていく。 そうやりながら、使命を果たしていく」 「ああ、そうだ。 おい、全く別件だがな」 「は?」橋口は不審げに景山を見た。 「さっきから気になってたんだが、そのワルサーの安全装置、見せろよ」景山は言った。 「ああ?」橋口は銃を見せた。 景山はしゅっと拳銃を奪って流れるような一動作で引き金を引いた。 タン! 橋口は腹部に銃弾を叩き込まれた。たまらず橋口は前のめりに倒れた。
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141 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/23(土) 20:48:27.60 ID:xNp3lzBA - 橋口は、自分がもう駄目だと言う事をとっさに悟ったが、なにやら景山が拳銃をいじっている気配なのを不思議に思った。
予備弾はないのだから弾を詰め替えている事は無いと思うが何をしているのか。 「俺はピンピンしているぜ、早く止めをさせ」橋口は不審に思いつつ一応挑発して最後の一発を使わせようとした。 「ノンノン、後一発しかないんだ、こいつは太田首相に向かって放つ」 「はあ、さっきも言ったろ、不可能だ」 「あ、直った」 「なんだと?」 不可解だった。問題のワルサーP38は合計4人射殺の銃と言うことになる。 つまり、回転状態は極めてよい。壊れたと言うのは不可解だし、それが素手で、交換部品や何かもなしに直ったも不可解だった。 もともとワルサーP38は信頼性が極めて高いが、日本国内では過去に銃の専門誌が記事の取材中に、偶発的にハンマーが割れて飛ぶと言う事故があった事がある。 それはレアな例外である。途方もない数を撃っているとあるかもしれない程度だ。 普通に使っていてワルサーP38が壊れるなんてことはないのだ。 「しかし、なんだな。スミスがいてもめているは困るなあ」 「貴様、この部屋から出た次の瞬間、射殺されるぜ」 「負傷しました、のふりさ、実際、してるしな。あばよ、俺は刺客列伝の外伝に載るぜ」景山は最後まで最低な人間のくずでい続ける男であった。 彼は少女や無抵抗のカメラマンを殺せるんなら、太田首相も殺せたはずだと言うことに気がついたが、その時にはリンチにあっていた。 だが、結果的には怪我したと言う事は使えそうだった。怪我人の振り(と言うか本物)で行けばいいからだ。 巧妙に橋口から銃を奪うのは簡単だった。橋口は油断していた。自首するつもりは本気であったし相手が怪我人も本当だったからだ。
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