- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
447 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/04(金) 07:31:33.89 ID:njC4icg2 - 鰻原は志村と国会議事堂正門前の引き継ぎをした。
機銃の配置が問題だった。左右は、右が内閣法制局や内閣府の建物でこれは味方が占拠中、左は憲政記念館でこれも味方が占拠中だが、正面は広い道路がすっと伸びている。遮蔽物はない。ゆるい下りである。 ところが、ここを火力で制圧するのは装甲車で、それを補助するのは機銃とすると、配置をどう取るかで装甲車が動ける範囲は変わってくる。機銃座を踏みつける訳にはいかないからだ。 ああだこうだと言っていると向こうから一台の黒いベンツが来た。 それは歩兵の設けた簡単な制止ラインで止まった。ここには先ほどから次々と国会議員がやってきていた。 光明党だったり、家族を人質にとられた他党の議員だったりした。 どちらなのかは、顔色を見れば分かった。どや顔なのは光明党、犯罪でも犯したようにびくびく顔なのは他党の議員だ。 ところがそのベンツからおりたのはそのどちらでもなかった。チャイナマンだった。 「止まれ!」 「俺は歩いても走ってもいないぜ」が答えだった。彼は一人ただ立っていた。 「寒いんだから早くしてくれないか、子供を解放しろ」チャイナマンはさらに言った。 「ま、待て」鰻原は言った。
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448 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/04(金) 07:32:20.85 ID:njC4icg2 - 「チャイナマンが現れただと?」馬淵は指揮車で驚いた顔をした。
そんな事は想定もしていなかった。 「一体どうやって生華学会の警戒線を突破したんだ?」 「奴が言うには後部座席には光明党の国会議員と秘書がいるらしい、確認する」と鰻原。 「とにかく、連れてこい、国会議事堂の中はまずいから、前庭がいい」 「殺すのか」と鰻原、暗にそれは俺にやらせろの要求だ。 「だめだ、ここまで我々をコケにしたチャイナマンをやるのは犬田先生をおいて他にいない」 「お呼びします」とはるか。
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449 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/04(金) 18:07:18.18 ID:njC4icg2 - 「ここが国会議事堂か」とチャイナマンは言った。前庭、正面玄関の前だ。幹部連中が揃っていた。
「田舎からきたおのぼりさんか」と馬淵が言った。 「修学旅行の時は東京タワーと浅草花屋敷だった」とチャイナマン。 「どんだけ田舎なんだ、離島か何かか?」 「まあ、死ぬ前に見れて良かった訳だな、チャイナマン」犬田代作は冷ややかに言った。 「まずは武器を捨てろ。隠し持ってチャンスをうかがっている事は分かっている」と権。 「ちっ」 彼はHKMP5Kを捨てた。 「隠し持つにも程があるぞ、こんなサブマシンガンどこに隠してた」と馬淵。 「それは企業秘密だ」 「まあいい、こう言う奴はな、小学校ぐらいの時にひそかに手品の練習をしてたりするもんなんだ、暗い過去だよ」と犬田代作が言った。 「人の過去はどうでもいいだろうが」 「図星か、まあいい。素顔をさらせ。お面の下に短剣でも隠していたら困るんでな」と権。 チャイナマンはお面を取った。
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450 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/04(金) 18:08:34.62 ID:njC4icg2 - 「流石に短剣はないか」と犬田代作、ひそかに期待していたふしがあった。
「子供を解放しろ、こうやってお望み通りやってきてやったんだ。そこのお偉いさん、未来の総理大臣が全国生放送で約束したぞ」とチャイナマンは言った。 「それは解放するさ、無論な。だがそれはお前が死んでからだ」と犬田代作。 「名前はなんて言うんだ?」と馬淵が言った。 「これから死ぬのに名乗ったって仕方がない。それとも住所氏名年齢血液型などを語ったら助けてくれるとでも? ばかげている。俺にも協力者がいる。お断りだ」チャイナマンは言った。 「そうなのか、もうあえては名前も何も聞かないが、俺はてっきり一人でちまちまやってるんだと思ってた」と馬淵。 「私も」と春菜。他の幹部連中もみな口々にそう言った。 「一体、仕事は何をしてるんだ」と犬田代作。 「殺し屋」 「俺はそう言う事を聞いてるんじゃない、勤め先の社名がまずいと言うなら、まあいい。職種的には何をやってるんだ?」と犬田。 「ピアノの調律師だ」 「え?」 これには全員の目が点になった。
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451 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/07/04(金) 18:09:23.17 ID:njC4icg2 - チャイナマンがさらに続けて言った。
「誰でもチャイナマンになる事が出来る。簡単な事だ。お面をかぶればいいんだ」 「そうか……参考になった。権田、銃を貸せ」犬田代作はクールに言った。 権が普通のルガーP08を犬田に渡した。犬田はそれをチャイナマンに突きつける。 「いろいろ面白い話をありがとうチャイナマン、わしは映画が好きでな、いろいろ研究しておる。 今度の一連の事件を後日、映画化したら面白いと思うんだが本人として許可してもらえんかね? タイトルはこうだ。China man The last hope(チャイナマン、最後の希望)」 「いいよ」 「さよなら、チャイナマン……グフッ」 チャイナマンは、機動戦士ガンダムに出てきたジオンのモビルスーツがどうしたのかと聞きかけて、崩れて来た犬田の体を抱きとめる羽目になった。 「先生!」 「先生!」
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