- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
132 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/22(金) 06:30:12.48 ID:/9qezWF0 - 一言で言って、もはや東京において生華学会が掌握している拠点は点に過ぎなかった。それらは完全に警察に包囲されていた。
たとえば、国会周辺では国会議事堂は高田以下戦意がない兵が数名いるだけ、議員会館は衆議院、参議院ともに抑えてはいるが兵力は乏しい。 憲政記念館は一応二階に機関銃座があり兵が数名守ってはいるものの、それまでである。(当然そんなに細かくは萌未は語らなかった) 対して警察側はここ国会記者会館には大軍(それこそチャイナマンを筆頭に武装高校生までいる)がいて、 警視庁にはさらに大軍がいて、国会図書館は中立地帯なのだから包囲も同然だった。もし、やれば瞬殺である。 行動隊もいた。これら部隊は今も豆タンクとは言え装甲兵器を保持し、対戦車兵器も持っていた。 兵も圧倒的な武器を有していて訓練もまた親衛隊をしのいでいた。チーム大村が山の中で戦った一件でも分かるように親衛隊でさえ行動隊の前では素人の集団だった。 行動隊の軽戦車「実行」号は、力尽きて皇居の前で炎上した。それは95式軽戦車にふさわしい最後だった。 しかし、95式は最終的には(なんだかんだで)道連れに親衛隊の装甲車を5台連れて行った。しかも乗員は全員脱出して無事であった。 警察相手には無敵だった装甲車も、本格的な戦車が相手ではそれが例え貧弱な95式であってでさえ、まったくかなわないことが証明されたのだった。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
133 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/22(金) 06:32:38.13 ID:/9qezWF0 - 学会兵が自民党本部のほうに逃げようと言うのはチャイナマンがつぶしている。警察も「穴」となったそこに機動隊を投入していた。
都内の他の地点も似たりよったりであった。生華学会本部は兵もいない。負傷者を収容している。 巡航ミサイルの残弾はあったが、指揮車の無線が通じないと命令が出来ない。 無線の資格があり無線機が使えたのは馬渕と春菜だけで安藤や他の将校には使えなかった。 また、これは景山には分からない裏事情であったが、馬渕は去り際に無線機を破壊はしなかったものの周波数のダイアルを故意に違う位置にセットするなどして 安藤には使わせないようにして行った。その時点ではこれ以上の破壊は無用だと思ったからだ。 犬田代作は無用な死体を作ることはしないが権はどうかは分からなかったからである。特に去り際の一件が馬渕にそうさせた。 「ほらな、学会は負けたんだ、潔くあの世に行きなよ」と橋口は言った。多少服を乱している。 ……だが、大阪や名古屋や、仙台や福岡で! この瞬間までは、景山の心の中にはまだ宗教戦争があった。 血みどろのえぐい映像をおれは撮影する。どす黒い野望、燃えるような思いがあった。 だが、次にテレビから流れてきたのは、意外にも歌だった。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
134 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/22(金) 06:35:21.87 ID:/9qezWF0 - 「あっ」
景山はこの少女に見覚えがあった。昼の放送で歌った少女だった。 「いい歌じゃねえか」 「畜生!」 それが景山の口からほとばしった言葉であった。 「ああ、そうかね、ま、俺にもあんたをとやかく言う資格はない。銃で無抵抗の奴をいたぶるなんて最低の行為、だが、貴様は排除しなければならん」 「おい、どうだ、話としてだな、格闘にはなったものの、結果取り押さえました。では?」 「あ?」 「あんた、そのまんま何事もありませんでしたモードで家に帰れるとでも思ってるのか? 当然調べられる、出血量が多いことが不審だ、になるぜ。銃で撃って、かなり放置してた時間があると」 「なるほど、あんたも血に飢えた殺人鬼ではなかったか」 「死人に口はないが、俺は学会でも上の人物、おまえは口封じに学会が放ったヒットマンではないのか? とこうなるぜ」 「それはあるまいがよ、それならそれで、まず撃って、おさらばするだろう、 勲章を付けるなんて小細工はいらんだろう。ま、それで? なんかあるのか? 死ぬ間際のあんたが言い残したいことがあるなら聞いてやるぜ」 「ままま、待ってくれ、殺さないでくれ」 「それは、あのおかあさんになりたいといっていた女の子も言っただろうし、 お前さんが後ろから射殺したカメラマンも言ったんじゃね? あの少女、お前を説得したあの子、最後に彼氏らしき子の名前をつぶやいてごめんって言ったぜ。 おれはこう言う、笑わせるな」
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
135 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/22(金) 21:19:13.03 ID:/9qezWF0 - だが、彼らは、次の瞬間テレビから貞子が出てきたので(正確には貞子の声が聞こえてきたので)驚愕してテレビを見た。
当然彼らはそう言う風になるとは知らなかった。 驚いていると、貞子は涙を流して去った。代わって立った萌未は淡々と放送終了を告げた。 「ええっ!」 橋口は、今の放送で、やはり「殺し合いはやめようではありませんか」と言うメッセージを聞いた以上は、この男を殺す事は出来ないと思ったのだった。 それに、自分が思いついた臭い大義名分である景山が「犬田先生ばんざーい、放送を阻止する」と叫んで拳銃を奪おうとしてきたと言うシナリオが崩れてしまったわけだから、 もうこうなったら自首するしかない、と思った。 「やれやれ、お前、命拾いをしたな、え?」橋口は言った。ワルサーのハンマーをゆっくりと下ろしベルトに挿した。もう撃たないつもりだった。 だが、景山は全然別なことを考えていた。
|
- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP11
136 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/08/22(金) 21:20:20.26 ID:/9qezWF0 - 「なあ、今の放送よ」と景山。
「ああ?」 「太田総理がいなかったようだが、何かあったのかな?」 「そう言えばそうだったな」 やや、間。 「実はな、取引がしたい。まあ、あんたとではない」景山はぼそりと言った。恥ずかしいといった風であった。 「何だよ、あ?」橋口は若干不審に思いながら言った。 「総理と取引がしたいんだ、学会の情報と引き換えに命だけは助けてもらえないかと……」 「はあ?」とは言いながらも、やはり一時の激情に駆られて殺生をしなかったことは良かったか、と橋口は思った。
|