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政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M
おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10

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おい、おまいら!みんなで小説を作るぞP10
412 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/26(木) 07:41:10.99 ID:KjxZSyZY
 結局、彼らは放送の時、隙を窺ってマイクに駆け寄ってメッセージを言う事を選択した。非暴力で、効果があるのかどうか分からないがそれしかなかった。メッセージを述べる係は睦美であった。
 全員がそれに賛成した。もはやこうなっては自分たちがやらなくては誰にも日本を救えないことは明白だと彼らは考えたのだった。奪ったマイクがいつまで音声を伝えるかは分からない。
メッセージは短い必要があった。そしてマイクを奪回されないように全員で人間の壁を作って妨害すると言う事も決まった。
 「お前たち……」犬田弘忠は言った。
 「相手は銃を持っているぞ」
 「それは織り込み済みです。多分、カメラが回っていなければ躊躇なく撃つでしょう。しかし、マイクを奪い取った瞬間はまだ生の全国放送は続いている。殺す所が全国放送されたらそれが奴らの最後になるだけだ」と鷺野。
 犬田は、彼ら生徒がいかに生華学会を憎んでいるかを知って今さらながら驚いた。
 彼は担任でありながらよく把握していなかったが桜花高校では突出して三年C組が反学会だった。それは偶然ではあったが貪理で身内を亡くした生徒と品川で身内を亡くした生徒が多くいた事によるものであった。
身内を理不尽な殺されかたで殺されると高校生でも、どこへも持って行きようのない怒りを抱く物なのだった。
 扇動される恰好で、クラスの空気は反学会だった。これも偶然だがクラス内に学会員はいなかった。唯一の学会関係者は担任だった。犬田弘忠は犬田代作の長男なのだった。
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413 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/26(木) 07:43:27.79 ID:KjxZSyZY
 待機の時間が過ぎて行った。結局救難センターは志村の懇願に根負けして敦子を国会議事堂付きにした。
 志村は、部下思いであり、交渉力もあった。また、子供を人質にする作戦には反対の立場を持ち早く解放したかったのだった。
 ただ、彼も言葉通りの事で小さな子供を外に出すことが危険であると思っていた。
 だから、志村自身は悪ではなかった。
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414 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/26(木) 18:43:46.03 ID:KjxZSyZY
 志村が三年C組の所に来て、前庭に出てくれと言った。
 「ショータイムだ」酒井田は言った。
 睦美は黙っている。彼女の命はあとわずかかも知れなかった。
 前庭には小さな子供たちも集められていた。寒かった。
 「雪が降りそうだわ」睦美がぽつりと言った。
 犬田弘忠が生徒達を整列させていると、この寒いのに国会議事堂に向かって来るオープンカーが見えた。装甲車が移動してオープンカーに道を開ける。
 オープンカーから降り立ったのは権だった。何のつもりなのかナチス・ドイツのSS将官の制服をつけマントを着ている。
 そんな服がナチスマニアにならとにかく一般大衆に受ける筈がなかった。腰にはきちんとルガーを吊っている。これではナチスの忌まわしい記憶を呼び覚ましてしまう。
 しかし、それも彼の計算のうちだった。インパクトのある服が必要だった。
 悪の秘密結社みたいだろうがなんだろうがそれは良かった。スーツ姿では駄目なのだった。オープンカーと言うのもそうで彼はこれで政権樹立後、
東京中を回るつもりだった。目立つ事が全てだった。
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415 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/26(木) 18:45:05.72 ID:KjxZSyZY
 「権、貴様か!」犬田は生徒の前だと言う事も忘れて叫んだ。
 「犬田、なんでここにいるんだ?」権は怪訝そうな顔をしている生徒らに説明した。
 「ああ、お前らの先生はな、元は学会員だった、今はもちろん違うがな」
 犬田弘忠も権に生徒を引率して国会図書館を見学中に取り残されたいきさつを説明した。
 「お前らしいな、犬田。今からでも遅くはない。生華学会の信心に戻ってこい」
 「お断りだ。そんな事をしたら生徒達はどうなる?」
 「全員仏教徒になって万々歳さ。男子は全員坊主頭か?」
 これは冗談であり、生華学園高校では制服はあったが頭髪は自由で金髪の者もいたし、
突飛な髪形で女にもてようとして失敗している者もいた。そこは普通の高校と全く変わらなかった。
 違うのは今は全員拳銃を手に街頭に立っていると言う事だ。
 「仏教とかを超えているぞ、この付近でも相当な被害が出ている」
 「上等、皆死ねばいいのだ。もうじき生華学会の世界が来る」
 「来ないさ、権。みんな嫌がっている世界は来ない。そう言う話を俺たち若いころずいぶんしただろ、忘れたのか。
 なあ、結論は生華学会もみんなに受け入れられるように変わっていかなければならない、だった。
それは覚えているだろう。議長は理美だったんだから」
 「あいつのことは忘れろと言われても忘れられるもんか」
 しばらく沈黙があった。
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416 :政教一致@大阪 ◆hprO1jFx.M []:2014/06/26(木) 18:47:23.74 ID:KjxZSyZY
 「生徒達に説明してやったらどうだ?」と権。
 「あの事件をか」
 「そうさ、どちらにとっても痛い話だ、イーブンだろう。ジャッジは生徒にさせたらいいだろう。解放すると言ってあるはずだ。そうだな」
 「そう聞いてる。学校に戻る事になる」
 「学校と言えば、もう今日あたり終業式じゃないのか?」
 「お前たちが暴れまわるんで休みだらけで授業日数が足らないんだ。台風なんかでこう言う事になるケースはあるが、宗教戦争と言うのは初のケースだ」
 「戦争は事実上もう終わりさ。話してやれ」
 「俺たち、俺、権田と言うこの生華学会の大幹部、三枝理美と言う女性の三人は若いころ仲が良かった。理想にも燃えていた。
さっきもちらっと言ったが学会は変わらなければならないと言うのが俺たちの結論だった」
 「そう、君たちのように俺たちも若かった」と権。
 「そして、仏教を世界に伝えると言う事が一つの突破口だと言う事に俺たちは気がついた。日本国内では伸びようにももう伸びる先がない事は明白だった。俺は英語の教員を目指していた。
当時は国外にはなかなか出る事は出来なかったが、米軍基地に権田がコネを持っていた。
 その頃、米軍の基地内にクラブがあって、あれは正確にはクラブではなくて基地の施設を勝手に兵士が占拠してクラブに使ってたんだと思うが、そこで三人で働きながら布教するつもりだった」
 「そうだ、三枝理美と言う女性は抜群に美人で歌がうまかった。この犬田先生は彼女に惚れててプロポーズしてた。そんなある日……」
 「俺たちが、いや主に俺がうっかりしている間に理美は……複数の米兵にレイプされてぼろぼろになったんだ」
 沈黙……小さな子どもたちはべいへいとかれいぷとか言われてもちんぷんかんぷんであった。高三はあまりにも衝撃的な担任の過去に石になっていた。


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