- おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
425 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/29(日) 12:08:11.66 ID:sp7WB5Vt - 涙田は食堂の机を殴りつけた。音が響き渡ったが、彼の耳の中には今の子供たちのすすり泣きがこびりついていた。
美雪はびっくりした目で涙田を見たが何も言わなかった。何が起こったのか理解していないのだ。 彼は素早く社長の大村の所に行った。 彼は好物のサンマ定食を食べていた。もっとも、ほとんど箸はつけていない事はちらっと見ただけで分かった。 「社長、早退いたします、いや、今をもって退職いたします」 「いかん!」大村は怒鳴った。彼が社員食堂で怒鳴ったのはこれが初めてだったので全社員が驚愕の表情を浮かべた。 「お前は冷静さを失っている。今行ったら確実に殺されてしまう」と大村は言った。 「し、しかし……」 「駄目なものは駄目だ。おい、ベンツのキーを出せ」 「はっ」 キーを出すと、ひったくられた。 「武器は自衛のために持っていてもいいが、車はいかん。 涙田、飯を食ったら自宅で謹慎していろ。おいみんな、今日は帰りは歩きだ」
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426 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/29(日) 12:10:34.58 ID:sp7WB5Vt - 涙田は自分のマンションに帰った。
テレビでNHKをつけてみたが、しばらくお待ちくださいの代わりなのか、「彼女と僕」と言う私小説ドラマを流していた。何を流そうと勝手だが、担当者のセンスが疑われた。 これは政教一致@大阪と言う作者の私生活のドラマで、あまりの赤裸々さに封印されたと言う代物だったからだ。 倉田警視は電話で馬淵を怒鳴った。 「貴様、なんだこれは!」 「いや、あの、その……」馬淵はしどろもどろだった。まさかあんなことを権田が生放送の全国中継で言うなんて計算外もいいところだった。 こんなに警察に叱られるテロリストと言うのも珍しいだろう。 ちらっと春菜を見ると、メモに何かを書いているので何か助かる情報が入ったかと思ったら「がんばれ」と書いてあった。それはうれしいと言えばうれしいが、倉田は容赦ない。
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427 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/29(日) 22:04:41.61 ID:sp7WB5Vt - 「お前らはショッカーか? 解放すると言う話はどこへ行った?」
それも痛いところだった。なんであっても約束は約束だ。しかもこれは一回テロやって 後は消えると言うタイプのテロリストの話ではなく、今後も継続して政権を担おうかと言う人物の初めての公式発言である。 こんな、倉田の指摘通りのショッカーのごとき子供を人質にした作戦など論外だ。 「そ、それは、その、これも憎きチャイナマンを殺害するために仕組んだ罠である」 苦しい言い訳だ。 馬淵も、純粋に戦術として考えれば人質は有効だと言う事は分かっていた。 しかし、そのためなら閣僚を三名も抑えている。子供をわざわざ人質にする、しかも時間がきたら殺すと言う予告つきで人質にするメリットなど全くない。 人間には良心があってそれは奪う事は出来ない。いったいどうやれば権田があんな発言を出来るのか分かりかねる。時間までにチャイナマンが来なかったら? 来ないに決まっている。奴は馬鹿ではない。
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428 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/29(日) 22:06:54.80 ID:sp7WB5Vt - あの高校生の言うとおりだ。ここには学会の武装兵と装甲車がひしめいているのだから、来れば飛んで火に入る夏の虫だ。いや、国会議事堂を見ることすらできないだろう。当たり前だ。
それでも、警視庁の前ぐらいまでは来れるかもしれない。警察が先導するかどうかは疑問だが、とにかくあそこまでは車は通れる。 実態としては国立国会図書館および消防署のあたりは中立地帯で、そこらは警察も非武装なら行ってもいい事になっていた。 現に図書館は一部業務をかたくなに今現在も続けていた。図書館の食堂も開いており、そこは武器を持ち込まないと言う暗黙の了解のもとで親衛隊や警官が飯を食いに来ていた。 名物の国会丼をだ(そういう丼がある)。いや、地下にある床屋までかたくなに営業を続けていた(本当に床屋がある)。日本人がやる気になったら何が出来るかの縮図のようだ。図書館は聖域だった。 しかし、図書館はそうとして、チャイナマンがどうこうと言うなら、それ以前に警察が突入しそうな勢いだ。 倉田は容赦ない。 「おいこら、罠だと? ずいぶん唐突な罠だな、さっきまで何も言ってなかったが、突然罠だとこきやがる。お前本当はちんぴらで何も知らされてないんじゃないのか」 ぐさっ、またも痛い所を突かれた。 馬淵はチンピラではないが、こんな話はない。 「とにかく、また後で連絡する」馬淵は電話を切った。
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429 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/29(日) 22:08:19.07 ID:sp7WB5Vt - 「ふう、なんだか知らんが、奴と話をしてるとスカッとしてくるな」と倉田は言った。
「テロリストと話をしてストレスが減る対策本部長なんて聞いた事がありませんよ」と部下の一人が言った。 「かつ丼一杯で譲ってくれませんか?」 対策本部の昼飯はかつ丼だった。警視庁までは補給ルートが確立していて弁当が来ており、応援も近隣の県から来たいた。 「いかん、今後も奴が電話をかけて来たら俺が出る。奴をいじめる楽しみは取っておかないとな」 こうなるとは誰も予測していなかった。 大体、倉田の警視と言うのは階級としては低くはないが、警視庁には副総監が何人もいるはずであった。 その全員が死ぬか行方不明か敵に寝返るなどと言う事態は全く想定外の事であった。警視の上は警視正と言う階級なのだが、何名かいるこの人々もやはりいざとなると 何人かは明らかに敵に走った。結果、倉田がやるしかなかったのであった。
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