- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
464 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/08(火) 06:33:26.00 ID:0fL3bDrH - 武器弾薬を軽トラックの荷台に搭載、運転席のさおりはクリスマスイベント用のトナカイの衣装、荷台の涙田はサンタの衣装とチャイナマンのお面をつけ、背中に弾薬を入れる冬季戦闘用の純白のバックパックを背負った。
なぜわざわざそんな衣装になったのかと言うと理由は二つでこの衣装にはイベント用に無線インカムがついていた。 荷台と運転席との意思疎通はいざ戦闘となったら必須だった。無線だけ外せればよかったが縫い付けてあり無理に外そうとして壊れたらこの急場にもう換えはない。そのまま着る方が無難な選択だった。 第二に、荷台は寒かった。十二月であり雪が降りそうな気温だった。空も曇っていた。 「無線でのコードは、俺はチャイナマンを使う」 「私はトナカイを使うわ」 倉田警視は死神博士の番号にかけた。知らない男が出た。 「犬田代作が救急搬送されたらしいが? 死神博士を出せ」 「彼は行ってしまった」 「は?」 倉田は男の声に暗い影を感じて戸惑った。「彼」が犬田を指すのかと考えて再び死神博士を出すように言った。 「ああ……死神博士は彼女を連れて出て行ってしまった。こちらからはこれ以上連絡する事はない、以上、あ、待て」 「ん?」 「彼は一戸建てに住んで大理石の風呂に彼女と一緒に入りベットルームにはワルサー、床の間にはウージー、リビングのすぐ手の届く所にはルガー砲兵モデルがあるのが理想の家で、子供は役人にしたくないと言っていた。彼の事は捜さないでくれ、以上」 倉田はまじまじと受話器を見たが、それをそっと置いた。
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465 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/08(火) 06:35:50.80 ID:0fL3bDrH - 「この事件を全部撮影してドキュメンタリー映画にしたとすると……」と涙田は言った。もうじき県境だった。
「はい」 「ほぼ全てが高速を走る軽トラックを撮影する事になるだろう。戦闘シーンなんて一瞬でしかない」 「そうかもね」 「本物のサンタクロースもそうさ」 「え?」 「北極にある秘密のおもちゃ工場からプレゼントを運ぶ行程のほとんどはトナカイさんがやってて、サンタさんは最後の、泥棒と逆の煙突から入ってプレゼントを靴下に押し込む作業をするだけの乗客なんだ」 軽トラックは風のように走って行く。今や悪の巣窟と化した国会議事堂へ。 トナカイは必死だった。
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466 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/08(火) 21:52:08.39 ID:0fL3bDrH - 自民党跡地の民兵隊に親衛隊から一名が派遣されたのは三時前だった。
しかし、この男はアフリカ人(日本籍)で、名前はジャミラと言った。 彼は日本語も達者で、軍歴も戦闘経験もあった。しかし、内戦が続く自国の前途に絶望して日本に亡命してきた。 そして生華学会に入信して親衛隊に入って来た。入隊は安藤のつてで、隊内でも席次は高かった。 彼は家族を連れてきており祖国に戻ると言う選択肢はなく、今回の作戦で敗戦するとなれば、もうどこにも行くあてはなかった。 親衛隊内では差別はなく部下らは彼に敬意を表したが、高校生の民兵はまず、 彼が黒人だから、次いで彼の名前が怪獣の名前だから(初代ウルトラマンの怪獣の名前)馬鹿にした。 それにはかまわずジャミラがまずしたのは縦列駐車の装甲車を道の向こう側とこちら側と言うように離れて止めさせ、砲もそれぞれ違う方向に向けさせた。 一言で言って襲撃に備えさせた。エンジンも回させた。装甲車隊は親衛隊なので彼の指示通りに動いた。 その指示も当然だった。チャイナマンが来るとすれば日没までに来るはずだったからだ。
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